今回は、12日の『夫婦別姓実現の最大のチャンス。野党+公明も、石破も賛成。超保守派が総裁でないうちに』と続きを書きたいのだが・・・。
最初に自民党の高市早苗氏にききたいことがある。
高市氏は04年に、当時自民党の衆院議員だった山本拓氏と結婚。(高市氏は当時落選中。05年に復活当選。)オモテ向きは通称の高市早苗を名乗っていたが、戸籍上の氏名を記さなければならない政治資金収支報告書などには山本早苗と記していた。<通称使用をしていたのは、知名度やアイデンティティのことが頭にあったからだと察する。>
実は、高市氏と山本氏は17年に政治スタンスの違いにより離婚したのだ。しかし、今度は山本拓氏が落選中の21年に再婚していたことが判明した。(本人たちは発表していなかったが、文春で報道された。)この時、夫妻は戸籍上、高市姓を選択したことも報じられた。これは近時の高市氏の政治資金収支報告書などを見ればわかるという。(・・)
<ちなみに旧姓・山本拓氏は、前妻との間にこどもが3人いる。長男は、福井県議の山本建氏だ。もう成長したとはいえ、こどもとは姓が異なることになる。>
高市氏夫妻は何故、再婚した時には前回と異なり高市姓を選択したのか、その理由について語っていない。
家の事情などもあるかも知れないが。もしかしたら、高市氏は閣僚を務めたり、首相を目指したりするうちに、旧姓使用に限界を感じたのではないかと。戸籍上も高市早苗にしないと、外遊時や、正式な氏名を書かなければならない法律上重要な書類への署名の時に高市早苗と記せず困るのではないかという疑問を抱いた。(@@)
できれば、理由を説明していただきたいものだ。(・・)
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超保守派の高市氏は、夫婦別姓には強く反対の立場だ。(**)
<最大の理由は12日に記した天皇制につながる「家制度」「家族制度」の維持。また親子の姓は同一であるべきだと強調する。現行制度だと、結婚したら姓が変わっちゃうかも知れないのに?^^;>
そして、党も自分たち議員も旧姓の通称使用の拡大に努めているので、夫婦別姓を認めなくても、問題や不都合はほとんどないと主張する。
高市氏のHPのコラム(21年4月1日)には、「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」を発足させたとして、このように記している。
『自民党は、2010年の参議院選挙以来、直近の2019年の参議院選挙までの衆参の選挙公約において、「旧氏の幅広い使用を認める取組を進めること」「旧氏併記の拡大」などを、お約束し続けてきました。国民の皆様への公約を果たす為の取組を急ぐ責務があります。
既に、身分証明などに利用するマイナンバーカード、パスポート、免許証、住民票、印鑑証明は、戸籍氏と旧氏の併記が可能です。
また、「士業」「師業」と呼ばれる国家資格の殆どで、免許への旧氏併記や旧氏使用が可能になっています。』
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また高市氏は、今年にはいって、産経新聞のインタビューで(自画自賛しながら)このように語っている。
『「総務相在任中に『住民基本台帳法』『国勢調査令』など総務省が所管する全法令をチェックした。そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。合計1142件で旧氏記載が可能になった。今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている」
「免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える」(産経新聞25年1月7日)』
尚、高市氏は昨年の総裁選の時、夫婦別姓に賛成する小泉進次郎氏が「不動産登記が旧姓でできない」と発言したのに対して、「旧姓でも不動産登記できます」と反論していたのだが。これは間違っている。
不動産登記は、旧姓併記ができるようになったが、旧姓をそのまま使用することはできない。新たな姓に名義変更し、横に(旧姓氏名)と記すことができるようになったに過ぎない。(**)<会社の役員登記もしかり。>
