「平和で平穏で楽しい生活が一番!」 今はアンチ超保守&安倍政権の立場から、mew基準の(時に偏向した?)視点で、政治や競馬、スポーツなどについて書いています。写真は溺愛馬トロットスター


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安倍、「わが軍」発言に反省なく、言い訳に終始。最後は野党のせいにして、もう使わない。

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【*1、*2などの関連記事は、記事の最後にあるMoreの部分にあります。】


この記事では『石破も「わが軍」擁護も、言い直しに矛盾が・・・」(以下、前回の記事)の続報を・・・。

 安倍首相が20日の国会で自衛隊を「わが軍」と呼んだことに関して、民主党や維新の党の議員が27日、30日の国会で不適切な問題発言だと追及。撤回を要求した。(**)

 これに対して、安倍首相は全く反省する様子もなく、案の定、(まさに前回の記事で邪推した通り?)「共同訓練の相手である他国軍と対比するイメージで自衛隊を「わが軍」と述べたわけで、それ以上でもそれ以下でもない」と釈明。さらに菅官房長官らも言っていたように「国際法上、自衛隊は捕虜になる際は、軍隊として扱われている」などと、自衛隊が軍隊と解釈される余地があることを強調した上で、「問題はない」と主張した。(@@)

 でも、「問題はない」けど、野党が「言葉尻をとらえて意味のない議論をやるのは、時間がもったいないので、もうその言葉は使わない」と発言。野党のせいにして、「わが軍」という言葉は使うのをやめるらしい。(~_~;)

* * * * *

 安倍首相や超保守仲間たちは、自分たちのアタマやイメージの中では、自衛隊は実質的には軍隊だと思っているし。それゆえに、海外にどんどん派兵して、米国や他国の軍隊と一緒に活動させたいと。また早く憲法9条を改正して「国防軍」を創設したいと考えて、大暴走をしているわけで。
 その意味では、今回の「わが軍」発言は、安倍首相の率直な思いがあらわれたものだと言えるし。内心では、「実質的に軍隊なんだから、軍隊と呼んでどこが悪い?」とムカついている部分もあるのではないかと察する。(~_~;)
 
 とはいえ、前回の記事にも書いたように、アブナイ超保守タカ派の安倍首相や仲間たちも、現憲法9条の下では、自衛隊を軍隊と呼ぶのはマズイと。日本の政府のこれまでの憲法解釈にも、学会の通説にも反しているということは、理屈ではチョットはわかっていることだろう。<安倍首相自身が ちゃんと把握できているかはビミョ~だけど。言い訳の仕方も含めて、誰かに説明してもらったに違いない(・・)>

 ただ、「自分が間違っていた」と撤回や反省、謝罪をするのはイヤなので、野党がくだらないことにこだわりアレコレうるさくて審議が進まないので、「わが軍」という言葉は使わないということのしたのである。(-"-) (相変わらず、幼稚なんだよね~。^^;)

 けど、こういう言い回しをするってことは、mewから見れば、安倍首相は本当には、「自衛隊」を「軍隊」と呼ぶことの問題の重大性=肝心な部分をちゃんと理解できていないし。
 このような首相の下で、自衛隊の海外派兵や集団的自衛権の行使を含む安保法制を作るこほどアブナイ&コワイことはないと。何とかこの暴走をストップできないものかと、大きな声で訴えたいmewなのである。(**)

<尚、mewは安倍首相が「我が」と言う言葉を使ったこと自体は、あまり問題視していない。日本人は、単複の区別をつけたり、所有格に関して厳密に考えたりする習慣がないと思うからだ。(一般人が、「わが国は」「わが県は」「わが校は」「わが野球部は」「うちの学校は」「うちのグループは」とかいう言い方をふつ~にしていることからもわかる。「うちらの」っていう子は、複数形の概念をきちんと守っているのね。^^;)
 ただ安倍首相は、よく「私の内閣」はという言葉をよく使うし。まるで「最高責任者は、あたかも自分のものを扱うように、自分の考えに全てを従わせることができる」みたいな感じのことを言うケースが少なくないし。首相は、自分が自衛隊の最高司令官であることも強調しているので、共同訓練の様子や今後の軍事活動を描く際に、ついつい自分の思い通りに動くような軍隊をイメージしていたのではないかと察する。(関連記事・『安倍が「わが軍」と答弁~幼稚な首相&批判できないメディアはアブナイ』>

