小沢vs.野田陣営の、実権掌握or離党を賭けた民主党丸争奪戦が始まった
2012年 02月 14日
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*印のついた報道記事は、文末のMore部分にあるです。
今回は、・『小沢が造反宣言&野田陣営と党の実権争いがスタートか』の続きを・・・。
民主党の小沢一郎氏が、今月にはいってから、積極的にテレビやネットの番組などに出て、野田政権の批判&小沢氏としての主張をし始めている。
mewは、以前から、小沢氏はすぐに離党することは考えず、民主党の実権を奪還する道を選ぶのではないかと書いていたのだが。
ついに「民主党丸」の争奪戦の口火が切られたという感じがしている。(@@)
小沢Gと野田陣営は、民主党政権の国政運営、政策のあり方で対立をしているのだが。
同時に両陣営は、十数年で全国規模の組織を築き、多額の政党資金を得るようになり、そして政権をとるまでの大型船に成長した「民主党丸」の実権をどちらが握るのかという戦いを始めようとしているのだ。しかも、勝負に負けた方は、相手に従う気がない限り、船をおりることも覚悟しなければならないのである。(・・)
それを最も顕著にあらわしているのは、9日のネット番組で放ったこの言葉だろう。<4日の共同通信のインタビューでも同様の発言をしていた。>
「政権を任されたときの訴えを忘れた人たちと一緒にされたくない。歌を忘れたカナリアは我々ではなく、あの人たちだ。(歌を)忘れた人が離党すればいい」
小沢氏は、野田陣営が消費税増税法案に絡んで「小沢グループが離党しても構わない」「いっそ、党を出て行けばいい」などと語っていたことを知っているのだろう。
そこで、小沢氏は「離党するのは自分たちの方じゃない。おまえらの方なのだ」「民主党丸に残るべきは、自分たちなのだ」という意をあらわし、ここで野田陣営に宣戦布告を行なったのである。(**)
* * * * *
小沢氏は、既に消費税増税法案が国会に提出されたら、議決の際に法案に反対票を投じることを表明しており、輿石幹事長にもそのことを伝えたとのこと。
各メディアは(このブログも)、これを「造反」だと伝えたのだが。小沢氏は、7日の夜、小沢氏に近い議員と会食した際に、「これは造反ではない」と語ったという。
『民主党の小沢一郎元代表は7日夜、都内の日本料理店で同党の山岡賢次副代表、一川保夫参院幹事長らグループ議員約10人と会食し、消費税増税法案に反対する姿勢を明確にしていることについて「造反ではない」と述べた。
小沢氏はマニフェスト(政権公約)堅持を主張する自身の立場こそが「本来の民主党」であることを強調した。(産経新聞2月7日)』
『元代表は、消費税率引き上げ関連法案に反対していることについて「デフレ下で消費増税を行うのがおかしいのであって、造反ではない」と述べた。自らの正当性を主張した発言とみられる。元代表は「このまま消費税増税を行うと、選挙に惨敗してしまう」とも述べたという。(読売新聞2月8日)』
この主張も、「歌を忘れたのは我々ではない」という発言とリンクするところがある。
自分たちは、09年衆院選の公約を守り、また日本の経済状況を考えて「国民生活が第一」の観点で、消費税増税に反対しているのだから、自分たちの主張こそ正当なのだと。
そして、野田首相が公約を破り消費税増税法案を出すのは不当なことゆえ、それに反対しても、民主党の議員として「造反」したことにはならないのだと。むしろ党の公約に造反しているのは野田陣営だと言いたいのだろう。(・・)
<この発言は、「もし造反して、離党してもしなくても、党を除籍する」という方針を示したとされる何人かの執行部役員をけん制する趣旨もあるのではないかと察する。>
* * * * *
小沢氏は、これまで繰り返し、野田陣営に「もう一度原点を思い起こしてもらいたい」と訴えると共に、党内から圧力をかけることで、法案提出を控えさせようとしていたのだが。野田陣営は、先週、「党内手続きはきちんと踏んだ」と主張。さらに野党が協議に参加しない場合でも、3月に法案を提出することを確認したとのこと。
それを受けてか、9日には、党の広報委員長を務めていた小沢Gの広野允士氏が、野田執行部の「消費税増税路線に賛成できない。広報委員長として(消費増税に理解を求める)全国キャンペーンはやっていけない」として、輿石幹事長に辞表を提出したのだが。幹事長は特に慰留することもなく、すぐに辞表を受理したという。
