安倍元首相が9日、「日銀は政府の子会社だ」と発言し、物議をかもしている。(@@)
『自民党の安倍晋三元首相は9日、大分市の会合で、日銀が市場を通じて政府の国債を買い入れていることに触れ、「日銀は政府の子会社だ」と述べた。日銀の独立性に対する信頼を損ないかねない発言とも受け取れ、波紋を呼びそうだ。
安倍氏は「(政府の)1000兆円の借金の半分は日銀に(国債を)買ってもらっている」と指摘。「日銀は政府の子会社なので60年で(返済の)満期が来たら、返さないで借り換えて構わない。心配する必要はない」と語った。(時事通信22年5月10日)』
<関連記事・4月29日の『安倍、「悪い円安」に反論。円安、物価高はアベノミクスの失敗も大きな原因なのに。』>
これは、トンデモない発言なのだが。TVもネットも大きく扱っていないのは何故なのか。(`´)
<細田衆院議長の、議員歳費の発言も問題だけど。それより、ずっと大きな問題だと思うのに!>
* * * * *
安倍晋三氏は12年末、アベノミクスなる経済政策を提唱したのだが。その際、「輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう」と発言。多くの政治家や専門家、国民を唖然とさせたものだった。(゚Д゚)
子供の頃、大蔵省造幣局の工場でお札を刷られている場面を見て、「自由にお金を刷れれば、お金持ちになれるのに」「貧しい人や国を助けることもできるのに」と思った人は、かなりいるのではないかと思うのだが・・・。<注・日銀は通貨量の調整をしているけど、お札を刷っていない。>
安倍氏は、ほとんどそれと同じレベルの発想で、日銀&黒田総裁を好き勝手に使って(ゼロ金利、円安誘導も含む)、強引にアベノミクスを実行。大手企業や投資家の一部に大きな利益を与えたが、多くの企業では収益が上がらずor下がることに。トリクルダウンによる賃金や所得のアップも、国民生活の向上もほとんど見られず。ある意味で、アベノミクスは失敗に終わったのである。(-"-)
もちろん、日本銀行は、決して政府の子会社ではない。<日本の中央銀行であり、財務省が所管しているが。政府から独立した法人であり、独立行政委員会に準じる存在と位置づけられている。そして、長期的な公益確保・政治的中立性の観点から自主性・独立性が認められている。(**)
また、もし親会社である政府の指示によって国債を買い入れているとしたら、国債の直接買い入れを禁じる財政法に違反することにもなりかねない。
おそらく「いくら国債を発行して借金しても、日銀にお金を刷らせて、国債を買わせれば大丈夫」と誰かに吹き込まれ、
それはいい考えだ」と採用しちゃったんだろうけど。そんな魔法みたいな話がうまく行くなら、どの国も経済財政政策でアタマをひねる必要もないだろう。(~_~;)
<尚、安倍氏は12年末に首相就任した後、13年3月に自分の構想を支持してくれる元財務官僚の黒田東彦氏を、日銀総裁に起用。黒田氏はそれ以来9年、いまだに総裁を続けていて。日銀がお札を刷って、株や国債を買う施策を推進。円安やゼロ金利の弊害はスル~し、「今の施策を継続する」の一点張りだ。(-"-)>
この安倍氏の発言には、松野官房長官も困った様子。^^;
『松野博一官房長官は10日の記者会見で、自民党の安倍晋三元首相が「日銀は政府の子会社だ」と発言したことについて、「コメントは差し控える」と述べた。その上で、「日銀法上、日銀の通貨と金融の調節での自主性は尊重されなければならないとされている」と語った。(時事通信22年5月10日)』
立民党の西村幹事長は、「とうとう本音が出たな」として、このように批判した。(・・)
『自民党の安倍晋三元首相が「日銀は政府の子会社」と発言したことに対し、立憲民主党の西村智奈美幹事長は10日の記者会見で「とうとう本音が出たかなと思う。大変問題だ」と批判し、国会で政府側をただしていく方針を示した。(略)
西村氏は「アベノミクスと称して異次元の金融緩和を主導してきた結果として今の日本の財政、経済状況になっている」と指摘。「子会社」発言について「やはりそういうふうに思ってきたということだ」と反発した。(時事通信22年5月10日)』
ただし、自民党寄りの『国民民主党の玉木雄一郎代表は会見で「政府と中央銀行を連結ベースで考えるのはそれほど珍しいことではない。いわゆる統合政府という考え方だ」と発言に理解を示した』という。(-_-;)(同上)
* * * * *
実は安倍元首相は、以前から同じような発言を何度もしているのだが。中でも呆れるのは、「20円で1万円札が作れる」と、例の「輪転機ぐるぐる」と同じお子ちゃま発想の話をしていたことだ。(゚Д゚)<
