ライブドア事件は新自由主義経済への「警鐘」になるが、市場にここまで影響するのはおかしい。

 16日、あの堀江氏がCEOを務めるライブドア社&関連施設に強制捜査がはいった。
 昨日の時点では事情もよくわからず、大した件でもないのに捜査にはいって、17日の
耐震偽造問題の証人喚問から目をそらす策なのではないかという話まで出ていたが、どう
やらライブドア本体も含めた粉飾決算や株価操作&不正利益取得の容疑があるらしい。

 堀江氏などの新自由主義経済の申し子たちに関しては、以前にも何回か書いたことがある
が<文末*1>、これは現在の経済社会や企業経営のあり方、そしてイケイケの新興企業の営者たちに対し、ある種の警鐘をもたらす事件なのではないかと思う面がある。
 
 しかし、その件は後述するとして、正直なところ私が驚いたのは、株式市場にここまで
大きな影響が出ていることである。
 どうも強制捜査が16日の夕方からはいったのは、単に日本の株式市場の終了(15時)
を待っただけでなく&その日は米国市場がお休みという点まで考慮してのことだったという
話があるのだが。検察庁が市場への影響を配慮したにもかかわらず、東証の日経平均は17日
18日と400円単位で下落した。しかも、18日には東証の売買システムが注文件数をこな
し切れないような状態になり(個人投資家の小口のウリ注文が殺到したらしい)東証社長が
「できるだけ注文件数をまとめて欲しい」と停止の可能性と警告のコメントを出したものの、
結局14時40分に全面的に売買停止される事態となり、19日以降も要注意だという。

確かに、今年にはいってから市場はやや加熱気味で、個人的には少し押してカームダウン
した方が(株価が少し下がって落ち着いた方が)いいのではないかと思っていたし、その
きっかけを探っていた関係者も少なくないと思う。だから、16日の報道が出た時に、これ
でITやベンチャー関連にウリが出て少し押すかなと思ったのであるが、ほぼ全面的に下落
を見せた上に、システムダウンの危険まで生じる始末になった。小口の個人投資家が狼狽ウリ
をして(ウリ好きも活動して?)、ウリがウリを呼ぶような形になったと思われる。しかし、
果たしてここまで市場に影響を与えるような事件なのか疑問に思う面も強い。

 ライブドア社は、特に近時、堀江氏のキャラや目立った言動に対してマスコミが注目を
していることもあって、世間一般での知名度こそ高くなっているが、日本の経済社会や株式
市場の中では、末端に位置するようなごく小さな会社である。こう言っては失礼かも知れ
ないが、客観的に見れば、ライブドア&傘下の会社が潰れたとしても、日本の経済や社会に
の大勢にはほとんど全くと言っていいほど影響がない。それだけ社会の中で実体的に大きな
役割を担っているというような会社でもないのである。<もちろん株主や関係者、利用者は
困るだろうし、気の毒だと思うが、それこそ自己責任の原則なので仕方あるまい。>
 それにもかかわらず、これだけ市場が混迷するのは、少し異常なのではないかと思う面が
ある。他の企業や一般投資家の中には、いい迷惑だと思っている人も少なくないのではない
だろうか?


*1

村上、三木谷、堀江は新自由主義経済の申し子たちかも(1)(2)
 http://mewrun7.exblog.jp/1553634
 http://mewrun7.exblog.jp/1643204

三木谷氏ら新自由主義の申し子たちvs日本型経営
 http://mewrun7.exblog.jp/1793248

<つづきは ↓Moreの部分をクリック>



実は、昨年の12月に堀江氏を中心とした例の三氏についての記事を書いてあったのだが、
ちょっと手を加えてからアップしようと思っていたら、PCの異常で緊急リカバリをすることに
なってしまい、その際にファイルも消失させてしまったのだった。(同様に、官民ものや治安関係
についてチョコチョコ書き溜めていたものや資料も消えてしまった。<涙>。)

