日米首脳会談はTPP参加のための猿芝居+米に軽視され、擦り寄るしかない安倍
2013年 02月 22日
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安倍首相が21日夕、オバマ大統領と会談をするために、米国に向けて出発した。
首脳会談は、22日昼頃(日本時間で23日未明)に行なわれる予定なのだが。 もし会談でうまく話が調った場合、安倍首相は、その後の会見(個人?)で、TPP交渉に参加する意向を表明する可能性もあると報じられている。(・o・)
<後述するように、安倍首相はオバマ大統領に競演をしてもらって、二枚舌を使うための猿芝居を展開。首相は会談でオバマ大統領から「聖域」を認める感触を得たと(いうことに)して、(帰国すると周囲がうるさいので)、米国で参加表明の意向を表明しちゃおうという案も出ているようなのだ。(~_~;)>
* * * * *
首相は出発前、首相官邸で記者団に「6年ぶりの日米首脳会談だ。(民主党政権の)3年3か月揺らいだ日米同盟に、強い絆を取り戻したことを内外に示す首脳会談にしたい」と述べ、会談への強い意欲をにじませていたという。(読売新聞2月21日)
何分にも、安倍陣営は、昨年12月初め、まだ衆院選を戦っている最中から、米国側に1月訪米の打診。その後も何度も米国側に要請するも、なかなかOKが出ず。 1月中旬に、アルジェリア人質事件の最中だったにもかかわらず、岸田外務大臣を訪米させ、ようやく「2月3週目なら」と首脳会談をしてもらえることになったわけで。安倍首相&自民党にとっては、まさに待望の首脳会談なのだ。(@@)
ただ、オバマ大統領は安倍首相をさほど歓迎しているわけではない。
首相は現地時間の22日昼頃に計1時間半、大統領と会談&昼食会を行なう予定なのだが、その調整も大変だったという。
『日本側は22日午前中に首脳会談を行い、そのまま昼食も共にしたい考えのようだが、調整は難航したもようだ。「昼食の相手はバイデン副大統領でよいのでは」(国務省筋)という声も聞こえてくる。(※)』
<※ japan.com2月18日「ワシントンは「強い日本」を歓迎するか」より・全文は*1 米国オバマ政権の見方が、mewと近いかも。『米が安倍の中韓対応にクギを刺す発言+オバマに敬遠され、お貢ぎに走る安倍』とか>
しかも、通常は、首脳会談後、2人並んで報道陣の前に立ち、共同記者会見を行ない、お互いに相手を評価したり、時に固い握手やハグなどを行なったりして会談の成果や両者の関係を国内外アピールするのだが。<日本の首相にとって、これこそが大きな見せ場&自慢し得る実績&喜び(?)であると言われている。>
何と今回は、米国が強く拒んだため、この共同記者会見は行なわれないことになったという。(・o・)
『米ワシントンのホワイトハウスで22日に開かれる日米首脳会談で、安倍晋三首相とオバマ米大統領が会談後に開く予定だった共同記者会見が見送られることが19日までに分かった。首脳級会談で共同記者会見が見送られるのは異例。米政府筋が本紙の取材に対して明らかにした。
米政府筋によると、見送りは米側が要請した。当初、米側は首脳会談で日本の環太平洋経済連携協定(TPP)への参加表明に対する期待を伝えていたものの、日本から困難との意向が伝達された。そのため、「踏み込んだ議論が期待できず、具体的な成果も発表できないため、記者会見は不要と判断した」という。(沖縄タイムス2月21日)』
『オバマ氏は今回、儀礼的な首脳会談ではなく、日米の外交・安全保障や経済分野の様々な課題で具体的な「成果」を求めている。
米国ではTPP参加問題に曖昧な態度をとる日本へのいら立ちも聞かれる。首相が意気込み通りに民主党政権との差を印象付けられるかどうかが注目される。(日本経済新聞2月20日)』
『オバマ政権が日本に求めている具体的な課題は、先の日米外相会談の共同会見でクリントン長官があらためて指摘している。要約すれば、(1)沖縄県の米軍普天間飛行場移設の進展(2)環太平洋連携協定(TPP)への参加(3)ハーグ条約の早期加盟―の順となる。「ハーグ条約」を除けば、いずれも安倍政権には慎重を要する問題で、大統領に対して歯切れの良いことを言える状況にはない。(*1)』
オバマ大統領は、安倍首相がその場でTPP参加を正式に表明するのであれば、会談の大きな成果になることから、記者会見を行なうことを考えたのかも知れないのだが。安倍首相は、それができない以上、会見を行なう価値はないと考えた様子。
