村上、三木谷、堀江は新自由主義経済の申し子たちかも(2)
2005年 10月 29日
TBSが株式を買い増ししないように要請したにもかかわらず、楽天はさらに4%の
株式を買い増ししていた。その件について問われ、彼はこう答えた。
「何で買っちゃいけないのか、大変正直、わからない」と。
<つい誰かさんの「どうしていけないのか理解に苦しむ」という言葉を思い出してしま
ったのは、私だけだろうか?^^;>
前回、三氏がスピードと効率性、そして能力&株式の力を重視しているという話を書い
たが。今回の件でも、それが顕著に現れているように思う。
ネットの世界はそろそろ成長度に限界が見え始めている。それゆえ、堀江氏同様、三木
谷氏も新たなステージとして、ネットとメディア(特にTV放送)の融合をして行くことを
考えた。彼はその有望性を説き、「今はスピードが速く、以前なら20年かかったことが
3年で実現できる」「3年後に三木谷の言うことは正しかったとわかる」とまで言った。
そこで、彼はTBSとの提携を考え、昨年来から話を持ちかけていたようなのだが。
TBS側は業務提携を考えたのに対し、三木谷氏はかつての堀江氏同様、株式を媒体と
した資本提携に強くこだわっている。そこが今回の問題を大きくしている要因でもある。
そして彼はTBS側が株式の取得をしないように要請したにもかかわらず、この10
月にいきなりTBSの15%の株式を取得し、筆頭株主に躍り出て、業務提携どころか
共同持ち株会社を設立しての経営統合を提案したのだ。(要はTBSを半分ほど買収し、
支配しようということである。)
TBSは不快感を示し、さらに株を買い増ししないように要請すると共に、質問書
を送付するなどしつつ、防衛策を講じるための時間稼ぎをしていた。それに業を煮やし
た三木谷楽天は、さらに株の買い増しを進めたのである。
三木谷氏は記者会見やインタビューで主張する。
「株式を取得した方がお互いの利害が一致する」からであり、「経営統合した方が、
両社の株主の利益になる」と。「株主総会を考えれば、株式数が多い方がいいから」
買い増しを行なった。「市場に出ているものを買ったのだから(どこがいけないのか?」
「(防衛策の)新株発行は、株主の利益を害するので行なうべきではない」
株、株、株・・・である。
彼らは、株式を信奉しているとも思えるほど重視し、大きな価値観を置いている。
村上氏は株式投資が本業であるから当然とも言えるが、三木谷氏や堀江氏にとって
は、株式が大きな力になっているからである。株式は会社や彼ら自身の資産や利益を増や
し、事業拡大(M&A等含む)の武器にもなっている。会社がここまで急成長できたのも
株式の力によるものと言っても過言ではないだろう。それゆえ彼らは、株式を基準にもの
を考えるのである。
しかも実のところ、後述するように彼らの株式に関する考え方は、正論だと思われる部分
も大きい。特に新自由主義経済においては、株式の存在や用い方は重要な要素になる。
そして彼らにしてみれば、自分たちは合法的に理にかなったことをしているのに、何故、
それがスムーズに受け入れられないのか、不思議であり、理不尽にさえ思えるかも知れない。
一般庶民だけならともかく、日本の経済の中枢にある大企業の経営陣になどにまで十分な
理解が得られないのである。おそらくは「まったく日本の考え方は何でこんなに遅れて
いるんだ」とイラ立ちを覚えることも多いだろう。
それが冒頭の「何故いけないのかわからない」という発言も、それを現わしているよう
に思えるところがある。
近時、新会社法ができて、これから日本ではますます株式会社が増えることになる。
新興市場も増え、上場する会社も多くなるだろう。M&Aももっと一般的に行なわれる
だろうし、投信なども含め株式投資に関わる人も増えるように思われる。
そこで2回に分けて、株式というものを中心に、三氏のあり方や日本の経済を考えて
みたい。
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ライブドアvsフジTVの時もそうだったが、今回もTVを見ていると「会社は誰のもの
なのか」という話題がよく出ている。
「会社は誰のものなのか?」・・・株式会社の場合、答えは「株主のもの」である。
別の言い方をすれば「株式を持っている人」が正解かも知れない。というのも、人間より
も「株式」そのものが権利の表彰であり、力を有しているものだからである。
<もともと株式というのは、企業が多額の資金を集めるために発行するものである。
