共謀罪はサミットへの手土産なのか?! & 強行採決の可能性
2006年 05月 29日
29日に与党と民主党からそれぞれ3人ずつの法律の専門家(弁護士資格を持つ者
など)出し合う形で、共謀罪などに関する実務者会議が行なわれる。そして与党側は
31日に法務委員会を開いて、そこで採決を行なうことを考えているという。
どうも自民党は、国民投票法案などに関しては今国会中に成立させることをあきらめ
て、今秋の臨時国会で継続審議することを考えているようなので、共謀罪もこんなに
バタバタ審議せずに、秋に回してゆっくり審議すればいいのにと思ったりもしたのだが
そうも行かないらしい事情が見えて来た。
私はコチラの記事で、政府&与党が共謀罪成立を急ぐ最大の理由は、国連条約締結の
準備のためだと書いたが。それだけなら、秋の臨時国会でも何とかなるだろう。
だが、彼らが急がなければならない大きな理由がもう一つあった。7月中旬にG8
サミットが行なわれるからだ。この件に関しては、この記事の最後に書くことにする。
<つづきは ↓More をクリック>
さて、昨日(28日)の記事<コチラ>で、私は与党と民主党が密室の中で行われる
実務者会議で話をまとめてしまい、採決を行なってしまうことだけはやめて欲しいと
いう趣旨のことを書いたのだが。社民党の保坂議員は、この会議は強行採決のための
布石なのではないかと危惧しているようだ。彼の「どこどこ日記」の27日記載分に
次のようなことが書かれていた。
『結論から言うと、5月31日(水)に衆議院法務委員会が10日ぶりに開催される
可能性があり、全国の人々が恐れる「粛々とした採決」(つまりは与野党合意のない強行
採決)に踏み切る危険性がかいま見えているということだ。その根拠は、与野党の実務者
チームの与党側は「これ以上の譲歩は出来ない」と最初から宣言していてまるでやる気
がない。他方で、民主党側は期限を切らずにしっかりやるべきだ(これは正論だと思う)
と主張していて、その差は天地ほど開きがある。
30日(火)昼に理事会がセットされている。その場で与党側は「せっかく実務者の
テーブルをつくったけれど、民主党はただ引き延ばしを考えているだけで議論が実る
可能性はない。どうぞ、委員長、採決の判断をして下さい」と提案するような予感が
する。その提案をどう処理するかは、バランス感覚に富んだ委員長の裁量に委ねられる
が、29日の理事会で紛糾・決裂したら、今度は官邸からの邪魔も入らないようにして
未遂に終わった19日の強行採決の再現に向けてなだれ込む。粘り強く議論を続けること
がかない、「せっかく出来た実務家チームに最大限、努力してもらおう」ということに
なれば、31日は何もない。』
つまり、与党は「われわれは実務者会議まで開いて、民主党と話し合い、譲歩し合っ
てお互いに納得の行くような法案を作ろうと最大限の努力をしたのだけど、民主党が
非協力的なので、やむを得ず、与党だけ賛成の形で採決をするしかなくなったのだ」と
いう形作りをした上で、強行採決またはそれに類する形の採決に持ち込もうとしている
のではないかと危惧しているようなのである。
う~ん・・・確かに、そのようなケースもあるかも知れない。保坂氏はまさに政治の
現場(それも法務委員会)にいる人だし、これまでの経験などに基づいて、不穏なもの
を感じる部分もあるのかも知れない。
私も常に強行採決は警戒しているのであるが、共謀罪に関しては自民党は強行採決を
避けたいという思いがあるのかと考えたところがある。先日、衆院の厚労委員会で医療
改革法案を強行採決してイメージダウンをしたばかりだし(しかも、この法案は今まだ
参院の委員会で審議中であるし)、他にまだ小泉改革に関わる重要法案の審議、議決が
残っている。また先週になって社保庁の不正免除事件が公になり、野党は衆院の厚労
委員会で徹底追及する構えを見せている。そこで共謀罪の強行採決が行なわれたとした
なら、与党はまさに強暴で強権的なイメージを与えることになるだろうし、野党側が
