2005年 11月 05日
北米産牛肉の輸入再開は、アブナイ!(2)
ところがある。
正直なところ、日本の一般市民の多くは、北米産牛肉が輸入されなくても、ほとんど
困っていない。せいぜいが牛丼や牛タンなどをかつてのように食べられないのを、残念
&不自由に思うぐらいなのではないだろうか?
だが、今回の輸入再開は、いわゆる市場原理や国際化そして小さな政府の論理が優先
されて決められているのである。
北米産の牛肉の輸入禁止で誰が困るのか? それはその牛肉を扱う北米や日本の企業
&関連産業なのだ。日本政府は、国民の健康よりも、米国との関係や企業の利益を優先
させたのである。
そして小さな政府は、国が国民(民間)に対してできるだけ規制や干渉しないように
することを意味する。いわゆる保護的な政策も不要なものになるのだ。では、国民は
どのように自分を守るのか・・・自己責任の原則である。
アメリカでは、BSE問題はさほど騒動にはなっていないようだ。アメリカの市民が
インタビューに答えて、言っていた。
「もし危険だと思うのなら、牛肉を食べないようにすればいい。それだけのことだ」と。
確かにそうかも知れない。だが、日本の場合、それが難しい状況にある。
アメリカの場合、BSE発症国の日本やイギリス等からの牛肉の輸入は禁止している
こともあり、自国生産の牛肉を食べるか否かが焦点になるのであろう。
もし私が北米産牛肉だけは口にしたくないと考えた場合、それを実現することは、
果たして可能なのだろうか?
国産牛肉や他国産の輸入牛肉は食べたいが、北米産は食べないようにしたい・・・
これは極めて困難なことのように思われる。スーパー等の精肉販売店がきちんと生産地
表示をしてくれるか信頼しにくい部分があるからだ。飲食店も同様である。惣菜品や調理
品には何が混入されているかわからない。
仮に牛肉を買う&飲食店で食べることを一切絶ったとしても、様々な食品や調味品に
牛肉エキスがはいっているため、十分に全てをチェックするのは難しいであろう。
自分のことだけでなく、子供の健康を心配する親は多い。
小中学生を持つ母親は「もし家で北米産牛肉を食べないようにしても、学校の給食で
出たらどうしようもない」と懸念を示していた。友人と外食をすれば、その中に北米産
牛肉がはいっている可能性も高い。
もし輸入が再開されたら、私たち国民は、自己責任の原則による自己防衛もできない
状況なのである。
そして、もしかしたら日本政府は、国民があきらめて現状に慣れてしまうことを
見越して、輸入再開に踏み切るのかも知れない。
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ゼンショーなど牛肉を扱う飲食店やスーパーを経営する企業の一部は、今回の輸入再開
に慎重な姿勢を見せている。それは、市民が牛肉の危険性に関して過敏になり、北米産
牛肉だけでなく、国産や他国産の牛肉や牛肉を使用した製品全ての消費に対して、消極的
になる可能性があるからだ。
もし精肉だけでなく全ての食品に関して、生産地表示がきちんとなされていれば、国民
は自らの選択&リスクにおいて、口にするものを決めることができるであろう。だが、今の
日本には、自己防衛をできる環境にない。
01年に日本でBSEの感染牛が見つかった時、各所で偽装表示が問題になった。
国は食品メーカーから国産牛肉の在庫を買い取ったのだが、その際にいくつかの会社が
輸入牛肉を混入して買い取らせたという事件が起きた。それを発端に、スーパーなどで
生産地の偽装表示をしている所が少なくないという問題が指摘されるようになった。
私は日本人はもう少し正直で、良心的な国民かと思っていたのだが・・・。利益のため
に多少はズルイことをすることはあるだろう。しかし、消費者の生命や身体に危害が及ぶ