産経新聞10日は、これを「開戦ののろしだ」と記していた。(@@)
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mewは、この戦いに関しては、小沢氏を応援している。(**)
まあ、正直なところ、このブログでも何回も書いているように、mewは、そもそも超親米&保守タカ派である野田政権の安保防衛外交政策に大反対の立場だし。実際、野田&前原コンビは、次々とアブナイ政策を実行に移そうとしているので、1日でも早くこの政権を終わらせる必要があると思っているわけで。
野田政権を終わらせ、今の自民党にも、橋下維新の会にも(連立を含めて)政権にとらせないようにするためには、ここは何とか小沢氏に頑張ってもらうしかないと応援している部分が大きい。(**)
ちなみに、mewは小沢氏とは安保防衛政策に関する考え方は7割ぐらいしか合わないのだけど。<でも、野田&前原コンビ、自民党、石原新党や橋下維新の会に比べれば、何百倍も合うと思うです。>
でも、小沢氏が、安保政策に限らず国政全般において「米国の言いなりにならない」という考え方を貫こうとしていることには強く共感を抱いているし。小沢氏が党代表になってから、同氏を応援したいと思った最大の理由は、そこにあるかも知れない。(・・)
<2日に行なわれた「新しい政策研究会」の講演でも、日米同盟について「日本が自立していないところに最大の問題がある。TPP(環太平洋経済連携協定)であれ、沖縄の(米軍基地)問題であれ、同盟という名にふさわしい関係であれば、みんな心配しない。しかし『結局、米国の言いなりになるのではないか』との思いが不安や心配を駆り立てている」と語っていたとのこと。(読売新聞3日)「ホント、そうなのよね~」と思ったです。>
* * * * *
この戦いの最大の争点になっている消費税増税に関しても、小沢氏の方が考えが合うのだ。
mewは、自民党政権の頃から書いているように、基本的には消費税増税にも、税と社会保障の一体改革にも賛成の立場だし。<本当はもっと早く(90年代&小泉政権の頃)から、与野党で協議してよりよい形を作り、徐々に実行に移すべきだったと思っている。>
民主党政権下でも、政党の垣根を超えて議論をして、景気の状態がよくなったら、すぐにでも実行に移せるような法案の下地を作っておくべきだと考えているのだが。(・・)
*1に、共同通信(4日)が行なった小沢氏のインタビュー全文をアップしておきたいと思うのだが。
小沢氏も、その中で「(中長期的には消費税を)「上げるべきだと思う。日本は住民税など直接税の比率が高すぎる。直接税を下げて、国民の手元に自由に使えるお金を残すべきだ。間接税の消費税なら、国民に選択の余地がある」と語っているし。「議論そのものは否定しない」とも言っている。
ただ、野田首相は、大事な議論の部分をすっ飛ばして、「結論、先にありき」で暴走しようとしているわけで。そこに大きな問題があるのである。(-"-)
小沢氏は、野田首相のやり方に関して、「社会保障と税の一体改革というが、社会保障の方はどこかに行って増税の話ばかりしている」「現在のような不況時に増税などあり得ない。デフレ脱却が日本経済の長年の課題だ。いま消費税増税したら、経済も財政もますます悪くなる」と批判しているのだが。mewも同感だ。(・・)
<ちなみにmewは、低所得者対策として還付や現金給付を行なうことにも反対だ。それよりも、欧米諸国が行なっているように、食料品などには課税しない方法をとるべきだと考えている。(世界各国の消費税の税率&食料品の税率一覧参照)>
* * * * *
そして、小沢氏は、「このまましゃにむに消費税増税で突っ込んで、うまく行かなかったら解散、と本人が思っても国民は了承しない。『ふざけるな。(あるべき指導者は)あんたではない』という話になる。民主党議員が全員討ち死にし、国家は大混乱に陥る。国民が許さないことは政治家にできない」と。
法案提出や解散によって政界や国政が混乱することを回避するためにも、「野田首相が気付いてくれることを期待している」「野田首相にもう一度原点を思い起こしてもらいたい」と語っていたのではないか思うのだけど。
しかし、どうやら野田首相は、しゃにむに突っ込んで行く道を選択しようとしている様子。
しかも、困ったことに、それが日本の国や国民のためになると、またそれが政治家として果たすべき使命だと思い込んでいるようなのだ。(-"-)
