国民投票法案・・・安倍首相の質疑&中継は失敗?+教育再生会議の「親学」も見送りに。
2007年 05月 12日
与党多数で採決された。(*1)
民主党は他の野党と共に法案の採決には反対したが、その後、最低投票率の検討など
を含めた18項目の付帯決議案を提出し、自公民でそれに賛成したという。
<民主党は、これでチョコッと法案作りに参加した、という形をとったのかな?・・・またもや
ハンパな姿勢に批判もあるかと思うが。とりあえず与党案には反対したことは評価したい。
また18も付帯決議を付すのは異常ではあるけど。今、問題とされていることを、決議して
残すことには、それなりの意義があるように思う。(あとから改正する場合の根拠にもなるし。>
この日は、総括質疑&採決の前に、安倍首相が委員会に出席して質疑を行なうこと
になり、NHKのTV中継もはいった。
この法案は、政府ではなく議員が提出する形をとっているので、首相が出席する必要
はなく、実に異例のケースなのだが。自民党側は、そうすることで、安倍政権&自民党
の新憲法制定に向けた姿勢をアピールしたかったようである。
実際、与野党議員との質疑の大部分は、国民投票法案に関してではなく、安倍首相の
憲法観や改正に対する考えについて行なわれたのだが。私は、一般国民にいい判断材料を
提供したという面で、この質疑&中継が行なわれたのは、よかったのではないかな~と
思った。
* * * * *
ここで、異例ながらも、安倍氏が特別に質疑を行なったのは、参院選を控えて、また
改憲への道の第一歩となる国民投票法案が成立するのを踏まえて、自分の改憲(新憲法
制定)に対する考え方や意欲を、一般国民に伝えたいという意図があったのではないか
と思うのだが・・・。
もし私が、よくネットウヨに見られるような、ある意味で自己満足的な保守派だったら
「そうだ、そうだ~!」「野党は何をいつまでバカげたことを言ってるんだ~!」とか
言いながら、同調しながら見ることができたかも知れないのだけど。
もし私が同じ保守派でも、マジメに一般国民に改憲への理解を求めたいと考えている
立場であれば、今回の質疑は「う~ん・・・(--)」と。ちょっとマズイ部分があった
かもな~」と懸念してしまうところがあったかも知れない。
<ちなみに自民改憲反対派としては、「相変わらず、な~に言ってんだか。(ーー;)」で、
終わってしまうのだけど。(笑)>
というのも・・・。一つには、質疑の内容以前に、安倍首相や自民党の舛添要一氏の、
野党議員に対する態度があまりいいものではなかったので、それに不快感を覚えた人が
少なくなかったのではないかと思うからだ。
もう一つには、安倍首相の憲法に対する<右寄りの、または復古主義に近い>考え方が、
それなりにあらわれていたし、やはり安倍氏は(近代的意味の)「憲法」なるものや特に
「立憲主義」なるものを理解できていない(または認める気がない)ことが、よくわかる
ような答弁が多かったので、少し政治や憲法に関心のある人の中には、安倍氏の考え方に
疑問を抱いた人もいたのではないかと思うからだ。
* * * * *
率直な話、私から見れば、もう(自民党草案的な)改憲推進&保守派や、根っからの
安倍氏or自民党支持者は、どうでもいいのである。
まあ、どうでもいいというと語弊があるかも知れないが。彼らはどうせ誰が何を言おう
と、よほどのことがない限り、国政選挙では主に自民党に投票するのだろうし。もし
改憲の国民投票が行なわれることになれば、賛成票を投じるのだろうから。
それも一つの考え方だと思うので、特に彼らを批判する気もないし。また安倍氏の
言動が彼らにウケたとしても、何ていうことはないのである。
私が今、重要視すべきだと思うのは、政治や憲法に大なり小なり関心はあるけど、
今はまだ考え方が決まっていない人、またこれからそれらに関心を持つであろう人たち
のことだ。
この範疇にいる一般国民が、安倍首相や各党議員の話をきいたり、報道やブログなど
を見たりして、どのような考えを持つようになるか・・・それが、今後の選挙や憲法
改正の進み具合にかなり大きな影響をすると思うからである。
そのような観点から、昨日のNHK中継を見た時に、これは安倍自民党にとって、
