G7諸国がウクライナ支援のため戦車や強力な武器の提供を行なう中、岸田首相は、「日本は殺傷能力のない装備を送る」「地雷除去、復興支援などに力を入れ、日本らしい支援を行なう」と明言した。それをきいて、ほっとさせられたところがあった。(・・)
しかし、残念ながら、殺傷能力のある武器を輸出(or提供)できないことに不満を抱き続けている保守タカ派勢力は、(防衛産業などもバックにつけて)日本の武器輸出の制限を緩和、撤廃しようと、新たに動き始めている。(-"-)
『自民、公明両党は25日、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針見直しに関する実務者協議の初会合を国会内で開いた。殺傷能力を持つ兵器の輸出解禁の是非を巡り、主張に隔たりがある両党がどう折り合うかが焦点となる。(産経新聞23年4月25日)
mewは、何とかこの動きを止めたいと思っているのだが。野党もメディアも大きく取り上げてくれず。国民もあまり関心がないので、かなりアブナイ状況に陥りつつある。_(。。)_
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日本政府は「武器輸出(禁止)三原則」のルールを設け、そして、原則として海外に武器および武器製造技術、武器への転用可能な物品の輸出が禁じていた。mewにはそれが誇りだった。
世界には、数多くの防衛産業、商社、いわゆる武器商人たちがいて、各国の軍隊や政治家と組んで、利権をむさぼっている。 彼らは戦争がないと利益が得られずに困るため、時に戦争の開始や激化を煽ることさえあるという。
でも、mewは日本には、武器で設けるような国になって欲しくなかったのだ。(-"-)
しかし、いわゆる保守タカ派や経済界(特に防衛産業や関連メーカー、商社)などは、国内の武器開発(海外との共同開発含む)、製造能力を向上させるためにも、また輸出による利益を拡大させるためにも、武器輸出の制限緩和、撤廃をすべきだと主張するようになった。<要は防衛強化にも企業の利益にも役立つのでwinwinだと。。
そして、安倍政権は2014年、ついに武器輸出三原則を廃止し「防衛装備移転三原則」に変えてしまった。
「防衛装備移転三原則・・・平成26年4月に当時の安倍晋三内閣が決定した防衛装備品の輸出ルール。国際共同開発や輸出拡大に向け、従来の禁輸政策を撤廃した。輸出や供与の条件を国際協力や日本の安全保障に資することとし、国連安全保障理事会決議に違反する場合や安保理が措置を取っている紛争当事国には禁じた。運用指針では、殺傷能力を持つ武器の輸出を共同開発・生産をする相手国に限定。殺傷能力がない装備は、救難、輸送、警戒、監視、掃海の計5分野について認めている。」
しかし、保守タカ派勢力らは、これではまだ満足せず。自民党の国防部会は、制限緩和の方針を決定。公明党に働きかけて、さらにルールを変更しようとしているのだ。(ノ_-。)
ただ公明党は、殺傷能力のある武器などの輸出には反対の立場。それゆえ、自民党は何とか公明党を説得しようと考えている。
『現行の運用指針は、輸出対象を原則、安保分野で協力する米国などに限定。目的も(1)救難(2)輸送(3)警戒(4)監視(5)掃海―に絞っている。
ウクライナ危機に際しては、防弾チョッキやヘルメットを供与するため、急きょ指針を改定。輸出を認める案件に「国際法違反の侵略を受けているウクライナ」との文言を加え、その後はドローン(小型無人機)や防護マスクも供与した。
ただ、米国やドイツは戦車やミサイル、防空システムなどの供与を決めており、自民党内には日本の支援を「見劣り」と受け止める向きが根強い。党安保調査会長を務める小野寺五典元防衛相は5日の講演で「日本が侵略を受けたときに『防弾チョッキとヘルメットをください』と頼むのか。外交関係はギブ・アンド・テークだ」と要件緩和の必要性を説いた。
同党は、日本が議長国を務める5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)までに、一定の結論を得たい考えだ。国防族の一人は「『侵略を受けている国・地域』に限り大幅な緩和を認めるべきだ」と訴える。
公明党も、防弾チョッキや地雷探知機などの輸出は容認する方針。さらに、英国、イタリアと共同開発する戦闘機も、例外的に輸出を認める案を検討する。山口那津男代表は「ある程度柔軟な構えでルールを作っていく必要がある」と理解を示す。
