田原総「交戦PKOは違憲」と主張。英訳できぬ駆けつけ警護~伊勢崎も現地状況を憂慮
2016年 11月 30日
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【*1、*2などの関連記事は、記事の最後にあるMoreの部分にあります。】
南スーダンに派遣された新たな自衛隊のPKO部隊は、今月から「駆けつけ警護」や「共同防衛」の任務を行なうことになっている。(-"-)
しかし、実のところ、駆けつけ警護は、英語にも訳せないような妙な任務で、その定義も実に曖昧だ。(ーー)
そして、相手が先に攻撃して来て、それに対して防御したとしても、結局、交戦を行なうことには変わりはない。(・・)
田原総一朗氏は、「『交戦』を否定しないPKOへの参加自体が憲法違反だ」という。(**)
『「駆けつけ警護」該当する英語なし 菅官房長官も認めた
J-CASTニュース / 2016年11月28日 19時3分
菅義偉官房長官は2度にわたってメモを渡されたが…
答弁の「安全運転」ぶりに定評がある菅義偉官房長官が2016年11月25日夕方の定例会見で、珍しく答弁に詰まる場面があった。
南スーダンで行われている国連平和維持活動(PKO)に派遣されている自衛隊の部隊に新たに付与された任務「駆けつけ警護」が、英語の仮訳では「kaketsuke-keigo」とローマ字表記されていることについて、「英語があるとは承知していない」などとしどろもどろになってしまった。政府は「適切な語を用いて説明してきている」と答弁してきているが、用語を政府として定めないことで「概念として明確ではなく、外国人には理解されない」という指摘もある。
安保法制懇の報告書は「kaketsuke-keigo」
このローマ字表記の「kaketsuke-keigo」が登場するのは、集団的自衛権の行使を認めるように憲法解釈を変更した14年7月1日の閣議決定だ。この中に「いわゆる『駆け付け警護』に伴う武器使用」という文言があり、外務省のウェブサイトなどで公開されている英語版では、
「use of weapons associated with so-called "kaketsuke-keigo" (coming to the aid of geographically distant unit or personnel under attack) 」
という表現になる。丸カッコ内で「攻撃を受けている、地理的に離れた部隊や隊員を助けに来ること」と説明しているものの、直接「駆けつけ警護」に対応する英語の用語は見当たらない。閣議決定のベースになった安倍首相の諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」 の報告書にも、kaketsuke-keigoの表記と、同様の補足説明がある。
民進党議員「そもそも概念としてそれが明確なものではなく...」
この問題は民進党の逢坂誠二衆院議員が16年11月15日に質問主意書で指摘し、日本維新の会の浅田均参院議員も11月22日の外交防衛委員会で取り上げた。逢坂氏は主意書の中で、
「適切な、政府として公式なものとして定めた英訳を作成する意思」
を質した上で、
「適切な英訳も用いず、日本語をローマ字に直しただけの表記を政府内の文書に使用するということは、そもそも概念としてそれが明確なものではなく、国連や諸外国の関係機関で勤務する外国人にはなおさら理解されないものである」』
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田原総一朗「『交戦』を否定しないPKOへの参加自体が憲法違反だ」〈週刊朝日〉
dot. 11/28(月) 7:00配信
自衛隊の「駆けつけ警護」を認めたことで揺れる国会。ジャーナリストの田原総一朗氏はPKOの「交戦権」に焦点を当て、憲法との関係性からその矛盾を問う。
* * *
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)をめぐり、政府は11月15日の閣議で、陸上自衛隊の派遣部隊に安全保障関連法に基づく新たな任務として、「駆けつけ警護」を付与することを決めた。
閣議決定を受け、稲田朋美防衛相が18日に、派遣部隊に対して活動範囲を「首都ジュバ及びその周辺地域」に限定する命令を出し、20日から順次現地へ出発。12月12日から駆けつけ警護の実施が可能になる。
だが、現地の治安情勢は悪化していて、国会では野党側から「PKO参加5原則は崩れている」「自衛隊員のリスクが高まる」との指摘が相次いだことなどから、閣議決定に合わせて「新任務付与に関する基本的な考え方」を発表した。「考え方」では、施設部隊である自衛隊は「治安維持は任務ではない」とし、「他国の軍人を駆けつけ警護することは想定されない」と明記。自衛隊の出動は「他に対応できる国連部隊が存在しないといった、極めて限定的な場面で緊急の要請を受けた、応急的かつ一時的な措置」と明示した。
ところが、PKOに詳しい伊勢崎賢治さんに、南スーダンの状況は、憲法との兼ね合いで設けられたPKO参加5原則の範囲内かと問うと、「南スーダンに限らず、今やPKOに参加すること自体が、あきらかに憲法違反だ」と答えた。