他の重要な法案の審議をボイコットして、順調に日程がこなせないおそれも出て来る。
<社保庁の不正問題は、追及を続けて欲しいが。勝手に免除書類を作ることは犯罪に
当たる行為にもなると思うし、まさに「偽装年金」問題と言えるものなので。>
そのような観点から、私は強行採決はしないかな~と思っていたのであるが、法務省
のHPに載っている杉浦法務大臣の話(コチラ)やその他の本人や他の議員の発言など
から考えると、強行採決の可能性もあるのかもと思わされるところがある。
当初19日に予定されていた強行採決が回避されたのは、衆院の河野議長が円満な
審議、採決を求めたからであり、その背景には小泉首相のツルの一声があったと言われ
ているのだが。杉浦法務大臣は、今度は官邸サイドからストップをかけられないように
と思ったのか、共謀罪の件で小泉首相をかなり説得したようであるからだ。
<ただ、サイバー法に関しても野党は反対や疑問視をしているはずで、その審議も残っ
ているし、河野議長もあくまでも「円満な審議、採決」を求めていることに変わりない
と思うのだが。>
いずれにせよ、コチラの記事にも書いたように、与党側が強引なことをしないように
今週もさらにマスコミや国民の監視の目を強めて、プレッシャーをかけることが重要
になるのではないかと思う。<特にマスコミに頑張って欲しい。>
ところで、上述の杉浦法務大臣の話にも出て来るのが、G8サミットの予定である。
私は以前に、政府&与党が共謀罪の成立を急いでいる最大の理由は、日本が国連
条約の締結をするのがかなり遅れてしまっているからだということを書いたのだが
<署名国146ヶ国中、既に120ヶ国が締結。G8の中では、5ヶ国が締結済み、
2ヶ国は締結準備中で、日本だけ国内法の整備もできていないことから、締結の手続
さえできない状態なので>。この7月中旬にG8サミットが行なわれるとすれば、
ますます「何とか今国会中に」という考えにさせられるのかも知れないと思った。
今年のG8サミットは7月15日から17日までロシアで行なわれることになって
いる。そしてサミットでは通常、首相や大統領などが集まる首脳会議の他に、大臣級
会議というものも行なわれ、法務大臣や法務省関係者が出席して国際犯罪対策などに
ついて協議をするようなケースが多い。<警察庁HPのコチラを参照>
そして、これは定かではないが、もしかしたら今度のサミットには杉浦氏も出席する
可能性がある。その時にもし日本が国連条約に関して、まだ国内法も整備できていない
状況であったら「え? 日本はまだ国内法の整備ができていないの? 一体、いつに
なったら国連条約を締結できるわけ?」という話になってしまうかも知れない。G8の
国々の大部分は、もともと共謀罪やそれに類する犯罪が存在しているので、彼らは日本
の法務省が何に手こずっているのか、理解できない部分が大きいだろう。もしかしたら
彼らはそのことが気になって焦っているのかも知れないのである。(・・)
杉浦大臣自身、このように話している。<法務省HP 5月23日大臣記者会見より>
「それから,総理に特に強調したのはサミットが今度7月にあるんですけれども,サミ
ット8か国のうち我が国だけです,国会承認してないのは。5つの国はもう国会の承認
も得て締結している。ドイツとイタリアかな,この2か国は国会承認は終わって締結手続
に入っている。我が国だけ国会の承認も得られないという状況なので,法務大臣の立場と
しては,ぜひサミットに総理が行かれるに際して,締結手続までは行かないかもしれない
けれども少なくとも国会の承認は得たというところまでいきたいということは,特に総理
には申し上げておきました。」
私が思うに、小泉首相自身はたぶん国連条約の締結手続のことなど、そんなに気にしな
いのではないだろうか?<他国に何かきかれても「ああ、今やってます。そのうち決まる
でしょう」ぐらいで流してしまいそうな感じがある。>
それよりも、会議でイヤな思いをしたいために焦っているのは、法務大臣や法務省or
警察庁その他関係省庁の役人なのではないだろうか?