ただ、mewは、会見を行なわない理由の一つには、2人とも会談の中でTPPに関してどのような協議を行なったのかを記者からツッコまれたくないことや、対中関係などを考慮したことがあるのではないかとも思っている。(後述)(・・)
* * * * *
安倍首相&自民党にとっては、日米同盟強化こそが外交安保政策の中核であり、ある意味では自分たちの政権の存立基盤とも言えるものになっている。<それこそ自民党は、1955年、反共政策のために米国の支援によって作られた政党だし。それ以来、50年以上にわたって、日米の緊密な関係(従属関係?)を築いて来たわけだしね。>
そして、安倍首相&自民党が、早期の首脳会談を望んだ最大の目的は、国内外に日米同盟の強化をアピールすると共に、安倍氏とオバマ氏の個人的な信頼関係を築くための足がかりにしたかったからにほかならない。(・・)
首相は、国内向けには、安倍自民党は、民主党政権と異なり、本当の意味で強い日米同盟関係を保てるのだと。また国外向けには、とりわけ中国、北朝鮮、韓国(+アジア・太平洋諸国)に対して、日米の関係が特別に強固なものであるということを示したいと考えている。
<冒頭に記した「(民主党政権の)3年3か月揺らいだ日米同盟に、強い絆を取り戻したことを内外に示す首脳会談にしたい」という言葉にも、その思いがよくあらわれている。>
おそらく安倍首相にとっては、何よりも早くオバマ大統領と直接会って挨拶をすると共に、日米のTOP同士の絆を深めるきっかけを作ることが重要だったのであるが。
でも、リアリスト(現実主義者)であるオバマ大統領は、そこまで安倍首相&自民党政権を重視しておらず。何も具体的な成果を得られないのに、単に個人的に会うだけの会談には意味を見出していないところがあるようなのだ。<「一体、何しに来るの?」って感じなのかも。>
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そもそもオバマ大統領は、民主党政権と完全にうまく行っていなかったわけでも、自民党政権を待ち望んでいたわけでもないし。
オバマ氏は、米国の座標軸では中道リベラルなので、日本も民主党に政権交代したことを評価。鳩山元首相とは「県外移設発言」でうまく行かない部分はあったものの、菅政権とはまあまあ、野田政権とは非常に良好な関係にあり、野田首相退陣に際して、異例の感謝コメントを出したほどだった。>
またオバマ氏は個人的に、安倍首相のように国家主義、民族主義的な要素のある&戦後体制を否定するような超保守思想を持つ政治家を好んでいないと言われている。
<安倍氏もそれに近いことを言うのだが。超保守派の中には、米国の占領政策が「悪の根源」だったみたいに主張する人もいるしね~。^^; また米国の政府や議会は、安倍首相が河野談話、村山談話の見直し、靖国参拝などに前向きな姿勢を示していることを強く警戒している。>
* * * * *
ただ、オバマ陣営とて、米国に利益がある限りは、それなりに日米同盟を重視して日本との良好な関係を保って行きたいと考えているし。
今、米国は経済、財政で窮地に陥っているだけに、日本にもその分野でのアシストを強く望んでいるというのが実情だ。(・・)
安倍首相は、米国の要望に応じて、米国産牛肉の輸入緩和、戦闘機などの購入、武器輸出禁止原則の緩和、集団的自衛権の行使容認などなどの(プチ?)土産は用意したのだが。
オバマ政権は、特にTPPを米国の輸出の増加や事業・雇用拡大をするための最重要政策として位置づけているため、日本がなかなか参加表明をしないことにかなりイラ立ちを覚えているとのこと。しかも、米国は日本が3月までに正式表明することを強く求めているという。(@@)
<米国の90日ルール(交渉参加の承認手続き)を経て、秋から本格的な交渉を始めるには、3月が参加表明のリミットになるらしい。>
逆に言えば、安倍首相はTPP交渉に参加表明しない限り、日米同盟の絆を強化することはできないし。オバマ大統領や米政府と信頼関係を築くこともできないのである。(~_~;)
<しかもTPPは中国が対象になっていないので、近時、経済的な面でも中国を重視しているオバマ政権に、日本の存在をアピールし得る大きな要素にもなる。>
