田原総が、安倍改憲や緊急事態条項のアブナさを指摘。慎重さを求める。
2016年 02月 28日
【*1、*2などの関連記事は、記事の最後にあるMoreの部分にあります。】
安倍首相&仲間たちが、憲法改正の実現に向けて、積極的に発言、活動し始めている。(-"-)
その安倍改憲の問題、とりわけ彼らが主張する「緊急事態条項の危険性」について、田原総一朗氏が記事を書いていたので、それをアップしておきたい。(・・)
<mew注・読みやすくするために、小見出しに☆をつけました。>
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『田原総一朗:憲法改正を問う衆参ダブル選挙、本当の争点
BizCOLLEGE 2月25日(木)
今年7月に参議院選挙が控えている。衆参ダブル選挙の可能性が高いとも言われている。安倍晋三首相は、年初からことあるごとに「今度の参議院選挙の争点は憲法改正だ」ということを強調している。
●憲法改正では自衛隊の扱いが大きな争点に
憲法を改正する理由の一つとして、安倍さんは「自衛隊は憲法違反の疑いがある」ことを挙げている。
昨年6月下旬に行われた朝日新聞の調査では、122人の憲法学者のうち、104人が安保法案は「憲法違反」、15人が「憲法違反の可能性がある」と答えた。
さらに50人が自衛隊について「憲法違反」と答え、27人が「憲法違反の可能性がある」との見解を示した。
つまり、63%の学者が「自衛隊は憲法違反だ」と考えているわけだ。これを安倍さんは、「7割近く」と言っている。
本来であれば、憲法学者のうち98%が「憲法違反の可能性がある」と答えた安保関連法案の方が問題だが、安倍さんは7割近くが「憲法違反の可能性がある」という自衛隊を強調して、しかも自衛隊の在り方を改めるのではなく、憲法の方を改正すべきだと主張している。
☆ 憲法のどこを改正しようとしているのか
」
では安倍さんは、憲法のどこを改正しようとしているのか。その内容は多岐に渡るが、焦点となるのは第9条の2項だ。
現行の日本国憲法では第9条は以下のように記されている。
「第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 二 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
自民党が2012年に「憲法改正草案」をつくった。当時野党だった時のことだ。この草案では、9条の2項を次のように明記している。
「第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。」
今の憲法では、「国の交戦権は認めない」と定められているが、草案ではそれを削除して、交戦権のある軍隊にしようというのだ。
☆ 自衛隊を「戦力のある軍隊=国防軍」に
今の自衛隊は、実は軍隊ではなく、国内法では警察の延長に過ぎない。これについては、本コラムの「安保法で変わる自衛隊の矛盾を徹底的に議論せよ」で述べた通りだ。
自衛隊ができることは、武器使用だけとされている。この「武器使用」という言葉は、警察用語である。要するに、自衛隊というのは軍隊ではなく、警察の延長であり、公務員だということを表している。
このため自衛隊は警察における武器使用という範囲でしか武器使用は認められていないのだ。
当然、交戦権はないし、さらに言えば戦力もない。自衛隊は「戦力なき軍隊」なのだ。これを自民党は、憲法改正によって「戦力のある軍隊=国防軍」にしようとしていた。
ということは、今の憲法では「日本は平和国家である」ことを謳い文句にしているが、それが崩れる可能性がある。日本は平和国家ではない、軍隊を持つ普通の国になる。安倍さんは、それを狙っているのかもしれない。(下につづく)
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☆「緊急事態条項」修正の危険性
しかし、それよりも大事なことがある。今、安倍さんは「緊急事態条項」を修正するのに熱心だ。
実は、この緊急事態条項についても、2012年の憲法改正草案の中で、第98条として次のように明記されている。
「第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。」
当然、この緊急事態の宣言は国会の承認が必要だが、緊急の場合には事後承認でも構わないという形になっている。
危険なのはここからだ。次の条文に以下のように記されている。
「第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。 2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。 3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、(中略)国その他公の機関の指示に従わなければならない。」
つまり、緊急事態宣言が発せられると、内閣総理大臣が全権を握ることができるのだ。
国会の承認もなく、総理大臣が全権を握るというのは、ある種の危険性がある。総理大臣が誤った判断をしたり、独裁に走ったりする可能性もあるからだ。
☆ ドイツのように憲法での「歯止め」が必要だ
僕は、他の国はどうなっているのだろうかと思い、ドイツの憲法を調べてみた。
ドイツにも、「緊急事態法制」が定められている。緊急事態の発生は、連邦政府の申し立てに基づいて、連邦議会、連邦参議院の両院がこれを認めた時に、連邦大統領がこれを公布できる。
ところが、議会が議決不能に陥った場合はどうするか。この時は、「合同委員会」制度が適用される。「合同委員会」は、「緊急事態委員会」「緊急議会」とも呼ばれ、議会が集会できない場合や議決能力が失われた場合に、議会に代わって決定を行う機関である。連邦議会議員22人、連邦参議院議員16人の計38人で構成される。
この合同委員会が、首相が独走しないように歯止めをかけているのだ。
ところが、自民党の憲法改正草案には、そういった「歯止め」がない。これは非常に危険だと思う。
☆ 憲法は外敵や国家権力から国民を守るためにある
歯止めがかからなければ、首相が事実上の「独裁」になる。何をするか分からない。極端な例を言えば、国民を戦地に行かせることも、他国に宣戦布告をすることもできてしまう。
もし、憲法改正で交戦権を認めるのであれば、「歯止め」がセットで定められなければ、こういった非常に危険なことになりかねない。
本来、憲法というものは、外敵や国家権力から国民を守るためにあるものだ。そして、緊急事態条項は、ある意味国民を縛るわけだ。もし、緊急事態条項が必要なのであれば、同時に「歯止め」を定めなければならない。
ドイツは「合同委員会」の設置を憲法の中で謳っている。そうでなければ権力者の独走を許し、国民が危険に晒される恐れがあるからだ。日本の憲法改正を考える上では、そういった点も慎重に議論すべきだ。』
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一般国民の間では、憲法改正云々という話は実感がないような感じがあるし。実際のところ、国民投票があることから、そう簡単に実現できるものではないと思うのだけど。
ただ、集団的自衛権の解釈改憲も、つい10年前までは「あり得ない」と思われていたのが、あっという間に実行に移されてしまったし。
万一、また何か大きな災害が起きたり、近隣で戦争が起きたりした場合には、国民の中に精神的に混乱する人が出て、「やはり緊急事態条項が必要だ」という主張に押されてしまうおそれもなきにしあらずなので・・・。
今のうちにしっかりと、安倍改憲、特に緊急事態条項の危険性について、多くの国民に認識しておいて欲しいと思うmewなのだった。(@@)
THANKS
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