どうなる、給油新法?・・・日本政府の要請で、国連決議に謝意。but実際の給油先は不透明なまま
2007年 09月 19日
19日は、朝に『安倍辞任で「徳育」見送り、給油新法も混迷+節操ない
さつき、ゆかり&潔いぞ、タイゾー』をアップしました。
その他の最新記事の一覧は、←の<September2007>をクリック。
海上自衛隊がインド洋で行なっている給油、給水活動の継続を決める
ための「給油新法」に関する言動、動きが色々と出ている。
高村防衛大臣は18日に、給油新法について『民主党との接点を探る
ため提出時期が今の臨時国会ではなく来年の通常国会にずれ込む可能性
も否定できないという認識を示しました。<NHK18日より>』
高村氏は、3日に『法案を成立させるためには、「野党の要求を
どんなことでも聞いていく覚悟だ」と述べ、また与党が衆院の3分の
2以上で再議決し成立させる手法には「そうは簡単にいかない」と否定
的な考えを示して<共同3日抜粋>』いたように、当初から、与党で
あまり強引に新法を成立させるよりも、民主党と協調して、合意の上で
新法を作りたいという姿勢を見せている。
しかし、これに対して、同じ18日、与謝野官房長官は、「秋の臨時
国会で」という意向を示している。<*1>
与謝野氏としては、できるだけ給油継続に空白期間を作らないように
できるだけ早く新法を成立させるべきだと考えているようだ。
政府与党の中には、おそらく民主党は、もう新法に関して容易に譲歩
することはないだろうという見方があり、多少強引にでも新法を成立
させるべきだという見解の者も少なくない。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
そんな中、昨夜、山崎拓氏(テロ特措法に関する与党プロジェクト
チーム座長)は18日、都内の講演で、海自のインド洋での給油活動に
ついて、政府が新たな国連決議を求めるべきだとの考えを述べたという
記事が出ていたので<*2>、山崎氏も新法を急ぐべきではないという
考えなのかな~と思っていたら・・・。
今朝になって、国連の安保理が、日本政府の要請で、アフガニスタン
に展開する国際治安支援部隊(ISAF)の任務延長をめぐり、近く
採択する決議案に、米、英、日本などの有志連合による「不朽の自由
作戦」への「謝意」を盛り込むという話が出て来た。(・・) <*3>
日本政府は、この謝意が『海自の給油活動延長の「追い風」になる
と期待している。
高村正彦防衛相は記者団に「現時点でも十分国連のお墨付きがある
と考えているが、(民主党の)一番大きな反対理由はなくなるのでは
ないか」と指摘。与謝野馨官房長官も会見で「国際社会が日本の活動
を評価していることが理解できる重要な決議だ」と語った。
<毎日新聞 19日>』
* * * * *
しかし、TVの報道によると、日本政府(っていうか、外務省あたり
が)米国を中心に欧州の国々に「民主党が反対しているので、給油継続
をするには、国連のお墨付きが必要だ」と、かなり働きかけを行なって
いたようなのだ。(**)
<政府高官は「町村信孝外相と外務省が動いてきた」と日本政府の働き
かけがあったことを認め、「民主党への有力な説得材料になる」と
述べた。(毎日新聞19日)>
それに、これはISAFの活動延長に関する安保理決議であるとは
いえ、日本の活動に対する謝意は前文に記されるだけだし、果たして
謝意の記載が、日本の自衛隊の支援活動の根拠になるのかも、疑問を
覚える部分もある。(-"-)
民主党の鳩山幹事長は、19日、この謝意の盛り込みを受けて
『「このことで民主党の考え方は変わらない。感謝を強要するという
のは茶番だ」と述べた。
小沢一郎代表は給油活動継続反対の理由として根拠となる国連決議
がないことを挙げているが、鳩山氏は「国連決議の条件がクリアされれ
ばいいわけではない。事後的な決議では順序が逆という問題があり、
結論を大きく変えることにはならないと思う」と語った。
<毎日新聞19日>』
毎日新聞は、『ただ、党内には「給油活動自体は継続すべきだ」(前原
誠司副代表)との意見も残っており、党内論議が影響を受ける可能性は
ある』と指摘しており、私もそれを懸念しているのであるが・・・。
その前原氏も、「給油継続は必要だと思うが、もっと情報公開がなさ
れなければならない」と、常に主張している。
