もんじゅ運営機関に談合疑惑+原子力規制委が運営機関の交代、廃炉も視野に是正勧告
2015年 12月 22日
【*1、*2などの関連記事は、記事の最後にあるMoreの部分にあります。】
日本にある原発の中で、福島第一原発の次に、最も問題視されているのが、原子力機構(日本原子力研究開発機構)が運営する高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)だ。(**)
もんじゅは、1985年に着工。94年に核分裂が持続する「臨界」に達し、95年から送電を始めたものの、稼動を始めて間もなく火災事故を起こして運転中止に。その後も事故が起きたり、検査や修復の不備が指摘されたりでほぼ全くと言っていいほど稼動できず。
それでも、政府は「もんじゅ」が(もはや幻に過ぎないと言われる)「核燃料リサイクル計画」の中核をなしていることや、いざという時に核兵器の材料を作る能力があることなどから、「もんじゅ」を廃止すべきという声に耳を貸さず。動かぬもんじゅの維持のためだけに、今でも、毎年1兆円以上の費用をかけているのである。(ーー)
しかも、もんじゅには検査の仕方や報告書作りも含めて不正の話が絶えず。そのズサンな管理や真摯とは思えぬ対応(=なめくさった態度に?)業を煮やしてか、先月13日には原子力規制委員会から、運営組織の交代要求も示唆するような是正勧告を受けたばかりだったのだ。(この件は後述。)
それに加えて、何と自民党の行政レビューPT(プロジェクトチーム)が調査したところ、今度は、もんじゅを運営する原子力機構の競争入札で、「談合とも言える状況」が多数あったことが判明。(・o・)
<5年間で189件が落札価格が予定価格の同額(100%)、関係法人のみが応札した契約全719件の平均落札率が99.07%だったんだって。^^;>
mewは、もうもんじゅは廃炉にするしかないと考えているし。もしこの談合疑惑が本当なら、少なくとも原子力機構はもんじゅ運営から手を引くしかないと思うのだけど。
今後の原子力開発や核兵器製造能力の維持に意欲を示している安倍政権&自民党としては、何とか今のもんじゅの運用体制を維持したいところ。(-_-;)
同PTは、この問題を報告書にまとめ、17日にその内容を公表する記者会見を開くことを予定。16日にTBSの「NEWS23」がそのことを報じたのであるが・・・。
ところが、17日になって「自民党の行革本部長から中止の指示があった」との理由で、記者会見が急遽、中止になるという事態になったという。(@@)
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『ニュース23では、16日夜、原子力機構の競争入札について「談合とも言える状況」と指摘した、自民党プロジェクトチームの報告書についてお伝えしました。報告書をまとめた議員らは17日、内容を公表する記者会見を予定していましたが、党上層部からの指示で急きょ中止されたことがわかりました。
17日夕方、自民党本部で予定されていたのは、「行政事業レビュープロジェクトチーム」の議員による記者会見です。行政レビューPTでは、原子力機構の競争入札に関し、業者が知りえない予定価格と同額の落札が、5年間で189件あったことなどを分析し、「談合とも言える状況」などと指摘する報告書をまとめていました。
この報告書を17日の会見で発表する予定でしたが、直前になって急きょ中止となり、その理由について、行政レビューPTの座長・平衆院議員は、「自民党の行革本部長から中止の指示があった」とのコメントを発表しました。
これについて、PTの上部組織である自民党行革本部の桜田本部長側は、「行革本部役員会の手続きが済んでいないため」などと説明しています。一方で、党内の一部からは、「この時期にそんな報告書が出たら、原子力機構の予算編成に支障をきたす」と懸念する声も上がっているということで、背景には、巨額の予算を抱える原子力機構をめぐって、なんらかの利害対立がある可能性も垣間見えます。
行政レビューPTの議員らは、当初18日、文科大臣と行革大臣へ申し入れを行い、公正取引委員会に通報する予定でしたが、それも中止に追い込まれたということです。(TBS15年12月17日)』
<NEWS23の岸井成格氏は、「典型的な官製談合。上からの最も大きな力が働いたんでしょうね」とコメントしたという。(・・)>
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その後、21日になってようやく、自民党の行政レビューPTが、河野太郎行改大臣に原子力機構の談合疑惑に関する調査報告書を提出することに。
河野大臣は、「相当疑惑が濃いとしか言いようがない」と述べていたという。(-"-)