「実はPKOのあり方が大きく変わったのです。きっかけは1994年のルワンダの虐殺。PKO部隊の目の前で停戦合意が決裂し、住民同士の殺し合いになりました。PKOは撤退し、約100万人が死亡、国連に対する批判が高まりました」
そして99年に、当時のアナン国連事務総長が、任務遂行のために必要ならばPKOが「紛争の当事者」になって、「交戦」することを明確にしたのだという。
「ということは、停戦合意の有無は関係なく、住民保護のためにはPKOが中立の立場を放棄することもあるし、武器使用も必要最小限とは言えなくなりました」
それでは日本が掲げている「PKO参加5原則」はどういうことになるのか。
「まったく意味をなさなくなった、ということです」
日本の自衛隊には「交戦権」はないはずだから、そうなると自衛隊はPKOに参加できなくなるわけだが、国会では紛争当事者間の停戦合意が維持されているかどうかの議論ばかりが繰り返されている。自民党も野党も99年にPKOのあり方が変わったことを知らないのだろうか。そのことを問うと、「まさか、そんなことはあり得ないでしょう」と伊勢崎さんは笑って言った。
それにしても、紛争当事者間の停戦合意の維持に関係なく、交戦するPKOへの参加自体が憲法違反だということが、なぜメディアでも問題にならないのか。私自身は誠にお粗末で、伊勢崎さんに話を聞くまでPKOのあり方が変わったことを知らなかったのだが、与野党の政治家たちが、本気で国際貢献を考えているのならば、憲法と矛盾しない代替案を考えなければならないはずだ。
伊勢崎さんは、国連PKOへの財政支援、また非武装の軍事監視団に自衛隊幹部を派遣する、さらに文民警察を出すなどの代替案を示しているが、こうした論議が、国会でもメディアでもまったく行われないのは、なぜなのか。などと言っている私のほうが滑稽なのだろうか。
※週刊朝日 2016年12月2日号
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これは昨年の記事だが。田原氏の記事に名前が出て来た伊勢崎健治氏は、現地でどのような状況が起こり得るかについて書いている。(@@)
「自衛隊が市民を殺すリスク」考慮すべき 安保法制で専門家指摘
安保法制の審議が国会で進んでいる。法案には、ほかの国への攻撃に自衛隊が一緒に反撃する「集団的自衛権」を行使できるようにする▽戦争中の他国軍への補給をはじめとする「後方支援」の際、弾薬の提供や発進準備中の戦闘機への給油も可能にする▽国連平和維持活動(PKO)で、武装勢力に襲われたNGOなどを必要なら武器も使って助ける「駆けつけ警護」などの新たな任務を可能にする、といった内容が盛り込まれている。
これによって何が起こり得るのか。東京外国語大学大学院の伊勢崎賢治教授(58)は、「戦場の現実」をこう話す。
* * *
事実上、内戦状態にあるアフリカの某国。PKOに派遣された陸上自衛隊員たちが道路整備の作業中、銃声が聞こえ、地元住民が逃げ込んできた。追ってきた対立民族の民兵と自衛隊が銃火を交わす──。
これは、陸自が現在派遣されている南スーダンで明日起きてもおかしくない事態です。安保関連法案について議論する以前に考えてもらいたいのは、自衛隊の海外派遣は「軍事組織ではないものを海外で軍隊として行動させる」という意味で、土台からおかしいということです。
停戦合意の監視や、人道援助をするNGOの保護を主な目的とし、中立性を重んじてきたPKOは大きく変質しました。ルワンダで1994年に起きた大虐殺を、現地のPKO部隊が防げなかったことがきっかけです。議論の末、「住民の保護」がPKOの最優先の任務になりました。コンゴ民主共和国には、武装勢力を攻撃して「無力化」する任務を課された部隊が置かれました。PKOが戦闘の当事者となる可能性は格段に高まっているのです。
安保法制ができれば、自衛隊のPKOについても任務の幅が広がり、「駆けつけ警護」や現地の治安維持を担えるようになる。自衛隊が戦闘の当事者になる可能性はさらに高まります。
そこで考えなければならないのは、「自衛隊員が現地の一般市民を殺すリスク」です。戦う相手は正規軍ではない。現地の武装勢力の民兵は地元住民に紛れていることも多い。「戦闘員か非戦闘員かは相手が撃ってくるまで分からない」のが、そうした戦場の常識です。実際、PKOではありませんが、イラクやアフガニスタンでは米兵などが一般市民を誤って射殺する事件がたびたび起きています。
私は2000年に、東ティモールのある県でPKO部隊や軍事監視団などを統括する役職に就きました。この時、ニュージーランドの部隊が武装勢力に襲われ、1人が両耳を削がれ惨殺される事件がありました。弔い合戦のような雰囲気になり、700人以上が総動員で目撃情報をもとに武装勢力を追い詰め、十数人全員を射殺しました。武装勢力とは交戦状態にあり、合法的な軍事行動でしたが、射殺した相手がすべてメンバーだったかどうかの確信は持てませんでした。
※AERA 2015年7月20日号より抜粋
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残念ながら、私たちはこの安保法制成立を阻止できなかったわけで。今は、ただ自衛隊が交戦せずに済むようにと祈るしかないmewなのだった。(@@)
THANKS