ようなことに関しては、真剣に配慮するぐらいの倫理観やプライドはあるかと思っていた。
だが、もはやそういう時代ではないようである。
かつてスーパー等でアルバイトをした経験のある知人たちは、口をそろえて、生鮮食料
品や惣菜等の食品の生産地や消費期限などは、全面的に信じない方がいいという。色々と
ウラ話をきく中で、ぞっとさせられるようなことも少なくなかった。
母体となる企業やその店ごとでそういう方針をとっている場合もあれば、担当責任者に
よって姿勢が異なる場合もあるようだが、デフレ化が進む中で、薄利しか得られない状況
が続く中、いかにして在庫を残さないかが重要視され、そのためにはあの手この手の工夫
や偽装をやっているようなのである。
もし精肉の生産地表示を正しく行なってくれたとしても、惣菜になってしまえばわから
ない。調理品(レトルト製品や冷凍食品、インスタント食品など)や調味料などにはいっ
ていた場合は、生産地の表示もされていないので、避けようがない。
飲食店も同様である。消費者に安心感を与えるために、積極的に生産地を表示している
店もあるが、それとて正しいかはわからない。しかも一般に飲食店では、国産か輸入か
さえも表示していないところが多い。
そして、もし自分or家庭では一切牛肉に関わるものを排除したとしても、家族の健康
が守れるかどうかわからない。
先ほど子供の学校給食の心配をする母親の話を書いたが、「さすがに子供の健康を担う
給食関係者は北米産輸入牛の使用は控えるのではないか」という声もあった。
だが、あるブログを読んで、「もしかしたら」とさらに危惧感が高まった部分がある。
もし輸入再開したものの、あまり北米産牛肉の消費量が上がらなかったら、アメリカ
から文句が出るに違いない。政府は北米産牛肉の安全性を必死でアピールすると共に、
おそらくは公立の団体などで輸入牛肉を使用して消費量を上げることを考える可能性が
高い。<まずは国会や官庁の食堂で率先して使って頂きたいものだが>そうなると、
学校給食は一番の狙いどころになるかも知れない。
カレーや牛丼は子供たちの人気メニューだし、他にもいくらでも牛肉を使えるメニュ
ーはある。
公立の養護施設や介護施設の食事にも、使用を強制させられる危険性がある。
他にも色々と考えて行くとキリがないほど、北米産牛肉やそのエキスを口にするであろ
う可能性はあちらこちらにある。
北米産牛肉の輸入が再開されたら、国民はいくら自己防衛をしたくても、その危険を
避けることが極めて難しいという状況が待っている。
入り口が開かれてしまったら、自己責任の原則さえ遂行しようがないのである。
あとは、いかに日本政府が管理責任を果たし、北米の月齢や危険部位除去の条件をきち
んと順守するかチェックすると共に、国内の販売店、飲食店などがきちんと生産表示を
行なうような施策を講じることを望むしかない。
だが、おそらく日本政府は輸入再開をしたあと、ほとんど何もせず、じっと時が立つの
を待つという策を考えていることだろう。順応性が高くあきらめの早い日本国民は、1年
もすれば、市中や生活の中に北米産の輸入牛が存在することに慣れてしまう可能性が高い
からである。
私の知る限り、輸入再開に関して、小規模な集会などは開かれているものの、国民的な
運動が起きる気配もない。マスコミも、この件に関してはほとんど取り上げていない。
そして、もし何年か後に、BSEが原因と思われるヤコブ病患者が出たとしても、その者
が北米産牛肉を食べたことが要因になったことを立証することは、極めて困難であろうと
も思える。
何だか様々な面において、国民がナメられているような気がする今日この頃なのだが。
それは、国民自身にも問題があるからなのかも知れない。
THANKS

