堀江氏逮捕に思うこと(7) ~バブルの「カネのためなら何でもあり」を横目で見ていた世代~
2006年 02月 09日
私はこのバブル期が、日本をと~ってもダメにしてしまったと思っている。そして
バブルがはじけたあと、何で大人たちはもっとあの時期の問題点を考えたり、反省
したりして、日本の社会全体をいい形で立て直そうとしなかったのかと思ってもいる。
そのツケがここに来ているのではないだろうか?
だから、(4)でも少し書いたが、TV等で年長のコメンテーターやら政治家、経済
人やらが、堀江氏やライブドア社のことを「カネで何でも買えるなどという拝金主義は
よくない」「ライブドア社は実体がない会社だ。本業そっちのけで、金融や株式、M&A
だけで稼いだり、会社の規模を大きくしようとしている」「時価総額のような数字だけに
とらわれ過ぎて、企業理念がない」「違法スレスレとか違法性のあるような強引な手法
ばかりとっていて、企業のモラルがない」などなど、いかにもというようなしたり顔で
批判するのを見ると、何だか腹が立って来る時があるのだ。
私は問いたい。小一時間、問い詰めたい。
「じゃあ、あのバブル期は何だったのか?」と。「あなた達は、あのバブル期に何を
していたのか?」「あの時のことは、もう記憶にないのか?」と。
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日本がバブル景気にわいたのは、86~91年頃のことである。
ちょうど85年頃から、米国ではレーガノミックス、英国ではサッチャリズムと呼ば
れる新自由主義的政策が行なわれるようになった。そして米国の要請でG5がドル高
抑制に協調介入をしようと決めたプラザ合意が、円高につながり、バブル景気を呼ぶ
きっかけになったと言われている。
当時、日本の首相は中曽根康弘氏だった。彼は82~87年まで長期政権を務め、
レーガン大統領とは「ロン、ヤス」の親密な関係を築いていた。また行政改革を熱心
に勧め、日本を支えて来た三公社<電電公社(現NTT)、専売公社(現JT)、国鉄
(現JR)>の民営化を行なった。<他にも色々な面で小泉首相と重なることが多い
首相であった。> 日本に新自由主義を導入した人だと言えるかも知れない。
バブル期の説明に関してはwikipediaなどを参照して頂くとして。ここでは、できる
だけ堀江氏と同世代の人たちから見て、バブル期はどのように目に映ったのだろうかと
いう視点から、書いてみたいと思う。
<バブル経済 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB%E6%99%AF%E6%B0%97>
72年生まれの堀江氏はバブル期には中高生だったことを考えて、当時の高校生ぐらい
の目から見た感じで、社会を振り返ってみたい。
ともかく、この時期、何故だか土地や株式が(ゴルフ場等の会員権とかも)ブンブンと
値が上がって行った。実際の価値なんてお構いなしに、2倍、3倍と右肩上がりに上がっ
て行くのである。(知り合いの家の土地は、10倍まで上がった。)
で、私が先ほど腹が立つと言ったのは、当時の企業の経営活動は、まさにカネ儲けに
走った拝金主義で、企業理念もモラルもへったくれもないようなことをやっていたよう
に思うからである。
何故かって、この頃、多くの企業は本来の業種で儲けることよりも、会社の総資産額
や含み益を増やすことに一生懸命になって、土地を買いまくったり、土地の売買や
マンション、事務ビルや都市の地域開発とかリゾート開発などで利益を得たりしようと
していたのだ。しかも、後述するように地上げやら政官との癒着やら、違法スレスレor
違法性のある手段を使っていたところも少なくない。
<ライブドアのやっていたと言われることと、あまり変わらないでしょ? 時価総額→
総資産額、株式とかM&Aで集めた会社→土地(株式も)の違いがあるだけなのだ。>
もう経済界全体がイケイケ状態になり、「東京23区の土地だけで、アメリカ全土が
買える」とか豪語する人がいたほどで、日本で飽き足らなくなった企業は、海外の不動
産に手を出すようにもなった。あちこちのホテルとかリゾート地とか、ついにはNYの
シンボルの一つロックフェラーセンター(クリスマスツリー&スケート場で有名な
高層ビジネス・ビル群)まで買収してしまったのである。この頃、外国人の中には、
カネにものを言わせて他国の不動産を買いまくる日本人や企業を、ちょっと顔をしかめ
て見るようになっていたし、日本人の中にも「チョット節操がないな~」と思う人も
出ていたように思う。何だか札ビラを見せ付けて「金だけは持ってるゼ~」とニヤつい
ているような「品のない成金」みたいな感じに見えた。
当然、不動産が動くとなれば、不動産業者や銀行等の金融関係の企業が活躍すること
