共謀罪などが危険だと言われるわけ(2) ~共謀罪は全面的に悪い法律ではない?!~
2006年 04月 30日
には、アタマから100%反対の立場ではない。
というのも、それを共謀罪と呼ぶかどうかは別として、特にテロ行為の対策をするため
には、予備、共謀(陰謀)段階で捜査、逮捕などができるような法律を設けることが、極めて
有効であると考えるからだ。
<注・捜査、逮捕などをするには、基本的にそれを処罰できる法律がなければならない。>
実際、今の日本の刑法にも4つだけ超例外的に(予備)陰謀行為を罰する犯罪が存在
している。内乱罪(77、78条)、外患誘致&援助罪(81,82、88条)、
私戦予備、陰謀罪(93条)である。<*1>これらは国や国民にとって大きな損害や脅威
を与える重大な犯罪であり、それを未然に防止すべき必要性が極めて高いからであるから
であるが、私はテロ行為もそれらと同視し得ると思うからである。
今回は、周囲の者から「何で国は、そんなに反対や問題に多い法律を作ろうとするのか」
という質問を受けたのでそれをテーマに書こうと思う。 何でもアタマから反対するのはよく
ないと思うので、そのメリットとデメリットを考えるために、この記事をアップすることにした。
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私は戦争が大嫌いだが、テロ行為も同じくらい憎悪しているし、恐怖を感じている。
警戒心を持たずに一般生活を送る市民を多数死傷させる危険性があるという点では、
無差別テロ攻撃は戦争よりも性質(たち)が悪いのではないかと思うことさえある。
そして残念ながら、日本もテロ行為の標的になる危険性が増していることは否めない。
それは国際的な組織だけでなく、国内の者または集団によって行なわれる可能性もある。
(国際的な組織が国内の者を利用する場合もあり得る。)近時では、94年3月にオウム
真理教のメンバーによって、死者12人、重軽傷者5000人以上を出した地下鉄サリン
事件が引き起こされたが、前年から同教団がサリン生成や使用、殺傷行為の計画などを
しているという情報や疑いがあったにもかかわらず、残念ながら未然に防止できなかっ
た。そのことは謙虚に反省し、教訓として活かすべきだと思っている。<*2>
だから、その意味ではテロ対策として共謀行為も罰することは必要だと思うのだが、
ただ、前回の記事にも書いたように、一見、悪くない目的や意図で作られる法律も、
一つ間違えると国民のふだんの生活や言動を抑圧したり、人権を侵害したりしかねない
ので、そこが大きな問題になってしまうのである。しかも、この共謀罪がこれだけ反対
が多いのは、その問題点があまりにも多いからであろう。
<私も今のような形では、いくらテロ対策が必要だと思っても賛同しかねる。>
今回、問題になっている共謀罪についての詳細は、「共謀罪(wikipedia)」などを
参照して頂きたいのだが(おおまかな流れについては*3に記述するが、もともと20
00年に日本で既に作られている組織犯罪処罰等法に国連の条約の規定を取り入れる
形で作られようとしている)、もともとはテロ行為を含む国際的な重大犯罪や資金洗浄
(マネーロンダリング)などを取り締まることを目的とされたものであり、その意図
自体は悪くないのである。
ただ、私はどこの行政府の機関が主体となってこの法律を作ったのか知らないが、
かなり欲張り過ぎたところがあったように思う。
後述するように、共謀、陰謀行為を罰するというのは、刑法の基本理念、概念に
反する超例外的な規定であるだけに、もっと慎重に討議をして、厳格かつ限定的な形
で法案を作るべきだったのに、折角の機会だからと思いっ切り手広く構えてしまおう
とでも言わんばかりに多くの団体や犯罪に適用できるような法律を作ろうとしたとこ
ろに失敗があったのではないかと思われる。
<今回、自民党は修正案を出して来たが、まだまだ範囲が広すぎる。民主党が対案を
出したが、それでも範囲が広いように思う。各党の案もwikipediaに載っている。>
あえて政府側に立ってみれば、国連の条約の規定に沿って作ったものであるし(長期
4年以上の犯罪に適用など)、00年に既に国内で作られた法律を一部改正するだけ
なのだから(これは民主党も賛成している)、そこまで反対する理由はないだろうと
いう考えを持ってもおかしくはない。また日本の治安が日々悪化し、暴力団やその関連
企業による様々な犯罪、一般犯罪集団による窃盗、詐欺などの犯罪(オレオレ詐欺等)、
外国の犯罪組織(窃盗団等)の流入、規制緩和も手伝ってのやや危険な外資企業の増加
やそれらによるマネーロンダリングなどの問題を考えると、それらの犯罪の対策のため
にできるだけ手広く構えておきたいという意図を持ってもおかしくはない。
しかも、確かに共謀行為の段階で捜査し得れば、これらの犯罪の対策にも効果はある。
だから、法務省のHPを見ると「共謀罪はこんなに国民のためになるんですよ」という
ようなアピールがなされていたりもする。<コチラ>
しかし、いくら法務省が「一般国民にとって危険なことはない」とアピールしたとこ
ろで、それを真に受けて信用することは難しい。それは歴史的なことを考えても、また
現に今の官憲(政府やその配下の警察等)の動きを見ても、いつ、どのような形でその
時々の政府の恣意、都合でこの法律を使ってしまうかわからないからである。
もし国民を安心させたいなら、それを法律の条文を見て理解、納得できるように明記
する必要があるだろう。憲法や法律は、国家と国民の約束事を記した契約書のような