あまりプラスにはならなかったのではないかと<下手すれば、マイナスになったのでは
ないか>という感じがしたのである。
* * * * *
たとえば・・・最初に自民党の代表として、質問に立った舛添氏の話し方は、一般
ピ~プルの目から見たら、ちょっと自信過剰気味のタカビ~っぽい感じで、かなりハナ
につくところがあったように思えた。
彼にはよく見られることだが、かなり自信満々&得意げに、専門のフランスの話を
織り交ぜつつ、憲法の改正を考えるのは当然、アレコレ言うヤツの方がおかしい<世界や
政治がわかっていない>というような論調で持論を展開していたからだ。
しかも、その後、質問席の横に座り、野党議員が質問している間、終始、真横から
野次やチャチャを入れ続けたり、小ばかにしたように笑ったりする姿がTVに映って
いて、その態度に不快感を覚えた人が少なからずいたのではないかと思う。
安倍首相は、与党議員の質問にはマジメに対応し、質問にノる形で、自分なりの改憲
論を主張していたのだが。野党議員に対する態度は、頂けなかった。
あれは、何なのだろう? 改憲のリーダーとして自信や余裕があるように見せたかっ
たのか、それともついに念願の改憲手続法案が成立しようとしていることに喜びや誇り
を感じたのか<何か野党議員に対して、自分の方が上なんだぞみたいな、勝ち誇った
少年のような感じに見えたりもしたのよね。^^;>・・・。
ともかく、相手が真剣に質問をしている間も、答弁の際も笑いを浮かべることが度々
あったり、かなり上段に構える感じの答弁の仕方をして、時に相手を茶化すような
ものの言い方をすることもあったりで。客観的に見ても、あまりシンシ(真摯&紳士)
に対応しているように見えない場面が多々あったのだ。おそらく、その態度にいい印象
を抱かなかった人も少なからずいたのではないだろうか?
* * * * *
この続きは、チョット改めて参院TVをチェックしてから書きたいところもあるので、
明日に回すとして・・・。
安倍官邸の教育再生会議が、例の「親学」の提言が見送られることになったと
いう。<*2>
これは山谷えり子首相補佐官が中心になって、まとめた子育てに関する提言集で、
(1)「早寝・早起き・朝ごはん」(2)赤ちゃんの瞳をのぞきながら、子守歌を歌い、
できるだけ母乳で育てる(3)授乳中や食事中はテレビをつけない(4)乳幼児期には
本の読み聞かせを行い、小学生時代には今日の出来事を話す-ことなどを求めたもので
あった。
第2分科会で、山谷氏が「母性、父性を育て、社会を変えるようなメッセージを発信
したらどうか」と提案したのが発端になり、委員からも「『親学』研修の義務づけなど
思い切った提言をしたい」(義家弘介氏)、「せめて生後3か月は母乳で育てていた
だきたい。『親学』は基礎の基礎だ」(海老名香葉子氏)と賛成する声が相次いでおり、
かなり乗り気になって、報道関係者にも内容が公表されていたのだが。<*3>
しかし、全体会議にはいって、メンバーの中から「母乳の出ない人に対する配慮に
欠ける」「悪いことは書いていないが、再生会議はこんなことまでする会議なのか」
などの意見が出た上、与党議員からも「国が家庭の教育の細かいところまで立ち入った
り、押し付けになるような形になったりするのは好ましくない」「参院選を控えて、
国民から反発を得るおそれがある」などの意見が出て、再生会議として提唱することは
見送ることになった。
また、もし報告書の中に提案を盛り込むことになったとしても「親学」なる名称は
用いないようにという申し合わせも行なわれたときく。
* * * * *
正直なところ、このような「親学」なるものが政府から正式に提言されるようになっ
たら、極端な話、日本も終わりかなと思う部分があったので、この見送りの決定には、
ちょっとホッとさせられるところがあった。
確かに悪いことは書いていないのだが。こういうことは、それぞれの親が自らの意思
行政機関や医療機関の講習やパンフレット、育児書などで学ぶべきことであって。国が
親のあり方や子供育て方に関して、こうあるべきだという特定の価値観や固定観念を
提言することは、国民の自由意思や人権を侵害や過度な干渉をすることにつながって