とはいえ、安倍自民党は衆院選で、「聖域なき関税撤廃が前提となる限り、TPPへの参加には反対する」という公約を掲げて圧勝&政権奪還をしているわけで。 党内にもTPP反対、慎重派が多い上、もし早期にTPP参加表明した場合、「ウソつき」批判を受けて参院選で惨敗するおそれがあるだけに、すぐには正式な参加表明しにくい状態にあるのだが。
でも、安倍陣営は、既にTPPへの参加表明を決意しているとのこと。もはや彼らにとっての関心事は、それを発表するまでにどのような形づくりをするか、またどのタイミングで発表するかということに移っているという。(-_-)
* * * * *
そこで、安倍陣営は、いかにTPP参加表明をするかの作戦を練ることに。
首相は、近時になって「オバマ大統領と直接会って、「聖域」がないのか確認したい。その感触を確かめてから判断したい」と繰り返し発言しているのだが。
それは、今回の首脳会談で「聖域(例外品目)があるとの確認or感触を得た」として、TPP参加表明を行なうことの布石だと見られている。
まさに子どもだましのような話なのだが。自民党は「聖域なき関税撤廃」には反対する公約をしたものの、「聖域」があるのだから、公約違反にはならないと主張しようと考えているのである。(>_<)
ただ、事前の事務方の交渉では、オバマ大統領は、例外品目を認めることを明言はしない意向であるという。
米国は、TPP交渉に参加する他の国々にも、例外は認めず、全ての品目を交渉対象にするというルールを強調しているので、日本だけに事前に例外を認めることは絶対にできないからだ。^^;
TPPを担当する米通商部代表も、わざわざ(オモテ向きに?)こんな見解を示している。
「米通商代表部(USTR)のカーク代表は20日、日本が環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する上で「コメを含む全品目を対象に交渉する必要がある」と述べる一方、結果的に例外が設定される可能性にも含みを持たせた。ロイター通信とのインタビューで語った。
カーク代表は、TPPでは特定の分野や課題をあらかじめ除外して交渉入りすることはできないと強調。コメなど「政治的に重要な品目」も交渉対象にすべきだとした。
ただ、交渉を経た上で「最終的にこうした品目を勝ち取ることはできる」とも発言。(共同通信2月21日)』
他方、安倍首相は20日、朝日新聞のインタビューに対してこんな発言を行なっていた。
「国内総生産(世界)3位の日本が入るかどうかで重要性が変わる。聖域があるはずだから、それを確認したい」「聖域があるかないか、事務方の交渉で建前を乗り越えるのは難しい。首脳同士で確認したい」「交渉テーブルに載せたものは最後まで載せなければいけないのか。米国も『交渉の結果、やっぱりおろす』ものがあるかもしれない」
また、『首相は「帰国後、あまり時間をかけずに判断したい」と語り、オバマ米大統領との会談後、政治決断する意向を明らかにした。』「首相は訪米の意義について「日米の絆が戻ったと世界に示すことが極めて重要だ」と強調。「(経済力が)強い日本の復活は日米関係にもプラスだと伝えたい」と語った』という。(朝日新聞2月20日)
* * * * *
何だかここからは、日米合作の猿芝居のような感じになってしまうのだが。^^;
米国としても、日本にTPP参加交渉して欲しいのはヤマヤマなので、事務方との協議の結果、日本の要請に応えて、首脳会談を行なうことに応じることに。あくまでも「事前には例外を認めず、全てを交渉の対象にする」という原則論を通し、ともかく「まずは、交渉に参加表明しろ」と主張するものの、、交渉の結果、例外品目が設けられる余地はあると、ちらっとアメを見せる手法をとることで、安倍首相が参加表明しやすい環境を作ることに協力することにした様子。
そして、安倍首相は、会談でオバマ大統領がどういう表現を使うかはわからないものの、「とりあえず、全品目を対象に交渉に参加するが、例外を認められるという感触を得た」と主張し、TPP参加表明を決断&表明に踏み切るというシナリオを描いているのではないかと思われる。(@@)
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そう考えると、米国側が共同会見に難色を示したこと&日本側が共同会見を行なわないことを了承したことも、妙に納得行く部分がある。
TPPに関して言えば、オバマ大統領も安倍首相も、2人が会談の中でTPP交渉の参加条件についてどのような協議を行ない、どのような結論に至ったのか(=事前に例外を設けることを認めたのかどうか)、報道陣から質問を受けることを避けたいという考えがあるのではないかと思うからだ。(・・)
