4日、自民党の党規委員会の処分が発表されたのだが。一言で言えば、「ハンパ」。中途半端な処分だったな~と感じた。
おそらく、処分を受けた議員自身も、党内外の与野党議員も、国民も含め、ほとんどの人が納得行かない処分内容だったのではないだろうか。(・・)
こちらの曽根泰教氏の見解は、mewの考えとほぼ一致する。
『処分の線引き 曖昧…曽根泰教・慶応大名誉教授
今回の処分結果は、安倍、二階両派議員の裏金化への関与度合いなどが十分に精査されたとは思えず、線引きも曖昧だ。処分対象を政治資金収支報告書への不記載額が過去5年間で500万円以上とした根拠や、還流継続を協議した安倍派元幹部の間で処分に差がある理由も判然としない。
そもそも裏金化の理由や、いつ、誰が、どのように始めたのかが明らかになっていない。政治倫理審査会に出席した安倍派元幹部は「分からない。責任は自分にはない」と繰り返し、説明責任を果たそうという姿勢もみられなかった。
実態解明に向け、リーダーシップを発揮しなかった岸田首相の責任も重い。首相が主導した派閥解消や今回の処分も、国民に「(批判を回避するための)自己保身や政治的ライバルを退けるための行動ではないか」と映る可能性すらある。
首相は処分を機に政権浮揚を図りたいだろうが、容易ではない。信頼回復には、政治資金の透明性確保など実効性のある対策を講ずる必要がある。「政治資金委員会」のようなチェック機関の設置も一案ではないか。与野党には選挙制度や国会改革などを含めた骨太の政治改革が求められる。(読売新聞24年4月5日)』
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mewは自民党は支持していないが。岸田首相には、脱アベ・スガと自民党解体を期待している。岸田氏の思いがわからないわけでもないが、もう少ししっかりと真相解明&処分を行なって、他の首相ではできなかったであろう党の解体・立て直しをはかって欲しかった。(-"-)
岸田首相は、念願だった首相の座について3年め。昨秋から、やっと少しずつ自分のやりたい政策が実行できるようになったところ。<自分への処分を科さなかったのも、もう少しアレコレやりたかったからかも。>
そんな時に、想定外の安倍派・二階派による不正行為の発覚して、内心「いい迷惑」だと思っているだろうし。いつまで自分の政権が続くかわからない崖っぷち状態にある今、一日も早く、この事件の幕引きをして、自分がやりたかったことをやっておきたいと。また、できれば、それを政権浮揚につなげたいという気持ちがあったと察する。
というのも、岸田氏は、5年かけて構想を練って来た「新しい資本主義」(脱アベノミクス)に伴う具体的な政策を今から法案化したり、実行に移したりするところだったし。今年は、外務大臣として培った外交手腕を発揮する予定が色々と組まれているからだ。
<このあと4月に米国訪問(国賓待遇)。5月には日中韓首脳会談の予定。7月にはNATO首脳会談にも招待されてるし。北朝鮮との首脳会談を実現したいという思いもある。>
ただ、ここで、きちんとこの事件に対応をしていれば、少しは国民の信用や期待も取り戻して、政権浮揚の可能性があったかも知れないが。中途半端な対応をしてしまったことで、却って信頼や期待を失い、何をやっても評価されないという状態を作ってしまったように思う。(-_-;)
せめて、ここから政治資金規正法の改正でリーダーシップを発揮して、連座制、政策活動費など不明瞭な政治資金の廃止など、自民党議員の多くが反対している改正案の実現に力を尽くして欲しいものだ。(・・)
野党はもちろん、大批判を展開している。(**)
『立憲民主党 泉健太代表
「今回の処分ってのは非常に恣意的だと感じますね。自民党内の党内抗争でやってんじゃないかと、全く国民不在の処分だということが言えますね。そういう意味では、自民党内の処分なんてのは所詮こんなもんだと、国民の力で国民が処分するしかない」
日本維新の会 馬場伸幸代表
「身内が身内を処分してるだけなんでしょと。社会的制裁はそれによってどうなるんですかと。事実解明ができてない上で、それぞれの議員さんの処分ということの“物差し”がはっきりわからない」
共産党 小池晃書記局長
「真相解明抜きのお手盛りの処分、これもう処分の名に値しない。けじめには程遠い。こんなことで幕引きをかかろうとすることは許されない」(TBS24年4月4日)』
『泉氏は国会内で記者団に「軽過ぎる。未処分、無処分が多過ぎる」と批判。還流総額が2728万円に上る萩生田光一前政調会長の処分が党の役職停止1年間にとどまったことについても「今、何の役職にも就いていない。実質処分無しだ」と憤った。
日本維新の会の馬場伸幸代表は記者会見で「処分の物差しが分からない。事務総長経験者、派閥によっても差があり、非常に不可解だ」と強調』していたとのこと。(時事通信24年4月4日)
この処分の軽重、物差しは本当にわかりにくいし。昨日、『萩生田や武田の処分が軽いのは、茂木と森と二階の思惑、権力争いの反映か』という記事にも書いたように、今回の処分内容は、かなり恣意的に決まったと思われても致し方あるまい。(-"-)
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これも結局は、今回の事件の真相が解明されていないからですよね。刑事裁判でも(学校の規則違反の処分でさえも)「あなたはXXXという法違反を、このように犯した。だから、OOという刑罰or処分を科す」という判示や説明がなされるのが当然だし。
「Aはこの事件の首謀者だったので、罪が重い」とか、「Bは同じ不正行為をしたけど、(金額など)被害の程度が小さいので、罪が軽い」ということで刑の軽重が決められて、その説明もあるわけだけど。な~んもないんだもの。(-"-)
本来なら真相解明のために、第三者の機関を作って、きちんと調査をすべきだったし。処分の内容も第三者の意見も取り入れながら、党紀委員会できちんと議論すべきだったのに。
いつの間にか、茂木幹事長中心に、処分する議員や処分の内容がほぼ決められていて、党規委員会は形だけ開かれて、既に決まった処分を追認するだけだったのだから。(-_-;)
いや。党規委員会には、第三者も参加していたらしい。ただ、そのひとり、金美齢氏(台湾出身の評論家・安倍元首相&仲間たちと懇意)の言葉には、ちょっと唖然とさせられるものがあった。
『「今まで日本のために頑張った人もたくさんいるわけだから。すぐにやれ処分だなんだというのは、私に言わせれば、人間冷たいよね」。離党勧告処分が決まった世耕弘成前参院幹事長については「私は世耕さん大好きだからね」とも評価した。(産経新聞24年4月4日)』
党規委員会で処分を検討する人がこんな認識なのである。でも、もしかしたら、自民党の議員や支持者の中には、こういう感想を抱いた人が少なからずいるのかも知れず。それでは、自民党が「政治とカネ」に関して改善する見込みは乏しいと改めて強く感じたmewなのだった。_(。。)_
THANKS