11日の『自民・超保守がLGBT法案に抵抗で、サミット前の成立が困難に。修正案でごまかすのか』の続報を・・・。
先週12日、自民党がLBGT法案の修正案を決めた。(・・)
2021年、東京五輪前に超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」が作られ、LBGTの差別禁止を定める法案(名まえは自民保守派に配慮して理解増進法案)を作成したのだが。自民党内の超保守派の反対で法案成立に至らず。
今年にはいり、岸田首相の指示もあって、改めて広島G7サミットの開催までに、何とか法案を成立させようとしていたのだが。やはり自民党の超保守派はクビをタテに振らなかった。(-_-;)
<法案に反対している議員のひとりが、「安倍氏が亡くなったとたん、平気で裏切る議員が残念でならない」とツイートしていたのだが。五輪前の時は、戦前志向の超保守派のリーダーだった安倍晋三元首相の力が強かったのである。(~_~;)
彼らは、男系が承継する家父長制の天皇制と、それにつながる日本の伝統的な家制度、男女のあり方を守るべきだと主張。LGBTQ、同性婚、夫婦別姓などを認めない。^^;>
とはいえ、全面拒否では示しがつかないことから、12日に開かれた「性的マイノリティに関する特命委員会」と「内閣第1部会の合同会議」で協議し、それぞれのTOPに一任することに。幹部は、彼らが好ましく思わない部分はかなり修正or削除する形で修正案を作成し、これを自民党案として発表した。(-"-)
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で、この修正案が実にヒドイものなのだ。原案の大事な文言が替えられたり、大事な部分バッサリ切り捨てられたりとズタズタにされているのである。(ノ_-。)
原案は、こちらのサイトにあるのだが・・・。
https://lgbtrikai.hatenablog.com/
まず、法律名「性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」を含め、全ての条項において「性自認」という文言を「性同一性」に修正されている。
また、第3条の基本理念の「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」は、「性的指向及び性同一性を理由とする不当な差別はあってはならない」に替えられた。
そして、何と第1条の「目的」は全面的に削除。7条に規定されていた「学校の設置者の努力」を削除し、6条の「事業者の努力」のあとに位置づけられた。<学校教育で教える必要はない、という主張があったらしい。>
ちなみに第1条は『この法律は、全ての国民が、その性的指向又は性自認にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する 施策の推進について、国の役割等を明らかにするとともに、必要な措置を定め、もって性的指向及び性自認の多様性を受け入れる精神の涵養並びに性的指向及び性自認の多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とすること。』という、まさに法律の肝になっていた部分なのだが。
見事にバッサリと削除されることになったのだ。要は自民党の超保守派は、第1条に記されているようなことに反対の立場なのである。(-"-)
『LGBT法案、自民が修正案了承 保守派に配慮、性自認→性同一性に
性的少数者への理解を広めるための「LGBT理解増進法案」について、自民党は12日、法案に反発する保守派議員らに配慮した修正案を党内会合で事実上了承した。週明けに総務会で正式決定し、19日に広島で開幕する主要7カ国首脳会議(G7サミット)前に議員立法として国会提出する。
修正案は、2年前に自民も含む超党派議員連盟を中心に作成した同法案にある「差別は許されない」という文言を「不当な差別はあってはならない」に、「性自認」という言葉を「性同一性」に変えた。さらに、「学校の設置者の努力」という独立した項目を削除し、事業者の項目と一体化させた。「子どもに教える必要はない」などの意見が複数出たことを踏まえた修正とみられる。
伝統的家族観などを重視する保守派議員らの主張に対応した。自民は修正案を週明けの総務会で正式決定し、公明党とも調整して国会に提出する構え。性的少数者の人権・権利保護もテーマになるG7サミットの前に提出することで、議長国としての姿勢を示すねらいがある。
会合終了後、法案への「慎重派の最右翼」と自らを称す西田昌司参院議員は「法律によって、一部の運動団体が国民を分断するような、道具に使うことがないということを望んでいる」と指摘。国会での十分な審議時間が必要だと語り、「懸案事項を提案者側が説明することが一番大事だ。サミットの前に成立するなんてことはあり得ない」と記者団に述べた。