<オバマ氏は「例外を認める」とは絶対に言えない&たぶん、会談の中でも言わないのだけど。安倍氏は、その感触を得たということにするわけだから。(>_<)>
安倍首相は、自民党の反対派&国民の手前、「今回の首脳会談でTPP参加表明をすることはない」と言っているのだが。もう米国側には、参加表明の意向を伝えてあり、会談の中では参加表明は行なわないものの、そのことを前提に協議を行なうのである。
そして、会談の状況などによっては、その後に首相がひとりで行なう日本の報道向けの会見で、「聖域があるとの感触を得た」と発言した上で、TPP参加に前向きな姿勢を示す(or実質的な参加表明をする)というプランも立てているという話も出ているとのこと。(-"-)
慎重を期す形で、日本に帰国して、政府で分析・検討&党内に説明した上で、最終的に決めるというプランもあるのだが。帰国すると党内の反対派がうるさいので、帰国前に思い切って、それなりの意向を示した方がいいという意見も強いという。<米国で参加表明をしてしまえば、もう後戻りはできないので、「言ったもん勝ち」になると思っているのかも。(-"-) その計画を知ってか、安倍氏が所属する町村派の町村会長は、昨日、「どのような結果になっても、党全体で支えて行く必要がある」と語っていたです。>
ただ、いずれにせよ、安倍陣営は3月にはTPP交渉への参加を正式表明する気でいるのは確かなようで。
あとは何とか体裁を整えて&オモテから見える部分を繕って、自民党をはじめTPP反対派の議員や国民を、うまくだまくらかそうとしているのである。(ーー)
<また安倍首相は、普天間基地移設に関しても、かなり具体的に踏み込む形で計画の推進を約束すると見られている。>
* * * * *
mewは、米国側が共同会見を回避した理由の一つには、中国を必要以上に刺激したくないという意図もあったのではないかと察する。(対北朝鮮も同様のことが言えるかも。)
もし共同会見を行なった場合、日本の報道陣から、尖閣問題やレーダー照射事件などを引き合いに出されて、対中政策についての質問が出るおそれがあるのだが。
中国とも良好な関係を保ちたいオバマ大統領は、具体的な問題について答えたくないだろうし。日本側に味方するような発言を行なうことも避けたいところだろう。
<先月、クリントン国務長官と岸田外務大臣が共同会見で、中国の挑発行為を批判する発言を行なったのに対し、中国がすぐに反発を示し、米国批判や日本への挑発行為が強まったので尚更にそう思っているかも。>
安倍首相も、もし強硬的な発言を行なえば、米国からは望ましくないと思われるし。かと言って、慎重な発言を行なうのは意に反する上、党内&世間の保守層から批判を受けるおそれがあるので、かなり答えにくい部分があるだろうし。
また、米国では、安倍首相が河野談話や村山談話の見直しに言及していることに強い関心を持たれていることから(米紙も訪米に備えての首相へのインタビューで、そのことをきいていた)、その点を会見で米報道陣からツッコまれるのも避けたかったのかな~と思ったりもした。(~_~;)
<『米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が1月下旬に行った200人以上の有識者に対する調査で、安倍政権の安全保障政策が米国に与える影響について約5割の人が「大変こじらせる」と回答した。日米外相会談に先立ち1月半ばに来日したキャンベル次官補は、河野談話の見直しに慎重に対応するよう非公式に求めている。(*1)』>
* * * * *
ちなみに、安倍首相は、22日の午前中、首脳会談の前に07年の訪米時と同様、無名戦士や海兵隊の殉職者などが眠るアーリントン墓地に献花をしに行く予定だとのこと。
また、会談後は、米国防系シンクタンク(CSIS)が主催する講演会で、「
Japan is Back」と題して、講演を行なうという。
『安倍晋三首相が21日からの米国訪問中に有力シンクタンク、米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、かつての自民党政権時代の日米同盟関係へ立ち返ろうとする姿勢を強く訴えることが分かった。講演は「Japan is back(日本は戻った)」と題する方向。沖縄県普天間基地の移設問題が迷走し、同盟関係が弱体化した民主党政権との違いを際立たせる狙いだ。
