今日、午後6時から、ウクライナのゼレンスキー大統領が、日本の国会で10~15分ほどのオンライン演説を行う予定になっている。(**)
ゼレンスキー大統領の国会での演説は、15日にウクライナ大使館を通じて、日本政府に打診があったとという。
ただ、衆参院本会議場は、オンライン映像を映す設備がないため、衆議院第一議員会館の中にある国際会議室をメイン会場、多目的ホールをサブ会場と2つの部屋を使用して、岸田首相や衆参両院の議長らが出席する予定。TVでも生中継が行われるようだ。(・・)
問題はゼレンスキー大統領が、どのような演説を行うかということだ。(@@)
『異例ずくめの演説に
演説はウクライナ語で行われる見通しだが、日本語への同時通訳も行われる。こうしたことも含めて「国会の感覚でいけば前例がないこと」(野党議員)とまさしく“異例尽くし”のものとなる。
衆院議長の挨拶の後、スタンディングオベーションで迎えられ実施されるゼレンスキー大統領の演説。イギリスではシェイクスピアの一説を引用し、アメリカでは真珠湾攻撃に加えて「911」に言及するなど、各国で特色のある演説を行ってきた。戦時下の大統領は、日本の国会で何を語るのか。日本国民だけでなく、世界中の人々の注目が集まる。(FNN22年3月22日)』
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ゼレンスキー大統領の演説に関して、立民党の泉代表が「国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件だ。演説内容もあくまで両国合意の範囲にすべきだ」とツイート。また鳥越俊太郎氏が「紛争の一方の当事者の言い分を、国権の最高機関たる国会を使っていいのか?国民の声も聞かずに!」とツイートしていたという記事を見たのだが。
mewはそこまでナーバスになる必要はないと考える。(・・)
ただ、外国の要人が国会で演説する場合、または日本の要人が他国の国会で演説する場合、あらかじめ内容の打ち合わせを行ない、さらに提出された原稿をチェックした上で、演説をさせるのが通例だときく。
相手国の意に沿わぬことや不利益、不快感を与える内容は事前にカットされているのだ。(++)
でも、もしゼレンスキー大統領が、何を言うのか全く打ち合わせも調整も行なわないまま、自分の言いたいことを言いたいように語るのだとすれば、それなりのリスクがあるかも知れない。
泉代表が「全く調整なく認めるのはあり得ない」と言っていたのは、理解できる。(++)
昨日の『俳優ゼレンスキーは強いリーダーを演じる。冷静さ、賢さも欲しい+スポーツ界のロシア排除は差別では』でも触れたのだが・・・。
ゼレンスキー代表は、これまでも世界各国の国会で、演説を行なっているのだが。かなり強気の姿勢で、やや過激な主張やたとえ、要求を行なうケースが見られる。
米国では、ロシアのウクライナ侵攻を(日本の)真珠湾攻撃や9.11NYテロ事件になぞらえて批判した上で、防空システム・S-300や戦闘機の供与を要請した。
『ゼレンスキー大統領:「真珠湾攻撃を思い出してほしい。1941年12月7日、あの、おぞましい朝のことを。あなた方の国の空が、攻撃してくる戦闘機で、黒く染まった時のことを。9月11日(同時多発テロ)を思い出してほしい。2001年のあのおぞましい日のことを。悪があなた方の都市を、独立国の領土を、戦場にしようとした時のことを。私たちはこの3週間、毎日、毎晩、同じことを経験している」(ANN22年3月17日)』
ドイツでは「我々がロシアの戦争への準備だと伝えた際にドイツ側はこれは単に経済活動だと答えた」「今はベルリンの壁ではなく、自由と不自由の壁がある」「「戦争のさなか、ロシアとまだビジネスを続けようという動きがある。あなた方は壁の向こうにおり、壁に阻まれて事態が見えていない」と、ドイツがロシアとの経済連携を続けていることなどを批判し、こちらでも武器供与を要求。
イスラエルでは、ゼレンスキー大統領自身がユダヤ人で、祖父がホロコースト生存者であることを伝えた上で、ロシア侵攻をナチスのホロコーストにたとえて批判。具体的に、ミサイル防衛システムの提供などを求めた。^^;
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それもあって、与野党議員やメディアの間では、演説の内容について、いろいろな憶測が出ているようだ。
『「武器の使用要請も」演説内容で広がる憶測
