民主党案は何故、国連条約違反と言われるのか? ~共謀罪丸呑み騒動を考える(1)~
2006年 06月 04日
1日~2日の丸呑み騒動では、何だかド~ッと疲れてしまったところがあったが・・・
皆さま、本当にお疲れ様でした。m(__)m
特に5月にはいってから、共謀罪関連の件では、ネットやブログの力(皆さんのエネル
ギー&パワー)や情報交換できる有難さをしみじみ感じているのであるが、この2日間は
それを最も大きく感じたようにも思えた。
この件についてはまた改めて書きたいが、これから共謀罪だけでなく、憲法改正やそれ
に準ずるような重要法案が次々と出されて来ることを考えると、さらに大きな力が必要に
なると思う。私もその中で超微々力ながらも、その中に加わって自分なりに頑張れると
いいな~という思いを強くしたりもした。<これからもよろしくお願いします。m(__)m>
ところで、今回の丸呑み騒動は一般国民から見ても、と~ってもわかりにくいもの
だったのではないかと思う。
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知人の中には「結局のところ、今回の騒動は一体何だったのか、さ~っぱりわからなか
った」という者もいた。「何か陰でアレコレ動いていて、本当のことが表に出て来ない
感じで、昔のドロドロした密室政治みたい」という感想もあった。
「何で自民党は急に丸呑みをすると言ったのか?」
「何で民主党は、与党が自分の案に賛成すると言っているのに、それを拒否するのか?」
というのもわかりにくかったと思う。
自民党の武部幹事長は「民主党が自分で対案を出しながら、その採決を拒否するのは
無責任だ」と批判していたようだ。また「それでは対案を出す意味がない。結局、与党案
にはとりあえず反対というだけのことではないか」という意見も出ていた。
「国連条約に違反する、しない」の部分も理解しにくかったように思う。
「民主党案の何が国連条約に違反するのか?」「そもそも民主党は何で国連条約に違反
すると言われるような、法案を出すのか?」と不思議に思う人もいたようだ
もちろん政治を行なう上では、<特に外交の問題など>すべてをオープンにできない
部分はあるとは思う。しかし、特に国民の人権や生活にも大きな影響があるような法律
や政策、マスコミや国民の関心が高いものに関しては、できるだけオープンな形で
協議をしたり、各党や議員たちが国民に向けてわかりやすく説明するようにしないと、
国民の政治への信頼や期待、関心はどんどん薄れてしまうように思う。
「結局、それぞれの政党や、一部の幹部や議員の思惑で、勝手の色々なことが決められて
しまうのね」と。「いくら国民が関心を持って、色々考えたり、声をあげたりしても、
向こうが国民のことを意識していなければ意味がないじゃん」と思われてしまうのだ。
<そう思わせた方が都合がいいと考える議員もいるようだが。>
私は、その意味でも、今回の与党が(細田氏が?)急に丸呑み案を出して法案を成立
させようとしたことには、大きな問題があったと思う。また民主党の対応も、わかりにく
かったのは事実であると思う。
<鳩山幹事長や平岡議員が記者会見を開いて説明をしたようだが、メディアにはあまり
取り上げられなかったし、その内容も通り一編のものに過ぎなかった感じがある。
麻生大臣の「国連条約に違反する」発言は与党にとって痛かっただろうが、小沢代表の
「一文の得にもならない」発言は民主党にとって痛かったかも知れない?!>
正直なところ私も、今回の与党側<特に自民党の細田国対委員長>の考えや動きは
よくわからないところがあるのだが^^;。
今回の件は、共謀罪だけでなく政治全般に関わる問題点も色々含んでいると思うので、
このブログでも少しずつ、私なりにこの騒動の流れを振り返ると共に、何でこのような
事態が引き起こされることになったのか、また私が感じた問題点などに関して考察して
行けたらと考えている。
とりあえず今回は、この騒動のキーポイントになった「国連条約に違反する、しない」
の部分を書いてみたい。
<共謀罪は「組織犯罪処罰法」という法律の6条の2に規定することが考えられて
いるので、法改正になる。ここでは便宜上、「共謀罪」をメインに書くことにするが
国連条約を締結するために、他にサイバー法など問題のある法案も出されている。>
