民主党にラストチャンスを(4) ~ 小沢氏の決断はいかに? ~
2006年 04月 03日
民主党は7日に、両院議員総会を開いて、特例により党所属の国会議員だけの投票による
代表選を行なうことになった。
ここで正式な代表選(国会&地方議員、党員、サポーターが投票)を行なえれば一番よか
ったのだが、残念ながらその時間的余裕がない。今回選ばれる代表は、9月に予定されて
いる正式な代表選まで5ヶ月の任期を担うことになるのだが、民主党はこの数年の間だけで
も4人も代表が替わっていることや、来夏に参院選を控えて党をしっかり立て直して体制を
固めて行かなければならないことを考えると、今週選ばれる代表は、短くとも参院選までは
継続して党をリードして行いくことが望ましいと思う。
さて、前原氏辞任前から民主党の新体制を考えて、「民主党にラストチャンスを」という
記事を連載し始めていた私だが、実は(4)から2~3回に渡り、小沢氏を取り上げる予定
で準備を進めていた。だが、いきなり今週に代表選が行なわれることになってしまったこと
から、そうゆっくり長々と書くわけにも行かず、アタフタさせられているところがある。
その小沢氏は、まさに今回の代表選でもキーパーソンになりそうである。
おそらく今、小沢氏は党内の情勢を横目で見つつ、果たしてここで自分がTOPとして
立つべきなのか、または誰かを立てて支持に回るべきなのか、じっと考えて、最後の決断を
下そうとしているのではないかと思う。
彼にとっては、ここからの数年が勝負であり、政権交代可能な政党を作るという大きな
目標を実現するために力を発揮し得るラストチャンスになるかも知れない。
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代表選や今後の方向性などに関してはまた後日書きたいと思うが、民主党の議員や関係者
も、マスコミや国民の関心ごとは、やはり小沢氏が代表選に立候補するか否かというところ
にあるのではないかと思う。
前原氏が代表辞任を発表してから、いくつかのメディアで次期代表に関する調査が行なわ
れたが、私が目にした調査結果は全て一位が小沢氏、二位が菅氏であった。この二人は、
日本の首相として期待する人などの調査でも、野党議員ながらほぼ常にベスト5にはいって
おり、政治家としての能力や手腕が世間的にも認められているのがわかる。
そしておそらく小沢氏が代表選に立つことを決断すれば、菅氏をはじめ党の有力者は彼が
代表になることに協力するのではないかとも思われる。
私自身、小沢氏が代表になってどのような党運営を行なうのか見てみたいという気持ちも
あるが、民主党全体をまとめて立て直すことや来夏の参院選のことを考えると、彼がTOP
に立つより、サブとしてアシスト役を務める方が彼の力を最大限に発揮し、本人の目標実現
に近づくことができるのではないかと思う部分が大きい。
というのも、まず自民党に対抗する最大野党としての「民主党の顔」になるということを
考えた時に、小沢氏にはどうしても自民党時代の様々なイメージが強く残っていることが
マイナスになるのではないかという懸念があるからである。そして、小沢氏自身も認めてい
るように、彼はTOPに立つよりも参謀役としての能力や手腕に優れていることから、下手
にTOPの立場になって周辺の者や一般大衆やマスコミへの気遣いで余計なエネルギーを
費やすよりも、アシスト役に徹した方が彼らしいし、その力や持ち味を存分に発揮できると
思うからである。
もちろん、本人が決意するのであれば、私は彼が代表になることを否定する気はない。
もし彼が代表になれば、自民党はかなりやりにくくなるはずだ。また、経済界や諸団体
また国民の一部から見て、民主党の政権交代能力がアップしたと評価される可能性も高い。
ただ、小沢氏が代表としてうまくやって行くためには、周囲でサポートする幹部が彼を
よく理解した上で協力をし、党内の議員たちや関係者とのパイプ役を務めて行くような
体制を作ることが強く望まれる。それができなければ、小沢体制は長く続かないかも知れ
ないと懸念してしまうところがある。
