小泉首相等が標榜する新自由主義って何?(4)
2005年 10月 16日
そこで、今回はアメリカの経済社会の面について考えてみたい。
そもそもアメリカは歴史的に「国家からの自由」を求めて英仏などヨーロッパから
移住して来た人々で作られた国である。(植民地時代に独立戦争が起きたのも、本国
からの干渉、重税が要因になった。)その後も経済的な成功や貧困、圧政などから
の脱出を求めて世界各国から移住して来た人々が多く、時に人種のるつぼと呼ばれる
ほどの他民族国家である。
そのような経緯があるので、アメリカの市民は基本的に国からの規制や干渉を好ま
ない。個人尊重の観念や、自己責任の原則も浸透している。そして自由競争の世界を
当然のものとして受け止めている部分がある。(いわゆるアメリカン・ドリームの
ように誰にでも大きな成功のチャンスもあるが、成功できなかった者は致し方ないと
現状を受け止める覚悟があるように思われる国なのである。)
さて、新自由主義的な政策が始まった80年代~現在のアメリカの経済社会を見る
と・・・ (2)の歴史編で書いたレーガン大統領のレーガノミックスは、すぐに功を
奏したわけではなく双子の赤字はしばらく残ったが、10年余り後のクリントン時代
に財政黒字に転じ(累積赤字はまだ大きいが)、レーガンの巻いた種が花開いたと
評する専門家も少なくない。
もっともクリントンの時代には、東西冷戦が終結し国防費などが削減されたこと、
ITベンチャーや投資会社の活躍で小バブルが起きて税収も増えたことが大きかった
とも言われている。市場原理による国際的な自由競争がさらに激化した時代でもある。
そして、それがますますアメリカをマファイナンシャル・ゲーム(マネー・ゲーム)&拝金
主義や下剋上&弱肉強食の世界に導いたとも考えられる面がある。
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アメリカでは、力のある企業、意欲的な企業は、次々と事業を拡大しているが、
その多くはM&A(企業の合併、買収)や株式資本による提携などで行なわれている。
既に存在し、それなりの技術や実績や資産を持っている企業を買ってしまった方が、
手っ取り早くて、効率もいいからだ。海外にもどんどん進出している。
効率化を第一に考えるため、不採算部門や子会社はどんどん縮減したり、切り捨て
たりする。経費の節減にも熱心だ。だが、そのために航空機や建造物などの安全性等
も問題になることがある。当然、人件費節減のためのリストラも少なくない。
投資も盛んである。海外も含め様々なマーケットで、時に投機的な売買を行ない、
見えないお金で富を得る企業や投資会社も多い。
だが、力のない企業は倒産するか、吸収されるかしかない。
能力&意欲のある者は、その中で成功と富を手にして行く。キャリア・アップで
次々と会社を替わって行って地位&収入を上げていったり、自ら事業や投資を行なっ
て、のし上がって行く者もいる。いわゆるストック・オプション(自社の株式が上が
った時に差額で利益が得られる権利)も盛んである。基本的に終身雇用とか年功序列
とかいう概念はなく、能力&実績主義が主体になっている。
だが、能力のない者やチャンスを逸した者は、さほど収入もないし、解雇され失業
に至ることも稀ではない。一部に雇用保険はあるが、そう多くの者が加入していない。
失業者がなかなか減らないし、ホームレスになる者も増えている。
市民の生活も自己責任、自己防衛が原則だ。社会政策が少ない分、自分で全てを
まかない、守って行かなければならない。将来の生活資金も自分で投資をして資産を
増やすことを考える。トラブルに備えて、様々な保険にもはいっている。たとえば、
(このことについては、また後日書きたいが)、アメリカには国民健康保険制度も
なく、医療費も高額なので(盲腸で3日間入院して100万円以上とか)、民間の
医療保険に加入してそれを補っている。盗難も多く治安が悪いので、被害に対する
保険も重要だし、警戒心を怠らないようにし、自己防衛のために銃を置いておく家
も珍しくない。裕福な層は、自ら警備員を雇っている。
だが、経済的に恵まれない者は、そうは行かない。アメリカの多くの地域には
時にスラム街と呼ばれる貧困層が集まった地区がある。教育環境も悪く、なかなか
いい職にも就けない。まともに医療を受けられない者も多い。犯罪率も高く、周辺
の治安は極めて悪い。
カトリーナ台風の被害地ニューオーリンズの光景を見て、富裕層と貧困層の状況
の差を感じた人も少なくないのではないだろうか。