 その時に私が書こうとしたのは、堀江氏を評価している部分があるものの、彼が少し勘違いを
始めたことや、急ぎすぎて誤った方向に行こうとしているのではないかということ、そして新自由
主義的経済社会やマネーゲームを普及、加速させようとすることの問題についてであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 実のところ、私は三木谷氏、村上氏を含めた三氏の中では、堀江氏に一番好感を抱いている
ところがあった。というのも・・・村上氏や三木谷氏が、小さい頃から都市部で家庭&経済環境に
そこそこ恵まれた中で育っている。村上氏は(灘高→)東大→通産省、三木谷氏は一ツ橋大商
→興銀(ハーバード留学MBA取得)というエリート的な経歴を持ち、その中でそれなりの人脈や
経験や資金なども得ることができたように思う。だが、堀江氏はどちらかと言えば、田舎の特に
裕福ではない一般家庭で育ったようで(私立高卒ではあるけど)、東大に入学したものの在学中
に会社経営を始めたこともあり中退。本当に小さな会社からここまでほとんど自分の力でのし
上がって来た、いい意味での独力成り上がりだからである。
 頭脳は優秀のようであるが、正直なところ、外見もさほど恵まれているわけでもなく、もともと
そんなに口が上手いわけでも社交的なわけでもなかったときく。だが、彼はアタマを使い、カラダ
も使い、創意工夫や努力や学習を重ねて、今の地位を築いて来たように思われ、その点でも
おおいに評価ができた。
 また、たとえば、近時衰退して廃止の危機に瀕している地方競馬に助力をしようとしている
部分にも好感が持てた。(*1)伝聞ではあるが、昔は仕事や経営に困っていた知人を損得
抜きで助けたこともあるときく。そういう情を大切にするようなところもある人らしい。

 彼の名とライブドアの社名が世間一般に知られるようになったのは、04年に近鉄球団買収に
名乗りをあげ、またプロ野球に新規参入しようとした時だったと思うが。その時に一般人から
受け入れられ人気ものになったのも、その経歴やホリエモンと呼ばれる風貌、一般の若者に
近い言動などによって親しみやすさを抱かれたからなのではないかと思われる。
 また、いかにも旧体制的なプロ野球機構(&ナベツネ氏)や、あとから出現して来たエリート系
の三木谷氏と戦おうとする姿にも、共感を抱いた人も少なくなかったかも知れないとも思う。

 だが、他方で2~3年ぐらい前からだったか、ライブドア(旧・エッジ社*2)の経営手法が、かな
り強引であるとか、方向性が大きく変わって来た(スタッフもどんどん変わった)とか、常識や法律
スレスレのことをやっているとかいう話が出始めた。ギリギリの資金繰りでやっていた時期もあり、
(様々な面で)「一つ間違えるとヤバイんじゃない?」という声をきいたこともある。
 00年にマザーズに上場し(当時はオンザエッヂ社)、インターネット関連事業を中心にやって
来たのが、特に03年頃から異業種との提携や、株式を武器にしてのM&Aに力を入れるように
なった(03年にはe-bankとの提携でトラブルが生じている)。ライブドアは本社はポータルサイト
事業を行なっているが、その収益はわずかしかない。グループを支えているのは、これも買って
来た証券、ファイナンス(消費者金融)部門の収益なのである。これがライブドアは実体のない
会社だと言われるゆえんにもなっている。
 また、03年以降、10分割、100分割、10分割と、総じれば短期1万分割をするような株式分割
を実施したことも問題視された。特に03年異例、驚異と言われた株式100分割で株価が大きく
上昇して、多額の資金や売却益を得たり、株式交換によるM&Aでうまみを覚えたのか、04年
にも自社や関連会社の株式を分割した。それが要因となり、東証側から株式分割は1:5までに
するようにというお達しが全企業に出されることになった。
 これらも今回の強制捜査に関わる問題につながるのかも知れない。

 そして、堀江氏は04年にマスコミに大きく取り上げられたことが個人的にも快感だったのか、
また会社の知名度や株価アップもできて一石二鳥だと思ったのか、その後、マスコミに注目され
るような言動を続け、TV等でタレントまがいの活動もするようになる。
 また04年のプロ野球の新規参入やニッポン放送&フジTVの買収問題で、自分自身や会社が
低く評価されたことを悔しく思ったからなのか、ステータスや有力なバックを獲得しようという動き
が見られるようになる。05年に無所属ながらも自民党をバックにして総選挙に出たのも、おそらく
は注目度の高い亀井氏のいる広島6区を選んだのも(地元の有力関係者が知り合いだったことも
あるのかも知れないが)、そのような思いが働いたからではないかと思う部分がある。さらに、選挙
では落選したものの、自民党とのパイプを持った彼は、経団連に入会を認められた。そして今度
はプロ野球の広島球団を買収すべく動いていた時でもあった。