役割を果たすようなところがある。そこにきちんと書いておいてくれなければ、信用する
ことはできまい。口約束なんて全くアテにはならないのだ。
民主党の小沢代表が「厳格に構成要件を定めないまま官憲の裁量を広げることは国民の
基本的人権を束縛する」と批判したのも、多くの専門家が「刑法の理念や基本概念に反し、
構成要件が明確でない」などと批判するのもそのためだ。
<つづく> THANKS
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*1
「内乱罪」→国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使
し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をすること
「外患誘致、援助罪」→外国と通謀して日本国に対し武力を行使させること、日本国に
対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その
他これに軍事上の利益を与えること
「私戦予備、陰謀」→外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀
すること
*2
ここでテロ行為への不安をあえてあおる気はないが、かねてからチラホラと日本への
テロ行為の危険は指摘されており、特に日本が03年にアメリカのイラク攻撃を強く
支持&資金援助をしたことや04年から自衛隊をイラクに派遣したことによって
アルカイダ系の組織から日本も報復テロの対象であることが明言され、他国で捜査に
よって日本に対するテロ行為が計画、準備されている証拠や証言なども出ているのは
事実である。おそらく、政府はもっと具体的かつ現実的なテロ行為の危険性を示す情報
を入手していることだろう。
しかも、日本が米国との軍事的な同盟関係を強化して、具体的な軍事活動を行なう
ようになればなるほど、中東や東アジアとの外交関係が悪化すればするほど、テロ攻撃
を受ける危険性が高まって来る。
また、かつて過激派と呼ばれる組織が国内や海外で大規模なテロ行為を起こしたり
<国内では三菱重工業ビル爆破事件などもあった>、オウム真理教による地下鉄サリン
事件などもあったように、国内の者や組織や団体がテロ行為を起こす危険性もあること
を忘れてはならない。一部の海外でのテロに見られるように、他国の組織が国内の者
や組織を利用してテロ攻撃を行なうこともあり得る。また一部の研究者は、日本の若者
の中にいわゆるネオ・ナショナリズムなどが浸透した場合に、彼らがテロに近い形の
暴動や殺傷行為を行なう危険性があることも懸念している。
<またオウム真理教の地下鉄サリン事件では、前年からオウム真理教がサリン生成や
その使用を行なっている可能性があること、その他の化物質や手段を用いて、殺傷行為を
行なう計画や行なったとされる形跡があるという情報や疑いがあったにもかかわらず
(読売新聞がそれをもとに94年の元旦に一面大スクープで教団の上九一色村でサリン使用
も痕跡があることを報じたが)、法制度や諸事情により、少しずつ準備はしていたものの、
実際にはなかなか強制捜査にはいれなかったことで、地下鉄サリン事件を未然に防止でき
なかったという経緯がある。>
*3
日本には2000年8月に組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
(以下、組織犯罪処罰等法)というのが作られていた。さらに同年11月、国連総会で
「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」が採択されたのだが、同条約は重大
な犯罪の共謀、資金洗浄(マネー・ロンダリング)司法妨害などを犯罪とすることを
締約国に義務づけた。
その後、01年にニューヨークで9.11事件が起き、02年にはアメリカは他国の
協力も得てアフガニスタンに報復攻撃を行ない、さらに03年にアメリカがイラクに
侵攻(日本は積極的に支持、資金援助)、04年には日本もイラク復興のために自衛隊
を派遣し始め、日本もテロ行為の標的になる危険性がどんどん高まって来た。そこで、
与党(政府)は05年8月に上の条約を受ける形で、組織犯罪処罰等法の一部を改正し
共謀罪の創設をする法改正案を出して来たのである。
<ただし、同年8月に小泉首相がいきなり郵政解散を行なったため、審議もできず。
さらに同年秋に特別国会に再提出されたものの、時間切れになってしまい、06年
4月に自民党が修正案を出す形で3度目の国会(法務委員会)提出をして来た。>
ご理解いただけて、何よりです。
ただ日弁連が憂慮してるように、共謀の立証が会話や電話、メールに依るのでどこまで盗聴やメールの閲覧を許すのかバランスをとるのが難しそうですね。検察や警察のモラルが低下してると思われる事件が多いので盗聴等で知った情報を個人的に利用する輩が出ないか心配です。
物事の両面をしっかり見ないといけませんね・・・ただし、現在の状況を見ると、(他の法律の決定過程にしても・・・ですが)ほとんどマスコミも沈黙し、関わりたくないのか詳しい情報を国民に提供していませんね。テレビ朝日は特集番組の放送を手控えた(?)ようですし。そのへんが何故かという状況を良く考える必要があるでしょう。また、具体的に誰が作った法案なのかもよくわからないし、あたかも「反対してくれよ!」と言わんばかりの法案には「ちと怪しい?」なんて深読みしてしまいます。ここは、まず反対の声を上げるべきでしょうね。
現在も「共謀罪」という名称も知らないで暮らしている国民も多いのではないでしょうか?