* * * * *

『安倍総理は、先週の国会答弁で自衛隊を「我が軍」と表現したことについて、27日の参議院予算委員会で真意を質されました。

 「3月20日の当委員会で我が党の真山勇一議員の質問に対する答弁の中で、安倍総理は自衛隊のことを『我が軍』と呼んでいましたけれども、その真意をおうかがいしたいと思います」(維新の党 小野次郎議員)
 「この答弁はですね、まさに共同訓練に関する質問があって、これに対する質疑の流れの中でお答えをしたものでありまして、共同訓練の相手国である他国の軍との対比をイメージをいたしまして、自衛隊を我が軍と述べたものでありまして、それ以上でもそれ以下のものでもないわけでございまして」(安倍晋三首相)

 安倍総理は、自衛隊を「我が軍」と表現した真意についてこう述べたうえで、「そもそも自衛隊発足時の昭和29年、当時の防衛庁長官が政府解釈として『自衛隊も軍隊ということができる』と答弁している。国際法的には軍と認識されているというのが政府の答弁だ」と説明しました。
 維新の党の小野議員は「日頃思っていたことが口をついて出ただけなのかと聞いている。自衛隊はあなたの軍隊なのか」と迫りましたが、安倍総理は「違います」と答弁しました。(TBS15年3月27日)』

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 ただ、安倍首相は、27日の時点では、まだ撤回する気は全くなかったようで。やれ1954年に防衛長官がどう言ったとか、民主党政権の防衛大臣がどう言ったとか、あえて言えば、重箱の隅をほじくるような感じで、言い訳がましいことをダラダラと主張していたのだけど・・・。

『首相は、自衛隊が発足した1954年に防衛庁長官が「自衛隊は外国からの侵略に対処する任務を有し、こういうものを軍隊と言うならば自衛隊も軍隊と言える」と答弁したことを引き合いに出し「国際法的には軍と認識されているというのが政府答弁だ」と述べた。

 さらに民主党政権時の2011年10月に一川保夫防衛相が「わが国が直接外国から攻められるならばしっかりと戦うという姿勢であり、そういう面では軍隊との位置づけでもいい」と述べたことにも触れ「(自衛隊)発足当時から(国際法的には軍だとの解釈が)一貫している」と指摘。自身の発言に問題はないとの考えを強調した。

 政府の公式見解は、憲法9条と整合性を図るため自衛隊を「通常の軍隊とは異なる」とする一方、国際法上は軍隊に当たるとし、国内外で使い分けてきた。(毎日新聞15年3月27日)』

 政府の正式見解は、06年に安倍内閣でも閣議決定をしているように、憲法9条下では、自衛隊は軍隊ではないことになっているのだし。
 また一川氏は、単に自衛隊の解釈について語っただけであって(しかも9条の専守防衛を前提に、他国に攻められた場合の話だからね)、誰かさんみたいに9条を無視して「わが軍」などというトンデモ問題発言をしたわけではないので、mewから見ると筋違いの話に思える。^^;

