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静岡県の川勝平太知事が、今月3日、6月の県議会後に辞任すると発表した。(・・)
辞任に追い込まれた直接のきっかけは、1日に県庁で行なった新入職員への知事の訓示の中に、職業差別だと思われるような表現があったことだ。(-"-)
川勝知事は、近年、表現の仕方に問題がある発言を何回か行なっている。今回の発言(表現)にも明らか大きな問題があるので、県民から多数の抗議も多数あったようだし、辞任もやむを得ないと思う。(-"-)
ただ、正直なところ、少し残念な部分もある。mewは、政商&財界超保守のドンである葛西敬之氏&安倍晋三元首相タッグの強大な力に負けず、原発再稼働や、リニア新幹線工事に関する問題を主張して、戦い続けていた川勝知事を応援している部分があったからだ。<国会議員、周辺自治体や保守系メディア、ネット民から叩かれまくっていたし。(・・)>
<1日の訓示でも、「上にへつらってはならない、下に威張らない」と語っていたのだが。川勝知事は、上にはへつらわない人だったのである。(**)
下には、上から目線でものを言うとこがあったかも。(~_~;)>
* * *
川勝知事は1日の県庁の訓示で、こんなことを言ったという。
<全文・https://www.fnn.jp/articles/-/679812>
『県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです。ですから、それを磨く必要がありますね。で、それは磨き方はいろいろあります。知性を磨くということ。それからですね、やっぱり感性を豊かにしなくちゃいけない』(原文ママ)
川勝知事は3日の会見で『第一次産業、農業、酪農、水産業、これは最も大事にしてきた。そういう方々の心を傷つけたとすれば誠に申し訳なく心からお詫びいたします』と謝罪。「自分で気づかず、言われて気付くのは、大きく反省するべき。これが繰り返されているのが、 ひとつの大きな辞任の理由だ」と。また、4日には、「なりわいの違いを言ったつもりだったが、通用しないと言われた」と4日に発言を撤回した。
実際、これまでの言動を見や訓示の全文を見る限り、川勝知事が職業差別をする意図で言ったのではないことは理解できなくはないのだが。
やはり知事たるもの、県民にきちんと自分の意図が伝わって誤解されないように、表現には気を付ける必要があるわけで。(それも知性の一つ。)今回の発言はアウトだと言われても仕方あるまい。(ーー)
ただ、川勝知事は「4期目はリニアの南アルプストンネル工事から南アルプスの水と生態系・環境こうしたものをいかに守るかということに心を砕いて来た。リニア問題は大きな区切りを迎えている」と、JR東海がリニア開業を延期し、工事実施への強引な姿勢を変えたことを、最大の辞任の理由として挙げていた。(・・)
川勝知事は1948年、京都府生まれ。早稲田大学院経済修士、オックスフォード大学博士号を取得した後、早大教授、国際日本文化研究センター教授、学校法人静岡文化芸術大学学長などを務めていた。<政府の諮問機関などのメンバーにも選ばれていた。>
09年、石川嘉延前知事の後継として、旧民主党などの支持を得て、知事選に出馬し、自公などが推薦する候補を僅差で破って初当選。
知事になってから県民からの支持が高まり、13,17、21年は余裕を持って選挙に勝利し、4選を果たしていた。
mewが川勝知事に注目したのは、11年の東日本大震災&福島原発事故が起きた後、同知事が当時の菅直人首相の原発再稼働停止の方針に賛同し、静岡県内にある浜岡原発の再稼働を認めようとしなかったからだ。
浜岡原発は、震災や津波の対策が十分でないことから、その対策を講じるまでは再稼働は認められないと宣言。それ以来、何度か中部電力と協議しているのだが、いまだに再稼働を認めていない。<原発再稼働に関しても、JR東海・葛西&安倍政権など多方面から圧力があったのではないかと察する。(-_-)>
今回の訓示でも、真っ先に危機管理の重要性(特に震災対策)について説いていたのだが。県民の安全確保には、強い意欲を抱いていた知事だったように思う。(**)
* * *
リニア新幹線の問題もしかりである。(++)
JR東海は、2017年に品川から名古屋までを40分で走るリニア新幹線の建設計画を発表した。この新幹線は、東京ー山梨ー長野ー静岡ー愛知を通る。
