ポーランドの東部にミサイルが着弾、2人が死亡したとのこと。もしロシアが発射ものだとしたら、さらに大規模な戦闘に発展するおそれがあるだけに、ちょっとヒヤヒヤ、ハラハラしていたのだけど。<亡くなった方々には追悼の意を表したい。>
米国やポーランドが早い段階で、ミサイルはウクライナ軍の防空システムが、ロシアのミサイルを迎撃するために発射した可能性が高いとの見解を示し、その件はおさまった感じになって、少しほっとした。(・・)
<ウクライナのゼレンスキー大統領は、現段階では自国のミサイルだとは認めていないのだが。早めにその可能性を認めた方がいいと思う。>
とはいえ、これ以上、戦闘が長引けば、ウクライナ国内はもちろん、また周辺国まで人名や建造物、インフラ設備などに損害が広がる可能性が大きいし。毎日、億単位の戦費が消えて、多量の燃料、食品、その他の物資も消費されてしまうわけで。
どうか世界各国が協力して、まずは1日も早く、停戦交渉のための戦闘停止を行なって欲しいと願っている。(++)
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もちろん日本も、絶対に戦争に関与、参加しない、巻き込まれないように最善の努力をする必要があることは言うまでもない。(**)
しかし、ロシア、中国、北朝鮮の近時の動きを見て、軍事力強化を唱える政治家や識者が増えている。
特に自民党は、年末に予定されている「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定を前提に、具体的な軍事戦略、軍事力の強化策を示したいと考えている。(-"-)
今回、誤射(計算以上に飛び過ぎた?)があったとされる防空ミサイルで言えば・・・
日本も、周辺国のミサイル攻撃から国土を防衛するために防空ミサイルの準備を進めているのだが。
しかし、自民党を中心とした保守タカ派の勢力は、「それだけでは、相手の攻撃を防げない。相手がミサイル発射を行なう軍事基地や攻撃拠点を、こちらが攻撃する必要がある」「日本が敵基地攻撃能力or反撃能力の保有をすることを認めるべきだ」と主張。
今年の年末の防衛戦略改定で、何とか「反撃能力」を求めさせようとしている。
ただ「専守防衛」の原則維持にこだわる公明党は、「敵基地攻撃能力は先制攻撃につながる可能性がある」と慎重な態度を示している。<野党だと維国は賛成。立民や共社れなどは反対。>
安倍自民党が、「敵基地攻撃」という呼び方をやめて「反撃」という言葉に替えたのも、公明党が「これでは国民に『専守防衛を守っていない。先制攻撃だ』と思われてしまう」と懸念を示したからだ。<野党や一部国民、周辺国からも批判される可能性が大きい。>
公明党の中には、呼び方を変えただけで、「これなら理解してもらいやすい」と安心している(安心したふりをしている?)人もいるらしいのだが。自民党内には、「もはや専守防衛にこだわるべきではない」という声も出ている。(-"-)
岸田首相も自民党議員も、表向きは「専守防衛は守ります」と言っているのだが。
実は、自民党は、とりあえず公明党や国民向けに「専守防衛」の言葉や概念は残すものの、その解釈を変えることを考えているのである。
『自民党安全保障調査会が政府の戦略3文書改定に向けて取りまとめた提言の決定過程では、「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有をめぐり、憲法9条に基づく「専守防衛」の見直し論も一時浮上したが、保有する防衛力を制限する「必要最小限度」の範囲を柔軟に解釈すべきだと提起するにとどまった。改憲論議よりも現実への対応を優先した形だが、現行憲法の限界も改めて露呈した。
「専守防衛を維持したままでは対応に限界があるのではないか」
提言案を審議した4月26日の自民党総務会では、専守防衛の見直しを求める声が複数上がった。安保調査会長の小野寺五典元防衛相は「これについて議論するなら憲法レベルでの議論の場が必要だ」と慎重な考えを示し、その場を収めた。
専守防衛は憲法9条の規定に基づき、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する受動的な防衛姿勢を指す。その行使の態様や保持する防衛力については「自衛のための必要最小限」とされる。
提言では専守防衛を維持した上で「必要最小限度の自衛力の具体的な限度は、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件を考慮し、決せられる」と記述。安保調査会の木原稔幹事長は「原則としての専守防衛を大きく変えるものではない。条件によって変わっていく」と説明した。
