07年は改憲元年にされるのか?!(1)~安倍首相が参院選で改憲を訴えると明言~
2007年 01月 04日
4日午前、安倍晋三首相が年頭の記者会見を行なった。
「昨年は美しい国づくりの礎が築けた」と。<教基法と防衛省昇格法案のことね。(--)>
そして、その礎をもとに「今年を美しい国づくり元年にしたい」と。「イノシシ年なので
美しい国づくりに向かってたじろがず一直線に進みたい」と誇らしげに決意を語っていた。
この会見で特筆すべきは、年頭所感に続き<コチラ>、まさに年頭改憲という感じで
「新しい時代にふさわしい憲法をつくって行く。わたしの内閣として(憲法)改正を目指
したい」と明言した上で、「当然、参院選でも訴えて行く」と述べたことである。<*1>
<また安保の法的基盤の整備や教育再生にも意欲を示した。自衛隊の海外派兵の恒久法、
集団的自衛権の見直し、教育関連法案・政策を推進することで実績を示したいようだ。
他の政策はめぼしいものもなく、彼がいかに国民の生活などには目が向いていないか、
アタマの中が改憲を最終目標にして、安保や教育を大きく変えて行く「美しい国づくり」
でいっぱいかがわかるような会見だった。>
* * * * *
私はこの会見を見て「安倍首相は、この参院選で大きな勝負を賭けて来るかも知れ
ない」と感じた。
そして、もし安倍首相が、憲法改正を参院選でのメインの争点に持って来るとしたら、
次の参院選はまさに日本の将来の分水嶺になるだろう。政界再編や改憲への動きも急激
に早まる可能性がある。
そうであるとすれば、私たちは、早くからもっともっと声を上げないといけない。
そうしないと、日本が一気にとんでもない方向に持って行かれるかも知れないから。
自民党はこの夏の参院選では、改憲を争点にする予定はなかった。党内にも、改憲を
前面に出すのはまだ時期尚早だという声もあるし、何より改憲(特に9条)には反対で
ある公明党の選挙協力が欠かせないからだ。
<後述するように、衆院の憲法調査会でも自公民3党の間で、改憲に関する具体的な
審議は3年の間、凍結するということで、話が調っていたのだ。>
だから、おそらく参院選で改憲をメインの争点にするか否かは、今後、自民党内でも
もめることになるのではないかと思う。公明党との選挙協力の問題も出て来るおそれが
あるし、自民党にとって「議席数の確保」という面でも、候補者自らの当選という面でも
危険な賭けになってしまうからだ。
だが、もしかしたら安倍氏は強引にでも、改憲をメインの争点に、または重要な争点
の一つに持って来るかも知れない。彼にはもうあまり余裕がないからだ。
まず、彼は今、自民党内での立場が危うくなっている。この参院選に負ければ、退任
せざるを得なくなる可能性が高い。そうであるなら、「正攻法」で憲法改正を訴えて勝負
をしたいと。もしそれで、国民の支持を得られれば、自分の政権を続けることができる
上に、国民から信を受けたとのことで、憲法改正や安保政策をもっと加速することが
できる。
<小泉氏が行なった05年の郵政民営化選挙に近い部分もあるかも知れない。>
また、安倍氏を筆頭にする改憲勢力(議員、支持団体など含む)は、遅くとも憲法改正
を2010年初頭までに行なうことを目標にしている。<米軍&日米軍事同盟の再編が
2011年に控えていることも大きい。>そして、それまでには、あと3年余しかない。
米国からも、集団的自衛権の問題を強く言われており、もっと早く改正できれば、それ
に越したことはない。
憲法改正の具体的準備を3年もの間、凍結するとか悠長なことは言っていられない。
また(任期満了まで考えれば)2年後に行なわれる次の衆院選、3年後の参院選まで
ゆっくり構えてもいられないのである。もし政界再編が必要なら、それも早く進めたい
だろう。
いわゆる改憲勢力の団体や組織、経団連などもそれを後押しする姿勢を示している。
<何と経団連は、公に2010年の初頭までに憲法改正をすべきだとのヴィジョンを発表
している。> 安倍氏はそれも受けて、一気に改憲の道を進んで行くしかないのではない
かと考え始めているのではないかと思われる。
安倍氏はもう自民党のTOPとして(党の総裁&政治家として)党内の議員たちや党員
の支持を得るというよりも、改憲勢力のTOPとして改憲への意欲を持つ者の支持を頼り
にするしかないと考えているようにも見える。<この件は別稿で改めて書きたい。>
さらに、改憲を争点にすることは、民主党、野党共闘への揺さぶりにつながる。
民主党は、まだ憲法改正に関して、党内で意見がまとまっていない。党としての方針
は決めてあるが、実際には、特に9条改憲の仕方について議員の間で考え方が大きく
分かれている。そして、少なくとも党として「改憲反対」というわけには行かないだろう。
