LGBT法案実現に向けての動きが活発化している。昨日15日には、超党派で作るLGBT議連の総会が開かれた。(**)
<役員・メンバーは*1に。自公議員のほか、立民の西村智美、辻元清美、社民の福島みずほ、共産の田村智子なども参加。自民議員では、稲田朋美氏が積極的に活動している。前会長の馳氏は、今は石川県知事。>
『超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」は15日、国会内で総会を開き、空席となっていた会長に自民党の岩屋毅元防衛相を選出した。岩屋氏は令和3年に与野党の実務者が合意したLGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案について「今国会で一日も早く、できれば(5月の)G7(先進7カ国首脳会議)までに成立させるよう全力を尽くしたい」と述べた。
会合にはLGBT関連団体の代表者らが出席し、理解増進だけでなく同性婚を認める法整備を求める意見も出た。
法案を巡っては、自民内に与野党協議の中で追加された「性自認を理由とする差別は許されない」との文言に対する反発がある。15日の総会後、岩屋氏は記者団に「最終的には文言調整になると思うが、『差別はあってはならない』という精神が生かされるよう追求したい」と述べた。(産経新聞23年2月15日)』
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この議連は2015年に作られ、LBGTの権利などについて議論していたのだが、安倍政権下の自民党内では超保守派の力が強く、なかなかLGBTに関する法案を作るまでに至らなかった。
それでも2021年、東京五輪が開かれる前に、何とかLGBT理解増進法案を成立させたいと考えて、稲田朋美氏を中心に法案の文言を調整。国会に提出する直前まで行ったのだが。自民党内の超保守派に大反対され、国会提出が潰された苦い経験がある。
法案の前に立ちはだかったのは、安倍元首相だ。(-"-)
超保守派は特に「(LGBTの)差別は許されない」という文言に、強い反発を示した。安倍氏は、「絶対に通すな」「これは闘争だ」とまで言っていたという。
『LGBT法案は2021年、超党派の議員連盟が自民案に「差別は許されない」との文言を加え、国会提出を目指したが、自民の保守系議員の反発で頓挫した。大詰めになって「待った」をかけたのは、自民党内で法案の国会提出を了承する総務会だった。
「議連が加えた文言に『理解増進が差別禁止に変わった』『訴訟の乱発を招きかねない』などと批判を浴びせ、会期末直前に法案提出を見送り。その後は、ずっとたなざらしのままです」(自民党関係者)
当時、総務会役員に「絶対に通すな」とハッパをかけたとされるのが、安倍元首相だ。直接「これは闘争だ」と鼓舞したとも言われている。安倍元首相は「伝統的家族観」を重んじる保守団体「日本会議」のシンパで、その古い価値観を破壊しかねない法案には反対だったのだろう。(日刊ゲンダイ23年2月8日)』
それ以来、自民党内の一部の議員は、今でも安倍氏の遺志、いわば安倍氏の亡霊と戦っているのだ。(-"-)
「『安倍さんだったら反対していた』と言い出す可能性がある」──自民党内から早くも警戒の声が聞こえてくる。(略)敵は党内にあり。立ちふさがるのは「安倍元首相の亡霊」だ。(同上)」
岩屋毅氏が、15日の総会後、「最終的には文言調整になると思うが、『差別はあってはならない』という精神が生かされるよう追求したい」と語っていたのも、安倍氏の過去の発言にとらわれている超保守派を意識してのことだ。(~_~;)
『当時、慎重派の中心的な存在だったとされるのが安倍元総理。国会ではこう答弁していました。
安倍晋三総理(2018年)「LGBTと言われる性的少数者などに対する不当な差別や偏見は、あってはならないことであります」
「差別」の前に「不当な」と付け加え「許されない」は「あってはならない」とよりマイルドな表現になっています。(略)
この文言なら、安倍氏と近かった保守派も矛を収めるとみられますが、当事者が求める「差別の禁止」からはさらに遠のきます。自民党内の議論の“落しどころ”が注目されます。(TBS23年2月8日)』