先制攻撃を禁じる国際法と専守防衛の違いは何か。国際法が認める自衛権行使の条件は、武力行使以外に自衛の手段がないこと(必要性)と、受けた攻撃に対してバランスのとれた形で行使すること(均衡性)だ。専守防衛は、さらに武力行使を「必要最小限度」にとどめるよう求める。
わかりやすく例えれば、国際法ではミサイルを100発撃たれたら100発撃ち返せるが、日本は相手が攻撃を中断するための必要最小限度が2、3発なら、2、3発で済ませなければならない。
しかし、敵基地攻撃能力を保有して相手に攻撃を躊躇させる場合、従来の「必要最小限度」では機能しない恐れがあり、提言は解釈修正を試みたといえる。(産経新聞22年5月7日)』
安倍政権下で、防衛ブレーンとして首相補佐官を務めた元防衛次官も、反撃能力の必要性を主張している。<岸田首相は、この人を起用しなかったんだけどね。>
『防衛省の島田和久前事務次官は7日、日本記者クラブで講演し、敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力」(敵基地攻撃能力)保有の必要性を訴えた。「(現在の)弾道ミサイル防衛一本やりには限界がある」と指摘。「日本を攻撃すれば反撃を受けるとなると、(抑止力として)大きな効果がある」と強調した。
島田氏はまた、台湾有事にも触れ、「中国は沖縄県・尖閣諸島を台湾の一部だと主張している。台湾の解放と言うとき、尖閣が関係ないとは考えにくい」と危機感を示した。島田氏は第2次安倍政権で約6年半、首相秘書官を務めた。 【時事通信22年11月7日)』
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今、自公与党で防衛政策に関する協議を行なっているほか、政府でも「反撃能力」を認めることを前提に様々な検討が行われているのだが。15日にこんな記事が出ていた。
『「反撃能力」歯止めに国会承認 政府が検討、新たな法的枠組み設けず
政府は相手国のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)を保有した場合の歯止めについて、自衛隊の出動に関する現行の国会関与の仕組みを適用し、国会の事前承認か事後承認を行使の条件とする検討に入った。
複数の政府関係者が明らかにした。自民党は日本が攻撃を受ける前でも「攻撃への着手」があれば行使できるようにすべきだと主張する一方、公明党は先制攻撃と受け止められかねない行使に慎重な立場をとる。政府は国会承認を条件としつつ、どの時点の行使を可能とするか与党の意見を踏まえて検討する。
日本に対する攻撃への対応を定めた武力攻撃事態法は、首相による自衛隊への出動命令について①首相が対処基本方針の案を作成し、閣議決定する②対処基本方針について国会の承認を得る③国会承認後に自衛隊に防衛出動を命じる――と規定。政府は反撃能力の行使に関し、国会の関与を担保するための新たな法的な枠組みは設けず、対処基本方針の国会承認で「歯止め」がかかるようにしたい考えだ。
ただ、同法は防衛出動の命令について「特に緊急の必要があり事前に国会の承認を得るいとまがない場合」には国会の事後承認を認めており、国会による歯止めが十分に機能しないことも想定される。また、政府はこれまで相手国が日本を攻撃する意図を表明し、ミサイル発射準備をするなど攻撃に着手した段階で「武力攻撃の発生」を認定し、日本による武力行使ができると説明してきた。攻撃着手が明確でない時に相手国を攻撃した場合、国際法違反の「先制攻撃」と見なされる可能性もある。
公明党の山口那津男代表は9日の記者会見で、反撃能力について「(日本への)一撃がありそれに返すという意味が含まれるので、先制攻撃にならないというニュアンスが出てくる」と指摘した。政府内にも「反撃能力はあくまでも、相手が攻撃してきた後に行使することになる」(政府関係者)との意見があり、先制攻撃と見なされる事態をいかに防ぐかが政府・与党の議論での今後の焦点となる。【日下部元美、川口峻】(毎日新聞22年11月15日)』
今回の安保戦略の改定は、15年の安保法制&集団的自衛権の行使容認に準じる、日本の防衛政策の大きな転換点だになると思うのだけど・・・。
国民にとって、めっちゃ重要な政策であるにもかかわらず、TVニュースやネット記事はほとんどこの件を取り上げず。国民が気づかないうちに、どんどん話が決まってしまうのは、本当にコワイ&アブナイことだと懸念しているmewなのである。(@@)
THANKS