代表選が迫っていて先を急ぐため、今回は小沢氏の経歴やその感想をゆっくり書くこと
ができないが、興味のある方は小沢一郎のwikipediaを見るだけでも、彼は自民党時代から
政治家として、よくも悪くも様々な動き、働きをして来たかがわかるのではないかと思う。
ただ、彼は基本的には自分がTOPに立つことを望まず<首相になれるかも知れない
チャンスも拒み>、誰かを表に立てて参謀役を務めることを好んで来た。
小沢氏は自分がTOPになるのに向いていないと知っているからである。
2日の朝に放映された「報道2001」というTV番組に、瀬戸内寂聴氏と共に出演して
いたのであるが、瀬戸内氏に「容貌コンプレックスがあるの?」と冷やかされたりしながら
「自分には小泉首相のように、一般国民を惹きつけてアピールする力がない。人前やTVで
話すのも得意ではない」という話をしていた。
彼は少年時代からシャイな性格であり、愛想を使ったり器用にふるまったりするのが得意
ではなかったらしく、マスコミや周囲の者とうまくコミュニケーションをとるのも難しく、
時に大きな誤解を与えたりすることもあった。一般大衆ウケする話ができるタイプでもない。
小沢氏は、時に愛想よくしようとして、TVカメラの前で一生懸命に笑みを見せようと
することがあるのだが、ついつい顔が引きつってしまう。失礼ながら、そこがカワイく思え
る時もあるが、同時に「そんなにムリをしなくても」とも思ってしまう。
また彼には、自民党時代に金権政治を行う派閥の中枢にいたことや、その後も含めて豪腕
ぶりや策士ぶりを示すような話が多いことから、ダーティで強引であり、また策略家などの
イメージがずっとつきまとっている。<「小沢が潜った(表に姿を見せなくなった)」と
言えば「何かの策を練って、陰で根回しをしたり密約を交わしているのかも知れない」と
いうことを暗示しているととらえられるのもその一例かも知れない。> さらに彼が関わっ
た派閥や党が次々に解体されていることから「壊し屋」という呼び名もある。小沢氏自身、
そのことも十分に認識しているようだ。
ただ、小沢氏は他の者をTOPに立ててサブに徹しようとしながらも、自分が思うよう
には成功していないところがある。自民党時代、竹下派(経世会)の次期会長争いの時も
羽田氏を推した小沢氏は、小渕氏を推した橋本氏や梶山氏陣営に敗れて、それが派閥解体
や党の分裂につながった。
離党後は、自民党に対抗し打倒し得る政党作りを最大の目標として、93年には元祖
アイドル首相とも言える細川氏を立てて、野党8党の大連立政権を組んで自民党を下野
させることに成功したが<自民党の50年の歴史の中で、後にも先にも野党に転じたのは
この時だけである>、深夜に妙な消費税増税の会見を行なったことから小沢氏への反発
が増した上、細川氏に金銭スキャンダルが生じ、彼が突然、首相どころか議員辞職を宣言
してしまったことから一年も持たずに、掟破りとも言える社会党との連立政権を組んだ
自民党に与党の座を取り戻されてしまった。
<小沢氏は近時も、もしあの時に細川氏がもう少し長く首相を続けていたら、日本に二大
政党制の基盤を築けたのではないかと残念に思っているようだ。>
新進党時代には海部氏を党首に立てて、参院選の比例区で自民党の議席数を上回った
こともあったが、その後、小沢氏に反感を持つ者が徐々に増えて行き、結局、自分が党首
であった96年末に解党をしてしまった。そして、自らが中心になった自由党を作るも
少数政党の状況が続き、ついに03年に民主党と合流することになるわけだが、その際も
当時代表であった鳩山氏が勝手に小沢氏と話を進めたということで、代表辞任に追い込ま
れるというトラブルが発生した。
それでも小沢氏がある意味でプライドを捨てて、小沢アレルギーを持つ議員が少なくない
民主党に合流したのは、一重に自民党に対抗する政党を作りたいという目標を実現したいと
いう強い思いがあったからではないかと思われる。
そして小沢氏合流後、民主党は03年の衆院選で議席数を177と大きく伸ばし、04年
の参院選では自民党の議席数を上回り、小沢氏は本来であれば06~7年頃に行なわれる
