6月1日の衆院・安保特委における論点、質疑の要旨+踏み込んだ発言
2015年 06月 04日
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【テニス・・・全仏初優勝(=四冠制覇)を目指すジョコビッチと全仏キングで10度めの優勝を目指すナダルが準々決勝で対戦。結果的には3-0でジョコが勝ったものの、特に7-5の接戦だった1セットめは、それぞれが一球一球に頭脳、技術、精神の力、全てを込めた打ち合いがなされて、まさに事実上の決勝戦と呼ぶにふさわしい、めっちゃレベルの高いフルセットを堪能させてもらったです。2人の選手にリスペクトと感謝を送りたい。"^_^"】
さて、この記事には、6月1日の安保法制の衆院特別委員会の審議のまとめを・・・。
この件は改めて書きたいが、1日の審議では、安倍首相や中谷防衛大臣らがそれまでより踏み込んだ形の発言を行なっていたのだけど。中でも、問題視されそうなのは、次の2つだろう。
安倍首相は、外国軍隊への後方支援が可能となる重要影響事態が中東やインド洋でも発生し、自衛隊がアメリカ軍などへの後方支援を行うことはありうるとの認識を示し、初めて具体的に中東やインド洋などの活動地域に言及。
また、相手国が日本を攻撃する意図を否定していても、「わが国の存立が脅かされる明白な危険」など武力行使の新3要件を満たせば、集団的自衛権を行使する可能性があるとの認識も示した。
そして、中谷防衛大臣は、法律上、中東の過激派組織「イスラム国」への軍事作戦を展開する有志国連合の後方支援を行なうことは可能だと明言。
中谷大臣は、周囲からはっきり言いすぎだと注意を受けてか、翌2日、政策判断としては考えていないと発言の修正を試みたのだけど。法律上は可能であることは、間違いあるまい。(**)
これも改めて書きたいのだけど。この特別委では、首相が誰であるかにかかわらず、今後の日本の安保に関する重要な法律を作るために審議を行なっているのだから。安倍首相や安倍内閣が、どのような政策を考えているのかは、二の次の話であって。安倍首相が、いくらIS攻撃の支援をする気はないとか、敵基地攻撃をする気はないと言っても、それによって法律の中身や解釈が決まってしまうわけではないことに留意すべきだと思う。(++)
<ちなみに、この日は民主党が、党内でも保守派に属し、安保にも詳しいする前原、玄葉氏+細野氏を並べて質問を行なったのも、興味深かったです。(@@)>
* * * * *
『【安全保障関連法案】衆院平和安全法制特別委員会 論戦の焦点(1日)
●運用面での手だてを 防衛相‐戦闘ない場所指定
▼岩屋毅氏(自民、大分)
【自衛隊のリスク】
岩屋氏 (自衛隊の)リスクが増える可能性があるのは事実だ。だからこそ法制面、運用面でしっかり手だてを講じている。
中谷元・防衛相 自衛隊が現実に活動する期間に戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を後方支援の実施区域に指定する。攻撃を受けない安全な場所で活動する。
●安全確保の工夫は 首相‐法と運用の両面で
▼遠山清彦氏(公明、比例九州)
【自衛隊のリスク】
遠山氏 自衛隊員の安全確保のため、法制度上の歯止めのほかに運用面でも工夫するのか。
安倍晋三首相 法制面の枠組みに加え、情報や装備、教育訓練など新たな任務に対応した運用面での施策も十分に実施する。法制面と運用面の取り組みを車の両輪として、隊員の安全確保をしっかりと図っていく。
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●戦闘に巻き込まれる 防衛相‐リスク増大せぬ
▼後藤祐一氏(民主、神奈川)
【自衛隊のリスク】
後藤氏 法改正により新たに可能になる活動実施場所で自衛隊員が戦闘行為に巻き込まれるリスクは増大しないか。
防衛相 法改正で新しい(活動)内容が増える。リスクは新たに考えられる。だが安全確保の規定を設け、運用に際して最大限の努力をするので、リスクが増大するとは考えていない。
【重要影響事態】
後藤氏 過去に外務省局長が「日本に軍事的波及がない場合は周辺事態に該当しない」とした答弁は維持されているか。
岸田文雄外相 局長の答弁後、当時の小渕恵三外相が周辺事態について「軍事的な観点を含めて日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす場合」と答弁して整理された。
●違法でも米を支援か 首相‐国際法順守する
▼前原誠司氏(民主、京都)
【米国への協力】
前原氏 仮に米国が国際法的な手続きを取らず、北朝鮮を攻撃した場合でも協力するのか。
首相 国連憲章上、違法な武力行使に協力することはない。
前原氏 法律上は協力できなくても、巻き込まれる可能性はある。
首相 米国も朝鮮半島のような事態では国際的理解が必要だ。国連安全保障理事会決議などを求める努力はするだろう。あくまでもわれわれは国際法を順守する立場だ。