もともと日本は国連条約を作る過程では、共謀行為を処罰する規定を入れるのに反対
したり、長期4年以上という形で刑期によって犯罪対象を決めることにも抵抗を示したり
していたという。<個別に対象犯罪を決めることを提唱していたそうだ。>
日本の役人は優秀だし、チョット日本の刑法を勉強したことがある人なら、日本の刑法
の法体系の中で共謀罪を導入することが容易でないことや、4年以上の長期刑の犯罪が
かなり多数存在し、さして重大でないものまで含まれていることはわかるであろう。
おそらくは条約に署名後に日本に持ち帰ってから、国内法を整備しようという段階で
その担当の人たちが、折角、共謀罪などを作るなら「できるだけ手広く構えて、色々な
ことに使えるようにしよう」と考えたのであろう。
だが、04年に共謀罪の政府案が国会に提出された時には(政府案はあまりにも無限定
なものだったこともあり)、自民党内にも「このような法律を作るのは問題だ」と反対
した人が少なからずいたという。
そして弁護士資格を持つ杉浦法務大臣自身も、確か法務委員会で「要件は明確にした方
がいい」と言っていたように思う。彼とて、共謀罪には様々な問題があることはわかって
いるはずなのだ。だからこそ、何度も修正に応じているのだろう。それに弁護士たるもの
法律を作る時も解釈する時も、文言の一字一句にこだわることはよくわかっているはず
なのである。
それをサミットが迫っているからかどうかは知らないが、
「審議時間数も共謀罪のあの部分だけで40時間,これはもう破格に長い時間ですよ。
もっと広い分野で使ったのならともかく,あの一章というか,一項というか,組織犯罪
処罰法の中に入れるところだけで,40時間も審議し,参考人質疑をやって,非常に
異例に長い審議時間をしています。最近の審議でも,もう同じことを繰り返しで,もう
十分に審議すべきことは,終えたと思っておりますので,御理解いただけたと思って
おりますが」と言ってしまうのには、疑問を覚えざるを得ない。
国連条約でどの部分が留保できるか否かの国際法上の問題も、他国の刑法や運用の
ことについても、民主党が質問しても、ほとんどまともに調べて来ずに、民主党案は
条約違反になると繰り返すばかりなのは政府&与党の方なのである。
国際協調による犯罪防止も大切であるが、だからと言って自分の国の法体系を強引
に変えてしまったり、自分の国の国民に余計な不安や脅威を与えるのでは、元も子も
あるまい。
またまた長くなってしまったが、首相の訪米の手土産には米国産牛肉の輸入解禁を、
首相or法務大臣のサミットへの手土産は共謀罪を・・・なんて考え方をしていると
したら、あまりにも国民をバカにしているように思った次第である。
THANKS
<もしよろしければ、↓のリンク(上下は別物)をそれぞれクリックして下さい。m(__)m
すっごく励みになるです。(^^♪>
にほんブログ村 政治ブログ
人気blogランキングへ
保坂さんのブログも見てきましたが、私自身も、別な角度から何としても通しに来るだろうなとはにらんでいます。(別な政治ニュースのクローズアップとか…今国会は継続で逃げておいて、秋の臨時国会で通すとか)そんなだけに、私達「政権の悪法に対して取り囲む」人たちのブログ、というのは、日々の勉強怠りなくしておかないといけないなと思っています。
ただ、そう書いていて、今日の憲法問題を扱ったトラックバックはおバカな書き方になってしまいました。改憲手続き案とも言うべき中身にされている「最悪の状態」を書いてみましたので参考にしてください。
PS 前回の野球記事、受けてもらえたのは嬉しい限りです。もう一つの海浜アスレチックスの元になった「ストッパー毒島」は分かりますでしょうか?
今日も色々おじゃましました。失礼します。
どうも・・・でした。
いま伊東さんの記事を読んで来たところです。
なかなかの力作でございました~。
私もこういう風にユーモアを入れながら、問題点をアピールできる
センスがあるといいのにな~。
ふだんはオチャラケ三昧の人間なので、今度、トライしてみようかしら?
でも本当に、みんなでしっかりウォッチしたり、お勉強したり、情報を
交換したりしながら、アピールを続けないと!・・・ですよね。
p.s. 毒島(ちゃんとブスジマって読めるよ~・笑)の作品は、残念ながら
読んでないんですぅ。
こんにちは。情報有難うございました。
東京新聞(中日新聞)は、積極的に共謀罪などを取り上げてくれて、
よく頑張っていますよね~。<エライ!
昨日、毎日新聞も特集していたみたいですけど、大きな新聞社も
もっと頑張って欲しいです。
どこの世界もそうですけど、法律を作る時に現場の声というのが、全く
活かされていないように思います。
<教育に関する法律や指導要綱、医療なんかもそうですけど。>
官僚も少し学力ならぬ世間を把握する能力が低下しているかも
知れませんね。
そうなんですよ。とりあえず、秋に回して欲しいな~と思っていたら
(その間にもう一度、対抗策を検討できるといいな~と思っていたら)
杉浦法相が「サミット」のことを一生懸命に語っているのが、法務省の
ページに載ってたので、「おいおいっ」と。
杉浦氏は死刑には積極的ではないというぐらいの人権派弁護士なん
だから、国民の人権をもうチョット考えてくれてもいいのにな~。
みんな、大臣病になっちゃうんですね。(-_-;)


