自公は、0増5減を強行か?butまた違憲の可能性も+国民レベルの議論を
2013年 03月 29日
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12年衆院選の「一票の格差」訴訟の高裁判決が、計16件出そろった。
16件中、14件が「違憲」(2件は「違憲状態」と判断。さらに、内2件は「選挙無効」判決が下され、これまでになく厳しい司法判断がなされたと言えるだろう。(-"-)
裁判所は、最高裁が09年衆院選を違憲状態だと判断し、早急に是正するように求めたにもかかわらず、国会が格差是正を行なわないまま12年の衆院選を行なったことを「国会の怠慢」「司法&国民の人権軽視」だと考え、「ナメンなよ」という怒り&警告を示したと見られている。(・・)
そして今回も含めて、この数十年間、「一票の格差」に関する裁判所の判断をずっとナメ続けて来たのは、自民党(政権)にほかならないのだけど。<関連記事・『一票の格差訴訟でついに無効判決+自民は衆院改革の約束を守る気なし』>
どうやら自民党は、またまた司法をナメるような形で改善策を講じようとしているようだ。(~_~;)
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自民党は、一連の違憲判断を受けて、昨年同様、ともかく「0増5減」を優先して実現させるべきだと主張。28日に出る新たな区割り案をもとに、早急に法案成立させる方針を示している。<公明党もこれに同調。>
そして、昨日28日に院議員選挙区画定審議会(区割り審)が、「0増5減」案に基づく区割り改定案を安倍首相に提出&勧告したのだが。
何と新区割り案の小選挙区におけるの「1票の格差」は1.998倍であるというのだ。(゚Д゚)
区割り審は、国勢調査に基づく人口の動向に基づいて選挙区の区割りを決めるところで。審議会設置法では、原則として、格差を2倍未満に押さえるように区割りを策定することになっている。
そこで区割り審は、国会で決めた「0増5減」案&2010年度の国勢調査による各地域の人口に基づいて、福井、山梨、徳島、高知、佐賀5県の定数を減らし、17都県42選挙区の区割りを見直す形で新たな区割りを策定した。
まあ、実際には非常に難しい作業だとは思うし、確かに格差を2倍未満に押さえているのでルールを守ったとは言えるのだけど・・・。
それにしても、「1.998倍」って・・・。(@@)
これは2010年度の人口の調査に基づく区割りなので、下手すると2013年には、もう格差が2倍を超えているかも知れず。<その可能性が大きいらしい。>そうなれば、次の衆院選で、また違憲判断が下る可能性が大きいわけで。
この区割り案に従って、「0増5減」案を実現すべく公職選挙法を改正させたとしても、「とりあえずの改善策」にさえならないような感じがあるのだ。(~_~;)
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みんなの党の江田幹事長が、これは「弥縫策」だと批判していたのだが。まさにその通りだと言えるだろう。<(弥縫(びほう)→失敗や欠点を一時的にとりつくろうこと>
民主党の細野幹事長は、「公選法改正案を成立させても、また憲法違反で無効判決が出る可能性がある」として、改めて抜本改革の必要性を強調し、野党間協議を呼びかけたとのこと。(毎日新聞3月28日)
それこそ、自民党の議員からも、こんな声が出ているという。
『「0増5減は違憲じゃないのかという疑問がある。おそらく今の状況では各党が了解しない。抜本改革を早くやったほうがいい」。対象となった徳島2区の山口俊一副財務相は28日、国会内で記者団にこう語り、不満を隠そうとしなかった。(同上)』
実際、0増5減案に対しては、7日の札幌高裁判決は「最高裁判決に沿った改正ではない」、26日の広島高裁岡山支部判決は「1人別枠方式による定数配分を基礎にしたものに過ぎない」と指摘している。(毎日新聞3月28日)』
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「1人別枠方式」とは、衆院の小選挙区の定数を決める際に、まず各都道府県に1人定員を割り振り、残りの定員を人口比例で他の選挙区に割り振る方式のことだ。
小選挙区制が導入された際、区割りのルールとして「1人別枠方式」なるものが採用されたのだが。11年3月の最高裁判決は「1人別枠方式」が格差を生む大きな要因だと判示したため、法的にはこれを廃止したはずだった。
しかし、もし本当に「1人別枠方式」を廃止して、純粋に人口比例で定数配分を行なった場合は「21増21減」という大幅な区割り見直しが必要になる。
ただ、このような見直しは、自民党にとって不利であったことから、同党は苦肉の策として「0増5減」案を最後まで主張して法律化に成功。
区割り審もその法律に従ったため、新たな区割りでは、実質的に「1人別枠方式」が踏襲されることになり、こちらも苦肉の策で、ギリギリ1,988倍という格差是正しか行なえないような&限りなく違憲状態に近い区割りになったのである。(-"-)