安倍氏の講演は首相就任後、海外で初めて。時間は45分程度を想定している。
講演では蜜月の日米関係への回帰を目指す考えを明示する半面、歴史認識問題の見直しなどを巡って一部の米有識者らが右傾化懸念を抱いていることも意識。質問に答えるために講演では質疑の時間を多めにとることを予定している。講演の模様はインターネットで全世界に同時中継し「世界の中の日米同盟関係」を印象づける効果も見込む。(日本経済新聞2月20日)』
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安倍首相は、国内外に「強い日本を取り戻す」姿勢や、安倍自民党ならではの日米同盟の強化をアピールしたくて仕方がない様子。
CSISは、保守タカ派の国防族(米共和党政権の関係者が多い)が集まっており、日本の安保軍事強化をアレコレと提言しているシンクタンクゆえ、そういう場所では、そのような姿勢は歓迎されるのかも知れないのだが。
<ちなみに小泉進次郎くんは、大学卒業後、CSISでお勉強していたです。>
近時、ブログに何回も書いているように、米民主党の中でも最もハト派&リベラルだといわれるオバマ政権は、日本政府にはそのような姿勢を求めてはいないわけで。
果たして、安倍首相がオバマ大統領と個人的に美しい絆や信頼関係を築けるかどうかは、ビミョ~な感じがしている。
ただ、安倍くんとしては、自分の政権の存続のためにも、何とかオバマ&米国に気に入られて日米同盟強化をアピールしたいわけで。そう思うがあまりに、どんどん米国の言いなりになってしまうのではないかと。
そして小泉政権の時以上に、日本国民の平和で安心できる生活が、どんどん壊されて行ってしまうのではないかと強く懸念しているmewなのだった。(@@)
<関連記事『安倍こそ米隷従の国賊では?~同盟強化&首脳会談したさに、国民を害するおそれ』
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ワシントンは「強い日本」を歓迎するか
水本 達也 【Profile】 日米関係の修復を軸に外交の立て直しを急ぐ安倍内閣。しかし、普天間移設やTPP、アジア地域の緊張など課題は多い。首相の訪米を前に、米国が同政権に寄せる期待と不安を時事通信社ワシントン支局の水本達也記者が分析する。
ヒラリー・クリントン米国務長官は退任直前の1月18日、国務省のベンジャミン・フランクリン・ルームで岸田文雄外相と共同記者会見に臨み、満面の笑みで「安倍晋三首相を2月第3週にワシントンに招待しました。オバマ大統領との間で多くの課題を話し合っていただく」と発表した。しかし翌19日付のワシントン・ポスト紙は、同盟国日本の首相の訪米が決まったことも、日米外相会談があったことさえ報じなかった。
クリントン長官の本音
首相訪米の露払いと位置づけられた外相会談での日本側の最大の成果は、クリントン長官が記者会見で、沖縄県の尖閣諸島に関して「日本の施政権を害そうとするいかなる一方的な行為にも反対する」と踏み込んだ表現で中国をけん制したことだ。
この発言は、周到に用意されたものだった。日米の外交当局は昨年11月の米大統領選後から、尖閣問題における対中抑止強化策について入念な擦り合わせを続けた。外交筋によれば、クリントン長官が1月初めにも訪日し、その際に尖閣問題に対する米国の踏み込んだ立場を表明することも検討されていた。長官が体調を崩したため計画は流れ、今回のような形となった。
クリントン発言は、確かに日本を勇気づけた。ただ、筆者は尖閣に関する長官のもう一つの言及を、米側の「本音」と見る。それは「日中が対話を通して問題を平和的に解決することを望むし、安倍政権が対話に着手したことを称賛する」というものだ。この中には東アジアの不安定化は米国の国益を損なうという考えが一番にあり、従って日中が争う尖閣問題に対しても「完全な解決は困難なのだから、重要なのはいかに問題をさばくかだ」(カート・キャンベル国務次官補)という米国の現実的な立場がある。
安倍政権の安全保障政策に疑問
多くの日本人は、東シナ海の現状を変更しようと試みているのは「中国の方だ」と主張するに違いない。ところが米国では、オバマ政権内だけではなく、在野の知日派識者も含めて、復活した安倍政権という存在自体が、また、安倍晋三という人物のこれまでの言説が中国を刺激し、地域の不安定要因になりかねないと危惧する人は少なくない。
