「国家安全保障戦略」&「新防衛大綱」&「中期防」の要旨(短縮版) 13年12月
2014年 01月 05日
参考資料として、国家安全保障戦略、新防衛大綱、中期防の要旨(短縮版)を。
☆ 国家安全保障戦略要旨
政府の国家安全保障戦略の要旨は次の通り。
【策定の趣旨】
▽国益を長期的視点から見定め、国家安保のための方策に政府全体で取り組む
▽国際社会の主要プレーヤーとしてこれまで以上に積極的な役割を果たしていく
▽本戦略の内容は10年程度の期間を念頭に置き、適時適切に発展させ、修正を行う。
【国家安保の基本理念】平和国家としての歩みを堅持し、積極的平和主義の立場から国際社会の平和と安定の確保に積極的に寄与する。
【わが国を取り巻く安保環境と国家安保上の課題】
▽中国・インド等新興国の台頭で国家間のパワーバランスが変化▽大量破壊兵器・弾道ミサイル等の移転・拡散・性能向上に係る問題や北朝鮮・イランによる核・ミサイル問題は、わが国や国際社会にとって大きな脅威
▽国際テロの拡散・多様化
▽海洋、宇宙空間、サイバー空間といったグローバルコモンズ(国際公共財)に対する自由なアクセス、活用を妨げるリスクが拡散し深刻化
▽金正恩体制の確立が進む中、北朝鮮内の情勢を引き続き注視▽中国は尖閣諸島付近の領海侵入・領空侵犯、独自の防空識別圏の設定など、東シナ海、南シナ海等の海空域で、既存の国際秩序とは相いれない独自の主張に基づく、力による現状の変更の試みとみられる対応。
【わが国が取るべき国家安保上の戦略的アプローチ】
▽核兵器の脅威に対し、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止は不可欠▽ホルムズ海峡などシーレーン(海上交通路)沿岸国の海上保安能力向上を支援▽サイバー防護・対応能力の強化
▽国際テロ対策の強化
▽情報分析・集約・共有機能の強化
▽武器輸出三原則が果たしてきた役割に配慮した上で、新たな安保環境に適合する明確な原則を定める
▽中国には大局的見地かつ中長期的見地から「戦略的互恵関係」の構築に向けて取り組む一方、力による現状変更の試みとみられる対応には冷静かつ毅然(きぜん)と対応
▽国連の平和維持活動(PKO)や集団安保措置などに積極的に寄与
▽軍縮・核不拡散に向けた国際的取り組みを主導▽諸外国やその国民に対する敬意を表し、わが国と郷土を愛する心を養う。
* * * * *
☆ 新防衛大綱要旨
政府の新たな防衛計画大綱の要旨は次の通り。
【わが国を取り巻く安全保障環境】
▽国家間では、領土や主権、海洋の経済権益等をめぐり、グレーゾーンの事態が増加傾向
▽北朝鮮は、地域の緊張を高める行為を繰り返し、地域・国際社会の安全保障にとって重大な不安定要因。特に核・ミサイル開発は、重大かつ差し迫った脅威
▽中国は、継続的に高い水準で国防費を増加させ、軍事力を広範、急速に強化するも、透明性は不十分。海空域等の活動を急速に拡大・活発化し、力を背景とした現状変更の試み。今後も強い関心を持って注視。
【防衛の基本方針】
▽日米安保体制は、わが国の安保の基軸。日米同盟は、わが国のみならず、アジア太平洋地域、世界全体の安定と繁栄のための「公共財」
▽在日米軍再編を着実に進め、米軍の抑止力を維持しつつ、地元負担を軽減
▽普天間飛行場の移設を含む在沖縄米軍施設・区域の整理・統合・縮小、負担の分散等により、沖縄の負担軽減を図る▽中国と安保対話や交流を推進するとともに、不測の事態を防止・回避するための信頼醸成措置を構築。中国の海空域等の活動の急速な拡大・活発化には、冷静かつ毅然(きぜん)と対応
▽国際平和協力活動を積極的に実施。自衛隊の経験・知見を生かし平和構築のための人材育成。
