今年3月に作曲家の坂本龍一氏が亡くなった際、同氏が神宮外苑の再開発に伴う森林破壊やイチョウ並木の伐採に反対していたことが世に知られることになった。(・・)
再開発事業は、都心の神宮外苑で球場やラグビー場を建て替えるほかに超高層ビル2棟なども新築する計画。837本を植樹する一方、700本以上の高木を伐採する計画に対して環境破壊や景観悪化を懸念する声が上がっている。
この計画は何年も前から進んでおり、都内ではいくつかの市民団体が反対の署名集めや集会などの抗議活動をしていたのだが。なかなか計画が止められずにいた。
<上にリンクした記事にあるように、秩父の宮ラグビー場の移転なども絡むこの再開発には、森喜朗元首相(+萩生田光一氏)が関わっており、計画変更が容易ではない「森案件」とされているのだ。(-"-)>
そこで坂本氏は今年3月、小池都知事に計画の見直しを要請する手紙を書いていたのだが、それが受け入れられないまま、他界してしまった。(-_-;)
6月には作家の村上春樹氏がラジオ番組で、「個人的に強く反対しています」「緑あふれる気持ちの良いジョギングコースを、すてきな神宮球場を、どうかこのまま残してください。一度壊した物ってね、もう元には戻りませんから」と主張したこともあったのだが、コトは大きく動かなかった。(-_-;)
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しかし、ここに来て、また新たな流れが起こりつつある。(@_@。
サザンオールスターズが、45周年を記念した9月に新曲「Re-lay~杜の都」を発表したのだが。作詞・作曲した桑田圭祐が、その中に神宮再開発に反対するメッセージを織り込んだのである。(**)
<局の歌詞や桑田氏のコラムにお載ったサイトは、https://special-sas45.southernallstars.jp/に。>
また、ユネスコの諮問機関であるイコモスが、「ヘリテージアラート」を出して事業者に計画撤回を求めたことがわかった。(・o・)
サザンオールスターズの桑田圭祐氏は、9月2日のラジオ番組で、このように語っていたという。
『新曲「Relay~杜の詩」の初オンエアに先立ち、桑田自ら歌詞を朗読。そして楽曲をオンエアした後、桑田はタイトルの“Relay”について「この言葉の成り立ちを調べると、“Re”は『後ろに』という意味で、“lay”は『残す』というラテン語らしくて、陸上でもリレー競技がありますけど、転じて今は『つなぐ』とか『引き継ぐ』などの意味で使われています」と説明。
続けて「いわゆる神宮外苑再開発という問題がありまして、私もボヤっとしていてよく知らなかったんですけど、3月にお亡くなりになった坂本龍一さんが提示していたことがいっぱいあって。この問題もそのひとつで、それを受け止めて作った曲と言っていいと思う」と胸中を明かします。
また、神宮外苑地区といえば、サザンが長年にわたり楽曲を制作してきた、音を奏でてきたビクタースタジオがあることから「この界隈には大変思い入れがございまして。言い換えれば、“ふるさと”のような場所」と例えたうえで「この問題についての報道をいろいろと観て、私なりに調べてみて、(このように言い争いが起きてしまっている今の状況が)何だか非常にもったいない気がするなと思って、この歌詞にしました。思いはこの楽曲のなかに詰め込んだつもりです」と桑田。
さらには、「こういう時代だから(それぞれの立場で)いろいろとあるわけですけど、自分のなかの違和感みたいなものを明確にしないと、やっぱり自分に返ってくるというか。“人生はブーメランだ”と最近思うようになりました」と言及。
番組のエンディングでは、「今夜は『Relay~杜の詩』を初オンエアさせていただきました。(神宮外苑地区は)我々が音楽を作ってきたビクタースタジオの周辺、身近な場所で、自分にとっても本当に大切な“ふるさと”だと思って作った曲です」と改めて楽曲に込めた思いを語りました。((TOKYO FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」2023年9月2日(土)放送より)』
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歌詞は、「誰かが嘆いていた 美しい杜が消滅るのを(きえるのを)」から始まり、「未来の都市が空を塞いでいいの?」と。そして、「遺志をつないで この杜が好きだよ」で終わっている。
<途中の「馬鹿でごめんなさい」は、諸問題に無関心な国民への警告的なものもあるかも知れない?>
このサザンの曲をきっかけに、より多くの人たちが神宮開発の問題に関心を持って、反対の声が強まって欲しいと願うばかりだ。<もう工事が始まっているので、急ぐ必要がある。(**)>
イコモスも動き出した。(@@)
『神宮外苑再開発に「ヘリテージアラート」 イコモス、事業撤回求める
神宮球場や秩父宮ラグビー場を建て替える明治神宮外苑地区(東京都)の再開発事業について、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関で文化遺産保護の専門家らでつくる国際NGOイコモス(国際記念物遺跡会議、本部・パリ)が7日、「ヘリテージアラート」を出して事業者に計画撤回を求めた。
国内組織に当たる日本イコモス国内委員会によると、アラートは危機的状況にある文化遺産を守る目的で出される。文化庁によると、法的拘束力や罰則規定はないという。過去には、昨年、明治期の鉄道開業時の遺構「高輪築堤」(東京都港区)の解体中止を求めて出されたことがある。
イコモスが公表した文書によると、神宮外苑が市民の寄付や献木などで造られた経緯に触れ、「世界の都市公園の歴史の中でも傑出した例で、優れた文化遺産」と評価。再開発による超高層ビル建設などについて、国民や関係者との協議がなく「強く警告する」とした。
その上で、事業者に対して再開発の即時撤回を求めた。また、事業を認可した都に対して、都市計画決定の見直しを求めたほか、条例に基づく環境影響評価(アセスメント)に根本的な欠陥があったとして再審の必要性を指摘した。日本政府に対しても協力を求めた。
事業者側をまとめる三井不動産は取材に「内容を確認中でコメントは致しかねます」、再開発事業を認可した都の担当者は「アラートの文書はまだ手元に届いていない」とした。
再開発事業は、神宮球場と秩父宮ラグビー場の建て替えや、高さ約200メートルの超高層ビル2棟を新築するなどの内容。三井不動産や宗教法人・明治神宮など4者による事業で、837本を植樹する一方、700本以上の高木を伐採する計画に対し強い批判がある。日本イコモス国内委員会は、環境アセスに問題があるとして指摘を続け、再開発の見直しを求めていた。(土舘聡一)(朝日新聞23年9月7日)』
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これを受けて、西村明宏環境相は8日の閣議後記者会見で、「環境に最大限配慮をした事業の実施を期待する」と。『イコモスが出した要請「ヘリテージ・アラート」はまだ手元に届いていないとしつつ「都市緑地は、生物が生息し、住民が自然と触れ合う場所として重要だ」と指摘した。』(共同通信23年9月8日)』
世界のサカモトとムラカミ、さらに我らがサザンの音楽と言葉の力をバックに、イコモスの力も借りて、住民や国民の意思で何とかこの計画の見直しを実現したいと・・・そうできるような国にしたいと願うmewなのだった。(@_@。
THANKS