アメリカの成功者の報酬や資産は、日本とかケタがいくつか違う。ただ、そのよ
うな富を得ているのは、国民の1%に過ぎない。アメリカは皆に平等のチャンスが
与えられ、ジャスティス&フェア(正義と公平性)の国だと言われるが、本当に
アメリカン・ドリームをかなえることができる者はごくごくわずかである。現実は
富裕層に有利であり、また思ったよりも家柄が重視されたり、コネや世襲がまかり
通ったりしている。近時はエンロン事件や政府幹部とイラクの石油開発会社の癒着
など、アンフェアな問題も続出している。
圧力団体も強い。治安対策のために銃規制をしたくても、全米ライフル協会の力
が強くなかなかできない。軍事産業界の力も強く、彼らは戦争の後押しをする。
結局は、お金がつきまとうのである。
一方、アメリカ国民のうちの12~3%は貧困層(父母と子2人の場合、約200
万円以下の所得しかない世帯)である。18歳以下の子供に限定した人口比率で言え
ば、16~7%が貧困層に当たるという。
もちろん、アメリカの場合、人種による差別、格差の問題も背景にあるのだが
(黒人やヒスパニックの貧困層は20%を超えている)、白人層の12人に1人も
貧困層にあり、ブッシュ政権になって、また経済格差が広がっている。
その上、また後日に述べるように「小さな政府」は、社会政策をほとんど行なおう
とはしないのだ。
「日本はアメリカとは民族や人種の構成も違うし、政治家も含めて国民の感覚も違う
し、同じようにはならないのではないだろうか」と思う人も少なくないだろう。
しかし、もう日本もかなりのスピードで、同じような経済社会が作られつつある。
一般庶民も、そのことに早く気づかなければなるまい。
<つづく> THANKS
私は1ヶ月ほど、アメリカにいたことがあるんですが、あくまでもその1ヶ月のイメージと知人のアメリカ在住者の話で思うのは、どちらも行ってはいけないところに行っては怖い。怖さは同じくらいかな?と思います。
アメリカの場合、銃を一般人が持てるので(所謂スーパーやホームセンターに売っている。もちろんショーウィンドに入っていますが・・・。)、兵器?に対する怖さは日本の比ではありませんが、日本でもナイフや日本刀を振り回されたら、かなり怖いですよね。
で、貧富の差ですが、これは物価にもよるような・・・。
ざっとした話、日本の半分です。(値段が安いというよりは量が2倍です。)
土地は、都市部はともかく、郊外にいけば5分の1くらいと思っても良いかも。
レンタカーで、結構な距離を走ってみたが、通行する道路が逆なことを除いては、さほど違和感はなかったです。
この問題に関しては日本人では理解できないが、日本も所謂同和問題、アジアに対する偏見というのは、根強く残っているのが事実だと思うし、大小は別にして、やはり人間のすることだなと他人事としては理解できます。(いい加減な性格です。)
あと、駐在員の話から察するに、アメリカ人は言い訳が多い。
つまり、自己主張は絶対するらしいです。
たとえそれが、幼稚(日本の小学生レベル)な論理でも・・・。
今の日本の問題は、かなりザクっと言うと、中高年層が高度成長期であまり考えなくても収入が上がったし、従えばよかった世代であることですね。
20、30代の若年層は、それなりの苦労はしていると思う。
今の中高年層の考えが変わらないと、この掲示板の通り、日本はあぶないと思います。
ただ、これは時間が過ぎれば、変わっていくので、世代交代と時間の経過とどちらが早いかが、日本がどこへ行くのかを決めるポイントだと思ってますけど。
私は、アメリカに限りませんけれど、海外に行くと、日本より身構えている
ことが多いです。(最近は日本もコワイけど・・・。^^;)
現地在住の人も、やはり日本よりも防御意識が強いかな~と思うことが
多いです。これは感覚の差なのかも知れませんね。
あと、やはり銃の有無は大きいように思います。<飛び道具は離れた
ところからでも、やられてしまいますもの~。>
いずれにせよ、国民性とかこれまでの過程がかなり違いますので。
日本人にアメリカ型の政策が合うのかな~?、という疑問を抱く面が
あります。
20~30代の中には苦労したり、色々考えたりしている人も少なくない
ように思いますが。何か目先や自分の周辺のことしか見ていない人や
あきらめが早かったり、安易に流れに身を任せようとする人も多いような
感じも受けています。
(苦労しているから、そうなってしまうのかしら?(・・))
EUのほうはどういう政策しているんでしょうね~~。
社会保障が手厚ければ、当然税金は高いだろうし、失業率も結構高かったような・・・。
どこかお勧めの政策ってありますか?
