同じ憲法改正賛成派でも ~自民系・復古主義vs。民主系・現実未来志向~
2007年 05月 05日
安倍首相は3日の談話で、『子どもたちの世代が自信と誇りをもつことができる
新しい日本の姿の実現に向けて、憲法の基本原則を改めて深く心に刻んで、さらに前進
する決意を新たにする』と言っていたが・・・。
私も、子供たちの世代が自信と誇りをもつことができる国であって欲しいし。その
ためにも憲法の基本原則を改めて深く心に刻んで、将来の日本がよりよい国であるよう
に、私なりに色々と考えたり、訴えたりして行きたいと改めて決意しよう!(@_@。
将来、今の子供たちに「何であの時に、こんな憲法に変えちゃったんだよ~」って
言われたくないし。
それに私自身、日本の国土が戦争やテロの攻撃を受けたり、日本の軍隊が他国で
武力を使ったり、他国の人を殺傷したりするようにはなって欲しくないし。何より
私自身、絶対に戦争で死にたくはないのだ。<戦争で死ぬくらいなら、自分の不注意で
何かに蹴躓いて転んで、頭を打って死んだ方がマシかも~。(・・)>
また、今日の内容〔特に復古主義のところ)と大きく関わるのだが・・・。
いつもTBでお世話になっている、われらがブロガーの○秘ではない秘書?の村野瀬
玲奈さんと「そいつは帽子だ!」のごんさんが、
『私たちは現日本政府の体制変革(レジームチェンジ)に反対します』
という共同声明を出された。是非、ご覧頂きたい。
~ ~ ~ ~ ~
3日、4日に続き、またまた憲法の話になってしまうが・・・。(^^ゞ
そもそもこのブログを立てた最大の目的は、「憲法改悪を阻止したい」ということ
なので。もう少し、お付き合い頂ければと思う。
私は3日には、現憲法の理念は最先端を行くもので、21世紀に十分通用するもの
なのではないかと書いた。
また4日には、安倍首相らの憲法改正に関する考え方は、復古主義であると書いた。
今回は、その続きである。
さて、憲法改正に対する立場は、改憲賛成または改憲反対(いわゆる護憲派)に
分かれるわけだが。
同じ憲法改正に賛成or容認する立場でも、憲法なるもの&現憲法に対する考え方
によって、憲法改正に関する考え方も大きく違って来る。
私は、これから国民が憲法改正の問題を考えて行く上で、郵政民営化総選挙の時の
ように「憲法改正に賛成か、反対か?」<改憲vs.護憲>という二者択一のとらえ方
をして欲しくないと強く思うところがある。
もちろん、改憲反対、護憲の立場をとると決まっている人は、それでもうOKと
言えるのかも知れないわけだが。
でも、最初から全面的に反対というのもな~と考えてしまう人もいるのではないか
と思う。
一口に憲法改正に賛成という人たちの中にも、様々な考え方があるし。そういう
ことを理解、認識した上で、色々な議員や識者の発言をきいて、自分なりに考えて
行く姿勢を持つことが大事になるのではないかな~と思ったりもする。
~ ~ ~ ~ ~
少し前に自民党と民主党では、憲法改正の考え方に、どこか違いがあるのかと
きかれたことがあるのだが・・・。その時にお勉強したことを、書いてみたい。
すご~く大雑把なくくり方になってしまうけれど(本当はもっと色々あるし、
ミックスされた考え方をする人もいると思うのだが)とりあえず、よくある典型的な
パターンで考えてみると・・・
憲法改正を考える場合、大きく分ければ、「現実・未来志向」と「復古主義型」と
二つのタイプがあるように思える。
「現実・未来志向」というのは、基本的に現憲法の存在や理念&それに基づく体制を
きちんと肯定した上で、今の憲法では実際のことと合わない点を修正したり、国民に
とってもっと利益になるようにという視点から考えたりして、憲法を改正しようと
考えるタイプだ。
おそらく民主党議員の多くは、このタイプなのではないだろうか?<自民党の一部
もそうだし、公明党も護憲から、かなり現実路線に変わってて来たかも。>
このタイプの多くは、「憲法とは国民が国家をコントロールするためのものである」