 それに民主党政権の首相や閣僚の主張や解釈が正しいと。だから、自分の発言も正当化されるという材料として使うのであれば、mew的には、民主党政権時の鳩山首相の「普天間基地は県外移設に」とか菅首相の「集団的自衛権は認めない」「脱原発を実現すべき」などの主張も、是非、取り入れて欲しいところ。<しかも、これらは国民や県民の多数の意思にも沿うことだしね。>
 でも、安倍首相は、都合よく使える時は「民主党だって、同じような言動をしていた」とアピールするくせに、自分と考えが合わない時、都合が悪い時には「民主党政権は誤った国政を行なった」「民主党のせいで、日本がダメになった」と大批判するわけで。
 安倍首相は、まさにご都合主義の権化みたいな情けな~い首相なのである。_(。。)_

* * * * *

 でも、きっと安倍首相は、誰か側近にこれ以上、この問題を引っ張るのは得策ではないと言われたのか、30日になって、態度を変えたのだった。(~_~;)soremo nasakenai?

『安倍総理は20日の国会審議で自衛隊のことを「我が軍」と発言し、野党側の一部が批判していますが、30日の国会でも自衛隊を「我が軍」と発言し、すぐに「我が自衛隊」と言い直す場面がありました。

 「なぜ国際法上ですね、わが国の自衛隊が軍として取り扱われているかということについては、例えば交戦状況になって、我が軍、我が自衛隊の方はですね、捕虜になった場合ですね、捕虜となった場合ですね、捕虜となった場合は軍人として扱わなければですね、これはまさにテロリストと同じことになってしまうわけでございまして、当然軍として扱われるというのが、これは、建前になっているわけでありまして」(安倍首相)

 安倍総理は自衛隊を「我が軍」と発言したことを野党側から国会で繰り返し質問されることについて、「あまり意味のない議論をさんざんやり返すのはもうやめようじゃありませんか。安全保障なら安全保障の政策についてもっと議論すべきだろうと思います」と強調しました。その上で、「こうした答弁によって大切な時間がこんなに使われるのであれば、それはもう、いちいちそういう言葉は私は使いません」と述べました。(TBS15年3月30日)』

『首相は、自衛隊について「国際法上は軍隊だという考えを採っている」との政府の立場を説明。その上で、1967年に当時の佐藤栄作首相が「自衛隊を今後とも軍隊と呼称することはしません」と答弁したことに触れ、「国内では憲法との関係で佐藤首相が述べているように(軍隊と)呼称はしない。自衛軍とは呼ばず、自衛隊と申し上げている通りだ」と述べた。
 また首相は「言葉の定義について、延々と議論することが、果たして国民が望んでいることなのか。政策を議論しなければならない」とも語った。井坂氏は「自衛隊をどう定義づけるかは軽い問題ではない」と批判した。(朝日新聞15年3月30日)』

『首相は、昭和42年に当時の佐藤栄作首相が国会で「自衛隊を軍隊と呼称することはない」と答弁したことに関して「軍と名付けることはしないということだ」と解説。続けて「軍と呼ぶことは基本的にない」と自身の考えを示す一方、「言葉尻をとりあげて議論をする意味はあまりない。もう少し防衛政策そのものを議論した方が生産的だ」と主張した。

 維新の党の井坂信彦氏に対しては、「こうした答弁により大切な予算委員会の時間がこんなに使われるならば、いちいちそういう言葉は使わない。ただそれを使ったからどうこういうものではない」と強調した。(産経新聞15年3月30日)』

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 ただ、これらの答弁を見ていても、安倍首相はおそらく、何故「わが軍」と呼んだことが、ここまで問題視されるのか本当の意味では、わかっていないことが明らかなわけで。
 だからこそ、「言葉尻を取り上げて」「議論の意味がない」とか「こうした答弁により大切な予算委員会の時間がこんなに使われる」などという言葉が、ついついクチをついてしまうのだろう。(~_~;)

 維新の党の井坂信彦氏が言い返していたように、自衛隊をどう定義づけるかは、安保法制を整備する上で、最も根本的な重大な問題であって、「決して軽い問題ではない」し。
 それこそ民主党の細野豪志氏が「これまで自衛隊という形で憲法の枠組みのなかで積み上げた議論を、全部ひっくり返すような話を総理がすることについては非常に理解に苦しむ」と語っていたように、日本の首相としてあるまじき発言なのだけど。