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自民党は、10年の参院選では抜本的な衆院選挙制度の改革や定数削減を公約にしていた。
しかし、11年3月に最高裁から違憲判決が出て、同年秋から政権与党だった民主党が中心になって本格的に衆院選制度改革の与野党協議を開始すると、自民党は抜本的な制度改革や定数削減を行なうのは困難だと言い出して、「0増5減案」を強く主張するようになった。
09年衆院選で大敗した自民党は、次の衆院選での捲土重来を期して、各選挙区の落選議員が早くから選挙活動を行なっていた。<その中には、いわゆる大物議員も多かった。>
でも、もし衆院定数を削減すれば、これらの落選議員の中には選挙区を失って復活当選できない者が出る。<また、比例区定員の削減は公明党が強く反対していた。
>
しかも、人口比例に基づいて「21増21減」を行なった場合には、鳥取県の選挙区が2から1に減ることになる。鳥取県は現幹事長の石破茂氏のお膝元。1区では石破氏が、2区も自民党候補が連続当選しているところだ。<03年に無所属で当選した川上義博氏も元自民党議員で、04年に復党。>
そこで自民党は、定数削減はせず、とりあえず違憲状態を脱するために「0増5減」案を主張することに決めたのだ。
これなら多くの落選議員を救済することも、自民党の議席増加&政権奪還を実現することも可能になるからだ。(・・)
<ちなみに『「0増5減」を考案した自民党の細田博之幹事長代行は26日、BSフジの番組で「私が考えた、これしかないという案だ」と述べ、1人別枠方式と最大格差2倍未満を両立させた成果を強調』していたという。(同上)>
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ただ、「0増5減」では、福井、山梨、徳島、高知、佐賀5県で小選挙区定数が3から2に減ることになる。これらは、もともと自民党の強い地域であるだけに、12年の衆院選前に実行に移すのは、自民党にとっては得策ではない。
<実際、12年の衆院選では、山梨以外の4県は全選挙区で自民党候補が当選を果たした。^^;>
民主党側は、ともかく違憲状態を解消するために0増5減案を呑むとしても、法案を通した後、区割り策定&周知のための期間をおく必要があると主張していたのだが。自民党は、「民主党の解散を遅らせるための方便だ」「野田首相が解散を確約しなければ、法案に賛成できない」と反発。
11月14日の党首討論で、安倍総裁が、野田首相が解散と引き換えに、格差是正&定数削減を実現させることを要求したのを呑む形で解散を確約。結局、解散当日の11月16日になって、ようやく法案成立に協力する戦法をとり、まんまと本来は議員定数が減るはずだった0増5減に当たる選挙区でも当選者を確保することができたのだった。(~_~;)
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自民党としては、12年衆院選で政権奪還&議員数の確保はしっかり果たせたし、「0増5減」は当初から予定していたことゆえ、とりあえず「0増5減」を先行させて、早期に実現する方針をとることに決めている。
『自民党の石破茂幹事長は28日、東京都内のホテルで記者団にこう語り、区割り実現を急ぐ意向を強調した。これに先立ち、石破氏は公明党の井上義久幹事長と会談し、公選法改正案の審議を先行させる方針を確認。菅義偉官房長官も同日の記者会見で「自民、民主、公明の3党間で0増5減はやると決めている。粛々と対応すべきだ」と述べ、野党側をけん制した。(同上)』
さらに自公内には、野党が強く反対するようであれば、衆院再可決を行なう案まで出ているという。
『(野党の反対に)危機感を強める自民党内では、公選法改正案が参院で否決された場合、法案の衆院再可決を模索する声が浮上。自民党幹部は「3分の2を使って再可決すべきだ。抜本改革を一からやり直せば半年以上かかる」ともらす。「衆院の選挙制度改革は衆院の意向を優先すべきだ」との声も根強く、公明党幹部は「国民の理解は得られる」と再可決を容認する考えを示した。(同上)』
特に自民党は、最高裁が12年衆院選の「一票の格差」に関する統一判断を出す前に、ともかく「0増5減」案を成立させておきたいという思いが強い。
違憲状態を解消する姿勢を見せておかないと、最悪の場合、最高裁が選挙無効の判決を出して、前回の衆院選をやり直さなくなるおそれもあるからだ。(~_~;)
自民党幹部の間には「一票の格差を是正しなければ」という発想はない様子。まずは最高裁&国民向けに「自分たちは格差是正の努力をした」と示すための形づくりをしておかないとマズイぞという考えの方が強いようにも見える。(-"-)
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ただ、『2度めの無効判決は0増5減も批判』にも書いたように、最高裁は「0増5減」案を実現しただけでは、「国会が格差解消の努力をした」とは認めず、選挙無効の判決を出す可能性も否定できない。(・・)
11年の最高裁判決が「1人別枠方式」を廃止し、抜本的な制度改革を求めていたにもかかわらず、それを軽視して、実質的に「1人別枠方式」を踏襲した形で新たな区割りを行なっているとなれば、尚更だろう。^^;