予定であった衆院選で大きな勝負を賭けるべく準備を進めていた。だが05年の夏、想定外
だったことに小泉首相がいきなり郵政民営化解散を行ない、民主党は惨敗をすることになる。
<政界の一部には、小泉自民党が小沢氏が民主党の実権を握る前に衆院選をやった方が得策
だということまで考えて、解散を断行したという見方もあるほどだ。> 小沢氏がサポート
していた岡田元代表はその責任をとって辞任し、小沢氏を快く思っていない前原氏が代表に
就任したことから、また全ては振り出しに戻ってしまったようなところがあった。
それだけに、小沢氏は今回の新体制作り、そして来夏の参院選に期するものが大きいし、
同時に慎重に構えてしまう部分も大きいように思われる。
小沢氏は3日にも何らかの見解を発表するのではないかと言われているが、自ら代表選に
立つのか否か、彼自身にとっても、民主党にとっても大きな決断になるのではないかと思う。
<つづく> THANKS
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いちいちごもっとも。
全く同感です。
私は「憲法改正に積極的な人は支持できない」ので、これからどういう態度で接すればいいのか思案中です。
ただ人材不足の民主党なので、小沢でダメなら「解党」に一直線と思います。旧社会党右派の赤松も積極的に応援しているみたいだが、私から見たら「なんだかなあ~」の世界です。
小沢氏が代表になったら、本当に民主党の救世主になれるのか
ビミョ~なところですね。
ビミョ~な心境で、代表選に向けての動きを見ています。
私が何故、小沢氏でも許容するかというと、彼は集団的自衛権には
反対の立場だからです。
だから旧・社会党の人も彼でもいいと思っているのですよね。
<横路との政策合意もしていますし。>
ただ、mewも個人的になビミョ~な心境でございます。
気持ちです。
小沢さんにとってはいいタイミングで担がれたとは言えませんが、党首に選ばれたら思いっきり暴れて欲しいです。
民主党が好きなわけではないですが、選挙の時に自民党しか選択肢がないというのは、悲しく恐ろしいことですから。
いつでも何度でも遠慮なくコメントして下さいませ。
私もメール問題についても書きたいと思いつつも、ついつい代表選の
話を書いてしまっていますが。^^;
メール問題については、4月10日頃に弁護士が作った報告書が出される
そうなので、とりあえずそれも見てみたいと思っています。
<先日の党の報告書はあまりにもお粗末なので。>
私も民主党の支持者ではないのですが、自民党の今の政策や憲法草案
には大反対の立場ですので、何とかここは民主党に頑張って欲しいと
切に願っています。ただ、個人的には菅氏を支持しているです。
私も本当はもっと時間をかけて、党の政策を確認したり、それを踏まえて
新たな代表を決めたりした方がいいと思うのですけどね~。
おそらく、ここで新代表を決めて、国会終了後に政策について改めて
協議することになるのだと思います。
ただ自民党も、さほどまとまりがあるわけではないですし、考え方も
思想性もバラバラだと思うのですよね。郵政民営化の時も、実際は
内閣の法案には反対の人の方が多かったのですし(脅迫により賛成に
回った人が多くなりましたが)、先日の皇室典範の改正でも、内閣が
勝手に決めた党の方針には絶対従えないと抵抗をしていた人が
少なからずいたです。
次期首相候補に誰がいいかという議員たちの意見もバラバラです。
ただ、自民党と民主党の大きな差は、政権を握っているかどうかなのだと
思います。自民党の議員の方が政権への執着が強い分、いざという時の
結束力が強いのではないかと思う次第です。
まず小沢氏に関しては、集団的自衛権を否定する点は、以前から
ハッキリと公表しています。
国防政策については、自民党も右から左というかタカからハトまで、
かなり幅があるのではないでしょうか?
自党の改正草案にも、疑問や反対の人が少なからずいるようですよ。
私個人は、もう民主党内にはそんなイデオロギーにこだわる人は
そんなにいないように思います。
横路氏が小沢氏の支持に回るのがいい例かも知れません。