新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が13日午後、参院本会議で、賛成多数で可決、成立した。早くも今日14日に施行される。
安倍首相は、これを受けて、今日14日夕方にも会見を行なうそうだが。果たして「緊急事態宣言」をするのか、またどこまで国民の行動を具体的に制限するのか、注目されている。(・・)
<緊急事態宣言が発令されると、都道府県知事は、期間や区域を定めた上で、住民に不要不急の外出自粛を要請できる。また多くの人が利用する学校や社会福祉施設、映画、音楽、スポーツなどの「興行場」の使用制限を要請、指示できる。
病院が不足するような事態では、所有者などの同意を得て土地や建物を使用できる。一定の条件を満たせば同意がなくても使用できる。医薬品や食品の所有者が売り渡し要請に応じない場合は収用の強制措置も可能だ。また事業者には保管を命令できる。運送事業者には緊急物資の輸送を要請、指示できる。(共同通信20年3月13日より)』
しかも、今は官邸独裁政権を築き、人権感覚に乏しい安倍晋三氏が首相を務めていることから、尚更に、このような権限を与えていいのか、懸念する声も多い。(-_-;)
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この新型インフル特別措置法は、もともと2012年、民主党政権が作ったものだが。自民党は法案の決議で反対した。<今の野党以上に、何でも反対の野党自民だったのよね。^^;>
野党は1月末から、この法律の活用して早期の対策を行なうことを提案。新型コロナウィルスは、同法条文にある「新感染症」に当たると言っていたのだが。安倍自民党はなかなか動かず。2月末になってから「法改正しないと使えない」と言い出した。
その最大の理由は、どうも自分たちが反対した&悪夢の民主党政権が作った法案を、そのまま使うわけに行かないということだったらしい。(-_-;)
安倍首相は、先月29日の会見では自分でも「未知のウィルスとたたかい」だと言っていたのに。急に「WHOが名前を決めたので、既知のウィルスになった」とか、(安倍内閣にはよくあることだが)子供のへ理屈みたいな主張し出して、野党に法改正への協力を求めた。
野党側は「改正の必要がない」と主張。もし改正する場合も、「権利の制限には、国会への事前報告が必要とすべきだ」などと主張したのだが、安倍自民党は日程を急いでおり、多数箇所の改正を望まず。
与野党が協議した結果、①やむを得ない場合を除き、国会に事前報告、②緊急事態宣言は専門的な知識に基づいて慎重に判断、③施設の利用制限などを要請する際は経済的不利益を受ける者への十分な配慮、④政府対応の客観的、科学的検証-などを付帯決議に盛り込むことで合意した。
そこで最初から賛成の「よ党」維新や立民、国民、社民党などは賛成に回ったのだが。<基本的には、自分たちが作った法律だしね。>ただし、共産党とれいわは反対。立国社会派の何人かが反対や欠席をした。
この欠席の大きな理由について、mewは驚くべきニュースを目にした。
何と内閣府の宮下一郎副大臣が、11日の参院法務委員会で、立民党の山尾志桜議員の質問に対して、緊急事態制限が出されたら「法の枠組みとしては、民放を指定して放送内容を変更、差し替えをしてもらうことは趣旨に合う」と答弁したというのだ。(゚Д゚)
野党側が「国民の知る権利に影響を大きく与える」などと反発し、険悪な状況のまま、衆院本会議の決議がなされたという。(^_^;)
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しつこいと思われるかも知れないが。いつも書くように、基本的人権の中でも、表現の自由(報道の自由なども含む)は、民主政治の根幹となるものゆえ、最も重要視されるべきものとされている。
TV放送も、NHK、民間放送にかかわらず、言うまでもない。(**)
でも、ふだんからメディア支配に力を入れている安倍内閣のメンバーは、それがわかっていないのである。(-_-;)
『新型コロナ特措法で報道介入? 混乱招いた副大臣の勇み足...政府あわてて火消し
新型コロナウイルス感染症を適用対象に加える新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案をめぐり、政府の報道介入を懸念する声が上がっている。内閣府の宮下一郎副大臣が衆院法務委員会で、特措法上、報道機関に「放送内容について変更、差しかえをしてもらうということは本来の趣旨に合う」と答弁したためだ。
野党の追及に、西村康稔経済財政・再生相は「そういう法律ではありません」と、放送への介入を事実上否定した。
■マスコミは政府の言いなりに?