静岡県を通るのはわずか8.9km。山梨&長野県の方に少し突き出ている部分にある南アルプスにトンネルを作り、そこを通過するという計画だ。<静岡県に駅は作られず、通過するだけ。^^;>
川勝知事は、この工事に「待った」をかけた。(@@)
静岡県を流れる大井川は、南アルプスの湧き水が源流になっている。もしトンネル工事によって、湧き水が減れば、大井川の水量に影響し、県民の農業や生活に大きな支障が生じることになる。
また、山を掘ることで生じる生態系への影響、残土の処理なども問題になっていた。(-"-)
川勝知事は、この件でJR東海や安倍政権などなどを相手に戦い続けていたのだが。県民もその姿勢を支持していたことも、大きな力になったのではないかと察する。
『2021年の知事選で、SBSが1500人の県民を対象に行った調査をみると「選ばれた知事に期待する政策」として5割を超える人が「リニア問題」と解答しています。さらに、そのうちの8割ほどの人が川勝知事に投票していて、川勝知事への期待の表れ、これまでの姿勢が評価されていることがわかります。(静岡放送24年4月3日)』
ちなみに、このブログには20年弱の間に、超保守のドン&安倍サポーターとして、JR東海の葛西敬之元名誉会長の名が何度か出ている。<22年5月に81歳で逝去。>
葛西氏は、1940年、兵庫県の生まれ。東大法卒後、国鉄に入社。国鉄本社で経営計画室主幹、職員局次長を歴任し、労働組合解体、国鉄民営化に寄与したことを評価され、90年にJR東海代表取締役副社長に昇格。95年に代表取締役社長、04年に代表取締役会長。以降、18年に取締役名誉会長を辞するまで(その後も名誉会長職は継続)33年にわたりJR東海の取締役として君臨し、「JR東海の天皇」とまで呼ばれていた人だ。(ーー)
労組解体に情熱を注いだことからもわかるように、反共産・社会主義の愛国主義者。mewのいう戦前志向の超保守思想を持ち主で、中曽根康弘氏や三塚博氏などの政治家とのつながりを有し、やがて「政商、フィクサー」と呼ばれるようにもなる。<葛西氏の政商ぶりについて書かれた本や記事も多い。>
また、経済界TOPとグループを作り、安倍晋三氏をはじめとする超保守議員を支援する活動も行なって来た。<安倍氏の首相復帰をサポート。NHK人事にも影響力を行使していた。(-_-;)>
『大企業のトップでつくる親睦会「四季の会」をつくり、安倍氏を支えてきた。葛西氏と富士フイルムホールディングス最高顧問の古森重隆氏が「四季の会」の中心メンバーである。第2次安倍政権発足後は、葛西氏が発起人となって、三菱グループなどの重厚長大産業の経営トップを集めた「さくら会」を組織した。経団連会長となった日立製作所会長の中西宏明氏(故人)は「さくら会」のメンバーだった。
「四季の会」はNHK(日本放送協会)の人事権を掌握してきた。第1次安倍政権が誕生するとNHKの経営委員会委員長や会長の人選は「葛西氏と古森氏が事実上、仕切った」(財界首脳)とされる。(Business Journal24年1月24日)』
『日本最大の右派団体である日本会議の幹部と顔ぶれが重なる「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では代表発起人に名を連ねた。安倍首相が第1次政権時代に肝いりでつくった「教育再生会議」のメンバーでもある。(同上)』
葛西氏と安倍元首相は、原発推進派でもあった。安保軍事面でも、リニア新幹線を含む鉄道産業の成長のためにも、原発は重要な電源だと考えていたからだ。
そのため、原発再稼働を認めない自治体、首長には、相当の圧力があったのではないかと察する。(-"-)
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最後の方は、JR東海の葛西氏と安倍元首相の関わりについて長く書いてしまったのだが。それは、超保守派の財界人と政治家の結びつきが、日本の政治、社会を動かそうとしていることを伝えたかったからだ。<今でも9条改憲や軍事産業発展に向けて動いている財界人がいることに留意して欲しい。>
そんな勢力&全国の超保守支持者からの圧力や攻撃に屈さず、安易な原発再稼働を拒み続け、強引なリニア新幹線の計画に反対し続けた川勝知事は、本当によく頑張っていたと思うし。「おつかれさま」と言いたいmewなのだった。m(__)m
THANKS