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ちなみに稲田朋美氏は、安倍元首相がスカウトして議員になった安倍っ娘で、超保守派のマドンナとかジャンヌダルクと呼ばれていた人。日本会議や神道政治連盟などから支援も受けながら、超保守派の若手を率いて、あちこちで戦前志向の超保守思想をアピールしまくっていたのだ。^^;
ただ、もともと弁護士だったこともあってか、人権問題、とりわけ女性やLGBTが不当な差別を受けていることに疑問を抱くようになったとのこと。
そこでLGBT法案や選択的夫婦別姓制度に関する活動を行なうようになったところ、安倍元首相をはじめ超保守派から嫌われることになったという。(-"-)
稲田氏は、神道政治連盟の事務局長のポストから外されることに。党内で率いていた超保守グループの「伝統と創造の会」の会合からも、議員がどんどん抜けて行った。
安倍元首相もしかりで、稲田氏(現安倍派)を「女性初の首相候補」と持ち上げていたのに、急に塩対応に。稲田氏は21年の総裁選出馬を望んでいたものの、安倍氏の協力が得られず、推薦人を集める見込みが立たなかったため断念したのだが。安倍氏はこの時、何と自派閥(現安倍派)に所属していない高市早苗氏を担ぎ、推薦人集めにも協力した上、安倍派の議員に支持を呼びかけたのだ。
この時、「稲田は裏切者」「安倍氏に見捨てられた」という話が広がったという。(-"-)
そのようなことも影響してか、安倍シンパだった超保守派は、いまだに安倍氏の亡霊から抜け出せず、安倍氏の遺志を守ろうと懸命になっているのだ。^^;
<まあ、中には本当に時代錯誤の超保守思想に漬かっている人もいるようだけど。もしかしたら、LGBTや同性婚に反対している日本会議や神道政治連盟(+旧統一教会)などの超保守系の団体の支持や超保守仲間との縁を失うのがこわくて、今回のLGBT法案にも慎重な人がいるようにも見える。(~_~;)>
自民党の超保守派は、あくまでも「差別禁止」ではなく「理解増進」という部分をメインにしたいようなのだが。<それゆえLGBT理解増進法案と呼んでいる。>
しかし、それでは、法的な権利、社会的な合意にまで行きつくことができない。<たとえば、一般の夫妻に認められているような、入籍、相続、養子、その他、様々な配偶者としての権利や行為が法的、社会的に認められない。>
そんなLGBT(Q)の人たちの声を受け、野党議員や心ある与党議員は、「差別を禁止する」「差別は許されない」という、きちんち差別を禁じる法案の成立を求めている。
『LGBT法連合会 藤井ひろみ 代表理事「私たち当事者の思いはひとつです。差別はしてはならない。してはならないということは、つまり、禁止してほしいという思いです」
国会内で開かれた「LGBTに関する課題を考える議員連盟」の総会で、出席したLGBTの当事者団体からは、法律による差別の禁止や同性婚の容認を求める意見などが出されました。(TBS23年2月15日)』
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気になるのは、岩屋会長のこの言葉だ。(-_-;)
『岩屋氏は「最終的には文言調整になっていくと思う」と、現在の表現の調整の可能性を示唆。「焦点はどうしても自民党の中のことになると思うが、(今ある法案の)たたき台は自民党がつくった原案で、9割9分、コンセンサスができあがっていると思っている」「残りの1分について丁寧に合意をつくりあげ、今度こそ国会に提出し、成立させたい」と述べた。
「性的指向や性自認への差別があってはならないというのは、歴代政権が言い続けていること。このスピリットがなくなることはあってはならないと思う。そういう考えで議論が進むよう、努力を進めたい」とも述べた。
当事者などからは、差別禁止法などの法整備を求める声が強いが、岩屋氏は「理解増進法案すらできずに前には進めない。当事者の声を受け止めた上で、分断や対立を招かない立法へ努力をしたい」と述べた。(日刊スポーツ23年2月15日)』
これを見ると、岩屋会長は、超保守派が懸念する「分断」を生まないために(西田昌司氏が「差別禁止は分断を生む」と主張)、安倍氏の遺した「あってはならない」という文言を落としどころにしようとしている感じが伝わって来るのだが。
どうか日本が未来に向けて、真に基本的人権が尊重される民主主義国家になるために、時代錯誤の過去の亡霊にはとらわれないようにして欲しいと。議連のメンバーには、安易な妥協をせず、差別禁止の文言を入れるように頑張って欲しいと願っているmewなのである。(@_@。
THANKS