            <つづく>  THANKS

 *1 
  堀江氏は学生時代から競馬が好きで、会社経営でそれ相当の収入を得るようになってから、
 競走馬を所有しようとしたが、20代半ばの小さな会社の経営者では中央競馬で馬主として認め
られるのは難しかった。だが、高崎競馬は彼を馬主として受け入れてくれ、彼はそのことを大変
嬉しく思ったそうだ。彼は今では中央競馬の馬主登録もしているが、経営危機で廃止寸前にあった
高崎競馬の救済は不調に終わったものの、同じく廃止の危機にある高知競馬のスポンサーとなり、
元・中央競馬所属の所有馬「ホリエモン」を高知で走らせている。

 *2
  かつて、知人宅の近くに「ライブドア」という名の無料(格安)プロバイダーを業務とする会社が
あった。実は、知人がこのプロバイダーと契約するか否かで悩んでおり、一緒にパンフを見て検討
したことがある。しかし、この会社は経営に行き詰ったようで、堀江氏の手に渡ることになる。堀江
氏はこの名が気に入ったのか、04年に自社の社名を「ライブドア」に変更した。ちなみに、今、
渦中の人になっているライブドアの取締役の宮内氏は、旧・ライブドア社に関与していた人だった
のではないかと思う。(彼は税理士の資格があるらしい。)
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by mew-run7 | 2006-01-18 19:05 | 新自由主義&小さな政府 | Comments(14)

Commented by Yin Yan at 2006-01-18 20:01 x
的確な内容で参考になりました。
ホント、なんか変なんですよね、すべてが。。。
Commented by at 2006-01-18 23:55 x
http://zaraba.livedoor.biz/flash/horienoken.html
すばらしい出来のフラッシュだよ。

急落は、あくまでもライブドアがきっかけで先週後半から、罫線上おかしかったよ(全体の雰囲気がね)
先物の手口等、マニアックに研究してみるといいよ。
そんな時間などないだろうけど、、。

でもね、これが相場。
厳しい言い方になるけど、なんちゃってトレーダーは負ける運命。
株式でも何でも、コツコツやったもん勝ち。
あんまり書いてもあれだからもう寝る。
Commented by mew-run7 at 2006-01-19 07:54
Yin Yan さん、コメント有難うございます。

ほんと何だか変です。
海外市場も影響を受けているようで・・・。
早く日本の経済も、市場も落ち着いてほしいです。
Commented by mew-run7 at 2006-01-19 07:59
若さん、コメント有難うございます。

フラッシュ、見ましたよ~。
こういうの、何か話題が出るとすぐ作る人がいますよね~。
PCがさ~っぱりの私には、神業に見えてしまうです。

私は、「正しい投資家」なので、そんなマニアックな研究はしませんが。(笑)
ただ、少し下げるきっかけは欲しがっている感じでしたよね。

一個売り損なって、ちょっと哀しいのがいるけど。
早く落ち着いてほしいですぅ。
Commented by ニケ at 2006-01-19 08:47 x
>果たしてここまで市場に影響を与えるような事件なのか疑問に思う面も強い。

そうですねえ~、株をやってる人が全て経済の実態把握が出来る人ばかりなら、ちょっとした不祥事の発覚程度で居られるでしょうが・・
株式市場を資本主義経済社会の根幹を成していることにあまり理解できず、ただ金儲けの場として参入してきた人には株価の下落は命取りでしょう。
信用取引をやっている人にはマネックス証券の決定は死亡宣告にも等しく、また東証の上場廃止についての動きもライブドア関連株のみ信用して買っていた投資家には紙くず同然になるのだから深刻なんて通り越した状態でしょうね。

今はもう死語になったのでしょうか?「資産株」・・って

昔は、素人は投機的な株式投資はしないほうが良いといわれていましたが、今はどの株も投機で動いてるように思います。
Commented by Hanako営業 at 2006-01-19 10:49 x
初めまして、いつもキッチリと読ませていただいております、トイレットペーパー販売ブログ Hanako営業と申します。

