自衛隊がイラク派遣反対から消費税増税反対まで、市民活動を監視・調査・・・マジに日本はアブナイ!+α
2007年 06月 07日
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的場さま、ナイス追い込み。来年こそ!・・・御神本、ゲート不出は残念。またチャンスは来る!>
帰宅後にTVのニュースを見て、「何、これ?」( ̄Д ̄;)がーんと、かなり大きな
驚愕と衝撃を覚えてしまった。
「自衛隊がイラク派遣反対などの市民活動の情報収集をしていたことが発覚」したと
いう報道を目にしてしまったからである。
こんなことが、当たり前に行なわれるようになったら、マジに「日本がアブナイ!」
このほかにも、「介護事業大手のコムスンの指定取消」「社保庁で新たに1470万
件の未入力・未統合データが発覚」「公務員天下り規制法案が7日に衆院通過」「自民
党が菅批判のビラを作り直し」「日豪安保強化」などの重要なニュースや、ドイツ・
サミットや民主党の参院選対策などなど、ブログで取り上げたいと思うような気になる
ニュースがアレコレあったのだが・・・。
ともかく、まずは「この自衛隊の情報活動の問題を書かなくちゃ」という感じだ。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
『共産党の志位和夫委員長は6日、国会内で会見し、陸上自衛隊の情報保全隊が、自衛
隊の活動に批判的な市民団体、政党、労組、ジャーナリスト、宗教団体などの動向を
まとめた「内部文書」を入手したと発表した。
「監視対象」は、イラクへの自衛隊派遣に反対する集会やデモなどの関連だけで全国41
都道府県の289団体・個人に上り、高校生も含まれる。
志位氏は「個人のプライバシーに対する侵害行為で、憲法違反だ」と強調、鈴木政二
官房副長官に中止を要求した。これに対し塩崎恭久官房長官は「法律にのっとって行わ
れる調査活動や情報収集は当然、受け入れられるべきだ」と述べた。<サンスポ7日>』
<関連記事 *1>
尚、この件に関しては、共産党HP(コチラ)に詳しい説明や内部文書の資料がアッ
プされている。
昨夜からまたPC不調&時間がなくて、まだ上述の資料や報道記事、関連情報に十分に
目を通していないので、色々と調べてから、改めてこの件をきちんと取り上げたいと思って
いるのだが・・・。
上述のHPによれば、調査活動は、特に「自衛隊のイラク派遣反対の活動」に主眼が
置かれていたようだが、それ以外にも、「医療費負担増の凍結・見直し」の運動、「年金
改悪反対」の運動、「消費税増税反対」の運動、「国民春闘」の運動、「小林多喜二展」
のとりくみなどへの監視がおこなわれていたことが記載されており、これは自衛隊情報
保全隊が、国民のおこなう運動の全般にわたる監視活動を、日常業務として実施している
ことをしめすものであるという。(ーー;)
* * * * *
最初に、一つお願いしたいことがある。どうかコレを他人事だと思わないで頂きたい。
「どうせ共産党とか旧・社会党系とか、反政府的な活動をしている人たちが狙われている
んでしょ?」とか、「私は、特に政治や社会に関する活動をしているわけではないし、
関係ないわ」とか思って、無関心にはならないで頂きたいのだ。
ともかく、これは本当にアブナイ話だと思うし、もし今の政府が自衛隊のこのような
活動を容認するのであれば、すぐにでも政権交代をさせなければいけないとも思う。
そうしなければ、私たち一般国民が、政府の行なうことに対して自由にものを言ったり、
活動を行なったりできないような国や社会になってしまうからだ。
<戦前の日本や、北朝鮮のような国家主義の国に近づいてしまうということである。>
* * * * *
この件には、二つの大きな問題点がある。
一つは、政府の方針(法案や政策)に反対するような団体や個人は、<それが消費税
や医療費の問題であろうと>、国の機関に監視されることがあり得るということだ。
それは、政府にとって都合の悪い国民の言動を抑圧することにつながってしまう。