先日TV出演した際も、「海自が給油している米軍艦船が、イラク
攻撃の作戦に加わっているという疑惑についても、国会できちんと
明らかにすべきだ」と語っていた。(・・)
政府は、ひたすら「テロとの戦い」や「国際貢献」が大事だとアピール
するばかりで。 一体、海上自衛隊がどこで、どのような艦船に給油を
行なっているか、きちんと事実を明らかにしようとしないのだ。(-_-メ)
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詳しい話は、コチラやコチラの記事などを見て頂きたいのであるが。
海上自衛隊がインド洋で行なっている給油等の支援活動は、911の
NYテロ行為の直後に作られた「テロ特措法」に基づくもので、当初は
NYテロを行なったビン・ラディン率いるアルカイーダと、彼らをかく
まっているタリバンを標的として、米軍をはじめ多くの国の軍隊が行なう
アフガニスタンへの攻撃を支援するためだということになっていた。
その後、03年にイラク攻撃が始まったのであるが・・・。近時に
なって、海上自衛隊はインド洋というより、イラクに近いアラビア海の
海域で給油活動を行なっているのではないかと。また、イラク攻撃の
作戦に参加している米軍艦艇への給油を行なっているのではないかと
いう疑惑が生じている。
* * * * *
民主党の白真勲参院議員が、これらの疑惑に関して政府に質問主意書
を出したところ・・・
『政府は18日、海上自衛隊から給油を受けた外国艦船がペルシャ湾で
活動することは「我が国が補給した艦船用燃料は、同法の趣旨に沿って
適切に使用されていると認識している」「艦船が補給を受けた後に従事
した活動の詳細は政府として承知する立場にない」としながら、「補給
の都度、艦船が同法に規定する活動に従事していることを確認している」
と説明。
補給を受けた艦船がイラクに近いペルシャ湾内で活動する場合も「燃料
が同法の趣旨に沿って適切に使用されている限り何ら問題ない」とした。
<読売新聞 18日>』
チョット面白いのは、同じ政府の答弁書に関する報道記事なのに、
、毎日新聞18日は『活動を認めたことで対イラク任務を持つ艦船への
給油の疑いが強まる可能性もある』と記しているのに対して、読売新聞
18日は「海自が提供した燃料がイラク戦争用に転用されているとの
見方を否定したもの」だと説明している。(@@。hen nano~
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日本では、米軍を中心に行なわれたイラク攻撃には、疑問を覚えて
いる国民も多く、イラクの復興支援を行なうためのイラク特措法には
7割前後の国民が反対の意思を示していた。
もし、日本政府が何の説明も行なわないまま<つまりは、国民に
その情報をあえて知らせず、隠したまま>、海上自衛隊が、米軍の
イラク攻撃のために給油支援を行なっているとしたら、これは国民に
対する裏切りであるし。国民の政府、防衛省、自衛隊活動への信頼
が失われる可能性もあるし。給油活動の継続にも、疑問や批判を呈す
る者が増えるかも知れない。
もちろん、自衛隊の活動の中には、軍事機密に属するものもある
だろうが。自衛隊の海外での活動の中身は、日本の国や国民のあり方
にも大きく関わることだ。
また、シビリアン・コントロールの観点からも<もちろん、国民の
税金が使われていることを考えても>、海上自衛隊が無料で他国の軍隊
に補給している燃料が、一体、何にどのように使われているのかという
ことは、国民にはきちんと知らせるべきだろう。<逆に言えば、国民に
はそれを知る権利があると思う。>
私たち国民も、野党の国会議員も、正しい情報を得ることができなけ
れば、自衛隊のインド洋での給油活動を続けることが妥当かどうか、
判断することができない。
政府与党は、まずは、この給油活動の中身について、国会の場で真実
を明らかにすべきではないだろうか?
他国に働きかけて、国連決議にとりあえず海上自衛隊の活動への
「謝意」を記載してもらうなどというセコイ手段をとる前に、もっと
やるべきことがるだろ~と言いたくなってしまう。(ーー;)
本当に自分たちのやっていることに自信があるなら、正々堂々と
国民の前に議論して決めようよ!・・・と言いたいmewなのだった。(・・)
p.s.