注目されるのは、ロシアによる侵攻が続くウクライナのゼレンスキー大統領が、日本の国会で何を語るかだ。これまでイギリスやアメリカでも演説が行われたが、今回も同様に、ロシアによる侵攻への抗議やウクライナへの支援要請などが行われるものとみられている。しかし、演説原稿の事前配布については「聞いていないので、ないと思う」(野党議員)としていて、演説内容の詳細は不明なため、様々な憶測が広がっている。「プロパガンダに使われるのではないかという声が高まってる」(野党幹部)との指摘や、「武器の支援の要請があるかもしれない」(自民・閣僚経験者)との見方まで出ている。(FNN22年3月22日』
『ベテラン政治ジャーナリストはこう言う。「米国の議会に対する演説では『真珠湾攻撃』を持ち出し、ドイツの議会には『ベルリンの壁』を引き合いに出すなど、ターゲットに刺さるような工夫が凝らされた演説をしている。スピーチライターも優秀なのだろうが、訴えかけるゼレンスキー氏の話術によるところも大きい。日本人は当然、真珠湾攻撃よりも広島・長崎への原爆投下や旧ソ連による満州侵攻、シベリア抑留のほうがよっぽど酷いことだと考えている人が多い。23日の演説は、そうしたポイントに訴えかける話が入ってくるのではないか。」(NEWSポストセブン22年3月21日)』
<岸田首相が広島選出の議員であることを調べてあれば、広島・長崎原爆の話を出す可能性が大きい。東京大空襲もいい例になる。ただ、米国に配慮した場合は、この話はしないかも。あとは、福島原発事故の例を出す可能性があるかな。>
日本では、安倍元首相が長年、プーチン大統領と懇意の関係にあったことから、ゼレンスキー大統領がそのことに触れて、批判を行なうのではないかという憶測まで出ている。(~_~;)
『「ドイツの議会に対する演説では、独露を結ぶ天然ガスパイプラインの計画が進められてきたことが非難された。過去の日本の親プーチン政権的な姿勢が批判される可能性もあります。とりわけ、安倍晋三・元首相がロシアのプーチン氏と関係を深めようと前のめりになってきたことにゼレンスキー氏が言及する可能性はあるでしょう。(略)
安倍政権の時のようにロシアに迎合しないという“安倍離れ”の姿勢を鮮明にしたということでしょう。ゼレンスキー氏の演説に安倍批判が含まれる場合、岸田首相がそれに応じてさらにロシアに厳しい姿勢を取るようになり、結果として安倍離れが加速する可能性は十分にある」(前出・ベテラン政治ジャーナリスト)(同上)』
『「日本政府もドイツと同じ“罪”を犯していると言えます。2014年のクリミアの武力併合後も、当時の安倍政権は対ロ経済制裁を軽微にとどめ、2年後にはプーチン大統領を日本に招待。制裁とは逆に官民80件、3000億円規模の経済協力プランに合意しました。北方領土交渉への政治的野心からプーチン政権に戦費を稼がせたとして、ゼレンスキー氏に批判されてもおかしくありません」(筑波大教授の中村逸郎氏=ロシア政治)(日刊ゲンダイ22年3月22日)』
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個人的には、安倍元首相のプーチンべったり外交の批判を是非行なって欲しい&日本のアジア侵略を持ち出されてもいたし方ないと思うところがあるのだが。(~_~;)
ただ、もしそれをやったら、自民党の安倍シンパ、超保守仲間は不快感を覚えるだろうし。ウクライナ支援への意欲も減退するかも知れず。ウクライナにはマイナスに働く可能性がある。^^;
そもそも自民党などの保守勢力は、ゼレンスキー大統領が、ロシア侵攻批判の真珠湾攻撃の話を持ち出したことに怒っているのだ。
何とダウンタウンの松本人志氏までが、TVで不満を呈していたほどだ。
『松本は「真珠湾攻撃を出してきたのは引っかかる。日本人としては受け入れがたいところがある」と述べた。第2次世界大戦で日本が米国に対して仕掛けた奇襲作戦だったが「奇襲攻撃だったのは間違いないけど、民間人を巻き込んだわけではない。今回のケースと同じように語られるのはちょっと嫌だったですね」とした。(スポニチ22年3月20日)』
mewが懸念するのは、ゼレンスキー大統領が日本政府に、武器提供を要求することだ。ウクライナ大使館は、当初、日本に弾薬などの提供を要請していたのだが、日本は「防衛装備移転三原則」があるため、「防弾チョッキ」「ヘルメット」などの装備を提供するにとどめている。
でも、今日の演説でゼレンスキー大統領が、戦闘に使用するような武器や弾薬を要求した場合、自民党+αの保守勢力の中から、「ウクライナ支援だと言えば、国民の理解が得られる」として、原則の緩和を主張する声が出かねない。(-_-;)
できるなら、実際、演説をきいてみたら、そんな問題に思うことはひとつもなかったで済むといいな~と。日本の国民が「戦争はよくない」と感じ、気持ちよくウクライナ支援をしたいと思うような演説をしてくれるといいんだけどな~と願っているmewなのだった。(@_@。
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