 もともと現憲法や自衛隊制度などの日本の戦後体制を否定していて、戦前のような国づくりを目指しているる倍首相&一部の仲間たちには、(ましてやイマイチ現憲法に関する知識や学力が不足している誰かさんには?)それを理解するのが、困難なのかも知れない。(-"-)

* * * * *

 毎日新聞27日の社説が、この発言の問題をわかりやすく指摘、説明していたので、ここにアップしておきたい。安倍首相にも是非、読んで欲しいものだ。(・・)
<尚、憲法学の重鎮・浦部法穂氏の『「自衛隊」と「国防軍」のちがい』というプチ論文を*1にアップしておく。チョット小難しい内容なのだけど。憲法を勉強したことがある人は、なるほど~と納得するかも。(++)>

『社説:「わが軍」発言 おざなりな認識は困る ~ 毎日新聞 2015年03月27日)

 言葉じりをあげつらうわけではない。だが、国のトップがデリケートな問題に無頓着であっては困る。
 安倍晋三首相が、参院予算委員会の答弁で自衛隊を指して「わが軍」と表現した一件である。

 自衛隊と他国軍の共同訓練に関する質問に、首相は「わが軍の透明性を上げていくことにおいて大きな成果を上げている」と述べた。直後に「自衛隊は」と言い換えたものの、自衛隊と軍隊とを同一視しているかのような印象を与えた。
 しかも、菅義偉官房長官は首相の発言について、自衛隊が国際法の上で軍隊扱いされているとして「まったく問題はない」と全面的に擁護した。この論法はいただけない。

 専守防衛を目的にした自衛隊は通常の軍隊とは異なる、というのが政府の一貫した見解である。
 これは「陸海空軍その他の戦力は保持しない」と定めた憲法9条2項の制約があるためだ。すなわち自衛隊の合憲性は、軍とは異なるという位置づけから導き出されている。

 具体的にどう違うのか。
 専守防衛というのは、相手から攻撃を受けた時に初めて応戦でき、しかも必要最小限度の武力行使にとどめる考え方だ。
 このため、自衛隊は攻撃型の空母や攻撃用のミサイル、爆撃機などは保持できないとされている。また一般に駆逐艦と呼ばれる艦船を、自衛隊は護衛艦、攻撃機を支援戦闘機と言い換えてもいる。
 自衛官の階級呼称が「大佐」や「中佐」ではなく、「1佐」「2佐」などと定められているのも、軍との違いを意識したものだ。

 最も決定的な違いは、自衛隊には軍隊に不可欠な「軍法会議」が存在しないことだろう。
 武力攻撃を目的とする他国の軍隊には通常、特別の法体系として軍法がある。しかし、憲法76条は最高裁を頂点とする司法制度以外のものを認めていない。このため、自衛隊にも一般の国内法が適用される。

 このように自衛隊と軍隊を明確に区別することを目的として、数々の配慮が積み重ねられてきた。その理由は、歴代の政権が自衛隊と憲法9条との強い緊張関係を自覚していたからにほかならない。
 国際法上、軍隊に当たるというのは、捕虜などに関するジュネーブ条約が自衛隊員にも適用されることを指している。しかし、この点だけで自衛隊を軍と呼んでも差し支えないと主張するのは無理がある。

 国民が自衛隊に信頼を寄せるのは、軍隊とは異なる存在だからでもあろう。自衛隊と軍との区別がおざなりなままでは、安全保障法制の議論が粗雑になってしまう。』

* * * * *

 繰り返し主張しているように、もし今度の通常国会で、政府提出の安保関連法案が成立してしまったら、日本の平和主義は破壊され、日本の国、国民は2度と引き戻せない戦争参加へのアブナイ道を歩むことになる。(**)