株主の側から言えば、株式と引き換えに、会社に資金を出していることになる。そして
お金を出していれば、当然、口を出すこともできる。
株主は会社の経営を任せるべき取締役を選んだり、経営に関する重要な事項の議決権
などを持っている。多数の株式を有していれば、会社に及ぼせる影響力も強い。自分の
思うように取締役も経営方針も決めることができるのだ。
そして、会社は基本的に株主の利益のために経営されなければならない。会社が業績を
上げ多くの利益を出せば、株主は株式配当や株価上昇という形で利益を得ることができる。
(その過程の中で、経営陣や従業員に利益をもたらしたり、消費者のためになったりも
するかも知れないが、あくまでも主目的は株主の利益なのである。)>
実のところ、三氏が主張することは、経済や商法(会社法)の面から見れば、正論だと
思う点が多い。私自身、株式会社について勉強した時に、逆に世の中の現実とのギャップ
にとまどい、このままではいいのだろうかと考えたこともあったものである。
(特に村上氏の主張する株主のあり方には共感する部分も多い。)
村上氏は株式の投資ファンドを行なっているが、彼は単に株式の売買を行なって差益を
稼いでいるわけではない。会社によっては、取得した多数の株式の力をバックにして、
会社がより業績を上げて株式の価値が上がるように、経営にも口を出す。それで株価が
上昇し利益を得るのであれば、ある意味ではまさに正しい株式投資であるようにも思う。
三木谷氏や堀江氏も、株式というものを本質をよくわかった上で、それをうまく使って
いる。彼らにとって株式はまさに資金調達の手段である。そして自ら(関係者、自分の
会社も含め)株式の過半数を保有することによって、自分の会社を思い通りに経営して
いる。事業拡大のためには、他社の株式を多数または全て取得することによって、自分の
会社の子会社や一部門にする。(必ずしも敵対的買収だけでなく、友好的に傘下につく
会社も少なくない。)株式はスピードと効率性の面でも優れている。彼らにとっては
神器に近いものなのかも知れない。
堀江氏や三木谷氏にすれば、特に大きな会社を相手に事業提携しようと思えば、
やはり株式を取得しておいた方が安心だし、有利にコトが運べると思うのは当然の
ことなのだろうと思う。人と人の繋がりや紙切れ(契約書等)の繋がりでは心もとない
面がある。株式も持たずに協議したところで、相手がこちらの要望をどこまできき入れ
てくれるかわからないし、裏切られることだってあり得る。しかし、株主で繋がれば、
互いの利害が一致するので、共に前向きに事業を進めるしかなくなる。その際は、
多くの株式を持っていた方が発言権も強くなる。しかも本格的に提携して事業を行な
おうと思えば、経営統合をした方がいい。それが両社の株主の利益につながるなら、
反対する理由はないはずだとも思うのだろう。
村上氏の阪神球団上場案も、いかにも株式を信奉する彼の発案らしいように思う。
球団が株式上場すれば、資金が集まり、いい選手も集めやすいし、球場の改修や
ファン・サービスも行ないやすくなる。ファンが株を買ってくれれば、安定株主も
増える。株主のファンには、観戦やグッズなどに関し特典を設けるのもよい。球団の
実績がよければ、株式配当や株価上昇によって利益も得られる。
さらに彼はスタッフや選手にストックオプション(株価が上昇した際に、差額の
利益を得る権利)を与えることまで考えていた。そうすれば、スタッフも選手もさら
にやる気になって頑張るだろうと。
古くから大の阪神ファンであるという村上氏は、目を少年のように輝かせ、球団に
とっても、ファンにとってもこんなに素晴らしいことはないのにと、球団株式上場の
プランについて語っていた。
だが、彼らにとっては夢をかなえる神器になっている株式も、多くの日本人にとっ
てはそこまでの存在ではないのだ。株式を重視すべき立場の経済界の人間でも、会社
の経営は株式やそれがもたらす利益だけが全てではないと考えている面がある。
何故なら、日本には日本の会社経営のあり方や株式、株主との関係の持ち方があり
その土壌があってこそ、ここまで経済成長をして来たという歴史もあるからだ。
(このことは次回に触れたい)
それゆえ、あまりに株、株というと、却って反感を買うことにもなりかねない。
私は三木谷氏は、興銀にも勤務経験があるし、まだ若くチャレンジャー的な立場の
堀江氏と違って、もう少し上手く立ち回るのかと思っていたのだが。強引な株式取得
に続く買い増しや、言動などが自らの足を引っ張りつつあるように見える。