そもそも政府・与党が共謀罪に関する法案を作ろうとしている最大の目的は、00年に
国連総会で採択された「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」(以下、国連
条約)を批准、締結することにある。
<日本は00年に賛成の署名をして、03年に国会で承認の決議を受けているが、まだ
実際にはこの国連条約に批准(最終的な合意の手続)、締結をしていない。>
この国連条約では、条約を締結する国に「共謀行為を処罰すること」「犯罪の対象は
長期4年以上の刑の重大犯罪にすること」「国内で適用できるような法律にすること」
を求めている。
だが、日本の刑法(特別法含む)には今、共謀行為を処罰する法律がない。<*1>
そこで、この国連条約に批准(最終的な合意)をして締結するためには、共謀行為を
処罰するための「共謀罪」を作らなければならないことになる。
政府・与党は04年~05年にも何回か共謀罪の法案を提出したが、時間不足や党内
の反対などもあって流れてしまったという経緯がある。
そして今回、06年4月末に新たに「与党案」という形で衆院の法務委員会に共謀罪
などに関する法案を提出して来た。それに対抗する形で、民主党も「民主党案」を提出
して、この二つの法案の審議や、両党間での協議がずっと行なわれていた。
与党側は、法案の成立を急いでいたこともあってか、民主党側の意見をかなり取り入れ
て何度も与党案を修正したのだが、大きなところでは2点だけ、どうしても合意ができ
ないところがあった。
それは民主党案では、共謀罪の犯罪対象が「長期5年を超える刑の犯罪(実質6年以上
の犯罪)」にされていることと、団体の対象を「越境性のある(国際性のある)組織犯罪
を行なう団体」に限定しようとしていることだった。
民主党案だと、共謀罪の犯罪対象が与党案よりも半数(約600→300)に減る上、
「国際性」のある組織犯罪の団体に限定すれば、一般市民が日常生活で関わる団体には
適用しにくくなる。
だが、外務省や法務省などの政府&与党側は、国連条約では上述のように「長期4年
以上の犯罪」「国内にも適用」とされているので、民主党案の「5年超の犯罪」「越境性
(国際性)のあるものに限る」というのは、国連条約の規定に反しており、この2点だけ
はどうしても採用できないと、4月からずっと拒み続けていたのである。
<それこそ、5月31日の協議でもこの点が折り合わなかったと言われている。>
実のところ、民主党案が成立した場合に、本当に国連条約違反になるのかどうかは、
まだ、はっきりとわかっていない部分があるのだ。そして、民主党側は自党の案でも国連
条約は批准することができるのではないかと主張している。<*1>
だが、国連条約を担当する外務省は、民主党案は「国連条約違反」だと考えており、
委員会の審議の場でも、ぞのことを強く主張していた。
つまり、今でも民主党と政府&与党の間には、国連条約違反になるか、ならないかと
いう点で意見が分かれている状況にあり、1~2日前までそのことでやり合っていた
のだった。
そういう状況の中で、与党側が1日になって急に民主党案を丸呑み(全面的に賛成)
すると言って来たので、民主党は困惑した。
そもそも与党が野党の法案を丸呑みすることなど滅多にないことなので「何か思惑
やウラがあるのではないか」と疑いたくなるわけだが。何より不思議に思ったのは、
「前の日まで『民主党案(の上述の2点)は国連条約に違反するので、それだけは採用
できない』と拒み続けていたのに、何で急に民主党案に賛成すると言い出すのだろう?」
ということだったようだ。
そこに「細田国対委員長が1日の夜に『とりあえず民主党案で法案を成立させておい
て、民主党案が国連条約に反するようなら、秋の臨時国会で修正をしてしまえばいい』
と言った」という情報がはいって来た。<これは2日朝にネットの報道記事で見た。>
さらに2日の朝には、麻生外務大臣がTVカメラの前で「民主党案は国連条約に違反
するので、あれでは国連条約に批准できない」と明言したのである。<この映像も見た>
そこで、民主党側は「政府(外務大臣)が民主党案を国連条約違反だと考えているの
なら、丸呑みで採決を行なうのはおかしいじゃないか」「与党(特に細田氏)は最初
から、秋に与党案に近い形に修正するということを前提にして、とりあえず民主党を