さらに野田陣営は、消費税増税のために党が分裂するのも止むを得ないと。いや、むしろ党が分裂して、自民党と「小沢抜きの連立」政権を作った方が、スムーズに政界再編を進めることができて、国政も安定するし、自分たちの考える政策も実現しやすいだけに好都合だと思っている人が多いようにも感じられる。(・・)
昨年末ぐらいから、自民党側からも「話し合い解散」&「小沢抜きの連立」を呼びかけるような発言が出ていることも、尚更に野田陣営の気を強くさせているところがあるのかも知れない。^^;
<関連記事・『小沢が「野田おろし」宣言か?+自民幹部が、小沢排除の連携や話し合い解散に言及』の後半
『伸晃の冷血トンデモ発言+石原新党の超保守的な綱領+自民が新党潰しの動き』の最後の部分>
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ただ、実際のところ、自民党内もかなり揺れているところがあるようだし。野田陣営も、先が読めない部分が大きいのが実情ではないかと思うのだ。(・・)
いつも書いているように、自民党も決して一枚岩ではない。(~_~;)
民主党政権への対応に関しても、「ともかく徹底的に攻撃して、解散に追い込むべきだ」「あくまでも自公による政権を目指して、戦うべきだ」と強気の姿勢で臨むことを提唱している人もいるし。
「与党を批判するだけでは支持率が上がらない」し、本当に国政のことを考えたら&将来、連立を組む可能性があることも考えたら、消費税増税法案など「自民党と考えが合う政策には、協力すべきではないか」という声も出ている。
さらに、ここに来て、橋下維新の会や石原新党が、次の衆院選に参加する意向を表明したことから、自民党、民主党を取り巻く環境が複雑化しており、両党の議員は、さらに揺れている<というより、揺さぶられている?>上、先が読めない状態になっているのではないだろうか?^^;
この2つの新党が出現しなければ、昨春来、野田&前原Gが目指して来た自民党との「小沢抜きの連立」も、もう少し容易に実現し得たかも知れないのだが。
いまや自民党or民主党がどうの、小沢Gがどうのという狭い範囲だけを見て、今後の動きを考えることができない混沌とした状況になっているだけに、連立話の行方もかなり流動的になりつつあるのではないかと思われる。(@@)
<以前も書いたように、橋下維新の会や石原新党の躍進を阻止するために、民主党と自民党が大連立をするというケースもある得るしね。^^;>
* * * * *
ただ、こういう混沌とした状況になった時には、何やかんや言って、結局のところ、きちんと全国規模の大きな組織を持った政党の方が強いのである。(・・)
76年に河野洋平氏らが自民党を離党して結成した新自由クラブは、当時、国民から大きな期待を集め、新自ク・ブームが起きたのだが。結局、最大時でも議員数は50人に届かず。一時、自民党と連立を組んだ時期もあったものの、大型船の自民党政権を転覆させるには至らなかった。^^;
その後、何度か新党ブームがあったものの、自民党の政権を揺るがした政党は出現していない。
93年に小沢氏らが自民党を離党し、8つの政党が集まって細川政権を作った後もそうだ。自民党は宮沢内閣の不信任案可決で大きな打撃を受け、下野したものの、それでも解散時の勢力は維持。
細川首相は、支持率80%に近い人気を誇っていたものの、同氏がスキャンダルで辞任した後は政権も持たず。1年後には、自民党がその大きな組織を土台にして、社会党、さきがけと連立を組むことで、政権を奪還。その後も、様々な政党と連立をしながら、15年も政権の座を維持したのだ。(~_~;)
逆に、小沢氏らは複数の政党を集めて新進党を結成し、全国規模の組織を持つ大政党を作ろうとしていたのだが。それが十分に調う前に同党は解体されることになった。民主党が、政権を狙えるほどに全国的な組織を充実させるにも10年ぐらいかかっているわけで。政権を担うほど大きな政党を作るには、資金や労力はもちろん、それ相当の時間がかかるのである。(・・)
そして、この辺りのことは改めて書きたいと思うのだが。このように考えると、仮に橋下維新の会と石原新党が連携し、自民党や民主党の一部の議員も合流し、橋下人気や第三極への期待という追い風を受けて、政権をとることがあったとしても、彼らが大政党と組むことなしに、安定政権を築くことができる可能性はさほど大きくはないのかも知れないし。
すぐに大政党に政権を奪還されたり、大政党と連立政権を組まざるを得ない状況になったりする可能性も十分にあるのだ。^^;