『自民党の行政改革推進本部行政事業レビュープロジェクトチームは21日、高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)が2011年4月~15年9月までに発注した業務で、関係法人のみが応札した契約全719件の平均落札率が99.07%だったなどとする調査報告書をまとめ、河野太郎行政改革担当相に提出した。
報告書によると、719件(契約金額計約485億円)のうち26%にあたる189件では落札率が100%。応札業者が3者いたケースは5件だけで、残りは全て2者だったという。(毎日新聞15年12月21日)』
『■河野太郎行政改革担当相 (日本原子力研究開発機構の発注業務で、関連企業・団体だけが入札に応じた全719件の平均落札率が99・07%だった問題について)事実だとするとこれは相当ひどい。所管する文部科学省がしっかりと調べて、厳正に対処してくれるものと思っている。
落札率100%が4分の1、99%というのが相当数あったので、ちょっと普通では考えられない。本当に入札が行われていて、そういう状況になるとは考えにくい。談合があったと言われても、相当疑惑が濃いとしか言いようがないような数字だ。(自民党行政改革推進本部のプロジェクトチームから調査報告書を受け取った後、記者団に) (朝日新聞15年12月21日)』
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前半にも書いたように、原子力規制委員会は、もんじゅに関して抜本的な運用見直しを求める勧告を出すことを決定。11月13日に正式に勧告を出した。
『原子力規制委員会は4日、運転トラブルで長期停止し、保守管理に関する不祥事も相次いでいる高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)について、日本原子力研究開発機構(JAEA)に代わる運営主体を特定するか、できない場合はもんじゅのあり方について抜本的な検討を進めるよう、所管の馳浩文部科学相に勧告する方針を決定した。
勧告は、原子力規制委員会設置法に基づくもの。同法は関係行政機関の長に対し原子力における安全確保に関して勧告し、その措置について報告を求めることができると定めている。
同日の定例会合で規制委の田中俊一委員長は、「原子力機構にもんじゅの運転を任せるべきではない」と指摘した上で、勧告に対しては、「半年をめどに結論を示していただきたい」と述べた。
規制委の田中知委員は「もんじゅプロジェクトを見直すことも必要になる」と、存廃検討の必要性について言及した。来週行われる次回の原子力規制委で勧告案を正式に決める。
もんじゅは1995年12月に冷却材ナトリウム漏れ事故を起こし、14年以上運転を停止。2010年5月に運転再開したが同年8月、燃料交換作業中に一部装置を炉心に落とすトラブルを起こした。13年5月、約1万点に及ぶ機器の点検漏れが発覚した問題を受けて、規制委は管理体制の改善が図られるまで運転再開を禁止する決定を出した。しかし、その後も保守管理に関する違反が相次いでいる。
規制委の更田豊志委員は定例会合で、「保全ができない組織が運転できるとは考えられない。さらに段階を進めた措置を取らざるを得ない」と指摘した。(ロイター15年11月4日)』
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『高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運営する日本原子力研究開発機構に対し、レッドカードを突きつけた13日の原子力規制委員会の勧告は、国策の核燃料サイクル政策に大きな影響を与える可能性がある。監督する文部科学省は、海外の原子力企業や電力会社などとの提携も含めて「新組織」の検討を始めるが、技術面や能力面で選択肢は極めて限られる。勧告への報告期限となる来年5月ごろまでに示せなければ、もんじゅは廃炉を含めた抜本的見直しを迫られる。【鳥井真平】
「(新組織を検討する)今後の取り組みに、助言・指導いただきたい」。13日に規制委の田中俊一委員長から勧告の文書を受け取った馳浩文科相はこう呼び掛けたが、田中委員長はその後の記者会見で「勧告を出して、自分で答えは出せない」と述べ、新組織の検討の議論に参加する考えはないことを強調した。
原子力機構は不祥事などに際し過去2回、看板の掛け替えで生き残ってきた経緯があるが、田中委員長は会見で「勧告には原子力機構に代わる(組織)と明確に書いている」と話し、「3回目」の掛け替えを改めてけん制した。(毎日新聞15年11月13日)』