今回の騒動、確かにmew-run7さんの仰るように、ここまで波紋が広がるのは正直「オカシイ」と思います。
それだけ、情報という不確かなモノに左右される人が多いということなのでしょうね?
私も、これを教訓に。、「自分の目で情報を見極める」ことをしっかりと行うようにしていきたいと感じました。

本日、突然TB&コメント、事後報告ですが記事リンクをさせていただきました。不適切の場合には、お手数ですが削除をお願いいたします。

では、また寄らせていただきますので、今後もよろしくお願いします。
Commented by 虎哲 at 2006-01-19 12:12 x
こんにちは。
あまり目立ちすぎると追い落とされる、そういうことでしょうか。
三木谷・村上氏なんかは既成勢力とも手を握ることをいとわない。
堀江氏にはそもそもその人脈がないので成り上がるしかなかった、と。

「時価総額世界一」という目標からは、世の中を積極的な方向に持っていく哲学は感じられませんでした。
堀江氏は本当の勝者にはなれないだろう、という予感はあったのですがね。
Commented by YUKI-arch at 2006-01-19 13:44 x
僕は時代を変えるには、鬼っ子も必要だと考えています。
ここ数日の中で、彼らの限界も見えていますが、風穴を開けるにはまだまだパワー不足です。もう少し、活躍してもらい、現代資本主義の問題をあぶり出してもらいたかったと考えています。その意味では残念です。
Commented by mew-run7 at 2006-01-20 02:58
ニケさん、コメント有難うございます。

株式投資は、もうほとんど投機というか、バクチですよね。
特に小口の個人投資家は、元になる資金が少ない分、
中長期でじっくりとか、利子がわりに配当をとかいう投資は
できないでしょう。
それに、各証券会社も素人相手に、信用取引を簡単にさせ過ぎでは
ないかと思うです。

マネックスの対処は、早かったですね~。
ここで担保価値をゼロにしていいのかどうか、ビミョ~な問題もあります
が、賢明な措置と言えばそうかも知れないとも思います。
Commented by mew-run7 at 2006-01-20 03:02
Hanako営業さん、TB&コメント有難うございます。

はじめまして。長&拙文にもかかわらず、「きっちり」読んで下さって
いるとのお言葉、うれしゅうございます。(涙)

今、マスコミもおかしくなっていますし、市民が「情報をみきわめる目」や
「マスコミを監視する目」が本当に大切だと思います。

こちらからもTB&コメントさせて頂きました。
これからもよろしくお願いいたします。
Commented by mew-run7 at 2006-01-20 03:06
虎哲さん、コメント有難うございます。

年齢や経験もあるのでしょうが、村上氏や三木谷氏の方が、社会的に
という意味では、ちょっと賢いかも知れませんね。

確かに時価総額も大事なものではあるのですが。
そういう不確かな目に見えないものを信奉してしまうのが、いかにも
新自由主義の申し子のように思えます。

Commented by mew-run7 at 2006-01-20 03:16
YUKI-archさん、コメント有難うございます。

私も堀江氏には期待する部分もあったのです。
国民の中にも、そういう人は少なからずいたのではないでしょうか?

でも、彼は少し急ぎ過ぎたように思います。
そして何より、合法的にコトを進めなければなりません。
またスタッフも含めて、目先の数字や、自分たちの策にハマり
過ぎたかも知れないとも思います。

もう少しうまく段階を踏んでやっていれば、と・・・
残念に思います。




Commented by at 2006-01-20 21:47 x
ちょいとマスコミが煽りすぎちゃうの?
信用取引もやらなきゃええやん。
あのグループを担保にしてたこと事態、俺には考えられん。
マネックスは最後まで信用取引を始めさせなかった証券会社。
個人投資家のほとんどが安易に信用やりすぎじゃ。
大ちゃんの警鐘がいずれ認められると思うけど。

んが、証券界のカモである個人投資家にもっと負けてもらわないと困る証券会社はあまり賛同しないかもね(笑)
Commented by mew-run7 at 2006-01-21 06:38
若さん、コメント有難うございます。

今頃知ったこと・・・ライブドアって、1単元株で数百円だったのね。<汗
そんな株を担保にしたら、あかん。

マジメな話、そんな一般素人に簡単に信用取引をさせるのは、
中高生の取引を認めるのと同じぐらいにモラルに反する気がします。

個人投資家を相手に儲けようって言うのも、情けないですよね~。