超党派議連会長で法整備に前向きな岩屋毅元防衛相は「性同一性」と文言修正について、「性自認のときとほとんど変わらない定義の仕方になっている」として修正案に一定の評価をした。自民党内の手続きが終わり次第、超党派議連を開き、野党に法案への協力を呼びかける考えを示した。
野党は、「超党派で努力を重ねて合意案を作ったにもかかわらず、与党が自分たちだけで法案を出そうとするのはあまりにも身勝手だ」(立憲民主党・西村智奈美代表代行)などと批判しており、G7サミット前の成立は困難な情勢だ。自民は会期内成立を視野に入れている。(千葉卓朗)(朝日新聞23年5月12日)』
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超党派議連の稲田朋美氏は「一部修正はあったものの、趣旨はまったく変わっていない。この法律ができることによって、霞が関の中に当事者の意見をしっかり受け止める部署ができる」「政調会長のときに(性的マイノリティに関する特命委員会を)作ってから、もう足かけ8年ぐらいかかったかなと思う。法律ができても6年ぐらいかかり、また合意案ができて2年間ほとんど動かない状況の中で、やっぱり大きな前進だと思う。野党の皆さんや公明党の先生方にも、ぜひご理解をいただけるように努力したい」とアピール。
公明党は修正案に理解を示しているようだが。立民党などの野党は「今度こそ」との思いで法案提出しようとしていただけに、ここまで修正されては、納得行くはずもあるまい。(-"-)
ところが、面白いことに、このLBGT法案自体に大反対していたゴリゴリの超保守派議員たちは、この修正案にも納得行かず、怒っているという。^^;
『LGBT法案一任 自民保守系から不満噴出
LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案を巡り、自民党の保守系議員が党内議論の進め方に反発を強めている。12日に開かれた性的マイノリティに関する特命委員会と内閣第1部会の合同会議では法案への反対意見が根強いにも関わらず、議論が打ち切られ、部会長らに法案の取り扱いが一任されたためだ。「LGBT当事者や女性の不安が払拭されていない」(党中堅)と法案への懸念はくすぶる。
「反対が多いのに『一任』はあり得ない。党内民主主義に反する。法案提出ありきで期限を区切っているのではないか」
自民の和田政宗参院議員は13日、産経新聞の取材にこう述べ、憤りを隠さなかった。
12日の合同会議は4回目の条文審査となり、計28人が意見を述べた。幹部側は過去3回の議論も踏まえた修正案を提示したが、和田氏によれば、発言者の半数を超える15人が明確に反対を唱えたという。最終的に幹部側は特命委の高階恵美子委員長と内閣第1部会の森屋宏部会長への一任を決め、事実上の了承に至った。
特命委の幹事長を務める新藤義孝政調会長代行は会合後、記者団に「濃密な議論の土台がある中で、よい議論ができた。懸念のある部分にはさまざまな検討を加えた」と述べたが、苦渋の表情が浮かんだ。
2時間半にわたる会議の末、新藤氏は議論の打ち切りを提案した。ただ、保守系議員らが譲らず、席を立って新藤氏に詰め寄る場面もあった。(略)
高鳥修一衆院議員も13日にツイッターで、「多くの議員が求めた差別のガイドライン、性同一性の客観性、学校に関する条文の削除はゼロ回答のまま。(ひな壇は)聞かない力を発揮した」と投稿し、部会の運営を批判した。12日には、理解増進法の制定に強い懸念を示していた安倍晋三元首相に触れ、「安倍氏が亡くなったとたん、平気で裏切る議員が残念でならない」とも書き込んだ。
静岡県御殿場市長を経て令和4年参院選で初当選した若林洋平参院議員も12日のツイッターで、「慎重派の意見が圧倒的に多かったのにも関わらず強行一任で幕を閉じた‥地方自治では絶対あり得ない」と強調した。
法案に関する党内手続きは、16日にも開かれる党総務会での了承を経て、終える見通しとなっている。
自民議員グループ「日本の尊厳と国益を護る会」の代表を務める青山繁晴参院議員は13日、産経新聞の取材にこう懸念を口にした。「LGBTに関する法律は日本社会となじまない。岩盤支持層だけではなく、自民から離れてしまう人が増えるのではないか」(奥原慎平)(朝日新聞23年5月12日)
自民党の岩盤支持層の代表的なものが、日本会議、神道政治連盟などの超保守団体だ。同党議員の300名以上が、このような団体から選挙支援を受ける一方で、冒頭に書いたような日本の伝統を守り、LGBT法などに反対するように要請(指示?)されている。そのため超保守派は現代の世にそぐわない考えを声高に主張し、政府与党の法案や政策を次々と歪めてしまう、ひいては一般社会のあり方を歪めてしまう状況が続いている。<尚、維新も馬場代表、松井前代表をはじめ超保守派が少なからずいる。>
このようなことを、もっと一般国民に知って欲しいし。政党or派閥、各議員の考えがおかしいと思ったら、それを投票行動に反映して欲しいと強く願っているmewなのだった。(@_@。
THANKS