 しかも、それを先導する安倍首相が、自分が自衛隊を「わが軍」と呼ぶことの問題もわかっていないようでは、安倍首相は米国や他国の首脳らと安保軍事での協力に関して、さらにトンデモない約束を交わしてしまうおそれが大きいわけで。<近いうちに書くけど、訪米した高村副総裁の言動がそれを予告している。(-"-)>
 それゆえ、ますます、早くこんな首相を退陣させて、アブナイ安保法制づくりを阻止しなければと強~く思うmewなのだった。(@@)
                       THANKS 


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浦部法穂の憲法時評

「自衛隊」と「国防軍」のちがい

浦部法穂・法学館憲法研究所顧問
2013年2月7日

 自民党は、昨年の4月に発表した新改憲案(2012年4月27日付「日本国憲法改正草案」、以下「自民党新改憲案」という)で、「国防軍の保持」を明記した(「自民党新改憲案」第9条の2第1項「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」)。これについて、安倍首相は先日の国会答弁で「自衛隊は国内では軍隊と呼ばれていないが、国際法上は軍隊として扱われている。この矛盾を実態に合わせて解消することが必要だ」と述べて、「自衛隊」を「国防軍」とする憲法改正に意欲を見せた。安倍首相は「平和主義と戦争放棄は守る」とも言ったが、そのことと「国防軍」にすることとには矛盾はないのだろうか。「自衛隊」という名前を「実態」に合わせて「国防軍」という名前に変えるだけだ、と言いたいのかもしれないが、「自衛隊」と「国防軍」では、たんに名称のちがいというだけでない大きなちがいが出てくる。そもそも戦力の不保持を定めた憲法のもとで「実態」は軍隊にほかならない実力組織をもっていること自体が大きな矛盾なのだが、そのことにはさしあたり目をつむったとして、「自衛隊」と「国防軍」ではなにがちがってくるだろうか。それは、一言で言えば、「自衛隊」であるが故に課されてきたさまざまな「制約」が「国防軍」ではすべてなくなる、ということである。では、自衛隊にはどんな「制約」が課されてきたのか。

 まず第1は、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」にとどまらなければならない、ということである。これは、歴代政府が自衛隊を合憲としてきた一番基本的な論拠にもとづく「制約」である。これまで政府は、憲法9条2項がいっさいの「戦力」の保持を禁じているということ自体は否定してこなかった。自衛のための戦力なら持てる、という解釈をとってきたわけではないのである。なのに、なぜ自衛隊は合憲だといえるのか。その出発点は、憲法9条は独立国家に固有の「自衛権」まで放棄したものではない、という命題である。この命題が成り立つためには、そこでいう「自衛権」の内容はなにか、そしてそのような意味の「自衛権」が国家の固有の権利だといえる根拠はなにか、などの前提論理が必要で、それなしに当然視できる命題ではない。しかし、そういう難しいことをいっさい言わなければ、この命題は、もしどこかから攻められたときになにも抵抗できないというのはおかしいだろうという、俗受けしやすいものになる。そういう俗受けする形でこの命題を提示し、だからこの「自衛権」を行使するための手段として「自衛のための必要最小限度の実力」をもつことは憲法上認められる、とするのが政府の論理なのである。したがって、憲法が保持を禁じている「戦力」とは「自衛のための必要最小限度の実力」(=自衛力)を超えるものをいうのであり、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」であるから憲法9条2項の「戦力」にはあたらず憲法に違反するものではない、というわけである。この論理を前提とするかぎり、自衛隊が「自衛のための必要最小限度の実力」にとどまらなければならないというのは、自衛隊にとって絶対守られなければならない「制約」だということになる。