これを放置すれば、他の法案や政策とあいまって、団体の集会だけでなく、何かの
反対活動にした署名からこのようなブログまで、すべてチェックされて、調査や妨害
を受けるおそれもある。
すでに公安は、自衛隊イラク派遣のビラを配った者を、逮捕、起訴、拘留、家宅捜索
などをしているのだが<コチラ参照>、その範囲がどんどん広がる危険性もある。
<今後、憲法改正の議論が盛んになると思われる中、改憲や9条改悪に反対したり、
早ければこの秋にもなされるかも知れない集団的自衛権の容認や自衛隊の海外派遣の
恒久法案提出などに反対したりする団体や個人が増えるであろう。それを抑圧する
ような監視活動を行なうとすれば、尚更に問題が大きい。>
もう一つは、このような監視&情報収集活動を、自衛隊というある種の軍隊が行なっ
ているということだ。
国の軍隊が、国民の日常の言動を監視するようになるほど、アブナイことはない。
<それを認めるような政府も、危険&問題性が大きい。>
また、もしこれを放置すれば、後述するように、そのうち市民の集会や活動に自衛隊
が出動するようになるおそれもある。
<私は、そのことも考えて、事前調査のために、この情報収集を行なっているのでは
さらに安倍首相は、日本版NSC(安全保障に関する情報収集&協議をする機関)
やCIA(国家の情報収集&分析機関)を作る計画も発表しており<NSCの方は
もう実現しつつある>、そうなれば、もっと国民の言動への監視が強まることだろう。
* * * * *
国のこのような活動が進むと、多くの人たちは、国ににらまれたくないと思い、
国の法案に政策がおかしいと思っても、反対の発言や活動をしにくくなってしまう。
そうなれば、国の思うツボだ。もうその時の政府の思う通りに、好き勝手に法案や
政策を通されて、ふと気付けば「何で、こんなことに?」と思うようなトンデモない
国や社会になっているかも知れないのだ。
そうなれば、私たち国民の生活や権利が圧迫されたり、場合によっては、私たちや
家族の生命や身体の危険まで生じたりすることにつながることも十分あり得る。
私は、日本にそんな国になって欲しくはない!(**)
これを読んで下さる方々も、どうかこの件に大きな関心を持って頂きたいし。もし
安倍政権が、上述の自衛隊の活動は正当なものだと容認して、継続をするようである
なら、次の参院選では、このような政府与党には「NO!」とはっきりとした意思
表示をして欲しいと切に願う。
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自衛隊の情報収集の問題に関しては、また別稿で書くとして・・・。
いくつかのニュースについて、報道記事キープの目的も含めて書いておきたい。
☆ 社保庁で新たな未統合の年金記録が発覚。最大1400万件」が不明
『社会保険庁の年金記録不備問題で、基礎年金番号に統合されず該当者不明のまま
「宙に浮いた」記録約5000万件とは別に、紙台帳で管理されていた厚生年金の
手書き記録の一部が社保庁のコンピューターに入力されず、未統合のままとなっている
ことが6日、分かった。野党は「最大で1400万件に上る可能性もある」と指摘。
追及を一段と強める構えだ。柳沢厚労相は「統合されていない記録もある」と述べた。
<共同通信6日>』 <関連記事 *2>
前記事に書いたように、5日も「1964年に厚生年金の年金番号などを磁気ファ
イルに入力する際に93万件の年金番号が誰のものか分からなくなり、社保庁が注意を
促す通知を自治体などに出していた」ことが発覚したが。
もしかしたら、社保庁には年金納付記録の台帳や入力に関してだけでも、まだまだ
問題があって、他から指摘されなければ隠したままでいようという姿勢でいるような
感じがする。
安倍首相&柳沢厚労大臣は、社保庁解体前に、きちんとこれらの問題を調査して、
膿をすべて出すように努めるべきではないだろうか? <そういうところで、首相の
指導力を発揮すべきなのだ!>
もちろん今、受給漏れのある人への対処も急ぐべきなのだが。事実関係を曖昧に