【防衛力の在り方】
▽所要の部隊を機動的に展開・移動させるため、平素から民間輸送力との連携を図りつつ、統合輸送能力を強化
▽海上優勢・航空優勢の確実な維持のため、航空機や艦艇、ミサイル等による攻撃への対処能力を強化
▽島しょへの侵攻があった場合に速やかに上陸・奪回・確保するための水陸両用作戦能力を整備
▽北朝鮮の弾道ミサイル能力向上を踏まえ、弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図る。
* * * * *
☆ 中期防要旨
政府の中期防衛力整備計画(2014~18年度)の要旨は次の通り。
【基幹部隊の見直し】
〔陸上自衛隊〕統合運用の下、作戦基本部隊や各種部隊などの迅速・柔軟な全国的運用を可能とするため、各方面総監部の指揮・管理機能を効率化・合理化するとともに、一部の方面総監部の機能を見直し、陸上総隊を新編。中央即応集団を廃止し、その隷下部隊を陸上総隊に編入▽沿岸監視部隊や警備部隊の新編などにより、南西地域の島しょ部の部隊の態勢を強化。連隊規模の複数の水陸両用作戦部隊などから構成される水陸機動団を新編▽陸自の編成定数はおおむね15万9000人程度。
〔海上自衛隊〕ヘリコプター搭載護衛艦1隻とイージス・システム搭載護衛艦2隻を中心に構成される4個の護衛隊群に加え、その他の護衛艦で構成される5個の護衛隊を保持。潜水艦増勢のために必要な措置を継続。
〔航空自衛隊〕那覇基地に戦闘機部隊の1個飛行隊を移動。警戒航空部隊に1個飛行隊を新編し、那覇基地に配備。訓練支援機能を有する部隊を統合。
【自衛隊能力に関する主要事業】
〔周辺海空域の安全確保〕新たな早期警戒管制機または早期警戒機のほか、固定式警戒管制レーダーを整備▽広域の常続監視能力の強化のための共同の部隊の新編に向け、滞空型無人機を新たに導入。
〔島しょ部の攻撃への対応〕与那国島(沖縄県)に陸自の沿岸監視部隊を配備▽輸送ヘリコプター(CH47JA)の輸送能力を巡航速度や航続距離などの観点から補完・強化し得るティルト・ローター機(オスプレイ)を新たに導入。
『政府は11日、平成26年度から5年間の防衛力整備の水準を示す中期防衛力整備計画(中期防)の概要をまとめ、自民党の部会で示した。中国による防空識別圏設定など空海域の脅威増大を踏まえ、那覇基地の戦闘機部隊を現在の1個飛行隊(約20機)から2個飛行隊に倍増するなど、防空態勢の強化を打ち出した。新たな早期警戒機や無人偵察機の導入も明記し、警戒監視能力を高める。
概要では、陸上自衛隊の組織改編に関し、命令系統を全国的に一元化した「陸上総隊」を新設する方針を示した。南西諸島方面への機動展開能力を高めるための「機動師団・旅団」や、島嶼(とうしょ)防衛のための水陸両用部隊の新設も、それぞれ盛り込んだ。
北朝鮮の弾道ミサイル開発に対応するため、海上自衛隊の4個護衛隊群にそれぞれイージス艦2隻を配備する方針を明記。イージス艦を現行の6隻から8隻に増やすことにした。
那覇基地に早期警戒機E2Cの部隊を新設し、警戒監視能力を強化する方針も改めて示した。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを念頭に、傾斜式回転翼を装備するティルトローター機の導入も明記した。
防衛省は中期防期間の予算として、現行の中期防を約1兆4000億円上回る総額約24兆9000億円を要求し、財務省と調整を進めている。(産経新聞13年12月11日)』
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