 もっとも、おそらく誰もが感じているように、現実にはこれは何の「制約」にもなっていない。どこまでが「自衛のための必要最小限度の実力」でどこまで行ったらこれを超えることになるのか、その客観的な物差しはどこにもないからである。だから、現実の軍備が「必要最小限度」を超えていないかどうかという議論は、机上の議論でしかない。ただ、机上でしかないとしても、「自衛隊」であるかぎりは、いったんこの議論を経なければ、つまり「必要最小限度」だと言わなければ、現実の軍備を正当化できない、というかぎりで、軍備の拡張・増強に一定程度「制約」的に働く余地はある。もし「国防軍」になってこの「制約」がなくなれば、軍備の拡張・増強は「必要性」だけで議論されることになる。「必要最小限度」を議論するのと「必要性」を議論するのとでは、おのずから後者のほうが「自制」のきかないものになろう。いま、「北朝鮮だ」、「中国だ」で、ただでさえ「自制」がきかなくなってきているのに、これ以上きかなくなったら、いったいこの国はどうなるだろうか。

 第2に、自衛隊が自衛隊であるかぎり、つまり、あくまで「自衛力」であって「戦力」ではないとする以上、その行動・活動は、当然「自衛」の範囲に限定されなければならない。だから、自衛隊に許されているのは、日本に対する急迫不正の侵害があったときに、これを排除するための必要最小限度の実力行使だけだ、ということになる。要するに、自衛隊のできることは、日本がどこかから攻撃されたときに、それに対抗して攻撃を斥けることだけだ、ということである。だから、当然、自衛隊が日本の外へ出て行って実力行動をすることは許されない。つまり、自衛隊の海外出動は憲法上許されない、ということになるのである。また、日本が攻撃されていないのに自衛隊が実力行動をすることも、当然許されない。したがって、日本が直接攻撃されたわけでもないのに「同盟国」が攻撃されたというのでその「同盟国」と一緒になって実力行動をすることも、「自衛」の範囲を超え許されない。つまり、いわゆる「集団的自衛権」の行使は憲法上認められない、ということである。

 この第2の「制約」も、いまやほとんど骨抜きにされていることは、大方の人が知っているとおりである。海外出動の禁止は、「国際貢献」だ、PKOだ、「テロとの戦い」だ、というかけ声のもとに、つぎつぎとその「制約」の縄が解かれ、自衛隊の海外派遣は、いまやニュースでもいちいち取りあげられない、あたりまえのことになった。そして2006年の自衛隊法改正で、自衛隊の海外活動は「国土防衛」とならぶ「本来任務」に格上げされた。それでも、この自衛隊の海外活動が武力行動にあたるものならば、それは憲法に抵触する、ということで、自衛隊の武器使用には一定の制限が設けられ、また、武力行使と一体化した活動は認められないなどのことは、「たてまえ」としてはかろうじて残っている。「国防軍」なら、そんな「たてまえ」さえも不要になる。また、集団的自衛権については、「自衛隊」のままでも何とかこれを認める理屈が編み出せないか、というので、政権の側では「研究」が進められている。「自衛隊」ではなく「国防軍」にすれば、そんなことに頭を悩ませる必要はまったくなくなるだろう。

 というわけで、日本国憲法の平和主義は、こんにちまでに一つひとつ徐々に徐々に骨抜きにされ、もはや形をとどめない「皮一枚」の状態になっているといえるが、「自衛隊」を「国防軍」に変えることは、その「皮一枚」さえもはぎ取ってしまうことになるのである。それは、平和主義との完全な決別である。そういう方向に政治が進もうとしているいま、自衛隊はなくすべきだと考える人だけでなく、自衛隊は必要だと考える人も、いま一度「自衛隊」という存在の原点に立ち返って、そのあり方を問うてみる必要があると思う。そうでなければ、日本は、簡単に「戦争できる国」になってしまうだろう。そして、そうなったら、今度はあっという間に、単に「できる」ではなくて「戦争する国」になってしまうであろう。

神戸大学名誉教授。神戸大学副学長、名古屋大学法科大学院教授等を経て、2009年より弁護士。
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by mew-run7 | 2015-03-31 08:24 | Trackback | Comments(0)
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