この件も改めて書きたいが、もし改憲が大きな争点になれば、民主党にとっては、次の
参院選は大きな正念場になることだろう。
そして国民新党は、基本的に改憲に賛成の立場であるが、社民党、共産党は完全に改憲
反対、絶対護憲の立場であることを考えると、もし改憲がメインの争点にされた場合、
野党4党(or3党)の共闘がスムーズに行かなくなるおそれが出て来る。
ただ、逆にもし改憲をメインの争点にするとしたら、自民党と公明党との関係がどう
なるのか? そこもビミョ~なところであろう。公明党は基本的に改憲(特に9条)には
反対の立場だ。
自民党は、もともと憲法改正を結党以来の基本方針にしており、05年には改憲草案
も発表している。党内には改憲に意欲的な議員も多い。衆参の議員400名中300名
は、改憲を強く推進する日本会議と関わりがあるという。<民主党も数十人、関わりが
あるらしいのだけど。(-_-;)>
だが、前述のように、自民党は少なくともこの参院選では改憲をメインの争点にする
予定ではなかった。
衆院の憲法調査会でも、国民投票法案は自公民が協力して法案作りを進めると決めた
が、国民投票法が国会で成立しても、施行時期は公布から3年後とし、その3年間は
(新設される)「衆参憲法審査会」の憲法改正原案の審査権限を凍結するという結論を
出していた。これは公明党、民主党の主張を反映したものである。<*2>
自民党としては、少なくとも次の参院選までは公明党の意見を尊重しなければなら
ない。また党内にはあまり改憲への動きを急いで国内外に右傾化路線を強調することを
懸念する声もあったり、05年に発表した改憲草案をさらに手直ししたいという要望も
ある。だから、自民党としても、3年は長すぎるとはいえ、党内をまとめるのに少し
時間が必要だったと思われる。<民主党や国民新党から改憲推進派を取り込み、政界
再編を行なって、憲法改正の発議に必要な衆参院各2/3の賛成者を確保する準備も
行なわなくてはしなくてはなるまい。>
公明党は改憲に反対ながらも、それ以外の部分でのメリットを考えれば、できるだけ
長く連立与党を組んでいたい。
民主党は、改憲に関して党の方針をまとめるには、まだまだ時間がかかる。<マジで
改憲の論議をした場合は、党が割れる可能性もある。>
このように3党とも党利党略によって、2~3年の間は(特に参院選終了までは)
ゴマカし、ゴマカし、あいまいな形でコトを運ぼうとしていたのである。
しかし、もし安倍氏が憲法改正を参院選のメインの争点にすると決めれば、公明党
は黙っていないだろう。
公明党の太田氏は昨秋の代表就任時にも、党として憲法9条を護持して行くと名言
し、自民党の改憲推進の動きにも慎重論を唱えたばかりだ。
もし安倍氏が改憲を参院選の争点にしようとした場合には、自民党内にも、公明党
や民主党にも、ある種の踏み絵を突きつけることになるのかも知れない。そして、
それが争点になった場合には、国民にも踏み絵が差し出されることになるのだ。
p.s. 尚、安倍氏は4日の会見で、前記事の松岡農水大臣の口きき疑惑に関して、「農相から
働き掛けや要請を行った事実はないと報告を受けた」と述べ、疑惑を否定した。首相は「内閣府
からも同様の報告を受けている」と強調したという。
<つづく> THANKS
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*1
『 安倍晋三首相は4日午前、年頭に当たって官邸で記者会見をした。憲法改正について「わたしの内閣で改正を目指したいと、参院選でも訴えていきたい」と述べ、今夏の参院選で争点とする考えを表明した。参院選に関しては「常に勝利を得るため全力を尽くすという決意で臨みたい」と強調したが、与党が過半数割れした場合の政治責任には言及しなかった。参院選と衆院選の同日選は否定した。<共同通信4日>』
『安倍晋三首相は4日午前、首相官邸で年頭の記者会見を行い、憲法改正について「私の内閣で憲法改正を目指したいということは、当然、参院選でも訴えていきたい」と述べ、夏の参院選の争点に位置付けて戦う考えを明らかにした。
また、「自民党総裁として、常に勝利を勝ち取る気概で臨まないといけない。正攻法で実績を残すよう全力を尽くす」とも強調。衆院選挙との同日選挙に踏み切る可能性については「現在、全く考えていない」と否定した。
消費税の税率見直しについては「抜本改革について秋に議論しなければならない。スケジュールは参院選でもよく説明する」とし、参院選の争点にしない考えを示した。
憲法改正に必要な手続法である国民投票法案については「与野党間で議論が深まることを期待したい」と語り、今月25日に召集される通常国会で、与野党合意の上での成立に強い期待感を示した。