その理由は、高校卒業と同時にもらえる失業保険
まったく働かなくても、収入がある。
失業保険を得るためには、どこにも行かず、何もない町で
目的も、やりたいこともなく、ぼへぇ~と生きていくことのみ
そしてやることがなくなり、人生に失望して勝手に死んでいく
これは極端な例だが、実はオーストラリアは税率が高い。
社会福祉が充実していればいいのか・・・。俺は疑問。
ただし住むには本当にすばらしい国だと思う。
金の稼げる人は、社会保障減らして税金安く
稼げない人は、税金少し高め保証は厚く、選べるといいのにね。
でも2極化が進むことには、変わらないか・・・。
完璧な政策というのは存在しないと思いますが・・・。
私個人は、(2)で書いた中のニュ~リベラル的な政策が好きですし、
日本にも合っているかな~と思ったりします。
社会政策と一口に言っても色々あるのですけど。
私が重視するのは、教育と医療。そして障害者や高齢者など生活
弱者への社会政策ですね。(お金も大事だけど、設備とか生活や
仕事を助けて行くこととか。)
子供や生活弱者は自分で税金を払って賄うことができませんから、
やはり所得の再分配というやつで、お金を稼いでいる企業や人から
回してもらういことが必要になります。
能力や資産のある人は、自己責任の原則の方がおいしいのですけど。
そうでない人は、しんどいですし。今は、思うように働けても、病気や
大きなケガを負ったり、高齢になった時にどう生活するか。子供の教育
や医療がどうなるのか、なども考えなくてはいけないかな~と思うです。
今の体制では、金銭的なことは、自分を自分で守らざるを得ないような・・・。
長い目で見ても、国の借金をなんとか目処を立てないといけないような気がしますね。
フランスでしったっけ?子供一人につき高額な扶養手当(控除?)をつけ、出産率をあげた国って。
一般庶民にはわかりやすい制度ですね。目先のお金の話しだし。(笑)
あと、死亡届が出てない扶養家族ってどのくらいいるんだろうとか、今ふと思ったりするんですけど、制度や法だけでは解決できない部分が多いな~~と思ってしまうのは、後ろ向きなんでしょうかね???
そうなんですよね。もちろん、社会福祉などの制度を悪用or過度に利用
する輩はいるのも事実なのです。
生活保護もそうですし。健康保険や、様々な助成費なども同様でしょう。
救急車もそうかも知れません。(一回の出動に4万位かかるらしい。)
それに比べれば少ないでしょうけど、死亡届を出さずに年金やら控除やら
得ているケースも皆無ではないと思われます。
ただ、それはおそらくリッチな法人や人々が、手を尽くして脱税や強引な
節税をしたり、できるだけ控除をとったりしている割合と同じくらいかも
知れないかな~と思う部分もあります。
それぞれ目先のお金のためには、何でもありな人もいるようで。^^;
ただ確かに、きちんと監視する機関は必要だと思います。ただ、小さな
政府だと、それを行政がやってくれそうにもないのが困りものかもです。