一方、殺傷能力のある装備品の輸出を巡っては、反対の世論も多い。山口氏も「兵器を解禁するという一般化した議論にすべきではない」とけん制。実務者協議では、自公間の綱引きが激しくなりそうだ。(産経新聞23年4月9日)』
『初会合では、防衛産業の関係者らを念頭に、講師を会合に招いてヒアリングを行う方針などを確認した。また、三原則の前身である「武器輸出三原則」に基づく禁輸政策を撤廃した経緯や、防衛装備品の海外での需要などについて政府側から説明を受けた。次回会合は大型連休後に開く。
現行の指針は殺傷能力のある兵器の供与を国際共同開発国に限っており、ロシアの侵略を受けるウクライナへの提供は防弾チョッキなどにとどまっている。ウクライナ側は対戦車ミサイルや弾薬の提供を求めたが、日本政府は見送った。
自民側は殺傷能力のある兵器の輸出を解禁したい考えで、5月19~21日の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に向けて緩和を打ち出したいという思惑もあった。ただ、公明は慎重な姿勢を崩しておらず、サミット前に結論を得るのは困難な情勢だ。
両党は昨年の「安保3文書」改定に向けた協議の際も輸出ルールを巡り議論したが、結論を持ち越した。こうした経緯を踏まえ、自民の小野寺五典安全保障調査会長は25日の会合で「残された宿題がある」と強調した。(同上)』
経済界も、自民党のこの動きに期待している。
『 政府・与党が防衛装備品の海外輸出を進めるのは、防衛力強化を下支えする国内防衛産業の基盤を強化するためだ。大手企業の事業撤退が相次ぐなど弱体化が進む防衛産業の適正利益の確保を図ることで有事の際の弾薬や部品の供給源を確保し、任務を継続する「継戦能力」の向上につなげる。
日本の防衛産業の市場規模は3兆円とされるが、買い手は自衛隊だけだ。そのため受注量が少なく量産効果が見込めない上、仕様変更による追加コストがかかることも多い。「不採算部門」のレッテルを貼られることもしばしばだ。
高い技術を備えた日本の装備品は海外から需要があるものの「防衛装備移転三原則」やその運用指針による制限が厳しい。三原則が定められた平成26年以降、インドネシアへの護衛艦やインドへの救難飛行艇など7件の交渉が行われたとみられるが、契約に至ったのはフィリピンへの警戒管制レーダー1件しかない。
一方、ロシアによるウクライナ侵略で世界的に軍備需要が高まる中、韓国は装備品の輸出を活発化させている。昨年10月末までの年間契約額で韓国は前年の約72億5千万ドルを大きく上回る170億ドル超となった。
韓国が東アジアの供給拠点として存在感を示す中、防衛族議員から「韓国から装備品を買うことになりかねない」との焦りの声も上がる。政府は5年間で43兆円規模の防衛予算を確保したが、増額は一時的なものに過ぎない。装備品の海外移転促進は、防衛力強化を続ける上で避けられない課題だ。(市岡豊大)(産経新聞23年4月26日)』
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また、政府は有事の際、海上保安庁が防衛大臣の統制下にはいることを決めたのだが。<陸で言えば、警察が防衛大臣&自衛隊の指揮下にはいるようなもの。>
この動きも警戒している。
『政府は28日、日本が外国から攻撃を受けた武力攻撃事態の際に、防衛相が海上保安庁を統制下に入れる手順や役割分担をまとめた「統制要領」を決定した。
防衛相が指揮するのは海保長官に限定。自衛隊が戦闘地域での防衛を、海保が避難住民の輸送など後方支援をそれぞれ担う。指揮下に置く場合、事前の閣議決定を必要とする。
自衛隊法80条は有事に当たり「海保を防衛相の統制下に入れることができる」と規定しているが、これまで具体的な手続きを定めた文書はなかった。統制要領は、海保の具体的な任務として、(1)住民の避難・救援(2)船舶への情報提供・避難支援(3)捜索救難・人命救助(4)港湾施設等のテロ警戒(5)大量避難民への対応措置―の5分野を例示した。
要領決定を受け、自衛隊と海保が有事を想定した共同訓練を始める。5月に机上訓練、6月に実動訓練を実施する。海保がこうした訓練を行うのは初めて。中国による沖縄・尖閣諸島周辺での領海侵入が継続的に発生する中で連携を強化する。(時事通信23年4月28日)』
昔は、こういうアブナイ動きがあったら、必ず、野党やTV・新聞のニュースや識者も、国民にその事実や問題性を訴えたものなのだけど。いまや政府の軍事強化をやりたいようにやらせている感じがあって、何だかな~とぼやいてしまうmewなのだった。_(。。)_ <せめて、ここで、しつこく取り上げよう!(・・)>
THANKS