免許証もパスポートも旧氏併記できるようになったが、登記同様、必要な書類を集めて、手間と時間と費用をかけて、届け出をすることが必要だ。
でも、夫また妻で姓を変えない方は、何もしなくていいのだ。(**)
それに旧氏が併記されたからと言って、併記された旧氏が法律上も正式な氏名になるわけではない。
旧姓使用がOKという銀行口座やクレジットカードでも、届け出は必要になるし。銀行によっては、旧姓で口座を作ることもできない。<ゆうちょ銀行はダメ!>口座は作れても、旧姓による使用に制限がつくところがある。(ノ_-。)
不動産を売買したり、賃貸借したりする時も、登記に旧氏が併記されていても、旧氏ではなく戸籍上の氏名で契約書に署名することを求められるのが一般的だ。会社の役員として契約書などの重要書類に署名する場合もしかりだ。(-"-)
パスポートも旧氏が併記できるが。ほぼ全ての国が夫婦別姓で、旧氏が何かを理解できないので、入国や宿泊、その他の手続きの際、旧姓を使用すると同一性が確認できないとしてトラブルになるケースが少なくない。
研究者の多くは、国際的な学会で論文発表をしている。そして、各研究者が過去にどのような論文を書いていたのか、どのような実績があるのか、研究者用の検索で調べるのが常だという。
ところが日本のように婚姻後、他の姓に代わったり、旧姓併記したりすると、結婚前に登録された論文の氏名と同一と見られず。新たな名は検索にも引っかからないことが多いため、困ったり、不利益を被ったりすることが多いという。(-_-;)
相続などで、親と姓が違うと手続きが面倒になる場合も多い。<お墓の管理とかもね。_(。。)_>
元最高裁判事の櫻井龍子氏は自らの体験をこのように話していた。
『私は藤井龍子として育ち、1970年に旧労働省に入省した。婚姻に伴い戸籍上は櫻井に改姓したが、藤井姓で仕事を続け、女性局長を最後に退官した。その後も、旧姓で官民の多くの役職に就任した。
しかし、2008年に最高裁判事への就任に当たり、裁判所から戸籍上の姓名を使用するように求められ、キャリア上初めて櫻井姓を名乗ることになった。すると、当時唯一の女性の最高裁判事として注目されるなか、ある評論家に、「どこの馬の骨かも分からない女性を最高裁判事にした」と批判された。「櫻井龍子」と検索しても、過去の経歴や実績等が切り離されていたために受けた評価で、非常にショックだった。また、判決文に「櫻井龍子」と署名する際も、自分の名前とは思えない違和感があり、改姓や旧姓の通称使用の限界を痛感した。退官後、藤井姓に戻すことも考えたが、今度は櫻井姓で就任した最高裁判事としての8年以上の経歴が切断されてしまうため、現在は両方の姓を使い分けている。(週刊 経団連タイムス 2024年6月27日)』
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民法で夫婦同氏が決めたのは明治時代のこと。当時は女性が男性の家に「嫁」として「嫁ぐ」ことが前提だったし。女性は無能力者として法律行為ができなかったので、登記がどうの、契約がどうの、銀行口座がどうのという問題が起きることなど想像がつかなかったとしても止むを得まい。
そして、戦前の「家制度」の名残もあって、いまだに婚姻時には夫の姓を名乗る妻が95%いるという。
しかし、戦後、男女平等となり、女性も社会で活動し、不動産所有者や会社役員として重要な契約を行なうようにもなっているし。国際的に様々な研究、仕事をするようにも、海外のアチコチに行くようにもなっている。
しかも、海外には日本のように夫婦同姓を法律で決めている国は一つもないとのこと。それゆえ、大きなギャップが生じてしまうのだ。_(。。)_
櫻井氏も言っているように、改姓や旧姓の通称使用には限界が生じているのではないだろうか?(**)
高市早苗氏も、もしかしたら、今後も首相や閣僚、その他の要職について政治家として様々な活動する時に、戸籍上の名も「高市早苗」にしておいた方が、色々とスムーズに進むと考えたかも知れず。
旧姓の通称使用だけでは解決がつかない問題が多いことを、もっと夫婦別姓反対派の議員や人々に周知させなければと思うmewなのだった。(@_@。
p.s. 婚姻時に夫が妻の姓を名乗るケースは、旧氏使用できない不利益だけでなく、超少数派ゆえ他人の眼や偏見との戦いもあり、も~っと負担が大きいと思う。知人の中にもいるが、本当に大変そうだ。(~_~;)
THANKS