いや、結局のところ、橋下維新の会にせよ、石原新党にせよ、思ったほどには議席数がとれず、初期の段階から大政党との連立を考えざるを得ない状況になる可能性もかなりあるのではないだろうか?(@@)
また、もし民主党が自民党と連立をして、その後に政界再編が起きて新たな党を作ることになったとしても、やはり既存の全国の組織をうまく転用する方が得策であるに違いない。
・・・となると、野田陣営にせよ、小沢Gにせよ、今は、とりあえず、民主党丸の実権を握って、政治活動&選挙の大きなベースを確保しておくことが必要なのである。(・・)
* * * * *
それに加えて、野田&前原Gの幹部は、民主党を結党した時からのメンバーが多く、俗にいうオリジナル民主党を作り、育てて来たのは、自分たちだという自負がある。
他方、小沢氏は、03年から民主党に合流した立場であるものの、民主党を本当に政権を狙えるような政党に作り上げ、実際にそれを実現したのは自分たちだという思いがある。さらに小沢氏には、自分たちは、政権をとった09年衆院選の公約を守って、正当な主張を行なっているのだという大義もある。
そのような思いも重なって、ついに「民主党丸は自分たちのものだ」「もし一緒にやれないなら、おまえたちの方が離党して、船をおりるべきだ」という話にまで発展してしまったところがあるのだが・・・。
小沢氏にとっては、これが本当に最後の大勝負になる可能性があるし。しかも、特に消費税増税に関しては、自分の方が筋が通っているという確信を持っているだけに、ここから一歩も引くことなく、さらに強気の攻めを展開するのではないかと思うmewなのだった。(@@)
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『小沢氏、離党は否定 野田首相の解散困難 次期政権で衆院選
民主党の小沢一郎元代表は4日までに共同通信の単独インタビューに応じ、野田佳彦首相の消費税増税方針は「筋道が違う。経済政策としてもおかしい」と述べ、法案採決では反対に回る意向を表明した。国民の理解が得られないとして、野田首相が衆院解散・総選挙で信を問うのは困難とも主張。次期衆院選が後継首相の下で早期に実施される可能性に言及した。自らの離党は否定した。
党内最大勢力を抱える小沢氏が増税法案への造反を明言したことで同調者が相次ぐのは必至。参院与党過半数割れと合わせ、最重要課題の実現は一層遠のき、首相の政権運営が行き詰まる可能性も出てきた。
小沢氏は消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革をめぐり「社会保障の方はどこかに行って増税の話ばかりしている」と指摘。政権交代時のマニフェスト(政権公約)で掲げた「統治機構の転換をはじめとする大改革」に取り組まずに増税するのは「国民を愚弄(ぐろう)する背信行為だ」と批判した。
その上で野田政権が3月提出、早期成立を目指す消費税増税関連法案の採決では「反対する」と断言。執行部にこの意向を伝えたと明らかにした。「大改革」を断行した上での将来的な消費税増税には理解を示した。
野党が内閣不信任決議案を提出した場合の対応は「その場になってみないと分からない」と同調に含みを残した。増税法案が成立しない場合、首相が解散に踏み切る可能性について「国民は了承しない。国民が許さないことは政治家にできない」と否定し、内閣総辞職を迫られる展開を想定。「首相が代われば政権交代後、4人目となる。ほどほどのところで選挙をしろということになるのではないか」と、次期政権は選挙管理内閣になるとの見通しを示した。
野田首相には「もう一度原点を思い起こしてもらいたい」と忠告。自身の政治活動に関し「離党は今のところ考えていない」とし、今後の政権・党運営への関与は「何とか改革のレールは敷きたい。ただ、必ずしも私が前面に立つ必要はない」と語った。
【政権維持に危機感】
「政権の地位に甘んじてしまったのかもしれない」。民主党の小沢一郎元代表は共同通信のインタビューで、悲願の政権交代を果たしながら国民の期待に応えていない現実へのいら立ちをあらわにした。野田政権が掲げる消費税増税方針をめぐり早期の衆院解散・総選挙の可能性が取り沙汰される中、現状では政権維持が難しいとの危機感を強めているようだ。