首相はまた、社会保険庁改革について「約束通り社会保険庁は廃止、解体、6分割し、徹底した合理化を図る」と述べ、通常国会で改革関連法案の成立を期す考えを示した。内閣の最重要課題として掲げている教育再生については「改正教育基本法の上に立ち、具体案を責任をもって取りまとめる。必要な法改正はこの(通常)国会に提出する」と述べた。
対北朝鮮政策では「拉致問題の解決なくして日朝の(国交)正常化はないという基本的な考え方に変わりはない」と改めて強調。「粘り強く、かけるべき圧力はかけながら、機会を得て対話によって解決していかなければならない」と述べた。 少子化対策は「本格的な戦略を打ち立てる」と語った。
◇
安倍首相の年頭記者会見要旨は次の通り。
【冒頭発言】今年を「美しい国づくり元年」としたい。参院選が今年予定されているが、正攻法で着実に実績を残すことに全力を尽くす。
【憲法改正】国際社会で平和に貢献するために、時代に合った安全保障のための法的基盤を再構築する必要がある。集団的自衛権の問題を含め、憲法との関係の整理について個別具体的な類型に即して研究を進める。国民投票法案は与野党で議論が深まることを期待したい。わたしの内閣で憲法改正を目指したいと、当然、参院選でも訴える。
【参院選、衆参同日選】常に勝利を得るために全力を尽くすという決意で臨みたい。(衆参)同日選挙は現在のところまったく考えていない。
【教育再生】教育の再生は私の内閣の最重要課題。改正教育基本法の上に立ち、教育再生会議で具体的な論議が始まっている。具体的な案を私が責任をもって取りまとめていく。必要な法改正は、この通常国会に法案を提出する。
【社会保険庁改革】国民から信頼される社会保障制度を構築する。社会保険庁は廃止、解体、6分割し、徹底した効率化を図り、国民から信頼される組織に変えるために必要な法案をこの国会に提出し成立を期す。
【経済】景気回復を家計にも広げたい。国民が景気回復と構造改革の成果を実感できる年にしたい。
【北朝鮮問題】6カ国協議が早い時期に再開されることを望む。北朝鮮は6カ国協議で国際社会の懸念に答えなければならない。すべての拉致被害者の生還を目指すことに変わりない。粘り強く、かけるべき圧力をかけながら、機会を得て対話で解決しなければならない。
【少子化対策】安心して結婚し、子供を産み育てることができる日本社会にしなければならない。少子化に対抗するために本格的な戦略を打ち立てる。<産経新聞4日>』
*2
『「改憲審査」3年凍結 自公民が国民投票法案修正で合意 <産経新聞06.12.07>
自民、公明、民主の3党は6日、憲法改正手続きを定める国民投票関連法案の修正内容で大筋合意した。修正点は(1)投票権者は18歳以上、成年年齢を揃えるまでは当面、20歳以上(2)投票の対象は憲法改正に限定(3)法律の施行時期は公布から3年後とし、その間は新設される「衆参憲法審査会」の憲法改正原案の審査権限を凍結-など9項目。衆院憲法調査特別委員会(中山太郎委員長)の3党の実務担当者らは今後、修正案の作成作業に入るが、法案成立は来年の通常国会に持ち越されるのが確実だ。
修正9項目は、与党案と民主党案を一本化するためのもので、自民党はこの日の国民投票法特命委員会(委員長・中川昭一政調会長)で修正内容を了承し、今後の修正協議の対応を中川氏に一任した。
出席者からは衆参憲法審査会の憲法改正原案審査権が3年間凍結される点について「総裁任期2期目の憲法改正を目指す安倍晋三首相の意向にそぐわないのではないか」との意見が出された。これに対し、船田元・衆院憲法調査特別委理事は「民主、公明両党が強く求めており、(成立のため)同調せざるを得なかった。安倍総裁の2期目の任期中の凍結は解除される」と理解を求めた。 成年年齢や選挙権年齢については、国民投票法の公布から3年をめどに見直し、「18歳以上」にそろえるが、この制度改正への異論はとくに出なかった。
一方、自民党と足並みをそろえる公明党は5日の政調全体会議で、斉藤鉄夫政調会長と赤松正雄憲法調査会座長に対応を一任。民主党は同日の憲法調査会で修正内容を基本的に了承している。
与党は今国会中の衆院憲法調査特別委での採決を目指している。ただ、修正9項目で大筋合意したにもかかわらず、民主党側は参院に受け皿となる特別委が未設置である点や、公聴会を開く必要性などを理由に、慎重姿勢をとっている。「民主党は国会の会期末をにらみ、国民投票法案に反対する共産、社民両党との共闘を崩したくない事情がある」(自民党関係者)との見方も出ている。』
これは護憲派には嬉しいニュースですぞ。
個人的に思うには、今まで一般国民にとって、改憲というのは身に迫った問題ではなかったんだと思います。だから軽い気持ちで「改憲賛成」を言っていたのではないでしょうか?