しまうおそれが高いからだ。
安倍官邸や与党議員がそれにも気付かないほど鈍感だったら、「もう日本の自由&
民主主義も末期症状」だと思ったのであるが・・・。さすがに、このことには
気付く委員や議員がいてくれたことに安堵させられたし。再生会議の一部の委員が、
チョット図に乗り過ぎているのを、戒めようとする面もあったのではないかと思ったり
もする。
しかし、さすが小泉前首相から「鈍感力」の教えを受けた安倍晋三首相は、会合で
「どんどん物議を醸してほしい。(教育論議には)偏見やアレルギーもあるが、恐れずに
議論し、アレルギーを持つのは間違っているとわかれば、むしろ冷静な議論が出てくる」
と求めたという。
私から見ると、教育に対する偏見は、世間よりも安倍首相や再生会議の内側にあるよう
に思えることが多いのだが・・・いかがだろうか? それにある意味で毒性のある提言
には、当然、アレルギーが生じることも多いだろう。
まあ、もともと教育再生会議には何も期待していないとはいえ、大事な税金と時間を
使って会議を開いているのだから、そんな風にどんどん物議をかもすような議論などを
行なっているようでは困るのである。
安倍首相は、他の会議も含めて、官邸の会議なるものに関して、何か勘違いをして
いるのではないだろうか?
やっぱり早く官邸から去ってもらって、各会議も解散してもらわなくっちゃだわ。(・・)
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『憲法改正の手続きを定める国民投票法案は11日、参院憲法調査特別委員会で、自民、公明両党の賛成多数で可決された。民主党、共産党、社民党、国民新党は反対した。民主党の対案は採決されなかった。法案は14日の参院本会議で可決・成立し、1947年の現行憲法施行以来、初めて憲法改正の具体的な手続きが法的に確立される。安倍晋三首相は、昨年の国会での教育基本法改正に続く、「戦後レジームからの脱却」の具体例として参院選に向けて国民にアピールする構えだ。
首相は採決に先立って行われた委員会質疑で「本来憲法ができた時に定めていなければいけなかった。立法府が責任を果たすことに敬意を表する」と発言。「参院選では政治スケジュールとして、私の内閣で憲法改正を考えると訴える」と述べ、憲法改正を参院選の争点にする考えを改めて強調した。
同委員会では「最低投票率制度の是非について十分検討する」などの付帯決議も採決され、自民、公明、民主の3党が賛成した。
法案は、昨年5月に自民、公明両党と民主党がそれぞれ衆院に提出。今年3月に与党が修正案を提出し、4月に与党の賛成多数で衆院を通過した。(1)投票権者は18歳以上とし、選挙権年齢などが18歳に引き下げられるまでは20歳以上とする(2)有効投票総数の過半数の賛成で成立(3)衆参両院に設置する「憲法審査会」では憲法改正案の審査、提出は公布後3年間行わない――などが主な内容。(毎日新聞 10日>』
『政府の教育再生会議は11日午前、首相官邸で合同分科会を開き、親に向けた子育て指針として同日にも発表予定だった「『親学(おやがく)』に関する緊急提言」について当面、発表を先送りすることを決めた。「親学」との表現を使わないことも確認した。今月末以降の第2次報告に反映させる方向で調整する。政府や与党内にある「国民への教育観の押し付け」「政策的な裏付けがない」などの反発や批判に配慮した。
ただ、同会議に出席した安倍晋三首相は「議論が物議を醸しているのは事実だが、もっと物議を醸していいのではないか」と発言。「いろんな偏見があったり、アレルギーがあったりするんだろう。アレルギーを持つのは間違っていると認識していけば、冷静な議論が出てくるのではないか」とも述べた。
提言発表は山谷えり子首相補佐官らの主導で計画されたが、母乳による子育ての奨励など個人の価値観にかかわる内容を含んでいたことから政府・与党内に国民の反発への懸念が広がっていた。山谷補佐官は会議終了後の記者会見で「第2次報告に収れんさせる部分と(報告と別に)情報提供する部分を考えたい」と語った。拙速な対応が表面化したといえ、再生会議のあり方を問う声が高まりそうだ。<毎日新聞11日>』