という立憲主義(近代的意味の憲法)の概念を大前提にして考えて行く。
あくまでも国民が主体<国民が国家を作って行くというような発想>であるから、
できるだけ広く主権を行使できる範囲を認め<逆に言えば、できるだけ国・政府の
権力は制限して>、国が国民の人権をできるだけ制約しないように考えるし。国民の
国家への義務も最小限にとどめようとする傾向にある。
9条に関しても、国民が日本の防衛をどう考えるのか、軍隊を認めるのか、認めると
してどこまでの活動(武力行使、活動領域・目的)を許すのかという観点から考える
ことになる。
<民主党内では、この考え方の差が大きい。小沢代表は、自衛軍は認めるが、集団的
自衛権はダメ。国際貢献は、国連の議決や依頼があったもののみ、自衛軍とは別の
部隊を派遣するという方針をとっている。>
民主党は、3日に発表された談話(by鳩山幹事長・全文はコチラ)でも『「公権力
の行使を制限するために主権者が定める根本規範」というのが、近代立憲主義における
憲法の定義です。決して国家がその伝統をうたったり、国民に道徳や義務を課すための
規範ではありません。・・・民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」
という現行憲法の原理を大切にしながら、真に立憲主義を機能させるために、現行憲法
に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めるという姿勢をとっています』
と言っている。
公明党が3日に発表したアピール(全文はコチラ)では、「公明党は、現行憲法は
優れた憲法であり、特に現行憲法の核心をなす3つの原則(国民主権、基本的人権の
尊重、平和主義)は今後も堅持していくべきであると考えています。憲法改正について
は、憲法3原則を堅持しつつ、「プライバシー権」や「環境権」など時代の進展に伴って
提起されている新たな理念を加えて補強する「加憲」が、最も現実的で妥当なものである
と考えています。ただし、平和国家・日本のシンボルである第9条については、戦争
放棄を定めた第1項、戦力不保持を定めた第2項をともに堅持したうえで、自衛隊の存在
や国際貢献のあり方を「加憲」の対象として書き加えるかどうか検討しています。」と
している。
~ ~ ~ ~ ~
他方、「復古主義型」というのは、基本的に現憲法の存在や理念を認めない、または
あまり評価せず、それに基づく戦後体制にも否定的で<とりあえず、評価しているよう
なことを言うのだが、結局、あとで否定する>、現憲法がなかった時代まで遡って、
新しい憲法を作ることを考えるタイプである。<「戦後レジームからの脱却」>
自民党の多く、民主党の一部(国民新党も?)の議員は、この考え方である。
現憲法を認めない理由としては、GHQが作った憲法であること、日本の伝統・文化
が継承されていないことなどが挙げられ、石原都知事のように、「無効な憲法なので、
改正ではなくすぐに廃案にすべき」と主張する者もいる。また、基本的に現憲法を
認めないので、自民党が05年に発表した草案も、改正案ではなく「新憲法草案」と
いう名になっている。
このタイプは、国家が主体で、国民は国家に帰属する構成員という考え方をする
人が多い。憲法は「国家や国民のあるべき姿、国家と国民の関係を示したもの」で
「国家が憲法で国民をコントロールする」ことも可能である。
ある程度強い権限を持ったTOPの人や組織が、主導して行く形で国政を行ない、
国民は国家の一員として、国家の安定や繁栄のために貢献したり、役立つような存在
であったりすることが望まれる。<ピラミッド型の権力構造が理想かも。>
それゆえ、この立場では、国家の利益のためには、国民の人権は制約されやすく、
国民の義務は多くなる傾向にある。
<かつては天皇の主権を復活させることを考えていた人もいたようだが。さすがに
今は国民主権が前提になっている。国家のTOPとして首相(政府)を想定し、その