したままで、この問題を終わらせたら、また新たな問題や被害者が出るだけだし、
国民の不安も解消しないだろう。
* * * * *
☆ 厚労省が、コムスンの介護事業指定を打ち切り
『訪問介護最大手のコムスンが虚偽申請で事業所指定を不正取得していたとして厚生
労働省は6日、介護保険法に基づき、全国にある同社の介護事業所の8割、約1600
カ所の指定を来年4月から11年度までの間に指定を打ち切り、新たな事業所の指定も
しないよう、都道府県に通知した。打ち切られた事業所は介護保険サービスができなく
なる。
約6万人の利用者が不利益を受けないよう、厚労省は他社を紹介するなど対応策を
自治体に徹底する。<共同通信6日>』<関連記事 *3 >
私自身、祖母の介護や何人もの家族の看護を経験したことから、この分野の問題には
大きな関心があり、行政の介護サービスに関しても本当は言いたいことがたくさんある。
もとはといえば、厚労省が行政による介護サービスを導入した際の計画や見通しに
すごく甘い点があったように思うし。この分野に民間業者を参入させることにも、大きな
疑問を覚えていた。<まっとうにやったら儲かる業種ではないし。儲けようと思えば、
不正受給やサービスの低下の問題が生じることになるし。・・・何でも「官から民へ」
にすればうまく行くなんてことはないんだよ、小泉くん!しかも、行政も新自由主義的に
何でもコスト削減という方向に走ると、ますます問題が大きくなってしまうのだ。竹中くん!>
コムスンの場合は、以前からアレコレ問題が指摘されており、かなり悪質な部分がある
ように思うのだが。ただ、他の業者も厳しい状況にあるのは、事実だと思う。
厚労省は、早くこのシステムを見直さないと、年金同様にいずれシステムが破綻する
おそれがある。
また、ともかく今、コムスンの介護を利用している6万人の人たちが困らないように、
自治体と共に、責任をもって、早急に対応策を講じて欲しい。
<何かコムスンは関連子会社に事業を譲渡して、乗り切る構えのようだが。そんな安易
なやり方を承認すべきではないように思う。・・・かと言って、6万人以上の利用者の
サービスを充当し得るだけの他の企業や機関があるのか。(折角、慣れたヘルパーのサービス
を受けられなくなることを残念に思う利用者も多いだろう。)また多数のヘルパーの雇用や
生活をどうするのか。そういう問題も出て来るので、本当に対処が難しいと思う。(-_-;)>
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<報道記事は↓Moreの部分に>
*1
『共産党は6日、防衛相の直轄部隊「情報保全隊」が、自衛隊のイラク派遣に反対する全国の市民団体や野党議員の動向、デモ参加者の写真、記者の取材内容などを組織的に収集していたことを示す内部文書を入手した、と発表した。
文書は03年11月から04年2月にかけて、陸自東北方面情報保全隊と保全隊本部が作成したとされる2種類で計166ページ。イラク派遣に対する市民団体の活動が週ごとに記録されている。また04年1月の記録で、民主党の増子輝彦衆院議員(現参院議員)が、隊OBらが組織する「隊友会」の祝辞でイラク派遣に反対したことに触れ、「派遣を誹謗(ひぼう」などとしている。
報道機関については「青森駐屯地から退庁する隊員に取材を実施」などの記載がある。毎日新聞の記事については、04年2月21日の朝刊でイラクに赴く自衛隊員の安全を祈って全国に「黄色いハンカチ運動」が広がり、この動きに映画監督の山田洋次氏が異議を唱えていると報道したことに言及。「批判的な考えを表明している映画監督の回答を掲載」などと記録。登場する団体・個人数は290に上る。
志位和夫・共産党委員長は「資料は自衛隊関係者から入手した。結社、表現の自由などを脅かす憲法違反の行為で、こうした監視活動はただちに中止すべきだ」と述べた。