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『文科省の新組織の検討過程で、ポイントになるのは液体ナトリウムを取り扱う技術の有無だ。もんじゅでは冷却材として、空気や水に触れると爆発する恐れがある液体ナトリウムを使う。扱った経験を持つのは国内には今の原子力機構しかなく、文科省は海外の原子力企業との連携も含めて検討を始める方針だ。
ただ、海外を見渡しても米英独などの主要国は高速増殖炉の開発から撤退しており、新たなパートナーを見つけるのは困難を極める。高速増殖炉の研究は1950~60年代に欧米で進んだが、やはり液体ナトリウムの管理技術が壁となり、90年代ごろまでには相次いで中止や撤退に追い込まれた。ナトリウム漏れ事故を起こし、98年に廃炉になったフランスの実証炉「スーパーフェニックス」がその代表例だ。
現在、高速増殖炉の開発を積極的に進めるのはロシアや中国、インドの3カ国にとどまるが、安全保障や核セキュリティー上の理由で、提携の余地はないとみられる。田中委員長も会見で「(新組織が)ないと言い切るわけにはいかない。(高速増殖炉については)世界中でもあまり研究されておらず個人的評価は控える」と突き放した。(毎日新聞15年11月13日)』
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しかし、安倍内閣も、もんじゅを所管する文科省の馳浩文科大臣も、もんじゅの廃炉などは全く考えていない様子。今月2日には、馳大臣が福井県敦賀市にもんじゅの視察に行き、もんじゅを中核とする国策の核燃料サイクル政策を推進していく考えに変わりはないことなどを伝えて、地元の主張や関係者を激励したという。(>_<)
『馳浩文部科学相は2日、原子力規制委員会から運営主体の交代勧告を受けた高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)を就任後初めて視察し、県と敦賀市に今後の対応方針などを説明した。この中で「立地自治体からも意見をいただきたい」と述べ、今月中に設置する有識者会合で西川一誠知事や渕上隆信敦賀市長から意見を聞いて地元の声を反映させることを明らかにした。
運営主体の日本原子力研究開発機構は文科省が所管している。馳文科相は、もんじゅ視察前後に西川知事、渕上市長と面会。今後の対応について立地自治体と情報を共有することや、もんじゅを中核とする国策の核燃料サイクル政策を推進していく考えに変わりはないことなどを伝えた。
また、もんじゅの運営体制や改革の問題点を検証して市民に丁寧に説明することなどを求める要請書を渕上市長から受け取り、「要請書を踏まえた対応をする」と約束した。
面会後、取材に応じた馳文科相は「エネルギー政策に協力してもらっている敦賀市民、福井県民には直接今後の対応を説明するのが筋だと思った」と地元への配慮を示した。また、「現場がしょげているのではないかと思い、気合を入れてしっかりやろうと職員や幹部に話した」と視察目的についても語った。(毎日新聞地方版15年12月2日)』
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『政府は昨年4月に閣議決定したエネルギー基本計画で、もんじゅを「核廃棄物の国際的な減量研究拠点」と位置付け直した。一般の原発でプルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマル発電を主役に据えたサイクルへとかじを切りつつ、もんじゅの延命を図った形だ。
プルサーマルは増殖炉に比べ消費できるプルトニウムが少ない。核兵器に転用可能なプルトニウムの保有量が積み上がることへの国際社会の批判をかわす意味からも、もんじゅの看板は降ろせないということだろうが、だからといって、実用化も疑わしい技術に巨費を投じ続けていいという話にはならないはずだ。
核燃料サイクル事業は、青森県六ケ所村の再処理工場やMOX燃料工場の完工時期が繰り返し延期され、再処理後に発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定や使用済みMOX燃料の処理計画も何ら具体化していない。原発依存度を減らしていく中では、事業の位置付けすら揺らいでこよう。(河北新報15年11月22日)』
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残念ながら、ここ1~2年、国民の原発問題への関心がどんどん低下。メディアも原発に関するニュースをあまり詳しく伝えなくなっているような感じがあって。原発再稼動の話はもちろん、この「もんじゅ」の問題を解決するにも、やはりもっとメディアの報道が必要だし。やはり安倍政権を早く終わらせるしかないと思うmewなのだった。(@@)
THANKS
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