権限を強化することを提唱する者が多く、国民は主権者として選挙→国会を通じて、
首相を決めることに関与し、またそれが首相に大きな権限を与える根拠になる。>
自民党は中川幹事長が談話を発表。<全文はコチラ> 「憲法施行から60年、
時代に合わない条文や新しい価値も生じてきた。新憲法制定を政治日程に入れると
いう安倍総裁の方針のもと、国民とともに議論を深め、普遍的価値と日本の文化・
伝統を取り入れた『美しい国』づくりのための憲法草案を考える国民運動を展開して
いく決意だ」(NHK)としている。
この復古主義をあらわすものとしては、前記事に記した中曽根氏発表の前文の、
「天皇を国民統合の象徴として戴き」<「戴く」とは、頭にのせる、敬意を表して高く
ささげる。頭上におしいただくという意味>、「国政は国民の信任に基づき国民の代表
が担当し、その成果は国民が受ける」<この内容がビミョ~に現憲法の前文と異なる
ことに要注意>、「国を愛する国民の努力によって国の独立を守る」などが挙げられる。
また、古屋氏が座長を務める「新憲法制定促進委員会準備会」が発表した「新憲法
大綱案」では、前文に「・基本的人権を尊重するとともに、国民一人ひとりが、公民としての
自覚をもって、権利および自由を公共のために役立てること」を記すことを提言。新憲法制定の
趣意は「大日本帝国憲法および日本国憲法の歴史的意義をふまえつつ、・・・個人、家族、共同
社会、地方自治体、国家および国際社会の適切な関係を再構築する・・・」という考え方をして
いる。
天皇が国家元首であると規定。国民の「国防の責務」を規定。、人権の制約原理として、
「国または公共の安全」、「公の秩序」なども明記する・・・など全体的に、上述の傾向が見られる
ように思う。
前記事にも書いたように、中曽根氏の前文や「新憲法大綱案」は、あまりにも復古的
なので、民主党や国民への影響を懸念して、自民党の改憲草案には採用されなかったが。
もし自民党がずっと与党であり続けた場合は、このような考え方がベースになって、
改憲やその後の政治が行なわれて行くのではないかと思われる。
<実際、草案も基本的人権の制約は強めているし~。>
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* 各党談話 *
『自民党の中川幹事長は「憲法施行から60年、時代に合わない条文や新しい価値も
生じてきた。新憲法制定を政治日程に入れるという安倍総裁の方針のもと、国民と
ともに議論を深め、普遍的価値と日本の文化・伝統を取り入れた『美しい国』づくりの
ための憲法草案を考える国民運動を展開していく決意だ」としています。
民主党の鳩山幹事長は「真に立憲主義を機能させるために、現行憲法に足らざる点が
あれば補い、改めるべき点があれば改めるという姿勢を取っている。国民投票法案を
めぐっては、安倍総理大臣の前のめりな改憲姿勢のもとで公正なルールづくりのための
冷静な議論が失われたことはきわめて残念だ」としています。
公明党は、アピールの中で「憲法改正は『プライバシー権』や『環境権』などの新たな
理念を加えて補強する『加憲』が最も現実的で妥当だと考えている。また、9条の1項と
2項を堅持したうえで、自衛隊の存在や国際貢献のあり方を加憲の対象とするかどうか
検討している。しんしで堅実な憲法論議を進めていきたい」としています。
共産党の市田書記局長は「安倍総理大臣は『在任中に改憲を実行する』と明言し、改憲
手続き法の成立をごり押ししようとしている。憲法の平和、人権、民主主義の原理に立っ
た21世紀の国づくりの道を国民の皆さんと力を合わせて前進する」としています。
社民党は「憲法を取り巻く状況は危ういものがある。憲法改悪のための国民投票法案
の衆議院通過などは、安倍内閣が戦後体制を否定して日本を根底から作り変えようと
する意図を顕著に示している。憲法尊重の義務を踏みにじることは決して許されない」
としています。