ではでは。
でも、私の考えは、今回の法案は「ファシズム法」にほかならない、
ということです。
ご自身が書いていらっしゃるように、「イラクに大量の破壊兵
器がある」ということを大義名分としてイラクに戦争を仕掛けた
(実際はなかったのに)アメリカ、そしてアメリカに追随してイラクに
自衛隊を派遣したのをはじめ、そのほかにも狂牛病にかかる疑い
がもたれる牛肉の輸入自由化をしようとし、米軍基地移転になぜか
巨額の金を支払おうとし、この法律に限らず数々の法律を改悪しようと
している日本。このような政治詐欺を厳しく糾弾せずしてテロ防止を
しようとしてもうまくいかないでしょう。
いる国際社会とは一致しないのです。
http://www.unodc.org/unodc/en/crime_cicp_signatures_convention.html
をご覧いただければわかるとおり、この条約に署名しただけという国
(それらの国ではまだこの条約は効力を持たない)や、署名すらして
いないという国も多くあります。
また、批准するにあたって色々条件を付けている国もあるのですが、
中でもアルジェリアの宣言文はふるっています。
Declaration:
The ratification of this Convention by the People's Democratic Republic of Algeria does not in any way signify recognition of Israel.
The present ratification does not entail the establishment of relations of any kind with Israel.
まあこの話題に関しては私の意見はこれくらいにしておきたいと思います。
そうなんですよね。テロ対策や重大な犯罪は取り締まりやすくした方が、
国民の利益にもなるのですが。あまりに範囲を広げすぎると、かえって
国民に不利益になってしまいますから、そこが難しいところだと
思います。
何だかサイバー刑法なる法案も審議されているようで、それも問題の
ようです。
とくらブログさんで、よくお見かけしておりました。(~~)
コメントを頂けて、こちらこそ感謝です。m(__)m
今回はあえて政府側から考えてみましたが、次は国民側から考えた
記事を書きたいと思っています。
それにしてもマスコミが何故ここまで共謀罪を取り上げようとしないのか
少し不気味にさえ思えるところがありますね。
色々な面で、日本はアブナイと懸念する今日このごろです。
こちらこそ読んで頂き、さらにコメント&情報を寄せて頂きまして、
有難く思っています。
特に条約に署名、批准した国のリストは、是非知りたいと思っていた
情報なので、とても有難かったです。
署名だけの国や、一部留保で条件をつけて来た国が多かったですね。
これで「日本も一部留保せよ」と言いやすくなります。
おそらくは、あいまいみーさんもお考えのように、今回の問題も含めて
日本が国民の利益のために、いかに主権や主体性を発揮できるかと
いうことが重要になると考えています。
次回は国民の利益や解釈などについて、書いてみたいと思っています。
http://i-know.jp/hannichi/
こんなプログを知ってました?
MEWさんも私もしっかり「アカ市民」として監視されてます。
なにか怖いです。これが国家レベルでと思うとそれこそ共謀罪ですぐに捕まるのでしょうか?恐ろしい・・
同サイトについては、人から教えてもらって知っていました~。
私は左ではないのですけど、右から見たら左側に見えるのかな~?
かといって、突然ほかの共謀罪と全く関係ないブログにトラックバックをしたら、反感を買ってしまう。
そこで提案。
個人ブログならではのテーマの流動性を生かして、政治性の薄い内容、例えばスポーツ等の自分がもっている取って置きのねたを披露し、そのネタに関連したブログにトラックバックを送っていく。
こうすることで、少しずつでも認知の輪を広げていけるのではないだろうか。
共謀罪に反対する人の便利なリンク集に使えそうです。
僕のサイトは載ってない。
露出が足りひんのかなあ?
でも、載ったら、載ったで不気味な感があります。
そうですね。確かにあまり堅いテーマばかりのブログだと、政治などに
関心のない人は見向きもしない可能性はあるかも知れませんね。
私もたま~に他のネタを書くことはあるのですが・・・。
もう少し硬軟を取り混ぜることも考えてみたいです。
共謀罪というのは、右系の人の中にも反対している人がいそうですが。
今のままでは、どちら側の団体にとっても危ないですし。
それに、サイバー刑法改正は、ネットを使う人たち全体にとって
危険ですしね~。
是非、露出度を多くして、仲間(?)になって下さい。(~~)