2020年3月13日に成立した特措法では、新型インフルエンザなどの緊急事態において、首相や都道府県知事が「総合調整に基づく所要の措置が実施されない場合であって、新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは(中略)指定公共機関に対し、必要な指示をすることができる」と明記されている。この指定公共機関にはNHKが含まれる。
2020年3月11日の衆院法務委で、立憲民主党の山尾志桜里衆院議員は、NHK以外の民放も指定公共機関に指定しうるか政府側に質問した。
宮下氏は「違法ではない」と答弁し、「今回民放は指定しませんけれども、法の枠組みとしては民法を指定して、そうしたことであれば、今この情報を流してもらわないと困るということで指示を出す。そして放送内容について変更、差しかえをしてもらうということは本来の趣旨に合う。そういった事はあり得るものだと思います」と報道規制も可能であるとの見方を示した。(J-CAST20年3月13日)』
<先週、『省庁が羽鳥ショー名指しで反論ツイート&危険な安倍のメディア支配+この補償じゃ中小企業が潰れる』に書いたけど。たぶん安倍官邸や自民党の中には、この件で政府批判をされることに、かなりの不快感や抵抗を感じている様子。こんな答弁をされると、安倍批判するワイド・ショー潰しに走る気なのかと思っちゃう。(~_~;)>
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実際のところ、山尾氏らは、もともと特措法改正には反対の立場だったのに加えて、この宮下氏の答弁に大きな問題や反発を感じて、12日の衆院本会議で反対票を投じたという。^^;
しかし、宮下副大臣は13日になって、ようやく自分の答弁を撤回、謝罪したという。
『立憲の杉尾秀哉参院議員はこの答弁に反発し、13日の参議院内閣委であらためて政府の見解を質した。
西村氏は、「(民放の報道機関は)指定はしておりませんし、今後そのようなことは想定しておりませんが、仮にそうなった場合、そのような責務を有する意図で話したと(宮下氏から)聞いている」と答え、あくまで仮定だと強調。
指定公共機関のNHKへの指示の例としては「新型インフルエンザなどの感染が広がったとしても、NHKの業務をしっかり果たしてもらうために指定公共機関として平素から、たとえば消毒液を設置するとか、マスクを備蓄するとか、あるいは訓練を行ったりといったこと」などを挙げた。
杉尾氏は「この法律は自分たちが制定した立場でもございますので、旧民主党時代にできた法律ですので今回はそれに沿った対応をしたい」としつつ、「言論・表現の自由に介入しかねないような答弁が出てくると極めて重大な疑義が生じる」と迫ると、西村氏は「当然、放送の自由がありますし、この法律に基づいて放送内容に要請や指示を行うことはありません。そういう法律ではありません。そのことを強く申し上げたい」と述べた。
宮下氏も13日の法務委員で「NHKや民間テレビ局の放送事業者に対する放送内容の総合調整や指示は放送法(3条)により行うことができない」と答弁を撤回。各メディアによれば、その後の理事会で「放送法との整合性を整理しきれないまま、誤解に基づいて発言した。撤回し、おわびする」と謝罪した。(同上)』
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『野党「造反誘発」と反発 宮下副内閣相答弁で謝罪要求
立憲民主党など野党は、宮下一郎副内閣相の誤った答弁が改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の採決で、所属議員の造反を誘発したと反発した。立憲の山尾志桜里氏らは12日の衆院本会議で、宮下氏の答弁を踏まえ、党方針に従わず改正特措法に反対したためだ。
立憲の安住淳国対委員長は13日、自民党の森山裕国対委員長と会談し、宮下氏に謝罪と訂正をさせるよう要求した。安住氏は会談後、記者団に「山尾氏や寺田学氏(無所属)は反対理由の一つに、宮下氏の答弁を挙げた。反対議員に伝えないといけない」と憤った。
ただ、立憲執行部には胸をなで下ろす事情もある。森雅子法相による「東日本大震災時、検察官が最初に逃げた」との失言をただすなど、実績が多い山尾氏をどう処分するかに苦悩していたからだ。国対関係者は「処分理由がなくなった」と漏らした。【野間口陽】(毎日新聞20年3月13日)』
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立民党の枝野代表らがこの特措法に賛成したことに関して、mew周辺では賛否両論ある。(・・)
反対派の中には、何故、人権重視の(はずの?)枝野立民党が、人権を制限するようなアブナイ法案に賛成するのか。ここでこそ野党共闘で反対し、存在感を示すべきだったのかという声もあった。
mewは積極的には賛成ではない&改正の必要はなかったと思うが。この法律は、もともと民主党政権が新型インフルが流行した際に体制が整っておらず、十分な施策が講じにくかったことを教訓にして作ったもので。今回のような時こそ、役立てて欲しいと思うし。
前にも少し書いたが。自民党は民主党政権が未曾有の災害の対策に苦しんでいる時に、被災者のことより「菅おろし」のことばかり考えて、ほとんど協力してくれず、大変だったのだけど。
菅内閣の枝野官房長官はじめ、当時の閣僚や党幹部はそれを経験しているだけに(仕返してやろうではなく・笑)、国民を守るためには最大限の協力は惜しまないという姿勢を示しているのではないかと察する。(・・)
ただ、もし安倍首相が緊急事態宣言を出した場合は、政府が自分たちの都合で勝手に法律を活用して、人権を強引に抑制しないように、野党はもちろん、メディア、国民がしっかりウォッチする必要があると思うmewなのだ。(@_@。
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