私が日本で暮らすことにこだわってしまう大きな要因の一つに、
食事がおいしい&安全性も高いということがあると思うです。
それは、世界のどこでも、その地域のおいしいものはあるけど、
やっぱ毎日の生活を考えると、日本がベストではないかと。
でも、日本も利益優先で、モラルもプライドもへったくれもなくなって
いますからね。しかも、日本人は大人しくて、だまされたすいし。
そこが、日本で暮らし続けるかどうかの悩みどころなんですよね。

やっぱ現地で牧場から加工場などまで管理して、直輸入しているとこの
じゃないとコワイですよね~。
p.s. 何、何? それはご推奨?

ご指摘の内容に非常に共感します。
>仮に牛肉を買う&飲食店で食べることを一切絶ったとしても、様々な食品や調味品に牛肉エキスがはいっているため、十分に全てをチェックするのは難しいであろう。
この部分が一番危惧される点だと思います。
牛肉買わなければいい、食べなければいいで済まされない怖い現実を目の前に、我々は手をこまねいていなければならないのでしょか?
そうなんですよね~。別に多少のリスクがあっても構わないという人は
自己責任において食べてもいいのでしょうけど。
自分は食べたくないという人は、困ってしまいますから。
それで10年後に発症する人がいたら、どうするのでしょう。
ブログを読ませて頂きましたが、中華まんだって絶対危ないですよね。
(実は私、たった今、中華まんを食べたばかりなのですが、来年の冬
は考えちゃうかも知れません。)
危ないかも知れないと言われながら、輸入してしまう政府の神経が
わかりません。
おっしゃるとおり、日本では自己責任にも限界がありますよね。政府はわかっているにも関わらずなし崩し的に再開してしまうんでしょうね。
またよろしくお願いします!
国際化や利益優先で、自国の保護をおろそかにする傾向が見えるのも
新自由主義の流れゆえなのでしょうか?
でも、食品の安全=国民の健康は一番大事なことですのに。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
-大室寅之祐の弟の玄孫が証言した!
天皇家の血統は久しい以前に途絶えている
天皇は保守反動と革新の対立で国民統合の象徴ではない
宇宙管理界の1981年決定で 天皇家は民間人化する運命にある
天皇制廃止。自民党改憲案をまかり通すな
必見: http://gold.ap.teacup.com/tatsmaki/24.html
前田 進 jcfkp201@ybb.ne.jp
天皇制については、色々な意見があるとは思いますが。
しばらくは議論が続くように思います。

差支えがありましたら削除していただいて結構です。
私はアメリカ産牛肉輸入再開でメリットがあるものですから
輸入には賛成なんです。(どっちかというと今困ってるので)
今回食の安全という事で牛肉の事にスポットがあたっていますね。
該当業界の私にすれば、『なんで牛肉だけ?』と言う思いで一杯です。
食の安全・健康でありたいと言う考え方はわかります。
私だってそう思ってますから。
でも腑に落ちない事があるんです。
「感染リスクが少ない」という少なさに関してお聞きしたい。
『食』という分野で言うなら『農薬』と『添加物』について。
今の世の中ほとんどの作物には農薬が使われており
多くの食品には添加物が使われていますね。
これらを口にする事に、『リスク』はないのでしょうか。
虫が口にしないものが、果たして人間の身体に健康被害はないのでしょうか。
そこには『ある一定の基準以内なら』というルールがあり、
きわめて微量であるから身体に問題がないとされているようですが
本当に『問題がない』のですか?

私の知識ではその『少なさ』において、どの程度と説明する事はできませんが、
「大して変わらんのでは…」と考えています。
少ない耕作地で高い人件費を使って作り出してる日本の食物が
値段相応に『安全』とは、とても言えないと思います。
だって、私の実家は農家なのですが、市場に出荷するものと
自分ちで食べる物とは、別々に作っております。
同じ種のものですよ。
この事実をどう解釈するかはお任せします。
確かに、アメリカに逆らう事をせず、言われたまま押し切られたような
今回の日本政府の行動は、不甲斐なさを感じます。
でも、なんで『輸入牛肉』だけがこんな扱いをされるんでしょう。
タイミングが悪かったんでしょうね。
食の安全に関心が行くことは非常に良い事だと思います。
だけど、日本にはまだまだ(もっともっと)リスクの高い食品が
流通してると思うんです。
それを徹底的に追求していく意識の高まりであって欲しいです。
おじゃまいたしました
私は色々な立場や考えの方々のご意見を伺いたいと思っていますので、
差し支えがあるなどということはありません。
むしろ、このようなご意見をお寄せ下さって、有難く思っています。
確かに、日本国内で作られたものでも、また他国で作られて輸入されて
いるものでも、農薬や飼料などに危険性がある農作物や畜産物などは、
少なくないと思います。
ただ、おそらく牛肉の輸入再開がこれだけ問題にされるのは(私自身も
問題にするのは)、まず、BSEに感染したら生命に危険を及ぼす可能性
が大きいからだと思います。また、そのリスクを避けたいと思っても、
どこにどういう形で使われているのかわかりにくいという状況も大きいの
ではないかと思います。
<下に続く>
させられるような形で、輸入再開を決められなかったことではないかと
思います。
私の知人に飲食業を営んでいる人がいるのですが、このような中途半端
な形で輸入再開されると、何か北米産牛肉使いにくいし、もし使っていなくても
妙な疑いをもたれそうで困ると言っていました。
政府がもう少しクリアな形をとってくれれば、勇一さんも含め全国の輸入牛肉
を使用した仕事に関わる人や、それを食す国民にも、もっと安心感を与え
られるのに、と思う次第です。

毛皮や角でハンターや密猟に利用されてしまった結果なんじゃないでしょうか?