都内の自身の事務所で約1時間にわたって質問に答えた小沢氏は、政権交代の眼目の一つだった政治主導が「全く実現できていない」と指摘。「どんな社会をつくるかという青写真と、官僚を説得できる見識や意思が政治家にないと駄目だ。民主党議員の多くは、マニフェスト(政権公約)が何を意味するかを深刻に考えずに主張したのかもしれない」と嘆いた。
ただ、政権・党運営への不満から離党に踏み切る可能性については「歌を忘れたカナリアは私たちではない。普通の理屈から言うと、歌を忘れた人たちの方が離党するものだ」と否定。政治資金規正法違反事件の公判を乗り切った上での復権へ強い意欲を見せた。
連携がうわさされる橋下徹大阪市長に対し「旧体制を壊し、新しい仕組みをつくろうとしている」と共感を表明。同時に「問題はこの国をどうするかだ」とも述べ、今後の出方をうかがう姿勢をにじませた。
【連用制に否定的】
民主党の小沢一郎元代表は共同通信とのインタビューで、衆院選挙制度改革で中小政党が導入を求める小選挙区比例代表連用制に関し「どの政党も過半数を取れなくなる。小党分立になり、政治を運営できなくなる」と否定的な考えを示した。
同時に「日本の政治の現状と、議会制民主主義を定着させるという大目標を考えれば、当分は現行制度がいい」と訴えた。
【詳報】小沢氏インタビュー詳報
民主党の小沢一郎元代表に対するインタビュー詳報は次の通り。
【政権公約】
―民主党マニフェスト(政権公約)が実現していない。何が問題か。
「旧体制のシステムに手を付けられないままになっている。政治主導が全く実現できていない。どんな社会をつくるかという青写真と、官僚を説得できる見識や意思が政治家にないと駄目だ。政権の地位に甘んじてしまったのかもしれない」「マニフェストに掲げたのは、国の統治機構の大転換をはじめとする革命的な改革だ。本気で取り組めば、大変な波風が立つ。猛烈な抵抗があるが、やり抜かなければならない。民主党議員の多くは、マニフェストが何を意味するかを深刻に考えずに主張したのかもしれない。それをやり抜く使命感と責任感が必要だ」
―官僚の抵抗か。
「官僚がけしからんと言っているわけではない。官僚には官僚の役割がある。時の政権の理念と政策にスタッフとして協力しなければならない」
【消費税増税】
―消費税増税についてどう考えるか。
「論議そのものは否定しない。ただ、国家の統治機構の転換をはじめとする大改革を断行して公正な仕組みをつくることなしに、増税だけするというのはおかしい」「国民の反対は、マスコミの世論調査よりはるかに大きい。社会保障と税の一体改革というが、社会保障の方はどこかに行って増税の話ばかりしている。野党の主張は、その点では正しい」
―欧州のような金融危機を防ぐため消費税率を引き上げて財政再建すべきだとの主張もあるが。
「一般的な経済政策として、現在のような不況時に増税などあり得ない。デフレ脱却が日本経済の長年の課題だ。いま消費税増税したら、経済も財政もますます悪くなる」「補助金の一括交付金化、特別会計、独立行政法人の抜本改革などを行えば、かなりの財源ができるのは間違いない」
―中長期的には消費税をどうすべきか。
「上げるべきだと思う。日本は住民税など直接税の比率が高すぎる。直接税を下げて、国民の手元に自由に使えるお金を残すべきだ。間接税の消費税なら、国民に選択の余地がある」
―野田佳彦首相の目指す消費税増税関連法案にどう対応するのか。
「(閣議決定には)反対する。党執行部に『無理やり法案を通すとなったら反対だ』と昨年のうちに伝えた。(国会の採決でも)反対は反対だ。最初から反対と言っており、何かの拍子に賛成になったらおかしい。筋道が違う。経済政策としてもおかしい。大改革を何もしないで増税するのは、国民を愚弄(ぐろう)する背信行為だ」
【首相の政権運営】
―首相は増税法案をめぐり衆院解散・総選挙の可能性に言及している。
「このまましゃにむに消費税増税で突っ込んで、うまく行かなかったら解散、と本人が思っても国民は了承しない。『ふざけるな。(あるべき指導者は)あんたではない』という話になる。民主党議員が全員討ち死にし、国家は大混乱に陥る。国民が許さないことは政治家にできない」
―野党が野田内閣不信任決議案を提出した場合、同調するか。
「その場になってみないと分からない。ひたすら消費税を上げる政治姿勢には反対だと言っている」
―衆院選の見通しは。
「これで首相が代われば政権交代後、4人目となる。ほどほどのところで選挙をしろということになるのではないか。先のことは分からないが、波高し、常在戦場だ」
―次期衆院選で民主、自民両党とも過半数に達せず、政界流動化につながるとの見方がある。