しかし小泉・安倍政権とタカ派政権が続くにあたって、にわかに改憲が現実味を帯びてきた。そうなると「本当に変えてしまっていいものか?」と、慎重な姿勢に変わってきたのではと想像します。
もし国民投票という段になっても、国民はさらに慎重になるように思えます。
(自民党議員ですら本音では、改憲にためらいのある議員も多いそうですし)
静岡新聞の記事、見ました。
改憲容認派が多いですけど、議論をして慎重にという意見が多く
なっているようです。
これは私自身や周囲もそうですけど。多くの人が違和感を持って
いるのは、9条の文言と自衛隊の存在なのではないでしょうか?
でも、仮に憲法で自衛隊を認めても、その先のこと・・・集団的自衛権
や他国での武力行使を伴う活動には、疑問を持つ人も少なくないと
思います。
その意味では、国民投票が各条別に行なわれるのは、幸いなことだと
思っています。
自民党内にも、民主党内にも、改憲内容に関する温度差があるので
これから内部でもアレコレあるでしょうし、政界の再編成もあるかも
知れません。
公明党の太田氏は昨秋の代表就任時にも、党として憲法9条を護持して行くと明言し、自民党の改憲推進の動きにも慎重論を唱えたばかりだ。
池田タイサク 次第でしょうか。改憲は安倍独自の魂 という以外に、USAの圧力があるのではないでしょうか。
いい議論ですね、此処も。簡潔で切れがあって解かり易いです。
改憲論議、教育基本法みたいにしてはならないでしょうね。
あ、TBモドキを此処に貼りますね。ついでですから。
では。今年も宜しくです。
『天』に唾すモノタチ 3
http://blogs.dion.ne.jp/ivanat/archives/4827992.html
『天』に唾すモノタチ 2
http://blogs.dion.ne.jp/ivanat/archives/4827527.html
PS
少し分からんなりに「有事」云々についても書いています。
頭の体操です~。
安倍氏は改憲勢力の肩にかつがれた人形のような存在に過ぎないと
思います。<彼らはとりあえず日米軍軍事同盟を使って、日本の軍隊
を強化したいようです。自分たちも早くやりたいのでしょう。>
もし公明党が<池田氏が>改憲にのったらと思うとぞっとしますが。
それでも会員たちは、ついて行くのでしょうか?
ブログ、拝見しました。
文学とは疎遠になっている今日このごろ、作家や作品については
よくわからないのですが・・・。
「多様性の原理」には共感できる部分があります。
そしてまた色々なことが結局、矛盾に満ちてしまうことも。
そして歴史には、リズムと共にバイオリズムのような流れがあるのかも
知れません。
http://www.tanakanews.com/070104japan.htm
興味深い内容です。
TBが通らないので、足跡残していきます。
見に来て、ぽちっとしてますよ。
今年もよろしくお願いします。
いつも情報を有難うございます。
今年もよろしくお願いします。
国家再興を望む人たちは、日米同盟で
日本軍を強化して、できるだけ早く
独立して防衛できるようになりたいようなので
お互いの利害は一致するのかも知れませんね。
わざわざ、有難うございました。
TBの調子がよくない状態が続くと、
みんな、困りますね。
うさあさんのようなブログが作れたら
どんなにいいかな~といつも思います。
残念ながら、私にはそういう才能がないのがですけど、
応援していますね~。(~~)
今年もよろしくお願いいたします。