になる。不動産関係の企業は小さいとこも含めて、右から左に土地を動かすだけで、
めちゃ儲かる時代であり、いわゆる「土地転がし」をするところも多かった。そして、
だんだん大手企業と組んで都市部の地域開発や、観光地のリゾート開発(ゴルフ場、
遊興施設、ホテルなど)を手がけるようになり、計画地の土地を手に入れるために
あらゆる手を使った。しつこ過ぎる営業をしたり、現金を見せつけたり、周囲の者を
お金でつって圧力をかけたり・・・やがては、暴力団などを使って脅迫をしたり、
トラックで家に突っ込んだりなどなど、いわゆる「地上げ」なども行なわれるように
なる。たぶん、土地売買の絡みで死傷した人も少なからずいたと思う。
銀行も貸し出し競争が激化して、高騰する土地を担保にバンバンお金を貸し付けて
行った。投資信託銀行なんかも絡んで、企業や個人にしつこく不動産売買やマンション
建設やらを勧め、中には企業に対し「もし融資を受けないなら、取引をやめる」とか
脅迫まがいのことまでしてお金を貸し付けるところまであったという。
<変な話なんだけど、こういう例は私の周囲にも実在した。>
長くなって来てしまったので、あとは手短に書くが、当然、建設業界も絡んでいる
し、土地開発には国会議員や各地の議員や役人も絡んでるし、カネ・カネ・カネ+
地位である。(高騰するゴルフ会員権とかの債権も大きな武器になっていた。)
有名大企業も銀行も議員も誰も、みんな裏にアクドイことが行なわれていたのを
わかっていたはずなのに、われ関せずみたいな顔をして、ただただ利益追求、資産
増強に走ったのである。本当に「何でもあり」の世界に見えたのだ。
株式投資については次稿に書くが、証券会社は大口の企業や相手には、損失補填
なんてしてあげたり、暴力団やそれに類する団体の資金を運用してあげたりして、
儲けていたのである。
また地方のリゾート開発では、山や丘を崩し、畑や森林を切り開き、農薬をバラ
まき、環境破壊をしまくっていた時代でもあった。
(わかりやすいイトマン事件 <コチラ> その他バブルのエピソード<コチラ>)
当時、高校生だった人は、直接こういうお金儲けに関わる機会はなかったけど、
<家が急にリッチになったという人はいたかも知れない>TVのニュースや新聞や
雑誌などを通じて、毎日のようにこの光景を見せ付けられていた。むしろ、この得体
のわからぬ乱痴気騒ぎの外にいたからこそ、見えるものもあったかも知れない。
「コツコツ地道に努力を」「世の中、お金が全てじゃない」「自分のことばかり考え
て、私利私欲に走ってはいけない」「他人様(ひとさま)に迷惑だけはかけるな」
・・・そう言われて育って来たのに、TVで見るバブル期の日本の光景は全く違う
ものだったのは確かだった。
それは企業だけではなく、個人としての大人たちの姿もそうだった。
<つづく> THANKS
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私は経済を勉強した?わりには経済に疎いです。まず、土地は個人のものではなく万人に共通に与えられるべきだと思います。(難しいでしょうが)だから土地成金がいたあの頃はそういう人を軽蔑しました。誰のものでもないのに何故たまたま土地を持っているだけでお金がはいるのだ?って思いました。それはちょっと「マルクス主義」に近いものがあるかもしれません。(今は跡形もないか・・)
話は違いますが、私は学生運動盛んなりし頃はまだ中学生の頃だったようなきがします。あの頃の時代をその当事者達がそれこそ総括しないとなんであんなに騒いだのかの意味がないと思います。
ただ黙ってるだけじゃ時代としての存在が空白になってしまうと思います。
東京のどこだったかは忘れたけど、画商の多い通りで、400万で買った絵を、300mはなれた画商で売ったら500万になったとか聞いたことがあります。
その頃、東京にいたはずなのに・・・。
誰も教えてくれなかった。(爆)
まあ、知らなくて良かったことだとは思いますが、おいしい思いもしてみたいなというのが実感。(笑)
学生運動で騒いだ世代は、今は55歳前後でそれなりの地位もあるし、収入もあるはず。多分、昔自分が学生運動に参加していたと言えばマイナス評価が下るでしょう。
もっとも今から騒いでいただいて結構なんですが、セクハラに走らないでねと言いたいところ。(笑)
話は戻りますが、バブルは日本をダメにしたし、チャンスを与えたと私は思ってます。
堀江ライブドアも、もし違法性のあることをやっていれば、それはそれで
よくないことなのですが。
バブル期の企業がやっていたことを考えると、ホリエモンのやっていたこと、言っていたことは、小さなことにさえ見えてしまうところがあります。
しかも、共に悪事を働いていた銀行を、公的資金なる税金で助けちゃったのですから。(大蔵省の罪滅ぼしなのでしょうか?)
