今回は立憲民主党が衆院選で議席を減らしたことに関する見解を2つ。
正直、私は、立民党はここまで叩かれて、議席を減らしたとは思っていないし。共産党との選挙協力も、小選挙区では議席を増やしていた&惜敗率を稼いで比例復活する候補が多かったことを考えると、決して失敗とは言えず。選挙結果を受けて、枝野代表が辞任せざるを得なくなったことを、残念に悔しく思っている。(-_-;)
また機会があったら、そのうち自分の意見も書いて行きたいと思うのだが・・・。ここまで与党やゆよ党が立民攻撃をするのは、枝野立民党や共産党の選挙協力が続くのがコワイからではないかと。
これを機に、真ん中からほどほど左右の議員をそろえた真の中道でかつ9条改正を含む強引な改憲には慎重な立民党を潰して、保守二大政党づくり、憲法改正の実現をもくろむ人たちのアブナイ力が、メディアも含め、アチコチに働いているのではないかと疑いたくなるほどだ。(^^;
今回は、mewと意見がかなり合う記事を2つ選んだ。
一つは、作曲家・三枝成彰氏の「なぜ立憲民主党は議席を減らしたのか 国民が悪い政治を受け入れるのはなぜなのか?
もう一つは、政治記者&編集者・小塚かおる氏の「首をかしげたくなる立憲と共産共闘への集中攻撃」だ。
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『なぜ立憲民主党は議席を減らしたのか 国民が悪い政治を受け入れるのはなぜなのか?(三枝成彰)
11/13(土) 9:06配信 日刊ゲンダイDIGITAL
先日の衆院選で、立憲民主党が議席数を109から96に減らした。魅力ある政策を打ち出せなかったこともあるだろうが、共産党との連携が拒否反応を招いたのかもしれない。
日本の共産党はもちろん違うが、習近平やプーチンのような独裁者が国民を抑圧し国家統制を敷こうとする政党だという先入観を持つ人が多いのだろう。現代の世界において、確かに共産国家とは得てしてそういうものではあるが、そのイメージを日本の共産党に対しても持ってしまっているのではないか。
私は、自民党が勝った最大の原因は、国民の多くが現状に満足しているからだと思う。日本人は自ら変わることを欲せず、内紛や外圧によってしか変われない体質だ。昔から「変革」や「革命」を唱えるのが大好きだが、実際に行ったためしがない。
大化の改新(仏教伝来)や明治維新(ペリーの黒船)も、外国からの刺激によって体制が変わっただけだ。時に百姓一揆や米騒動などはあっても、真の「下克上」は起きなかった。フランス革命のように、圧政に苦しむ民衆が政府を転覆させたことがないのだ。
国民が総じておとなしく、政治に文句を言わない日本は、ある意味で「いい国」と言えるのかもしれない。これほど為政者にとって御しやすい国民もそうそういないだろう。
だが、現実を見てほしい。「今の生活は豊かで、何の不足もない」と言い切れる人が、この国にいったい何人いるのか? 多くの人が大なり小なり貧しさを抱え、思うに任せぬ暮らしをしているのが現実だ。しかし、それでも「このままでいい」と考えてしまうのはなぜなのか?
厚労省の「国民生活基礎調査」(2019年)によれば、日本の相対的貧困率(中間的な所得を下回る世帯の割合)は15.4%。そのうち子どもの相対的貧困率は、OECD(経済協力開発機構)の現在の基準に照らすと14.0%だそうだ。つまり子どもの7人に1人は貧困の状況にあるのだ。
同じ調査で平均所得(約552万円)を下回る世帯は61.1%、貯蓄がない世帯は13.4%。「生活が苦しい」と答えた世帯は54.4%に上る。日本の貧しさは世界的に見ればさほどでもないのだろう。しかし、貧しいのは現実だ。治安が良く物価も安く、一定の住みやすさが保証されているから「変えて悪くなるよりは現状維持でいい」と考えるのだろう。
国民が政治を変える手段は選挙での投票しかない。が、いざその段になると、日本の有権者はみな二の足を踏む。保守政権の長期化による政治家や官僚の思考の硬直化は良くないと誰もが分かっているはずなのに、だ。
江戸時代から「世間に対して不平不満を言う者は人間がなっていない」と儒教の影響の下に教え込まれたためだろうか。そして今回も私たちは、変わるチャンスをまた自らの手で遠のかせた。16世紀フランスの裁判官エティエンヌ・ド・ラ・ボエシの「自発的隷従論」に、「悪い政治が成り立つのは、国民が進んでそれを受け入れているからだ」とある。約500年後の日本にも同じことが起きている。
「流れる水は腐らない」という言葉は、この国ではすっかり忘れられたようだ。濁った水を再び流れさせるには、政治に物申す国民が必要なのだ。(三枝成彰/作曲家)』
『首をかしげたくなる立憲と共産共闘への集中攻撃
ニュースソクラ 2021.12.17
【小塚かおるの政治メモ】選挙区では議席数を伸ばしたのに
衆院選が終わってからの1カ月、メディアなどでの選挙総括は立憲民主党への”集中攻撃”一色だ。
立憲民主党が、議席減の責任を取る形で辞任した枝野幸男前代表の後任を決める代表選を行っていたことも背景にはあるが、メディアの関心は「共産党との野党共闘の是非」ばかりに集中。そうした報道が続くことで、本当はもっと他にも総括されていい話が、こぼれ落ちたり歪曲化されたりしているように思う。
確かに、共産党を含めた野党共闘について、立憲民主党は有権者に対する説明が不足していた面は否めない。本来なら、候補者の一本化を含め、野党共闘では野党第一党である立憲民主党が主体的に動く必要があったのに、枝野前代表がギリギリまで曖昧な態度を取り続け、結局、「市民連合」を介して他の野党と同じ立場で共闘に参加するという消極的な形だったからだ。