国民新党の亀井久興幹事長は「国民の意識が変化し、憲法との間にかい離が生じて
いることも事実で、見直す必要はある。しかし、国民投票法案を安倍総理大臣が主導し、
与党が強引に衆議院通過を図ったことは、憲法の基本原則の三権分立に反する」として
います。』
☆ NHK3日の憲法特集番組での発言 ☆
『自民党の舛添憲法審議会会長代理は「安倍総理大臣が1人の政治家として
ビジョンや理想を示す中で憲法改正を掲げるのは、日本のトップリーダーとして結構な
ことだ。憲法改正には衆議院と参議院の3分の2の賛成が要件となっており、そう容易に
政治日程にのるものではないが、安倍総理大臣の方針であり、そういう方向を目指す」
と述べました。
民主党の枝野憲法調査会会長は「安倍総理大臣はみずからの国家像や社会像を憲法で
体現し表現しようとしている。政権が変わってもこういう枠の中でやりましょうという
のが憲法であり、『安倍内閣で』とか『安倍色で』と言及すること自体、憲法がわかって
いない。そういう人たちと憲法改正の議論はできない」と述べました。
公明党の赤松憲法調査会座長は「安倍総理大臣はリスクを背負いながら政治家として
の意志を話したのだろうと思うが、もう少し発言に気をつけてもらいたい。また、『加憲』
の立場をとる公明党にとって、自民党と民主党が憲法の全面改正で一致することをいちばん
恐れていたが、今の状況はほっとしている」と述べました。
共産党の笠井憲法部会長は「憲法9条がいよいよ必要な時期に来ている。時代が変わっ
たから憲法を変えるというものではなく、21世紀の国づくりに今の憲法の精神を生かす
べきだ。戦争を反省しない人たちが戦争できる国にするための動きを推進しており、危険
を感じる」と述べました。
社民党の近藤憲法部会長は「安倍総理大臣は憲法を尊重する義務があるのに、変えると
発言しているのは立場がわかってないからだ。与党は生存権が保障されている憲法の下で
最低生活以下の人たちがいる問題を取り上げない。憲法の理念と現実の溝を埋めるべきだ」
と述べました。
国民新党の亀井久興幹事長は「安倍総理大臣の発言は憲法の三権分立の基本原則に反する。
行政の長である内閣総理大臣は憲法改正をやるんだと言うべき性格のものではない。そこは
まったく誤りだ」と述べました。
<以上NHK3日>
『超党派の保守系国会議員有志でつくる「新憲法制定促進委員会準備会」(座長・古屋
圭司自民党衆院議員)は2日、現憲法を全面改正するための「新憲法大綱案」をまと
めた。準備会は「党派を超えて団結し、新憲法の制定に向けて具体的な行動を開始する」
(提案趣意書)方針で、大綱案を改正論議のたたき台と位置づけている。
大綱案は、平和主義を堅持し、「防衛軍」の保持と集団的自衛権の行使を容認した。
武力攻撃やテロ、大規模災害時への備えとして首相に一時的に非常措置権を与える
「国家非常事態条項」の新設を盛り込んだ。
また、「国家の主権、独立および名誉を護持し、国民の生命・自由・財産を保全する
ことが国家の最重要の役割」として、国の領域の保全や資源、環境の保護を促す国益
条項を創設することを打ち出した。
天皇については、象徴天皇制を維持しつつ元首と明記する。また、昨年の皇室典範
改正問題の混乱を踏まえ、現憲法で「世襲」(第2条)と定める皇位継承について、
世襲に加え「皇統に属する男系男子」の要件を新憲法に明記することにした。
前文は、歴史や伝統的価値観など国の特性、国柄を継承発展させていくことを宣言
するものと位置づけ、国民主権の議会制民主主義▽基本的人権の尊重と、国民が権利や
自由を公共に役立てる▽国の主権・独立・名誉の擁護と世界平和の希求-などを国の
基本原理とした。
「準備会」は自民党の萩生田光一、今津寛、民主党の松原仁、笠浩史、国民新党の
亀井郁夫、無所属の平沼赳夫-の各氏ら国会議員25人で構成。3日午後1時から
東京都千代田区平河町の砂防会館別館で開かれる民間憲法臨調主催の公開憲法フォー
ラムで正式発表する。<産経新聞2日>』