実際、三木谷氏に対する風当たりはかなり強くなって来た。楽天側はややピンチに
陥りつつある。
楽天の株価は下落を続けており、会社&彼個人の資産はどんどん目減りしている。
既に1000億程度の借入金があり、事態が長引けばその利子もバカにならない。
しかも楽天の株の買い増しを受けて、三井住友をはじめ日本の大手銀行は、もし
敵対的買収に当たるなら追加融資はできないと言って来たらしい。さらに、楽天側の
言動を見て、TBS側の味方につく株主が増えているようで、TBS側は株式の50~
60%に当たる株主の支援を得られる見込みだというニュースも出ている。
(ただし、三木谷楽天側には、外資証券が支援を申し出ているらしいが・・・。)
<つづく> THANKS
なぜ、自分の会社をあからさまにする必要があるのか?(たとえカネボウのようにウソでも・・・笑)
おそらくこの辺を2部では書いていただけると思いますので期待してますね~~。
私は以前、株式を公開しないでいる中規模程度の会社を、もしかして「親族経営」なのかもと思っていたときがありました。
株式について語るほどの知識を持っていませんが、アメリカには株式を公開しない大会社が多く存在すると聞いたとき驚きました。
日本でも自社株を買い戻して公開をやめる会社があると聞きます。
そもそも資金調達の為なのですが、上場公開すれば資金を出した株主に当然の権利が与えられ、会社が創業者や最初からの株主から他の方たちに移る危険はあったのです。
金だけ出して口を出すな!というのは、ある面無茶だと思うのですが・・
日本のそれなりの規模の企業の大部分が上場しているのは、まず
資金調達の手段として、というのがあると思いますが。
その他にステータスや信用を高める、知名度を高めるなどの目的も
大きいのではないかと思います。
特に昔は、企業を見るときに、上場してるか否か、一部か二部か、あと
東証の特別な何とかいう銘柄に選ばれていると名誉だとか(各分野の
TOPが選ばれてたらしい)そういう基準があったようです。
会計上、多数の株式の持ち合いが厳しくなったことも、M&A対策や
株主対策を大変にしているかも知れないな~と思います。
かと言って、公開する企業が激減すると株式や資金の流動性が
悪くなってしまうのも困りものだし、難しいところだと思ったりもします。
株主の権利は重要ですけど、あちこちでM&A合戦&企業バトルが
激しくなる社会はどうかな~と思ったりもします。
MBOの可能性がある企業、、日本オラクル。
俺が株主提案したい企業、、、、、書くのやめとく(笑)
狙われる企業、、会社の株券をあまり持っていないサラリーマン経営陣
知名度向上で個人株主を増やせた企業、、カゴメ
その他も含めて、ぜ~~~~んぶ考慮の上、上場の準備はしないとね。
上場するのが目標のような企業に投資する必要なし。
しっかし、本当のモノ言う株主って、表に出てこないっすねぇ~(笑)
仰るとおり、以前の上場は、取引先や金融機関への信用という部分も大きかったと思います。(ちょっと前まではISOの取得でしたが)
今の上場は、ステータスと資金調達がほとんど。
しかも、業績のピーク時に上場するなんて悪質なパターンもあります。
まあ、この辺もアメリカ流でしょうかね~~。
簡単に上場できるのは、すべて悪いとは言わないけど、経営者はもっと責任と覚悟をもって上場して欲しいなと思います。
私が経営者なら、絶対上場しませんけどね。(笑)
ふと「えびせん」事件<かにせんでした?>を思い出しました。(笑)
サントリーの場合は、創業者から代々社長を引き継いでいる同族的な
会社ですからね~。
若い企業家に話をきくと、やはり上場が夢だという人・・・今でも結構
多いみたいですね。
上場していないと、知名度もそうですけど、お金も借りにくいのかも?
(彼らはあまり担保がなさそうですし。)
上場すると代表個人があまり債務を負わなくてもいいですしね。
(連帯保証人としてを含む)
けど、無責任に会社を作っては潰し、という人が増えるのも困りものですね。
>私が経営者なら、絶対上場しませんけどね。(笑)
あら~、私、是非OOの発掘権とかに投資をしたかったのに?(・・)
嵌め込まれたのは誰でしょう?
大人って怖いね。
っていうか、子供っぽいね。
あっ、含み損一掃、その後、爆走です。
アイス、奢るよ。
堀江氏の時もそうだけど、外資の儲けのタネになりそうなのは
事実でしょうね。
大人用の人生ゲームM&Aを作って、それで遊んでいてくれれば
いいのに。
含み一掃・・・さすがですね。暴走し過ぎて、M&Aに走らないように。(笑)