それもあって、野党側は自民党が「0増5減」を先行させてお茶を濁そうとすることには、全党が反対の姿勢を示しているのだが。ただ、各党の改革案はバラバラで、全く足並みがそろっていない状況だ。(-"-)
民主党、維新の会などは、衆院制度改革の目玉として大幅な定数削減を求めているのだが。中小政党は、比例区の定数削減に強く反発しているし。個々の議員からは、「全てを小選挙区or比例区にしたらどうか」「中選挙区に戻すべきだ」など様々な案が乱立しているような状況だ。
『事態を打開するため、民主党の海江田万里代表は27日、「政治家ではない方々が議論をまとめるのも一つの考え方だ」と述べ、選挙制度の抜本改革を政治家以外の「第三者機関」に委ねる可能性に言及した。
しかし、菅官房長官は28日の記者会見で「各党会派は定数削減を約束している。それぞれが責任を持ってやっていくのが当然だ」と述べ、否定的な考えを示した。(同上)』
<衆院選の制度を決めるのは、本来であれば国会議員が行なうべき仕事だと思うけど。ただ、各党の党利党略や利害関係による対立があまりにも激しいことを考えると、海江田氏が言うように、第三者機関に委ねるのも一つの有効な手段かも。(・・)
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mewは、衆院選の制度改革は政党ごとに考えるのではなく、党派を外して、議員レベルで議論した方がいいのではないかと思うし。当然にして、も~っと主権者たる国民の考えにも、耳を傾けるべきではないかとも思っている。(**)
でも、今の論争を見ていると、「完全に国民不在だな~」という感じがするのだ。 まあ、正直なところ、国民の方も関心を抱いている人が少ないのが実情ゆえ、そうなってしまうのかも知れないのだけど。
国会議員や識者、メディアなどは、もっと積極的に国民に情報や様々な見解を提供して、国民の間での議論を促すべきなのではないかと思う。
今回の一連の訴訟も含めて、いわゆる「一票の格差」訴訟は、弁護士グループが中心になって行なっており、「一票の価値の平等を保障することこそ、民主主義の根幹だ」と主張。中には「限りなく1倍に近づけることが理想だ」と提言しているもいるのであるが。<理論的には、その通りだと思う。>
ただ、mew周辺の人にきいてみると「全国民の代表なのだから、一票の平等は保障すべき。選挙区を作る際には都道府県にこだわらず、全国規模で見て人口割りすべきだ」と考える人もいるのだけど。
他方では、「あまりに人口比例にこだり過ぎて、都市部の議員ばかりが増えると、実際には国民にとって重要な農業、水産業などが主体の過疎地域の人たちの声が反映できなくなって、結果的には国民全体にとってマイナスになる」とか。「都道府県という区分は国民に浸透しているし、各地域の代表を選ぶという視点も必要だ」として、多少の格差は容認してもいいと言う人も少なくない。^^;
<「どっちでもいいや」って人も結構いるんだけどね。(-"-)。
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この衆院選の制度改革について、mewの考えをマジで書こうとしたら、とんでも長くなってしまうことになりそうなので、今回はパスすることにしたいのだが。
<そもそも「衆議院&参議院(&その議員)の役割とは」「政党」とはとか、「都道府県単位で選挙区を決める必要があるのか」「一票の価値の平等はどこまで保障されるべきなのか」とかそういうとこから考えて行く必要があるのではないかと思うので。^^;>
ただ、アレコレ総合して勘案した結果、mew個人は、現段階では「中選挙区制」に戻すのが一番いいと考えている。(・・)
中選挙区制に戻せば、都道府県単位の選挙区をキープしながら、一票の格差が是正しやすいし。死票も減り、多様な民意が反映しやすい上、中小政党にも著しく不利になることはないからだ。
<近時の衆院選で、各党の政策や各候補の主張が軽視され、いわゆる「風」や「ムード」によるオセロ的な選挙結果が続いていたり、小選挙で戦うために政策が違うのに強引に党合併や選挙協力を行なおうとしていたりする状況を見ると、尚更にそう思う。(~_~;)>
ちなみに公明党は、以前から中選挙区復活を強く望んでいるのだが。<それを約束して自民党と連立を組んだのに、小泉元首相に拒否されて以来、ずっと実現できずにいるのよね。^^;>
実は、自民党や民主党をはじめ他党の中にも、中選挙区制に戻すべきだという主張する議員は少なからずおり、超党派の議連を作る動きも出ているとのこと。是非、国会全体でも改めて検討課題にして欲しいものだ。(・・)
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いずれにせよ、折角、衆院選の制度を(参院選も)大きく変えるチャンスが訪れているので、自分たちの思惑ムンムンばかりの政党やら国会議員にだけ任せることなく、より多くの国民に「どういう選挙制度をとれば、日本の国政&主権者たる国民にとっていいのか」をもっと考えて欲しいな~と願っているmewなのだった。(@@)
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