これに対し、久間章生防衛相は同日夕、「当時は(イラク派遣への)反対運動もあり、隊員や家族を安心させることが目的だった」と述べ、問題ないとの認識を示した。文書の真偽については「3週間で破棄する報告文書だから、調べようがない。内容が正しいかどうかも分からない」と話した。守屋武昌事務次官は「防衛省設置法に基づく調査・研究であり、(陸上自衛隊の)訓令で情報保全隊に与えられた情報収集活動」と違法性を否定。また写真撮影については「部内限りの資料で(肖像権の侵害などの)憲法違反にはあたらない」と釈明した。【日下部聡、本多健】
◇解説◇ 調査活動、逸脱の疑い
情報保全隊などが作成したとされる文書には集会の参加団体名と代表者名、さらに自衛隊を取材した記者も多くは実名で記載されていた。デモ行進などに参加した人の顔を写した写真もある。
内部の運用基準によると、情報保全隊の調査対象となるのは▽自衛隊に対して秘密を探知しようとする▽基地施設などに対する襲撃、業務に対する妨害▽職員を不法な目的に利用するための行動――の恐れがあるなどの場合だという。防衛省は「自衛隊に関する取材や講演はこの基準を満たしている」との見解だ。メディア関係者は「保全隊にフリーハンドを与えたような解釈だ」と批判する。
特にデモ参加者らの同意がない写真撮影は、問題がある。最高裁は69年、警察が行う撮影が許容される場合について「犯罪が行われ、もしくは行われたのち間がなく、証拠保全の必要性、緊急性があるとき」との判断を示した。個人情報保護問題に詳しい清水勉弁護士は「写真は個人識別性が非常に高い。警察よりも必要性の低い情報保全隊による無断撮影は、肖像権や表現の自由に対する侵害の恐れがある」と指摘する。防衛省には情報保全隊による調査活動の適法性について、国民に対して十分に説明する責任がある。<毎日新聞6日>』
『イラクへの自衛隊派遣に反対する市民活動や報道機関の取材に対し、陸上自衛隊の情報保全隊が広範囲に情報収集・分析をしていた問題で、久間防衛相は7日午前の参院外交防衛委員会で「デモの状態、抗議行動の写真を撮ることは差し支えないと思う。撮っている場合もある」と述べ、情報収集活動の一環として写真撮影をしていることを認めた。
緒方靖夫氏(共産)の質問に答えた。
久間氏は写真撮影について「特定の誰かを狙い撃ちしたものではない。マスコミの取材の場合はよくて、自衛隊ならだめだという法律の根拠はない」と答弁した。
また情報収集活動の是非に関しては、久間氏は「自衛隊の行動について賛成、反対の場合もある。情報収集をして分析をすることは決して悪いことではない」と強調。さらに、「年金改悪反対」や「消費税増税反対」など自衛隊の活動とは無関係な分野の情報を集めていた点についても「公開の場に出かけて、事実として把握するだけの話。踏み込んだということにならない」との考えを示した。 (朝日新聞 7日>
*****
*2
『社会保険庁は6日、旧式の手書き原簿に基づく厚生年金の保険料納付記録が1430
万件あり、その一定数が社会保険庁のコンピューターに入力されておらず、基礎年金
番号と統合されていないことを明らかにした。社保庁のコンピューター内にある5000
万件以外にも宙に浮く記録があることを認めた形で、事実を指摘した長妻昭氏(民主)
は「5000万件の照合を優先する政府方針は意味がない」と批判した。
この旧式の記録は、1942年6月から54年3月までのもの。社保庁はその中でも
54年4月1日以前に厚生年金から脱退し、59年3月31日までに再加入していない
人の記録1430万件を「比較的使用頻度が低い台帳」として、マイクロフィルムに
収録して管理している。受給年齢に達した人などが申請してきた時にコンピューターに
入力し、本人の記録と統合しているが、それ以外は入力されず、基礎年金番号と統合
されていない。
同庁は「この旧台帳の記録を統合して給付額を決め、コンピューター入力した例は
結構あるはずだ」と説明しているが、そうした数が何件あるかは把握しておらず
、宙に浮く記録の件数は不明だという。
社保庁によると、該当する人は現在60歳代後半以降。54年4月以前に脱サラし、
その後勤め人になっていない人や、同月までに死亡した人などが想定される。戦死者