世論調査で有権者の多くが「与野党伯仲」を求めていることが分かっていた。「与野党伯仲で国会に緊張感をもたらしたいから、議席数を増やすために野党は共闘する」などと、もっと丁寧に、共闘する意味や目的を有権者に語っていれば、「限定的な閣外からの協力」という文言にとらわれ過ぎることなく、選挙期間中の与党による「立憲共産党」などの揶揄にもきちんと対抗できたのではないか。
改めて強調しておきたいのは、立憲民主党は選挙前の110から96へと14議席減らしたが、その原因は比例代表が23議席減だったためで、候補者を野党で一本化した小選挙区では選挙前の48から57に議席を増やしていることだ。小選挙区制度である以上、候補者を一本化するのは選挙戦術として当然である。
次点の惜敗率が90%以上だった大接戦区は全国で53選挙区に上った。野党共闘によって小選挙区で苦しめられた自民党は選挙結果を「薄氷の勝利」と位置付けていたし、自民党で長年、選挙実務を担ってきた幹部も「野党共闘に一定の効果はあった」と話していた。
つまり、自民党は野党共闘に恐れをなしていたからこそ、逆にそれを”アキレス腱”にすべく共闘批判を展開したのである。
自民党の甘利明幹事長(当時)が、「自由民主主義の思想で運営される政権か、共産主義が初めて入ってくる政権とどちらを選ぶのかという政権選択だ」と前時代的な物言いで、立憲民主党と共産党の共闘が選挙の争点だとブチ上げたのは、10月14日の記者会見だった。
以降、自民党は選挙期間中、党を挙げて立憲民主党と共産党の共闘を批判し続けるのだが、そんな自民党に攻撃のヒントを与えたのは他でもない、立憲民主党の最大の支持団体であるはずの「連合」だった。
連合は10月6日の定期大会で新会長に芳野友子氏を選出。芳野氏は翌7日の初の記者会見で「共産党との閣外協力はあり得ない」と発言し、それが大きく報じられた。連合は労働運動をめぐって共産党と対立してきた歴史があるため、芳野氏は従来からの連合のスタンスを表明したまでなのだろうが、衆院選の公示2週間前のタイミングの初会見である。
注目の度合いが平時とは違う。芳野氏がストレートに共闘批判をしたため、「連合 立憲に不快感」などと報じられ、必要以上にセンセーショナルに受け止められた。
最大の支持団体と足並み揃わず、立憲民主党は目前に迫った選挙を戦えるのか――という不安定感を世間に広げる効果は十分で、選挙巧者の自民党に争点づくりの材料として利用されたのである。
芳野氏はさらに10月21日にも「立憲と共産の距離感が縮まっている。非常に残念だ」と発言するなど、選挙期間中も立憲民主党と共産党との共闘を牽制している。
こうして見てくると、連合の機を見極めない発言が立憲民主党の足を引っ張り、議席を減らす要因のひとつとなったとも言える。支援団体ならば、もう少し言葉を選んで発言することはできなかったのだろうか。
もうひとつ、立憲民主党の議席減の原因は比例で23議席減らしたためだと前述したが、これについてもあまり指摘されていないことがある。
略称「民主党」の案分票の問題だ。
衆院選で立憲民主党と国民民主党はともに略称を「民主党」と届け出て戦ったため、各地の投票所で「この略称表記は正しいのか」という疑問の声や苦情が寄せられたという。こうした「民主党」と書かれた比例票は、それぞれの党の得票割合に応じて振り分ける「案分」が行われたが、NHKによれば案分された「民主党」票は、34都道府県で197万3362票あった。
また、毎日新聞によれば案分票は全国で実に400万票に上った可能性がある。静岡県内の各自治体で7~8%の案分票が出ており、全国で少なくとも7%あったと換算するとそういう計算になるという。
国民民主党は選挙前の8から11へと議席を増やし、日本維新の会と同様に躍進したと総括されている。確かに小選挙区は、下馬評通り前職6人全員が当選して強かったものの、議席増分はすべて比例で、選挙前の2から5へと3議席増えたのは、案分票の効果があったからではないのか。
2019年の参院選で国民民主党(分裂前の旧国民民主党)は比例の議席を4から3に減らしているのに、なぜ今回は比例を2.5倍にできたのか不思議でならない。
ちなみに比例で3議席を獲得したれいわ新選組が全国で獲得した比例票は221万票だ。それだけでも「民主党」と書かれた200万とか400万という案分票の規模の大きさが分かる。
案分票によって立憲民主党が損をし、国民民主党が得をしたのかどうかは、もちろん、案分票がどちらの党を意味していたのかが分からない以上、誰も断定はできないが、玉木雄一郎代表が語っているように「野党共闘から一線を画し、独自路線を進んだこと」が本当に国民民主党の議席増の理由なのか、本当に国民民主党は躍進したのかは、もっと冷静な分析があっていい。
立憲民主党が議席を減らしたのは、共産党との共闘以前に、枝野前代表が選挙直後に言っていた通り「一票一票を積み重ねる足腰が弱かった」のであり、勝利への一層のしたたかさや、政党としての魅力が足りなかったことに尽きる。
■小塚かおる(日刊現代第一編集局長) 1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者。その間、24年に渡って一貫して政治を担当。著書に『小沢一郎の権力論』、共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』などがある。』
立憲民主党は、他の政党やかなり辛辣な保守系メディアからの批判は気にせず、比例票で「立憲」「立憲民主党」と積極的に書いてくれる人をいかに増やすか・・・。そのことを第一に考えるべきではないかと思うmewなのだった。(@_@。
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