●重要影響事態とは 首相‐個別具体的に判断
▼玄葉光一郎氏(民主、福島)
【重要影響事態】
玄葉氏 周辺事態には当たらないが、重要影響事態に当たるケースは。
首相 重要影響事態に該当するか否かは事態の規模、態様、推移等を総合的に勘案し、個別具体的に判断する。中東、インド洋などで深刻な軍事的緊張や武力衝突が発生し、わが国に物資を運ぶ日本の船舶に深刻な影響が及ぶ可能性があり、米国などが事態に対応するため活動しているときは、該当することはあり得る。
【集団的自衛権】
玄葉氏 集団的自衛権行使には武力攻撃を受けた国からの要請または同意が必要だ。中東・ホルムズ海峡で機雷掃海を行う場合はどの国か。
首相 領海が属するオマーンかイランだが、航行中に触雷する場合もある。国を特定することはできない。
玄葉氏 集団的自衛権行使の一環として機雷掃海中、集団安全保障措置に変わった場合は。
首相 武力行使の新3要件に該当しなければ活動を撤収し、該当すれば継続する。
●専守防衛の認識は 防衛相‐長官時代と違う
▼寺田学氏(民主、比例東北)
【専守防衛】
寺田氏 専守防衛の認識は、旧防衛庁長官だった当時と変わったか。
防衛相 当時はわが国が武力攻撃を受けた時を指すと考えていた。当時とは違う。わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合も武力行使が可能になった。
【集団的自衛権】
寺田氏 日本が攻撃を受けておらず、攻撃国に日本攻撃の意思がなくても、新3要件に合致すれば武力行使の可能性があることを排除しないか。
防衛相 排除しない。
首相 (日本攻撃の)意思がなければどうかという単純な議論ではない。わが国に戦禍が及ぶ蓋然(がいぜん)性を総合的に判断する。攻撃国が、外形的に(日本攻撃の)意思がないと言っているだけでは判断できない。
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●対「イスラム国」作戦は 防衛相‐派遣は法律上可能
▼細野豪志氏(民主、静岡)
【イスラム国対応】
細野氏 中東の過激派組織「イスラム国」に有志国連合が軍事作戦を展開する場合、自衛隊を(後方支援のために)派遣する可能性はあるか。
防衛相 国連決議などに基づいて判断する。法律上は可能。
【隊員の法的地位】
細野氏 自衛隊員が派遣先の海外で民間人を誤射した場合、日本の国内法で裁けるのか。
首相 現行の一般の刑法が適用される。ただ正当防衛や緊急避難の場合でも、相当の状況でないと撃たない。
防衛相 裁判の管轄権は派遣先国との地位協定などの内容にもよる。自衛隊を海外に派遣する場合は、隊員の法的地位の確保が重要だ。
●武器は敵視される 防衛相‐活発活動できる
▼今井雅人氏(維新、比例東海)
【駆け付け警護】
今井氏 非政府組織(NGO)などの活動現場で武器を持った人たちが一緒にいると、かえって敵と見られて襲われる可能性が高いとの指摘がある。
防衛相 自衛隊がいることで危険が増すケースもあるが、NGOが活発に(活動)できる場合もある。日本のNGOが危険な状態になった場合には駆けつけて救出することは必要だ。
●なぜホルムズだけか 首相‐要件当たれば対処
▼丸山穂高氏(維新、大阪)
【機雷掃海】
丸山氏 (海外派兵の例外として)なぜ中東・ホルムズ海峡(での機雷掃海)にだけこだわるのか理解できない。
首相 マラッカ海峡には迂回(うかい)路がある。現時点で(例外として)念頭にあるのはホルムズ海峡だけだが、法理的には武力行使の新3要件に当たれば対処していくことになる。
●テロ対策に変化は 防衛相‐同盟強化、抑止に
▼青柳陽一郎氏(維新、比例南関東)
【テロ対策】
青柳氏 安保法制が変わることで、テロへの対応は何が変わるか。
防衛相 今回の法整備は、国際テロ対策を直接強化するための主たる方策とは考えていない。日米同盟が強化されるのでテロ活動を抑止し、わが国の安全を守ることが可能になる。
●敵基地攻撃可能か 首相‐想定していない
▼穀田恵二氏(共産、比例近畿)
【敵基地攻撃】
穀田氏 武力行使の新3要件に該当すれば、他国領域での敵基地攻撃も可能か。
首相 (敵国の弾道ミサイル発射基地などを攻撃する)敵基地攻撃を目的とした装備体系は保有していない。個別的自衛権においても想定しておらず、集団的自衛権行使として敵基地を攻撃することはそもそも想定していない。日米同盟の中で打撃力は米国が担っている。米国が日本に「攻撃してくれ」と言うことはあり得ない。
穀田氏 航空自衛隊がステルス戦闘機F35導入を決定した。敵基地攻撃用の装備体系になるか。
防衛相 他国の防空レーダーを妨害する装備が必要で、F35のみでは攻撃できない。
=2015/06/02付 西日本新聞朝刊=』
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