これは昨年7月の講演に関する記事なのだが・・・。(小見出しの☆はmewがつけた)
『安倍氏は7月10日に新潟県三条市でおこなった講演で、みずからの政権の実績としてアベノミクスを誇った。
昨年度の政府予算はコロナ対策で例年より大きく膨れあがり、政府は新たに112兆円の国債を発行した。そのことにふれ、こう強調した。
☆「20円で1万円札が出来る」
「子どもたちの世代にツケを回すなという批判がずっと安倍政権にあったが、その批判は正しくないんです。なぜかというとコロナ対策においては政府・日本銀行連合軍でやっていますが、政府が発行する国債は日銀がほぼ全部買い取ってくれています」
「みなさん、どうやって日銀は政府が出す巨大な国債を買うと思います? どこかのお金を借りてくると思ってますか。それは違います。紙とインクでお札を刷るんです。20円で1万円札が出来るんです」
会場がどっとわくと、安倍氏の演説はさらに熱がこもっていく。
「日銀というのは政府の、言ってみれば子会社の関係にある。連結決算上は実は政府の債務にもならないんです。だから孫や子の代にツケを回すな、これは正しくありません」
「私はいまの状況であれば、もう1回、もう2回でもいい。大きなショットを出して国民生活を支えていく。大きな対策が必要だと思います」(朝日新聞21年9月1日)』
安倍氏の発言に関して、国会で問われた日銀の黒田総裁は、こう答えている。(・・)
『安倍氏は昨年12月に都内で開かれた講演会でも、「日本銀行は国の子会社。5割は政府が株を持っているから、連結決算上は債務ではないという考え方も成立する」と言い放っていたから、今回の発言も“確信犯”なのだろうが、そもそも「子会社」と名指しされた日銀自体が安倍氏の主張を否定しているのだ。
見解を問われた日銀の黒田総裁は
4月5日の衆院財務金融委。野党議員から「日銀が政府の子会社だと言われるようになっているということは、私は、極めて重く受け止め、反省しなければいけないと思いますが、こういう子会社論について、どういう御見解をお持ちですか」と問われた日銀の黒田東彦総裁(77)はこう答えていた。
「日本銀行は、もちろん政府から過半の出資を受けておりますけれども、出資者には議決権が付与されておりません。日本銀行の金融政策及び業務の運営については、御指摘の通り、98年に施行された新日銀法によって自主性が認められております。従いまして、日本銀行が、政府が経営を支配する法人とか子会社というものではないというふうに考えております」
「日本銀行法で、3条で非常に明確に『日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない』。5条で『日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない』というふうにされております。何か日本銀行が政府の子会社のようになっているということは全くないというふうに考えております」(日刊ゲンダイ22年5月10日)』
長年、国の行政TOPを務めていた安倍氏が、あちこちでこんなおちゃらけた愚かな話をできるのも、国民をバカにしているからにほかならないと思ったりもするのだが。<安倍氏もXXなのか。both?^^;>
安保軍事や改憲の面だけでなく、経済政策の面でもアブナイ発言を続ける安倍元首相を、早く失脚させなければと、改めて強く思うmewなのである。(**)
<尚、米国などでは、「独自の通貨を持つ国は、お金を発行して、公共事業や借金返済に充てることができる」というMMT論があるのだが。輪転機ぐるぐる、1万円札が20円で作れるというレベルの話ではない。^^;>
* * * * *
アンチ安倍派ゆえ、安倍批判となるとついつい力がはいってしまい、スペースも時間もなくなってしまったのだが。
細田衆院議長が10増10減の議員定数変更に反対し、「国会議員1人当たりの歳費は少ないため、議員定数を増やしても問題ない」「議長でも毎月歳費は100万円しかない。上場会社の社長なら1億円はもらう」などと発言したのも、大問題だし。
立民党の元議員の新幹線のグリーン券などの不正取得や、現職の小熊慎司衆院議員が無許可でウクライナに入国していたのも問題なのだが。これらの件は、また近いうちに・・・。
立民党に関して言えば、ややピンチだと言われる参院選を前に「この大事な時に、頼むから、これ以上、余計な問題は起こさないでよ~」とぼやきたくなっているmewなのだった。 (ノ_-。)
THANKS