その彼らが、今度は構造改革の名の下に、また小バブルを期待して、
アレコレ画策しているかと思うと、日本は本当に失敗から学ばない国
なのだな~と思うです。
そちらにもTB&コメントをしましたが、私も憲法改正問題は、常に意識
して、こちらでも取り上げて行きたいと思っています。
土地は誰のものなのか・・・に始まり、資本主義(私有財産制)のあり方
というのは、すごく難しい問題だと思います。
時々ブログにも書くのですが、実は私は「思想」的なものに、全く疎いのです。学校の世界史や政経、政治学で習った範囲のことぐらいしか知り
ません。
ただ、私の中では、イデオロギー(論争)は終焉を迎えてしまったのでは
ないかと考えているところがあります。
学生運動が華やかりし時代というのは、今の日本にいたる過渡期なの
かな~というとらえ方をしています。敗戦で米国型の自由民主主義
&資本主義が日本にドドッとはいって来て、果たしてそれでいいのか
という問いかけだったようにも思うです。
イトマン事件でも登場しましたけど、あの頃は絵画も上がりましたね~。
何か海外のオークションで、日本人がカネに任せて、次々と名画を
買いまくったりもしました。
きっと「ろくに芸術もわからないエコノミック、アニマルが」と思った人も
いるかも知れません。^^;
バブルのおいしい思い・・・もし、していたら人生観が変わったでしょうか?
実は学生運動時代に活躍した、50代後半の方々は、バブル時にも
おいしい思いをされた方々が多いようなんですよね~。
ただ団塊の世代の方々も、戦後間もなくに生まれて、日本が本当に
大きく変化して行く年代を過ごして来た分、時代に適応する感覚が
備わっているのかも知れないな~と思ったりします。
バブルがチャンスを与えた・・・というのは、私もそう思います。
学歴社会とか序列社会なども一緒に崩壊しましたものね。
しかし、同時に価値観も混沌としてしまったように思います。
このあと、そちらもチョット書いてみたいかと思っています。
seven-upさんの世代の方々の時には、日本の企業はまさに「モノ作り」を進めて
まさに「優れた技術と製品」で日本の文明や経済を成長させたり、世界と対抗でき
る国にしたりしたのだと思います。
TVや知人を通じて見聞するに、各社の研究所は以前は新たなものの開発はもちろん
十年、二十年、さらに先を考えて様々な研究に取り組んでいたところも少なくなかっ
たとのこと。この時代は作る側(売る人も含め)にも、利用する側にも夢やワクワク
感があったような気がします。
近々、バブル崩壊後についても書く予定ですが、このような分野で言えば、何だか
目先の商売に追われて長いスパンでの研究や開発の予算が削減されがちだときき。
資源のない日本としては、方向性が違うのではないかな~と思われ、残念です。
ある意味では、学生運動も自分たちが国を作るとか変えるんだというエネルギーの
現れだったようにも思います。(一部には、流行みたいになっていた部分もある
とききますが。ただ、ものを考えようとしていただけいいかも知れません。)
でも、今の子供たちや若者たちは、物質的には恵まれていますが、本当に夢やワク
ワクした気持ちなどが持てなくなっているように思います。前向きな気持ちやエネ
ルギーも持ちにくいですしね。しかも、格差社会が広がれば、ますます夢もなくなる
し、治安も悪くなってしまいます。何かPCや携帯電話のせせこましい世界を中心に
生活て行きそうな感じもしています。何とかここで、もう一度日本のあり方を見直して
欲しいと願っています。
るるどさんは、80年代後半には日本を出られたのですね。次回アップしますが、
るるどさんが前回書かれていたように、ここから日本は(特に女性の目から見て)
最悪の時代を迎えます。当時は、海外での日本人の評判はあまりよくなかったよう
にも思います。(エコノミックアニマルなんて言葉もありましたし、観光客のマナー
もヒドかったようですし。^^;)
日本はもともとは「むら社会」で、長い物に巻かれたり、出る杭は打ったりなど
よくない面もありましたけど、お互いに助け合う部分も強かったですし、誠実さ、
思いやり、節度などを重んじるという面ではいいところもあったように思うのです。
それが高度経済成長を遂げ、80年代ぐらいからどんどん崩れてしまったように
思うのですが。
私は日本にはアメリカ型の社会は合わないように思っていますし、何とかバブル期&
その崩壊で失った日本のよいところを、もう一度取り戻して欲しいと思っています。