黙らせて法案を成立させるために、民主党案に賛成することにしたのではないか」と
いう疑念を抱くことになり、「そんなことなら、民主党は採決に応じない」という
態度に出たのであった。
<実際はそれだけで採決に応じなかったわけではないと思うが、大義名分としては、
採決拒否の理由は上述のようなことであった。>
<つづく> THANKS
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(1)国際組織犯罪防止条約の批准は日本の責務である
→「日本の法律の中で許容できる条件」と「国連として批准したとみなせる条件」は何か
日本の法律の中で許容できる条件
(2)日本の刑法は原則として実行行為+未遂をした者を処罰する
(3)実行行為をしなくてもその準備をした場合に処罰される予備罪は刑法の中9つ
(4)共謀や陰謀の段階で犯罪成立するのは、内乱、外患誘致・援助、私戦予備陰謀の4つ
(5)最近の情勢として、上記以外にも「テロ行為」など予備、共謀段階で捜査、逮捕出来
た方が良い犯罪が存在する
(6)自民党修正案も民主党案も共謀罪の対象となる犯罪の数が上記からみると多すぎる
→長期法定刑4年(5年)以上の懲役・禁固ではなく、「テロ行為」など明示すべきではないか
>>>続く
(7)国際組織犯罪防止条約の留保は可能か、条約の趣旨・目的に反せず、適用範囲を変更
しない為に必要となる留保はなにか。
→条約の目的は、国際的な組織犯罪を防止し、これと戦う為の協力を促進すること
希望
国際的な組織犯罪を防止する為に必要な、共謀罪の対象となる犯罪を最低限に絞り明記
(必要に応じ改正)した法律とし、国際組織犯罪防止条約の批准ができないか
ps
また長くなってしまったので2回に分けました。お許しを・・・m(__)m
>>>終わり
まさに同感です。
私も、テロや薬物、銃器、人身売買、サイバー刑法、資金洗浄など
国連条約が取り締まり&捜査協力の目的としているような犯罪に
関して共謀罪を認めればいいと思うのですよね。
日本政府は国連条約を作る段階では、長期X年以上という決め方では
なく、個別に対象となる犯罪を決める方法を提案したそうですが、
各国がバラバラに対象となる犯罪を決めるとわかりにくいという意見も
あったそうで、結局、刑期で犯罪を決めることになったそうです。
問題は、この犯罪対象や団体の要件の部分を、条約の一部留保や
宣言解釈できるのかどうかという話になるのですが。これは、留保等を
しようとする条文が、条約の核心or重要部分に当たるか、それを留保
した場合に両立し得るかなどの要件があって、ここら辺の解釈が
かなり難しいんですよね~。^^;
また、もし他のG8諸国が留保を行なっていないとすれば(たぶん行な
っていない)、外務省は、日本だけ留保をつける形で批准をするのは
イヤだと思うのではないか・・・とも考えたりしています。
共謀罪ですが、結局民主党は、実際に採決されるに値するだけの案を出せていなかった、というだけの事ではないかと感じてしまいます。
共謀罪の是非など真剣には考えておらず、単に与党の足を引っ張りたいだけでは……というのが正直な感想ですね。
個人的には、諸外国が共謀罪を制定するのと同時期に、日本も共謀罪を制定する必要があると思います。それができなければ、日本が国際テロ組織の活動拠点にされる可能性もありますから。
ところで、民主党案の「国際的な組織犯罪団体に限定」ってのは、例えば日本国内の組織が日本国内でテロを計画、準備して日本国内の外国公館を狙った場合とかには適用されるんでしょうか?
入院されていたとのこと・・・どうぞお体を大事にされて下さいね。
民主党としては、あの与党案をそのまま成立させてしまうのであれば、
まだこっちの方がマシだろう・・・というような対案を出したのではないか
と思います。
それに対案を出さないと、しっかり審議をしてもらえないですしね。
他国にはすでに共謀罪やそれに類する犯罪があるようですが。
ただ、日本はもともと刑法の法体系が違いますし。外国とは、法の運用
や刑事訴訟(捜査や裁判)制度も異なるので、同じように考えられない
面があるようにも思います。
国際的な~の要件がついた場合の解釈についても、今後、見解が
分かれそうな気がします。
ただ、個人的にはテロ対策は、別途にもっと有効な法案を作った方が
使いやすくなるかも知れないと考えています。