実際、米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が1月下旬に行った200人以上の有識者に対する調査で、安倍政権の安全保障政策が米国に与える影響について約5割の人が「大変こじらせる」と回答した。日米外相会談に先立ち1月半ばに来日したキャンベル次官補は、河野談話の見直しに慎重に対応するよう非公式に求めている。
つまり米側が望んでいるのは、「強い日本を取り戻す」(安倍首相)ことではなく、対中関係の悪化を冷静にマネジメントできる、言い換えれば、ナショナリズムに左右されずアジア太平洋地域の安定に資することのできる日本のプレゼンスなのである。その前提があって初めて、日米同盟はオバマ政権の「アジア重視」の外交・安保戦略における礎石になり得る。同盟の深化は、防衛費の増額や集団的自衛権だけに還元されるわけではない。その証左として国務省などは、安倍首相が訪米に先立ち、東南アジアを外遊したことに強い関心と期待を抱いている。
日米両政府は安倍首相の訪米をきっかけに、民主党政権下で動揺した関係の修復に着手することで一致している。一方、日本側はオバマ政権も2期目への移行期にあるという事実にも注意を払う必要がある。特に知日派のクリントン―キャンベル・チームが政権を去ることは、日米外交の先行きを不透明なものにしている。
2月1日に就任したジョン・ケリー新長官は、自身の承認に関する上院公聴会で、中国について「敵対者と見なすべきではない。世界の経済大国であり、関係を強化することが重要だ」と表明し、日米同盟には一言も触れなかった。
オバマ大統領は現実主義者
オバマ大統領は、安倍首相との会談をどの程度重要視しているのか。関係当局者によれば、ホワイトハウスが日本の首相のために割く時間の長さによって測られるという。日本側は22日午前中に首脳会談を行い、そのまま昼食も共にしたい考えのようだが、調整は難航したもようだ。「昼食の相手はバイデン副大統領でよいのでは」(国務省筋)という声も聞こえてくる。理由は明白で、安倍首相が訪米に携えてくる「決断」にさほど期待できないからだ。
オバマ政権が日本に求めている具体的な課題は、先の日米外相会談の共同会見でクリントン長官があらためて指摘している。要約すれば、(1)沖縄県の米軍普天間飛行場移設の進展(2)環太平洋連携協定(TPP)への参加(3)ハーグ条約の早期加盟―の順となる。「ハーグ条約」を除けば、いずれも安倍政権には慎重を要する問題で、大統領に対して歯切れの良いことを言える状況にはない。
日本側は「信頼関係を構築し、今後数年先のグランドストラテジー(大戦略)を討議する場にしたい」(在米日本大使館)としているものの、米側がまず耳を傾けたいのは、日本が隣国との関係改善に取り組む道筋だろう。リベラルな政策を掲げるオバマ2期政権が、実際は「1期目よりリアリスト集団である」というのはワシントンの共通認識でもある。ちなみに個人的な信頼関係という点では、野田佳彦前首相の評判は決して悪いものではなかった。
アジアから再び中東シフトも
オバマ大統領はこのほど、2期目最初の外遊先として、3月中にもイスラエルを訪問することを明らかにした。ケリー新長官も中東和平への取り組みに意欲を示しており、米外交の焦点がアジアから再び、喫緊の懸案であるシリア内戦やイラン核開発などで不安定化する中東にシフトする可能性も出ている。クリントン長官が2009年1月の就任早々に日本を訪問した時と比べて、米国を取り巻く外部環境は様変わりしている。
大統領は2期目の就任演説で、米国が「同盟の要であり続ける」と明言した。これは世界各地に張り巡らした同盟網を、相対的に国力が低下している米国の「リソース」と位置づけ、諸懸案の解決に向けて最大限活用するという政権の現実主義の核心の一つである。「日米同盟」はその一部分にすぎない。
ある米政府当局者は、盛り上がりに欠ける日米首脳会談についてこんな風に話した。
「日本側はなぜ、いつも『同盟』のことしか言わないのか。日本が国内にどういう問題を抱え、どのように対処する方針なのか。それがエネルギー問題であれ、社会福祉の問題であれ、米国にとって参考になることなら、大統領は話に乗ってくるだろう」。
(2013年2月9日 記、文中の肩書は当時のまま)
http://www.nippon.com/ja/currents/d00070/