「このままだとそうなるだろう。だから野田首相が気付いてくれることを期待している」
―民主党が改革を実行できない場合、離党する考えはあるか。
「今の時点では、野田首相にもう一度原点を思い起こしてもらいたい。思い出す風情がない場合にどうするかだが、歌を忘れたカナリアは私たちではない。離党は今のところ考えていない。普通の理屈から言うと、歌を忘れた人たちの方が離党するものだ」
【衆院選改革】
―与野党で議論されている衆院選挙制度改革について、どう考えるか。
「議員定数削減で身を切ること自体は大事だが、もっと根本的なところにメスを入れるのがわれわれの主張だった。定数削減で議員の給料分が浮いても、世の中、何も変わらない」「公明党などが主張する小選挙区比例代表連用制を導入すると、どの政党も過半数を取れなくなる。小党分立のようになり、政治を運営できなくなる。日本の政治の現状と、議会制民主主義を定着させるという大目標を考えれば、当分は現行制度がいい」
【地域政党】
―地域主権改革をどう実現するか。
「明治以来の中央集権を覆す話だから簡単にはできないが、われわれが主張した以上、難しくてもやらないといけない。輸出依存の経済構造は他国の事情に左右され、非常にもろい。内需主導の経済・社会を実現するには、地域主権を確立して地方を活性化するしかない。各地域の伝統に根差しながら、地域社会の創意工夫を生かす」
―橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」などの地域政党や新党勢力と連携する考えは。
「橋下氏は旧体制を壊し、新しい仕組みをつくろうとしている。その点は私の主張と全く同じだ。問題はこの国をどうするかだ。(石原慎太郎東京都知事らの)新党であれ何であれ、この国をどうするかというものがないといけない」
【政権の諸課題】
―東京電力福島第1原発事故に対する政府の取り組みをどう思うか。
「野田首相は事故の収束を宣言したが、何も収束していない。核爆発が起きないようにしているだけだ。非常に危険な状況を放置している。東電に第一義的な責任があるのは間違いないが、政府が前面に出て政治の責任でやらないといけない。何十兆円でも出して、放射性物質を封じ込めないと駄目だ」
―環太平洋連携協定(TPP)については。
「日米間で話を付けられれば、大騒ぎする必要はない。ただ、日米首脳会談の内容が双方の発表で食い違ったりすると、米国の思い通りにやられてしまうのではないかと国民が心配する。米国の思惑は見え見えだ。話を付ける能力が政府にあればいいが、政治家は役人に丸投げし、役人は先送りするから、米国に付け込まれる」
【今後の政治活動】
―自身が被告となった政治資金規正法違反事件の公判については。
「今、私がとやかく言うことではない」
―4月の判決後、先頭に立って改革に取り組む決意は。
「何とか改革のレールは敷きたい。ただ、必ずしも私が前面に立つ必要はない。それはどちらでもいい。何でもやるが、自分がトップに立ったり、何かポジションを得ないといけないということはない」
(共同通信2012年02月04日)』
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キープ用のおまけ
『民主党の小沢一郎元代表は13日、東京都内で開いた自らが主宰する「小沢一郎政治塾」で約1時間講演した。
元代表は、野田政権が進める消費税増税に関し、「自民党(政権)と同じことをやっていて、カネがないのは当たり前だ。我々は、それを変えることを前提に(マニフェストを)組み立てたのだから、変えずして『カネがない』というのは、いただけない話だ」と批判した。2009年衆院選の政権公約(マニフェスト)に基づき予算の組み替えなどで財源を捻出すべきだとの考えを強調したものだ。
野田政権が内閣法制局長官の国会答弁を復活させたことに関しては、「旧体制からの国会運営と全く同じになった。政治主導とは到底言えない」と指摘した。また、「国会機能の充実が必要だ。法制局も調査局も国会図書館もみんなあわせて、仮称・立法院として、国会の政策立案スタッフの機構をつくるべきだ」と述べ、「立法院」(仮称)の創設も提唱した。小沢元代表は鳩山政権時代に、幹事長として主導して法制局長官の答弁の禁止を決めた経緯がある。
(2012年2月14日07時32分 読売新聞)』
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