が相当数含まれるとみられるという。<毎日新聞 6日>』
******
*3
『グッドウィル・グループ(GWG)の訪問介護最大手「コムスン」(東京都港区)が青森、兵庫県で運営していた事業所で雇用していない訪問介護員を勤務しているなどと偽って申請し、事業所指定を受けていた問題で、厚生労働省は6日、コムスンの介護事業所の新規開設や更新を認めないよう都道府県に通知した。介護事業所についてこうした処分が下されたのは全国初めて。コムスンは介護サービス事業から撤退する可能性が強まった。
同省老健局によると、コムスンは06年7月に青森県、今年1月に兵庫県内の事業所の新規指定を受けたが、その際、勤務実体のない職員数を水増しするなどの虚偽の申請をした。
コムスンは、04年4月~今年1月、東京都、岡山県、青森県、群馬県、兵庫県の計8事業所の新規指定の際に虚偽の申請をしたことが各都県の監査で発覚。各都県は各事業所を廃止処分にした。
介護保険法では、事業所が廃止されると、より厳しい「指定取り消し」処分ができなかったが、昨春の同法改正で「居宅サービス等に関し不正または著しく不当な行為をした」申請者に対し、指定取り消し処分ができるようになった。このため同省は、昨春以降に指定された青森、兵庫県のケースについて規定を適用し、申請者であるコムスンが全国展開する事業所の新規指定・更新を認めないようにした。
今回の処分により、申請者のコムスンの役員が、別会社で介護サービス事業を行うこともできなくなる。利用者は、更新期限を迎えるまでは各事業所でサービスを受けられる。
コムスンは全国に約2081事業所を展開しているが、今後、更新期限(6年間)を迎える事業所が順次廃止されていくことになる。その結果、コムスンの事業所は2011年度には426カ所になり、事業継続は困難になる。
◇コムスン 人材派遣大手のグッドウィル・グループが100%出資し、88年に設立。老人福祉事業を全国で展開しており、民間の信用調査会社によると、06年6月期の売上高は638億円。事業内容としては、在宅サービスや通所サービスを行っている。利用者は約6万人。
<毎日新聞 6日>
『訪問介護最大手の「コムスン」に対し、厚生労働省は新規指定禁止など厳しい措置を取った。これに対して同社は、関連会社に全事業を譲渡するという“ウルトラC”で対抗してきた。「量から質へ」とサービス向上のための業界変革を目指す同省と、法令を逆手に介護事業からの撤退を避けようとする同社。同社の訪問介護を受けている6万人はどうなるのか。
◇各自治体、早速対応に乗り出す なかには戸惑う声も
今後の対応について、同省は「一義的にはコムスンが考え計画すべきだ。行政の働きかけでサービスを受けられるようにする」と楽観的だ。一方、同省から「利用者に対するサービス確保に万全を期するよう」と指示された自治体。東京都担当者は「(今回の事態は)自業自得。コムスンが自己責任でやるべきこと」と指摘する。ところが、同社の事業譲渡が明らかになり、衣替えした“新生コムスン”でのサービス継続の可能性が出てきたため、6万人の行方はより不透明になった。
業務ができなくなり始めるのは08年4月。厚労省は他の事業者への円滑な利用移行ができるよう支援を強める。対策本部を設置し、自治体にも対応窓口設置を指示。事業所が廃業届を出す際に、利用者への説明と他事業者への移行計画を作成させる。同社に対しては、7月末までに計画の作成・報告を求めている。
各自治体は早速対応に乗り出したが、なかには戸惑う声も。群馬県は「コムスンには他の事業所などで対応するよう伝えた。県内には多くの訪問介護事業者があるので、介護難民が発生するようなことはない」と説明。岡山県は「県境地域などで支障が出る可能がある」と懸念する。東京都は「突然のことで驚いた。利用者や同業者への影響は極めて大きい」とし、近く、指定切れまでサービスの質を落とさないよう同社に指導する。