あ・・・湾岸戦争の時は、おカネを出しただけだったせいか、
クウェートが米国紙に出した「感謝の広告」に日本の名がないとか、
感謝のパーティに呼ばれなくて、それを恥ずべきor悔しいと思った
保守系の人が多かったらしいのだけど。それで、今度こそ、国際的に
無料ガソリンスタンドをやってくれて「サンキュ~」と言われたかっ
たのかな?(・・) (oil free ならぬ free oil???)
じゃあ、もう国際的に感謝されて認められたのだから、悔しい
思いをした人も、それなりに自己満足してもらうとして。ここはいっ
たん引いて、みんなでどういう支援活動をすれば、国際貢献やテロを
減らすことに寄与できるか、もう一度考え直してみるのもいいんじゃ
ないかな~?(@_@。
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<報道記事は↓Moreの部分に>
*1
『[東京 18日 ロイター] 与謝野馨官房長官は18日午後の会見で、インド洋上での海上自衛隊の給油活動継続のための新法について、来年の通常国会での提出では遅すぎるとして秋の臨時国会で提出する意向を示した。
「(安倍晋三首相の辞意表明の)前の晩までこの問題で作業していた。町村外相、高村防衛相と新しい立法に向けて努力する方向性は一致したが、残念ながら今は作業はストップしている。ただ事務的には努力してもらっている。野党ともよく相談していつ提出するのか決めてもらったらいいと思う」と述べ、民主党との話し合いの上で新法の内容と提出時期を決めたいとの考えを示した。
ただ「個人的な意見としては、来年の通常国会に提出となるとすごく間があく。それが日本がとるべき誠実な態度であるかどうか、国際的な理解を得られるかどうかという観点から考えると、来年の通常国会になることの得失を考えて提出時期をよく考えなければならない」と述べた。』
* 2
『 自民党の山崎拓前副総裁は18日午後、都内で開かれた内外情勢調査会で講演し、海上自衛隊のインド洋での給油活動について、国連に対し、継続を求める立場を明確にするよう働き掛けるべきだとの認識を明らかにした。具体的に国連安全保障理事会決議や安保理議長声明、事務総長談話を例示した。民主党は、国連の正式な承認を得ていないことを理由に給油活動を継続するための新法案に反対しており、同党の協力を求める狙いがある。
山崎氏は、与党のテロ対策特別措置法に関する検討チーム座長。講演で山崎氏は、給油活動について「政府は『国連決議を踏まえて』と説明しているが、『国連決議に基づく』という説明はしていない。そこは弱点だ」と指摘。その上で「国連が要請し、期待する活動であることを国際社会に明確にすることが必要ではないか。国連決議を改めて取るべきだ。決議が無理であれば安保理議長声明でもいいし、国連事務総長談話でも(いい)」と述べた。山崎氏は、11日夜に与謝野馨官房長官や自民、公明両党幹事長らと会談した際、こうした考えを伝えたことも明らかにした。 <時事通信 18日>』
*3
『【ニューヨーク小倉孝保】国連安全保障理事会に入っている欧州諸国は18日、アフガニスタンに展開する国際治安支援隊(ISAF)の任務を1年延長する決議案を提出した。日本国内でインド洋での海上自衛隊による給油活動を継続すべきかどうか議論が高まっていることを踏まえ、決議案には、日、米、英など有志連合による「不朽の自由作戦(OEF)」への謝意が盛り込まれた。19日にも採択される。
提出された決議案は、国連憲章7章(平和に対する脅威や侵略に対する行動)に基づき、▽ISAFの任務を10月13日から12カ月延長する▽ISAFに参加する各国が必要なあらゆる手段をとることを認める▽ISAFを必要なだけ強化することを認める――など。そのうえで、決議案の前文で、「(安保理は)北大西洋条約機構(NATO)の指導力と、海上阻止部門を含むISAFとOEFへの貢献に謝意を表明する」となっている。
国連外交筋によると、日本では民主党が11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法の延長に反対していることから、日本政府が決議案に謝意を盛り込むよう安保理各国に働きかけたという。
ISAFは01年9月11日の米同時テロを受けて、国連決議に従ってアフガンに派遣された部隊。現在、NATO軍が中心になっている。 <毎日新聞 19日>』