しかし、介護の現場での人手不足が指摘される中、最大手が抜けてスムーズな移行ができるか不安視する声もある。栃木県高根沢町で訪問介護などをしているNPO法人「グループたすけあいエプロン」の菅野安子理事長は「利用者やヘルパーさんを引き受けなければならないケースが出てくるかもしれない。コムスンには利用者を守るためにも、なんとか適正な運営をして事業を続けてほしい」と話す。【東海林智、亀田早苗】
◇質の向上へ 規制強化…厚労省
「ルール違反をしたら退場していただく。そういうことです」。業界最大手の指定禁止を決断した理由を、厚労省の古都賢一・老健局振興課長は会見で説明した。さらに「訪問介護サービスには多様な事業者が参入しているが、全体の質を上げていかないといけない。法令順守は大前提」と強調した。
全国の訪問介護の事業所は、介護保険制度が始まった00年の9833カ所から、06年は2万911カ所に倍増。さまざまな業者が新規参入する中、地域間格差をなくすための量の確保から、サービスの水準維持のための質の向上に課題は移った。06年4月施行の改正介護保険法は、事業所の6年ごとの更新制、立ち入り調査や改善命令の明文化など、規制強化が色濃い内容になった。今回は法改正で盛り込まれた指定禁止要件の適用第1号。1カ所で不正行為があると5年間は全国どこでも新規の申請も更新もできない厳しい措置だ。
コムスンは厚労省の発表後、事業を関連会社の日本シルバーサービスに譲渡すると発表した。しかし、厚労省は同社側に今後の利用者保護の計画を自治体に出すよう求めており、グループ会社への譲渡では受理されない可能性がある。また、日本シルバーサービスも事業所ごとに都道府県へ新たな申請が必要で、ここでも自治体側に指定するかどうかの権限がある。譲渡が問題なく認められれば「制度の骨抜き」との批判は必至だ。
厳しい措置を取った厚労省に対し、服部万里子・立教大教授(ケアマネジメント論)は「コムスンの体質は業界トップにふさわしくない」としながらも「制度発足時に門戸を広げて異業種参入を促した責任がある。ケアマネジャーの企業からの独立性を確保するなど、不正が起こらない体制を整備しておくべきだった」と批判を向けた。【清水健二】
◇給付費抑制で業界から悲鳴
国は介護保険制度をスタートさせた当初、利用者に一定のサービス量を確保するため、民間の介護事業者の参入を強く促した。訪問介護事業者数が増える一方で、必要がない利用者に車椅子を貸し出すなど事業者による過剰なサービス提供の実態が次々発覚した。
このため、厚労省は06年の介護保険法改正で、介護の必要度の認定区分を細かく分け、軽度の人を中心にヘルパーが身の回りの世話をする「生活援助」の利用を制限するなど、給付費抑制に乗り出した。これが事業者の経営環境を厳しくした。
「成長分野と期待して参入した。でも最近は飽和状態。そのうえ介護報酬が低く、努力しても売り上げが上がらない」。東京都八王子市の訪問介護事業者は打ち明ける。「業界のイメージが悪くなり、同じように見られると困る」。いつまで続けられるか不安という。東京都杉並区の女性ケアマネジャーは「法改正で利用者が大幅に減り、つぶれた事業所をいくつも見てきた。訪問介護は人件費の負担が大きく、採算を度外視しないとやっていけない」と語る。
業界紙「シルバー新報」の川名佐貴子編集長は「規模を広げ、上前をできるだけはねる経営をしなければもうからないのも業界の現実」と指摘。さらに「訪問介護の時間が規定に1分足りないだけで業者に返金を求めるなど、自治体の行政指導は厳格すぎる。もっと柔軟になり、サービスの質で業者が競える土俵をつくらなければ、『そもそも介護に企業を入れたのが悪い』という話になり、制度が後退する恐れがある」と懸念する。<毎日新聞 6日>』
『コムスンが事業所指定の不正取得で厚労省から指定打ち切り処分を受けた問題は、グループ会社の日本シルバーサービスに事業譲渡されることになったため、日本シルバーが今後、都道府県に指定申請を出し直し、事業を引き継ぐ見通しとなった。だが厚労省はこれまで不正な名義借りによる虚偽申請を繰り返してきたコムスンの企業体質を問題視。指定申請を受け付ける都道府県に厳しい審査を求める方針だ。<共同通信 7日>』